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【洋画】 ラトルズ 4人もアイドル!

原題は「THE RUTLES in ALL YOU NEED IS CASH」なんですが、日本語のタイトルもふざけていて良いです。
わたしが最初にラトルズを知ったのは輸入盤のLPレコードで、音のほうがまず最初でした。
音だけが自分の見聞きできる範囲に登場したので、映像はその時はまだ日本で紹介されてないと思っていたんですが、実際は78年に東京12チャンネルで深夜に日本語吹き替えで放送されていたそうです。
それと今は「ラトルズ」と呼んでるけど、最初は確か「ルートルズ」と呼んでいたはず。
ビートルズとの類似性を強調するなら、「ルートルズ」の方が良いと思うんだけど、映像の中では「ラトルズ」と云ってるので、正確には「ラトルズ」で良いんでしょう。本家がカブトムシならこちらはネズミという感じになってます。

題名からも分かるとおり、ビートルズへのパスティーシュで、架空のバンド「ザ・ラトルズ」を主役にして、ビートルズの成功物語とビートルズがリリースした楽曲を、そのままナンセンスなギャグを散りばめて再構成した映像作品です。

☆ ☆ ☆

70年代中頃にイギリスのコメディ番組「RUTLAND WEEKEND TELEVISION」のなかで、コメディ集団であるモンティ・パイソン・メンバーのエリック・アイドル(Eric Idle)や、ボンゾ・ドッグ・ドー・ダー・バンドのニール・イネス(Neil Innes)らがビートルズのパロディとして演じたバンド「ザ・ラトルズ」が元になってます。

そしてほぼ同時期、エリック・アイドルがアメリカのコメディ番組サタデー・ナイト・ライブ(SATURDAY NIGHT LIVE)でラトルズを紹介したのを、プロデューサーが気に入ってしまったのがきっかけで、サタデー・ナイト・ライブの特別番組としてラトルズの成功物語を作るプロジェクトが発足することに。
その結果できあがったTV番組がこの「ラトルズ 4人もアイドル!」です。

☆ ☆ ☆

ラトルズ カヴァー
これがラトルズ・メンバー。 左からダーク・マックィックリー/ポール・マッカートニー(エリック・アイドル)、バリー・ウォム/リンゴ・スター(ジョン・ハルシー)、スティッグ・オハラ/ジョージ・ハリスン(リッキー・ファター)、最後がロン・ナスティ/ジョン・レノン(ニール・イネス)。

名前は似せようとはしてないようですね。
見た目は…これのどこがビートルズ?っていう感じなんですが、一応コメディなので。
でも歌ってる時の動作とか雰囲気は結構ビートルズを彷彿とさせる部分もあります。エリック・アイドルのポールと二ール・イネスのジョンは似せるために仕草とか相当研究したらしくて、わたしとしては二ール・イネス扮するジョン・レノンが動き出すと予想以上にジョンそっくりだったので面白かったです。

解散後のラトルズの行方こそビートルズが辿った道筋とは変えてありましたが、映画(厳密に云うとTV番組で、映画ではないんだけど)は、エリック・アイドル扮するナレーターの進行で、実際のビートルズのサクセス・ストーリーをそっくり辿っていきます。
マックィックリーとナスティの出会いから、キャバーン・クラブ、ハンブルグ公演、デビューと、ビートルズ好きには周知のエピソードが、残された写真とか、ラトルズに置き換えてそっくりに真似た物を使って次々と目の前に現れます。

実際のところコメディと云っても、誰もが無条件で大笑いできるものかと云えば、そういう仕上がり方でもなくて、もとのビートルズの物語を知ってると、ふざけ具合が良く分かってくすくす笑える程度のものでした。
たとえば静かなビートルズと称されていたジョージ役のスティッグ・オハラには歌ってる以外に台詞が一言もありません。
静かにも程があるっていう話なんですが、こんなのジョージの性癖を知らなければ、仕掛けられても分からないです。

☆ ☆ ☆

この映画、とにかく画面の中のものをビートルズそっくりに仕上げることに徹底して神経を使ってるのが見物なんですよね。ビートルズがリリースしたアルバムにそっくりな、いちいち細かいところで微妙にふざけたラトルズ・リリースのアルバムもきちんと用意してるし。

カヴァー2

tht

sr
( ビートルズの方はアビーロードのジャケット写真でポールが靴を履いてないことから、当時それが死を意味するとしてポール死亡説が流れました。ラトルズの場合は、ジョージがズボンを穿いてない事から、ジョージ死亡説が流れます )


アルバム・ジャケットだけじゃなくて、映画のなかで実際に演奏した曲も飛びっきり良く出来てました。
曲のタイプは2種類で、ビートルズの元歌を巧妙に弄くってどこか関節が外れたような具合に仕上げたタイプと、ラトルズ完全オリジナルで、いかにもビートルズだったら作りそうなタイプの曲。
ラトルズの音楽を手がけたのはレノン役のニール・イネスでこの人はコメディアンでも有るんですが、れっきとしたミュージシャンでもあって、ビートルズの「マジカル・ミステリ・ツアー」にも出演してピアノを弾いてるそうです。
この映画での音楽担当でグラミー賞のコメディ音楽録音部門にノミネート。ラトルズの音楽はコメディの付け足しみたいなものじゃなくて、完成度は非常に高いです。特にビートルズだったらいかにも作りそうなオリジナル曲の出来具合は特筆ものでした。

☆ ☆ ☆

あとカメオ出演っていうのか、劇中の脇役から本人として登場するタイプまで、いろんな人が出てました。ミック・ジャガー、ポール・サイモン、ジョン・ベルーシ、ダン・エイクロイド、ビル・マーレーなど。
面白いのはジョージ・ハリソンまでがインタビュアーの役で出てるんですよね。なかなか茶目っ気があるというか。

☆ ☆ ☆

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(2005/11/23)
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先に書いたように、音楽だけ纏めたものがリリースされてます。
これはLPの時のジャケットを再現したものです。わたしの持ってるCDは上のほうのメンバー写真としてスキャンしたタイプなんですが、こちらの方が良いなぁ。


原題 THE RUTLES in ALL YOU NEED IS CASH
監督 Eric Idle & Gary Weis
公開 1978年

☆ ☆ ☆

I Must Be In Love - The Rutles



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↓動画とジャケット画像がもう少しあります↓
  さらに、2曲追加してます。

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【洋画】 マルコヴィッチの穴

まず、なぜみんながマルコヴィッチになりたがるのか、映画を観てる間も、観終わった後でもこれが理解できませんでした。
行列を作って順番待ちするほど、マルコヴィッチになることって楽しいの?どうせなれるならジョニー・デップとかのほうが遥かにいいと思うんだけど、アメリカ人は違うんでしょうか。

☆ ☆ ☆

ペットショップで働く妻ロッテ(キャメロン・ディアス)の稼ぎで生活している、人形使い師のクレイグ・シュワルツ(ジョン・キューザック)は、人形使いでは食えないので仕事を探すことになり、新聞広告で見つけた、あるビルの7階1/2のところにある事務所で仕事を得ることになった。
ある日クレイグは事務所の壁に小さな扉があるのを発見、その扉の向こうにあった穴に入って進んでみれば、その穴はなぜか俳優ジョン・マルコヴィッチの頭の中に通じていた。そしてその穴を潜ればマルコヴィッチの頭の中に入ることが出来て、15分間だけマルコヴィッチになれるということを知る。
やがて、同じフロアで働く片思いの相手マキシン(キャサリン・キーナー)と一緒にこの穴を使って、料金を払えば別人になれるという商売を始めることになった。

クレイグの妻ロッテが試しに穴に入った時、ロッテはマルコヴィッチの男の体を自分のものとして体験したことで隠されていた性同一性障害が目を覚まし、性転換して男になると言い出した。おまけに女同士のマキシンを恋愛の対象として扱い、マルコヴィッチの体を被った状態でマキシンと付き合い始める。マキシンもマルコヴィッチの体を被ったロッテに興味を示しだした。
片思いの相手を妻に取られたクレイグは妻を監禁して、妻の代わりにマルコヴィッチのなかに入って、マキシンとデートすることに。
そのうちクレイグはマルコヴィッチを15分以上コントロールする術を身につけ、人形使いの腕を生かしてマルコヴィッチを完全にコントロールできるようになった。
そこで完全にマルコヴィッチと化したクレイグはマキシンと新しいビジネスを計画することになる。人形使いの腕を認めたマキシンの策によって、マルコヴィッチの元からの知名度を利用して、俳優ではなく人形使い師ジョン・マルコヴィッチとして再デビュー、クレイグでは成功しなかった人形使いの道で大成功を収めることになる。

その頃、穴のあったビルの社長レスターは、実は他人の体を移り歩いて文字通り不死となった人物で、次に乗り換える予定の体であるマルコヴィッチに入ったままのクレイグを追い出す必要に迫られてマキシンを誘拐、マルコヴィッチから出なければ、マキシンの命は無いと脅迫し始めた。

☆ ☆ ☆

要約しようとしてみたけど、わけの分からない話だということしか伝わらなさそう…。

この映画、前半で繰り出してくる突拍子も無いアイデアはとても面白いです。その突飛さは他の映画では類を見ないくらい非常識で、面食らうこと間違いなし。
壁にあいてる小さい穴がマルコヴィッチの頭に通じてるという中心アイディア以外にも、7階と8階の間にある謎のフロア、そのフロアにある屈まなければ歩けないほど天井の低い廊下と小さい事務所、全ての言葉をとにかく全部聞き違える秘書に、呆けっぷりが堂に入ってるレスター社長(オーソン・ビーン)、心理治療を受ける胃酸過多のチンパンジーと、チンパンジーが自分のトラウマになったものを回想するチンパンジーの主観映像など。

でも後半、映画は様変わりします。
ぶっ飛んだディテールを人が馴染みやすい物語の場所に引き戻すためなのか、前半がコメディだったのに、後半は三角関係の痴話話が中心になって、ある意味じめじめした陰鬱な話にシフトしていきます。7階1/2の奇妙なフロアなんて、そんなものを映画に出したことさえ忘れてるかのように、全然見向きもしなくなる。
この辺りから、意識と肉体、人の本質は外面にあるのか内面にあるのかみたいなことを中心にテーマ性も垣間見えるような感じになって、コメディだと思って観ていたのがちょっと居心地悪い状態に。

もとからこういうテーマ性があって、その思索を盛り込むためにマルコヴィッチの中に他人が入るという表現をひねり出したのか、マルコヴィッチの中に15分入れてマルコヴィッチが体験できるという妙なアイディアを思いついて、それを映画内で物語的に展開させるために、人の外面と内面のようなテーマを結びつけていったのか、どちらかは知らないけど、こういう意味的なものを付け加えようとしたために、映画は地上に落ちて、後半部分で完全に失速してしまったように見えました。前半のアイディアの奇抜さだけで突っ走っていればそれなりの面白さでいけてたのに…。

おそらくこの映画での最大の奇想は、自分の頭の中に他人を送り込んで商売をしてる連中がいると気づいたマルコヴィッチ本人が、その現場に乗り込んで、怒りに任せて自分も穴に入ってしまうシーン、マルコヴィッチ本人が自分の頭の中に入った時に観てしまう光景だと思うんだけど、この辺りをクライマックスにして、それまでの奇想を詰め込んだだけのディテール集合映画で終わったほうがよかったんじゃないかと思います。
その映画で表現すべきテーマを持ち込んだために失速してしまった映画って、考えてみれば妙な存在です。

☆ ☆ ☆

ジョン・キューザックとキャメロン・ディアスが、これまた小汚い格好で出てきます。役者を意図的にこれだけ無様な様子で撮った映画もなかなか無いんじゃないかと思うくらい。特にキャメロン・ディアスが酷い。
ぼさぼさの爆発頭におそらくすっぴん顔、あるいはすっぴんにしか見えないようなメイクのキャメロン・ディアスはこの映画でしか観られないかも。ちょっと見ものかもしれません。

ジョン・マルコヴィッチは、映画の中の自分である「ジョン・マルコヴィッチ」を演じた上に、ロッテに乗っ取られたマルコヴィッチ、クレイグに乗っ取られたマルコヴィッチを演じて大活躍でした。こういうのを観るのはやはり楽しい。

それと、バーコードのチャーリー・シーン。これも見ものです。
チャーリー・シーンってこういうことするのが結構好きみたいというか、嬉々としてやってるように見えませんか?

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Being John Malkovich - Trailer


原題 Being John Malkovich
監督 スパイク・ジョーンズ
公開 1999年


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