2008/12/30
【邦楽】 My Romance - 鈴木重子
鈴木重子の11枚目のアルバム「サイレント・ストーリーズ(Silent Stories)」に収録されてる曲。曲自体は良く知られてるスタンダード・ナンバーです。「サイレント・ストーリーズ」のリリースは2006年で、それほど古いCDでもありません。ちなみに今年に出た「LOVE」が通算で12枚目のアルバム、これが鈴木重子の最新作になってます。
「My Romance」の作曲はRichard Rodgers、作詞がLorenz Hart。
Richard RodgersはOscar Hammerstein IIとの共作でサウンド・オブ・ミュージックの音楽を手がけた人でもあります。
「My Romance」は1935年にミュージカル「ジャンボ」のなかで使われたのが最初らしいです。1962年に映画化もされ、この映画ではドリス・デイが歌ってました。
良く知られてる曲ということもあって、歌だけではなく楽器でもいろいろと演奏されてます。わたしが好きなものではビル・エヴァンスの「ワルツ・フォー・デビイ」に収録されてるピアノ版のものがあります。
鈴木重子は東大法学部出身の歌手として注目されたらしいですね。そして日本人で初めて、ニューヨークの「ブルーノート」でデビューライブをした人でもあるらしい。最初はジャズシンガーとして出発し、こういう形の音楽に行き着いたと。
調べてみたら、1995年にデビューアルバムをリリースして以降、12枚もCDをリリースしてる人だから、結構キャリアの長い人みたいです。
☆ ☆ ☆
わたしが始めて聴いたのは、たまたまだったんですが、このアルバム「サイレント・ストーリーズ」に収録されてる「マイ・フーリッシュ・ハート」でした。これがまた、ある意味衝撃的だったんですよね。この歌い方で、歌が成立するんだと。
声質は綺麗なんだけど、声量が致命的に欠けてるし、息もほとんど持続しない。途切れ途切れの呟きのような歌い方。
でも、それを歌唱法にして、余計なものをそぎ落とすように、歌そのものを希薄な何かに変貌させながら、沈黙との瀬戸際で揺れ動いてるような方向へと進んでいく。
鈴木重子の紡ぎだす歌はそういう歌なんですが、まるで沈黙もまた音なのだと主張してるようにも聴こえてきて、はじめて聴いた時から強烈な印象で耳に残りました。
「サイレント・ストーリーズ」に収録されてる曲はこんなの。
1. マシュ ケ ナダ
2. トゥルー カラーズ
3. ソ ダンソ サンバ
4. 黒いオルフェ
5. マイ フーリッシュ ハート
6. ブリッジ
7. 蘇州夜曲
8. シェルブールの雨傘
9. ミッド サマーズ スプリング
10. ラヴ ミー テンダー
11. マイ ロマンス
こういう歌い方なので必然的にスロー・バラードが多くなってきます。このアルバムには「マシュ・ケ・ナダ」とか「ソ・ダンソ・サンバ」「黒いオルフェ」などのラテン、ボサノヴァ物も入ってるんですが、歌い方をほとんど変えてません。沈黙に身を寄せるような歌をラテンのリズムに乗せてきます。
それなりにパーカッションがリズムを刻んでくるんですか、歌の希薄な威力が物凄いのか歌が完全に主導権を取って、まるで陽炎の中で揺らめいてるような不思議な感触のラテンを聴かせてくれます。
それとこのアルバム、ピアノの音が極めて繊細で、綺麗です。ピアノを演奏したのはフェビアン・レザ・パネ(Febian Reza Pane)。この人は確か「海辺のサティ」っていうアルバムを出した人です。
もう一つ、「マイ・フーリッシュ・ハート」が衝撃的だったのになぜこの曲かというと、結構予想以上に胸に迫ってくるものがあったんですよね。極めて旋律の美しいロマンチックな曲というイメージは今までにあったんですけど、胸に迫ってくるような感触は鈴木重子の歌で始めて体験したので、自分でもちょっと吃驚してこの選曲です。
☆ ☆ ☆
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My Romance - 鈴木重子
My Foolish Heart - 鈴木重子
おまけ
My Romance - Doris Day
ちなみにドリス・デイが歌う「マイ・ロマンス」です。
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