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【邦画】 ようやく「崖の上のポニョ」を観に行ってきました。

内容的にはストーリーが破綻してるとかいうよりも遥か以前の代物を見せられたという印象です。
結局ポニョって、一体何者だったんでしょうか。観ている間はああいう生き物としてその場限りの納得状態にはなってたけど、振り返ってたとえば言葉で説明しようとすれば、人面魚くらいしか言葉が出てこない。
まるで正体不明の「物体X」です。

一回だけフジモトがポニョを本名?「ブリュンヒルデ」って呼んでたように思うんだけど、BGMもワルキューレの騎行もどきが恥ずかしげもなく鳴り響いていたところをみると、ひょっとしてそういう関係が背後に設定されてる?
でもポニョのキャラクターにそういう背景設定があったとしても、こういう映画の作り方だと、だからなに?としか云い様がないというか。

ポニョの素性だけじゃない。フジモトが何者で何故あんな乗り物に乗ってしかも水中で何をしてるのか、ポニョの母らしい、船をも凌ぐ超巨大女はどういう存在なのか、大災害が起きてるのに何故みんな平然として、楽しそうなのか、後半部分でソウスケとポニョに何か試練らしいものがあったみたいだけど、一体何のどこが試練だったのか、何のための試練だったのか、ポニョが人になろうとすると何故人工衛星が落ちてくるのか、もう何から何まで何もかも全然説明してくれない。

こんなに内容が無い映画を観たのは本当にまれな体験でした。みんな、こんなのを「宮崎駿」だというだけで受け入れてしまうんだと再認識。これを観た人って本当に全員理解できて、満足して劇場を出られたんでしょうか。

☆ ☆ ☆

お伽話なんだから、それを捕まえて現実に即してないとかいった批判は場違いなんていう意見もありそうだけど、たとえば助けてもいない亀が恩返しに来たような話だったらどうするのか。
浦島太郎が助けたからこそ亀は恩返しに竜宮城へ連れて行ってくれるわけで、何でも有りのお伽話でもそういう骨格はあります。その骨格の上で、亀が人の言葉を話そうがどうしようが自由奔放な世界が構築されていく。

「ポニョ」にはそういう骨格が無いように見えます。助けてもいない亀が恩返しに来るような世界に属してる物語のように見える。
実は「ワルキューレもどき」辺りに骨格がありそうなんだけど、「ポニョ」はなぜかそれを隠してしまってます。そして、ちょっとだけ釣り糸を垂れて誰か食いつくのを待ってるような作り方をしてる。
この骨格は姿を違うものに変えさせても、隠しては駄目だと思う。その骨格を隠すから「ポニョ」が物凄くだらしないファンタジーになってしまってるんだと思う。

☆ ☆ ☆

ということで、内容はさっぱり。良いとか悪いとか判断に辿り着く前にほぼ理解不能だったので、結局印象に残ったのは展開されるイメージとか動きとかそういうものに限定されました。もっとも個人的にこういうのは、映画の中で最優先事項だとは思ってます。

全体に不気味な印象に導くもの、不安感を隠し持ってるようなイメージが多かったのはかなり意外でした。宮崎駿はこういう雰囲気的なものを、見える形にするのが凄く上手い。わたしはこういう不気味、不安なイメージは嫌いじゃないので、そういうものが形になって目の前に出てくることは本当に面白かった。

細かいものがびっしりと画面を覆いつくしてる、そういうシーンが対象を変えてはいくつも出てきました。フジモトの顔にびっしりと汗の水滴が付着してるのなんか、たちの悪い皮膚病でも患ってるように見えた。こういうの生理的に駄目な人だったら、鑑賞中に気分悪くなってたんじゃないかな。

また、水没した町が水の層を通して眼下に垣間見えるとか、木漏れ日で薄暗く、あるいはほの明るくなった空間とその道の先にある光に満ちた光景の気配とか、母親リサの気配だけが消えてしまってる車とか、暗闇が待ち構えてるトンネルだとか。こういうイメージは、わたしにとっては不安感をかきたてる光景でした。終盤で、眠りに囚われ始めるポニョも観ていて凄く不安な気持ちになった。

☆ ☆ ☆

動きは、これはもう宮崎駿の独壇場でしょうね。空を飛ぶシーンこそ無かったけど、津波の上を疾走してくるポニョの動きなんてそれだけで、観ていること自体が快感に繋がってくるんですよね。子供の細かい仕草も表情豊かに捉えていて、それを動きとして的確に画面に乗せてくる。こういう辺りは本当に上手いと思います。

☆ ☆ ☆

あと、人タイプのポニョ、リサ、一応ソウスケも、主要登場人物のヘアスタイルがボブカットで、絶壁じゃないきちんと後頭部がある形のいい頭を披露してたのが気に入りました。その形の良い頭の上でボブの髪の毛が揺れるのが、何回も見たくなるくらいに視覚的に心地良かった。

ポニョ1 ポニョ2

監督 宮崎駿
公開 2008年


崖の上のポニョ - 予告編



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