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【写真】晴明神社へ初詣に行ってきた。

三日の日に晴明神社に初詣に行ってきました。

実はどこに行こうかぎりぎりまで判断がつかずに、この日の朝起きてからでもいつもの通り八坂神社にしようか伏見の稲荷神社にしようか、それとも最近よく行ってるから北野天満宮にしようか、極端に知られてるようなところじゃなくて吉田神社のようにそれほど観光地としては名が通ってないけど明らかに京都のパワースポットといったところにしようか、散々迷ってました。

それで八坂神社は写真撮るとなると一度記事にしてるし、代わり映えのない写真になりそうで、清水辺りまで散策してもブログには載せてないですけど試し撮りしたりするのにしょっちゅう来ていて、意外と面白そうなところも思いつかずに、もう一つ行ってみる気になりません。伏見稲荷は商売繁盛の神様で商売人でもないからもう一つ関係がないし、さらにここは元旦の人出だけで100万人を越えたとニュースで言ってたから、そのことだけでも足が向きませんでした。
北野天満宮は去年の暮れの終い天神の見物に行って骨董の屋台なんか見てきたから行きやすい場所ではあったんですけど、紅葉の時に記事にしてるからやっぱり二番煎じ的でどうしようかなというところもありました。

そんな迷い道に入ったような状態だったものの、切羽詰るといろいろと案が出てくるもので、京都の初詣の観光地としてはそれほど名前は挙がらないけど神社としては知る人ぞ知る晴明神社もあったと、ここも京都のパワースポットだし、北野天満宮に行く道筋と一致してるから、近くに行くまでまだ決断しなくてもいい状態にいられる都合のいい候補地じゃないかと、起きてから出かけるまでの間にそんなことを思いついて、それでもどこにしようかとやっぱり迷いながら家を出はしたものの、この朝思いついたプランが何気に気に入ってしまったのか、気がついたら思いついたプランに忠実に地下鉄の今出川駅に降り立ってました。

☆ ☆ ☆

地下鉄の駅は烏丸今出川の交差点にあって、モノクロの記事で書いたように今出川通りをそのまま西に行けば自動的に北野天満宮に着きます。その途上で、烏丸通りの次に交差する南北の大きな通りである堀川で南に進路を変えてほんの少し歩けば、堀川の西側に沿うようにしてある晴明神社の前に出てくることとなります。両方とも大通から入り組んだ道に入らなくてもすぐに分かる位置にあります。

今出川通りを西に向いて歩きながら、白峯神宮の前を通り、ここは蹴鞠の守護神で、今で云うとサッカーの神様だからあまり用はないなぁと思いながら、堀川の交差点に到着。結局ここから道なりとはいえ北野天満宮まではかなり歩かなければならなかったので、ここに到着した時点でようやく初詣は晴明神社にしようと決めることが出来ました。

☆ ☆ ☆

堀川通りを南に曲がってほんの少し歩けば晴明神社に到着です。これは堀川通りに面した一の鳥居の光景。

一の鳥居
Nikon FM3A Ai-S Nikkor 50mm F1.4 : FUJI REALA ACE 100

この日の天気は曇りでした。元旦に晴れて見通しがいいなんて書きましたけど、あのあとから雲が出てきて、朝こそ晴れてるものの昼頃から曇りだして夕方ころになってようやく申し訳程度に若干太陽が顔を出すというような天気がお正月中ずっと続いてました。
こういう天気の時は写真が撮りにくいです。3日のこの時も空は白一色、でも分厚い雲というのでもないので意外と明るくて、明るい白一色の背景って露出決めるのもカメラが戸惑ってるような感じでした。家に帰ってフィルムをスキャンしてみると、上手く色が出てないものとかコントラストが崩れてたりするものが結構あって、フォトショップでかなり修正することに。これも空以外は薄暗い写真になってたので修正してます。
振り返ってみればこの三が日だけじゃなく冬に入ってからこんな天気ばかりのような気がします。青く突き抜けるような冬空っていうのももうそろそろ見てみたい気分です。

こんな浮かない天気なのに、しかも小さい神社で周囲に屋台が出てるわけでもないのに、わたしが行った日はそれなりに参拝客は来てました。身動き取れないほどではなくても、やってくる人は途切れなくて、賑わってる感じはしてました。3日目でこのくらいなら元旦辺りはかなり参拝客で賑わってたんじゃないかと思います。

祭られてるのが日本史に現れた中では史上最強の超能力者である安倍晴明で、映画なんかでも取り上げられる平安時代の有名な陰陽師だから、ファンの人が多いんでしょう。わたしは安部晴明というと荒俣宏の「帝都物語」辺りで馴染みなんですけど、今だともっと直接的に主人公扱いになってる映画があるから、かなり有名といえば有名な祭神になってるんだと思います。

ちなみに境内に置いてあった安部晴明の像はこんな感じのものでした。

晴明像
Nikon FM3A Ai-S Nikkor 50mm F1.4 : FUJI REALA ACE 100

ちょっとイメージが違うかな…。どちらかというとビジュアル系のバンドのボーカルみたいな美形でその上翳のある優男というイメージだったので、優男風というのは一致してますけど、この像はちょっと暢気そうかなぁ。これは残された肖像画を基にして製作されたそうなので実際とは全くかけ離れたイメージというわけでもないのでしょう。髭モジャの熊のような大男というイメージはまるっきりなかったから、そういう意味ではぴったりの印象でした。
像といえば安部晴明が操った式神の像もありました。安部晴明が一条戻り橋の橋の下に住まわせていた使い魔。今も堀川には神社の外を出るとすぐそばに戻り橋がかかってるんですけど、これは新しいもので、旧一条戻り橋は晴明神社の一の鳥居からもう一つの鳥居に抜ける間の空間にその一部が移転されています。そしてこの旧一条戻り橋の傍らに式神の像は置かれてました。

式神
Nikon FM3A Ai-S Nikkor 50mm F1.4 : FUJI REALA ACE 100

これもちょっとイメージが違うかも。もっとも常人には見えない存在らしいのでイメージがどうのこうのというのも変な話なのかもしれないですけど。わたしが抱いてたイメージはもっと小さくて研ぎ澄まされた感じでした。この像は使い魔というよりも、コスプレした近所の老人みたいです。
ちなみに一条戻り橋は渡辺綱が鬼の腕を切り落とした場所としても有名。いわくが一杯ある霊的な場所であるようです。

☆ ☆ ☆

わたしが安部晴明で好きなのは安部晴明が使っていた紋のデザインなんですよね。陰陽道では魔除けの呪符として用いられる五芒星の印。陰陽五行説にのっとり世界を構成する5つのエレメントの相克を表した字形であり、魔術を封じ込めた文様。

五芒星
Nikon FM3A Ai-S Nikkor 50mm F1.4 : FUJI REALA ACE 100

家紋のようなものは抽象的で意外とモダンなものもあったりするんですけど、この安倍晴明判はずば抜けてモダンな印象を受けます。当然晴明神社のあちこちにこの紋は見られて、それだけでこの場所がマジカルに特殊な場所であるということを印象付けていました。極めてシンプルでありながら、内包するものの豊富さでは並ぶものもないような特殊で、選ばれた形、神社の黒い門扉の中心にこれ一つ付けられているのを見たりすると、そんな有様が凄くかっこよかったです。

☆ ☆ ☆

境内にもう一つある鳥居をくぐると目の前に本殿があります。

本殿へ
Nikon FM3A Ai-S Nikkor 50mm F1.4 : FUJI REALA ACE 100
これはなぜか上手く色が出てなかったコマで、ここまで修正するので手一杯でした。


本当に小さな神社でほぼ正方形と行ってもいいような境内の空間を中心にしてその四辺に沿って神社のポイントとなるような建物や置物が配置されてるという感じ。境内の中心にたって360度周囲を見渡したら、晴明神社にあるほぼすべてのものを見渡すことが出来ます。

鳥居をくぐって右手にあったのが手水舎と晴明井。

手水舎
Nikon FM3A Ai-S Nikkor 50mm F1.4 : FUJI REALA ACE 100

晴明井
Nikon FM3A Ai-S Nikkor 50mm F1.4 : FUJI REALA ACE 100

特に晴明井はかっこよく写真を撮りたかったんですけど、この水が湧き出る場所は境内で唯一参拝客が行列を作ってる場所だったので、順番が来ても構図がどうしたとかこうしたとか、ただでさえスローな写真を撮るマニュアルカメラでは考える余裕さえなくてただシャッターをきっただけで次の人に場所を譲る他なかったです。
手水舎もひっきりなしに参拝客が手を清めに来るので構図など考える余裕なし。
ちなみに手水舎の向こう側に見えてる人の列が晴明井のところに続く行列になってます。

晴明井は安部晴明が超能力で湧き出させた井戸で、病気治癒の信仰があるとか。外に向けて一本ラインの入ってる角が五芒星の水盤に蓄えられた水が流れ出ていく部分で、この部分はその年の恵方を向くように年毎に向きが変えられるそうです。

そしてこれが本殿。

本殿
Nikon FM3A Ai-S Nikkor 50mm F1.4 : FUJI REALA ACE 100

本殿2
Nikon FM3A Ai-S Nikkor 50mm F1.4 : FUJI REALA ACE 100

両脇に写ってる隣の建物で、境内の横の広さがどのくらいなのか想像が付くかもしれませんね。

当然そのためにきたのだからわたしもこの参拝客に混じって参拝して来ました。
ところで神社の参拝の方法って知ってます?

まずはお賽銭を入れます。この時投げ入れるんじゃなくて、賽銭箱の上に手を差し出して静かに落とすように入れるらしいです。
次に鈴を鳴らします。大きい音が出ると意外と楽しいです。
そのあとで姿勢を正して2回拝礼し、その後今度は2回拍手を打ちます。
そして色々と願い事などをしてから最後にもう一度拝礼。

これでいいはずです。違ってたらかっこ悪いなぁ。

きちんとやるとなんだか気分もちょっとよくなるので、適当にするよりも本格的に参拝するのがやっぱりいいです。

☆ ☆ ☆

本殿の向かって右寄りに厄除桃とご神木がありました。せっかくきたので両方とも撫で回してきました。桃も順番待ちの人が多少いる感じだったので、気のすむまで撫で回してるわけにも行かず、適当に撫でて慌しく写真を撮って次の人に場所を譲りました。

厄除けの桃
Nikon FM3A Ai-S Nikkor 50mm F1.4 : FUJI REALA ACE 100

ご神木
Nikon FM3A Ai-S Nikkor 50mm F1.4 : FUJI REALA ACE 100

ご神木は楠の大木だそうです。自然の持つパワーを浴びられる、霊力を受けるご神木ということで、わたしは撫で撫でしてきただけだったんですけど、なかには抱きついてる人もいました。
桃のほうは本殿脇に置かれるにはちょっと唐突な印象を受けるものの、陰陽道では桃は魔よけのアイテムだとか。売ってるお守りにも桃の刺繍をしてるものがありました。

☆ ☆ ☆

帰り際に授与所でおみくじを引いて、お守りを買いました。お守りは白の袋に入った、一応万能型のご利益があるもの。個別の効能のお守りって目移りがしてなかなか選べません。でも個別の効能のお守りが複数あったとしてどうしてもその中から選ばなければならないとしたら、わたしだったら健康のお守りを選ぶと思います。これだけあればあとはどうにかなるもの。お守りは白地に模様が入った袋の中央上に金色で五芒星の刺繍がしてありました。やっぱり五芒星はかっこいいです。

ちなみにおみくじは末吉という結果でした。

おみくじ
Nikon FM3A Ai-S Nikkor 50mm F1.4 : FUJI REALA ACE 100

まぁ、吉だから悪くはないんですけど、華々しい結果というわけでもなかったです。
それでもおみくじに書いてあったことは結構いいことばかりでした。
「~むしろ新たな発想のもとに新境地を求めて行動すべきときである」なんて書いてある一節は、元旦にテーマを持って写真を撮ってみようかなと書いたことと照応してるような感じ。
末吉でも悪いことは書いてなかったので、大吉とかどんな凄い幸福なことが書いてあるのか興味がわきました。

いつも疑問に思うのが凶だったら神社に結び付けてくるのは分かるものの、吉とかでも結び付けてくるものなのかなぁって。わたしは何が書いてあるかじっくりと読みたいので吉関連だったらどれでも結ばずに持って帰ります。


授与所2
Nikon FM3A Ai-S Nikkor 50mm F1.4 : FUJI REALA ACE 100
ピントは壁にかけられたお守りの見本にあわすべきだったかな。


授与所
Nikon FM3A Ai-S Nikkor 50mm F1.4 : FUJI REALA ACE 100

顔出し看板
Nikon FM3A Ai-S Nikkor 50mm F1.4 : FUJI REALA ACE 100

授与所の壁には絵馬が一杯下げられてました。それと同じ場所に顔出しの看板も。
顔出して写真撮ってる人もいましたけど、式神のほうに顔を出してる人はいなかったです。
それにしてもこの絵だけ見てるとちょっとシュールだなぁ。

ちなみに神社を出ると、その隣に陰陽師グッズを売る店が一軒だけあって、屋台なんかも出てないから神社関連で商売してるのはその一軒だけのようでしたけど、神社の中に、このグッズ・ショップは晴明神社とは一切関わりのない店で、売られてるものは神社で祈祷されたものではないと言った注意書きが貼られてました。これでよくもまぁ気まずくならないで隣同士で共存できてるものだとちょっと感心しました。

☆ ☆ ☆

神社にいるとき、宮司さんとか巫女さんが歩いてるのを見たりして、この人たちも安部晴明に仕えてるんだから陰陽師なんだろうかとか、ひょっとして魔術も使えるかも知れないんだなぁとか思って眺めてると、なかなか面白かったです。

☆ ☆ ☆

こんな感じで初詣を終えて、フィルムを現像に出し、ムツミの人にお正月の挨拶をされて、それはもうかなり現像代を貢いでるからとちょっと複雑な気分になりながら、現像が出来るまでの一時間を何処かでお昼ごはんでも食べながらまとうと思ってたら、お正月の3日となるとどこも一杯で座れるところもないような有様でした。
結局何処かで休憩してご飯食べたいなぁと思いながら、河原町三条の辺りをさまよってるうちに現像待ちの一時間は経過してしまい、そのまま出来上がったフィルムを貰って、大丸の食堂街でようやく空いてる席を見つけて遅い昼ごはんを食べることに。
休み時はやっぱりこういうところには出てくるものじゃないなと痛感しました。

☆ ☆ ☆

京都でも今日は雪が降りました。
例年2月頃に降っても少しだけという季節が続いていたから、今年はやっぱりかなり寒い冬になってるようですね。







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【京都】紅葉 北野天満宮と東福寺 +静かな人の静かじゃない側面の静かな部分

この前のモノクロの記事を書いてから、次はひらパーのことを書こうと思ってちょっと手をつけたりしてたんですが、いつものようにのんびりやってたら紅葉の季節が急にやってきたような状態になって、急を要するといえばいつもそこにある遊園地の話題よりは短い季節限定の紅葉だろうと判断。ここはひらパーの記事はしばらく横に置いておいてまず紅葉の写真を撮ってこようと思い立ちました。実際のところ京都は秋になってもなかなか寒くならず、最近になってから急に季節が進んだ感じで紅葉の季節も一挙にやってきたような感じになりました。
わたしが東福寺に写真を撮りに行った日の読売のオンライン・ニュースでもそういったことが取り上げられていたようでず。

しばらく前から、どちらかというとわたしは桜のほうが好きなんですけど、まぁ季節の話題だから何処かで紅葉の写真は撮ってこようと思っていて、でも思いはするけれどなかなか場所が決まらず、比叡山の辺りは結構早い段階で見頃のサインが出ていたりしたものの、比叡山は夏に話題にしてるし間を空けずに同じようなところにいくのもなんだかなぁと云う気分でいました。それでとこにしようかいろいろと思い巡らしてるうちに、モノクロの記事の時にちょっとだけ取り上げた北野天満宮なんかが話の続き具合という点で良いんじゃないかなと思い立ち、北野天満宮で不都合なところもないので、そこを半ばターゲットと決めてから、身頃のサインが出るのを待ってました。
やがて上に書いたようにこの一週間ほどで京都は急に冷え込んできて北野天満宮にも紅葉は見頃という情報が出始め、それならばと25日に北野天満宮に写真を撮りに出かけてくることにしました。最初に書いたのと話が違うように見えますが、一番の目的地として選んでいたのは北野天満宮でした。

モノクロ写真のスペースハリアー石灯篭を撮った時は出町から延々と歩いてやってきて思った以上に遠くてちょっと辟易した場所。本当はバスで行くのが一番簡単なんですがわたしはバスが大嫌いなので、今回は嵐電に乗って行くことにしました。嵐山に行く電車なんですけど、嵐電なんてほとんど乗ったことがないから、北野天満宮の近くまで通ってるというのは調べてみて始めて知ったことでした。
京阪の四条で降りて阪急で四条大宮まで出て、四条大宮の嵐電の始発駅から京都で唯一残ってる路面電車に乗ります。実は四条大宮ってわたしが以前住んでいた壬生御所ノ内町の元祇園さんの近く、子供の時のことだから近くといっても大宮はそれなりにちょっと遠い感じはしてましたけどそれでも生活空間の領域に入ってる場所でした。四条大宮の交差点に降り立ってみると昔あった大宮東映はとっくの昔に無くなっていたりして、なんだか感慨深いところもあったりします。最近何度か昔住んでいたところの写真を撮りにこの辺りにはきてはいたんですけど、嵐電に乗るのはなんだか初めてじゃないかなという気分で駅の構内に入りました。子供の頃嵐電は線路上を走ってるのも飽きるほど見ていたけど、なぜか乗ったことはなかったんですね。
嵐電はその名の通り嵐山に行くのが目的の電車。でも途中「帷子ノ辻」という駅で「嵐山本線」と「北野線」とに分岐していて、嵐山行きとは別のもう一つの路線である「北野線」に乗り換えて終点の「北野白梅町」で降りれば、あとは駅から東の方向に5分ほど歩けば北野天満宮に到着します。出町から歩いた時は東から西に向けて歩いていたので天神さんを挟んでちょうど反対側から近づいていく形になってました。
ちなみに嵐電の停留所の名前はこの「帷子ノ辻」をはじめ「蚕ノ社」だとか「有栖川」だとか「鳴滝」だとか、どこか冥界にでも通じてるような妖しげでイメージ豊かな名前が揃っていてなかなか楽しいです。

参考までに嵐電のホームページ

わぁこんなに近くに電車で来られる駅があったんだと大発見でもしたような気分で北野天満宮に着いてみれば、25日のこの日はちょうど市が立つ日でもありました。

天神さんの市の屋台
Nikon FM3A Ai-S Nikkor 50mm F1.4 : FUJI Reala Ace 100

天神さんの市2
Nikon FM3A Ai-S Nikkor 50mm F1.4 : FUJI Reala Ace 100

市が立つ日だったというのは全く失念していて、予想外の混み様にちょっと気分が引けてしまいました。普通だったら何もない日だと思ってやってきて屋台が出てるのに出くわしたりしたのなら、これは儲けものとばかりに楽しくなってくるはずなんでしょうけど、この日は天神さんの紅葉の写真を撮りに来たという目的があったために、紅葉見物の客に市を目的にする客が加算されて人出が多くなってるのはあまり歓迎するような状態じゃなかったし、市が立ってるのを見たら屋台の写真も撮りたいという気分も持ち上がってきて、紅葉の写真を撮る目的との配分に気持ちが揺らいでいく部分も出てきてました。
そんな予想外の気分で天神さんに足を踏み入れて、参道を歩いてるうちに、たとえ気持ちが揺らごうととにかく紅葉が目的と思い直して、屋台の写真はちょっと撮っただけで撮りたくなったらまた別の日にと切り上げ、後は紅葉を目当てに本殿のほうに向かうことにしました。
ちなみに北野天満宮は天神さんといわれるのでも分かるように菅原道真を祭神とした神社です。全国各地に天満宮はあるんですけど、その中でも北野天満宮は菅原道真を宗祀とする神社という扱いになってます。菅原道真は学問の神様なので学業成就を願う人が参拝に来る神社ですね。

本殿
Nikon FM3A Ai-S Nikkor 50mm F1.4 : FUJI Reala Ace 100

本殿の様子。人が多かった分参拝する人も列を作って並んでました。

境内の中にはこの前の記事にも書いたんですけど、牛のご神体が至るところに祭られています。菅原道真と牛は道真の生まれた年が丑だったとか、大宰府に下った時に牛に乗っていたとか、牛が刺客から道真を守ったとか、色々と伝説があって、密接な関係にあるらしいです。

牛
Nikon FM3A Ai-S Nikkor 50mm F1.4 : FUJI Reala Ace 100

どうやら体の具合が悪いところとか悪くなって欲しくないところを撫でるとご利益があるようで、参拝客は牛の思い思いのところを撫で回してました。

☆ ☆ ☆

さて肝心の紅葉なんですが、北野天満宮の紅葉はこの本殿周辺じゃなくて境内の西側に沿って南北方向に伸びている、豊臣秀吉が作った京都を囲む土塁である「御土居」の史跡、この史跡は一部分しか現存してないんですけど、その「御土居」に沿って流れる紙屋川(中流の北野天満宮の傍らを流れる部分は天神川とも呼ばれてます)の周辺に残っている林を指していて、この自然林が色づいて紅葉の景観を形作ることになる一角がもみじ苑として公開されることになります。
本殿周辺は鮮やかな黄色い葉をつけた巨木が一本立ってはいたけど、他はほぼ緑一色という印象だったので、紅葉を撮るのが目的でやってきたわたしとしてはこのもみじ苑に入ってみる以外に選択肢はなくて、本殿周辺をざっと散策したあとで、とりあえず入場料の600円を払って中に入ってみることにしました。でもこの日は家を出る頃こそ晴れてはいたんですけど時間が経つに連れて太陽の勢いは力を無くしていくような日でした。もみじ苑の入り口に到着して空を見上げてみると、そんなわずかな時間の間でさえも見ているまに空は曇ってくるしもみじ苑入り口から垣間見えるところには赤い色一つ見えないので、目的はここにしかないと分かっていても、入るにはなんだかちょっと嫌な予感がしてました。

もみじ苑に入ってほぼ目の前に赤い欄干の展望台のようなところがあって、そこに登って見えたのがこんな光景でした。

もみじ苑01
Nikon FM3A Ai-S Nikkor 50mm F1.4 : FUJI Reala Ace 100

下を流れる天神川を見下ろすように設置された展望台から対岸に見える巨木で、展望台のそばにあった解説板によると「三叉のもみじ」という固有の名前がつけられている樹齢400年を超える有名な木らしいです。秀吉が「御土居」を建造する以前からここに生えていて、わたしが行った時の天神川はほとんど水気がなかったですけど、昔は氾濫も起こしており、そういう危機的な時も耐えて今に残る巨木なんだそうです。
展望台ではどうもこの日の夜、というか日が暮れてライトアップが始まる頃に何かコンサートのようなものが開催されるようで、その準備が始まってました。

コンサートの準備
Nikon FM3A Ai-S Nikkor 50mm F1.4 : FUJI Reala Ace 100

展望台から川縁に降りていく階段があって、下に下りたところには対岸に渡れるように赤い橋が掛けられています。

赤い橋
Nikon FM3A Ai-S Nikkor 50mm F1.4 : FUJI Reala Ace 100

渡る人は必ずここで紅葉をバックにかならす立ち止まって記念撮影をしていくので、人が途切れていなくなる合間を縫ってシャッターを切りました。それでも隣で撮影してる人の手が写りこんでしまった。

紙屋川沿いの道
Nikon FM3A Ai-S Nikkor 50mm F1.4 : FUJI Reala Ace 100
紙屋川(天神川)沿いの散策路。

もみじ苑の紅葉1
Nikon FM3A Ai-S Nikkor 50mm F1.4 : FUJI Reala Ace 100

もみじ苑の紅葉2
Nikon FM3A Ai-S Nikkor 50mm F1.4 : FUJI Reala Ace 100

これはちょっと面白い写り方をしたかな。曇り空でしかも空を背景にしてるから暗くてあまり色味が出てないけど。もみじの向こうにある木の葉が不定形の模様のようになってアクセントになってる感じ。

もみじの写真ばかりを並べるとそれなりに紅葉が空間を占めてるような印象になりますね。でも橋の写真でも分かるように、見頃だというから来てみたものの、実際はこれでどこがもみじ苑?っていうような状態でした。川縁に降りても展望台から眺めても紅葉してるのは全体の3割くらいだったかなぁ。解説なんかの印象からすると、三叉のもみじがとにかく主役でそのほか250本近く紅葉になる木は植わってるそうだけど、それはあくまでも三叉のもみじの引き立て役、見頃という情報は三叉のもみじが見頃になったということで、もみじ苑そのものが紅葉に埋め尽くされるという意味じゃなさそうという印象でした。
おまけに川縁に降りてからの散策路なんですが、入場口近くの展望台から下に下りて、写真の赤い橋を渡って対岸に行き、川縁を南に下り、南端で反対側に渡る橋があるのでそこを渡って展望台側の川縁を再び赤い橋に向かって散策するという順路になって、この天神川の川縁というのがほぼ北野天満宮の南北の長さくらいしかないものだから、川縁の往復もあっという間に回りきってしまうんですね。

川縁を一巡りして展望台のあった高さまで戻ると、まさしく入場した時の展望台が見える場所に出てくるので、もうこれでお終い?って云うのが正直な感想でした。
一応入場券には茶菓無料サービス健というのがついていたので、それがもらえる茶店のほうによってみます。
ここがまた時代劇の街道沿いにでも見るような、屋根こそはあるけど、吹きさらしの場所に床机が並んでるような体裁の茶店で、いわば和風テラス席といった感じでした。わたしはテラス席にはまってると書いたけどここまで寒くなってくるとテラス席よりも部屋の中で寛ぎたいので、薄いお餅に味噌餡がはさんであるお菓子を一つ提供してもらって、ほうじ茶を一杯飲んだだけで茶店を出てきてしまいました。

結局茶店を出た足でそのままもみじ苑も出てきてしまい、曇り空に3割の紅葉という結果を背負って、屋台で賑わってるのに気分はなんとも冴えない思いで北野天満宮を後にすることになります。
撮った写真は20枚くらいで半分ほど残ってるのを撮りきらないと紅葉の写真を目にすることは出来ないとなり、帰ったその日に何処か別の見頃になってる場所にもう一度紅葉を撮影に行こうと決めてしまいました。


☆ ☆ ☆ 東福寺編 ☆ ☆ ☆


もう一箇所として決めたのが東福寺。これもモノクロの記事に橋の写真とか撮った場所として出てきてるので、これまた記事繋がりでちょうど良いんじゃないかと思っての決断でした。
それで翌日の26日に再び紅葉撮影に出かけてきました。前日の曇り空と比べてこの日は一転して晴れ。多少の雲は出てきてはいたけど、曇り空になるほどでもないという天候でした。
所持していったカメラは北野天満宮であと半分取り残したフィルムが入ってるFM3Aとそれ以上撮る場合のために10枚ほど撮っていたCONTAX TVS2の2台。それと予備にフィルムも一本バッグに入れてました。もう一つ賑やかしにトイデジのVQ5090も久しぶりにポケットに突っ込んでおきました。

京阪の東福寺駅で下車。普通電車しか止まらない駅です。
この前撮った九条跨線橋は駅を降りて西の方向に行くんですが、東福寺の場合は東に進路を取ります。
電車を降りて普通しか止まらない小ぶりの駅の改札を出たところで、なんだか嫌な予感に襲われました。明らかに人が異様に多いんですよね。橋の写真を撮ってた頃は降りる客なんて大していなかったのに、この日はスムーズに歩けないくらいの人が駅の改札を出た辺りから道に溢れてました。改札前には臨時の切符売り場が出来ていて、そこにも長蛇の列が出来ています。

駅前から溢れていたのはもちろん東福寺の紅葉目当ての参拝客です。全員が橋のほうなんかに向かわずに反対側の東福寺に向けて列を成して進んでいきます。東福寺の駅から東福寺までは歩いて5~6分程度の距離でその通りは東福寺駅の前から交通整理の警官だか警備の人が点々と配置されていて、東福寺向かう客や帰って来る客の列の整理に忙しそうでした。
駅前の混雑は通りが広くなると多少は余裕が出来て進みやすくはなるものの、それでも行列を作って東福寺に向かいます。

東福寺の紅葉は東福寺自体が東山月輪山麓にあるせいか、境内に三ノ橋川が流れる洗玉澗という名前の渓谷があって、渓谷とそれに隣接する庭園の周辺に密生している木々が色づいて景観を成すような形になっています。そして渓谷の一部は寺の領域を出ても続いていて、東福寺の正門へと至る道もその渓谷を跨ぐ形で続いており、東福寺にに入る前にその渓谷にかかる橋、臥雲橋という名前がついている橋を渡る時に、渓谷の紅葉の一部を垣間見ることが出来るようになってました。

ここで参拝行列はまるで満員電車のような様相を帯びてました。なかなか前に進まないし、橋にたどり着いても渓谷の写真を撮ってる人が橋の縁に固まって動こうとしないんですね。交通の整理をしてる係りの人が1~2枚撮ったら他の人に場所を譲ってくださいと連呼してるし、境内に入ったらもっときちんと見られる場所があるから立ち止まらないでくださいとかいろいろ声をかけてました。

臥雲橋の参拝客
CONTAX TVS2 : FUJI PRO400 H

臥雲橋の様子。これは帰り際に撮ったもので、時刻にすると4時過ぎくらい。幾分混雑ぶりはましになってました。
下の写真は臥雲橋からみた渓谷の光景。まだ東福寺に入ってないのになかなかの光景を見せてくれます。一応撮影できる場所が開くのを待って撮ってます。でも人並みの中でマニュアルカメラのスローな撮影はなかなか難しかったです。
この橋の上に立つと東福寺内での渓谷を渡る通天橋が対面はるか向こうに見えて、まるで鏡面に向かい合ってるようでちょっと面白い光景でした。

臥雲橋からの眺め1
Nikon FM3A Ai-S Nikkor 50mm F1.4 : FUJI Reala Ace 100

臥雲橋からの眺め2
Nikon FM3A Ai-S Nikkor 50mm F1.4 : FUJI Reala Ace 100


その後また少し参道を歩いて東福寺の正門?らしい月下門にたどり着きます。ちなみに東福寺というのは摂政九条道家によって建てられた禅寺で、奈良で最大の東大寺と興隆を極めた興福寺にあやかって、それぞれから一字貰って名づけられてるそうです。

参道
Nikon FM3A Ai-S Nikkor 50mm F1.4 : FUJI Reala Ace 100

お寺の中の光景も一枚だけ貼っておきます。本堂南側にあった三門。禅宗のお寺にある三門としては現存するものとしては日本最古のものだそうです。大きすぎて50mmレンズでは全体は入らず。もっともこういう絵は全体を示すことは必ずしも必要でもないので、これでもかまわないと思ってます。

東福寺三門
Nikon FM3A Ai-S Nikkor 50mm F1.4 : FUJI Reala Ace 100

☆ ☆ ☆

東福寺の紅葉は渓谷に架かる橋である「通天橋」からの景観と、その渓谷に隣接するように設えられた普門院庭園の二箇所で構成されてます。通天橋への拝観料400円で橋を通ることが出来、橋の廊下の行き着く頂上にある開山堂、ここには砂に文様をひいた石庭があって、ちょっと竜安寺風の風情のお堂だったりするんですけど、そういうお堂を参拝したり、その通路から庭園に下りることが出来るようになってるので、紅葉の庭園を散策したり、また橋が架かっていた渓谷に降りていったりして、散策は結構変化に富んでるところだと思います。北野天満宮の川の周囲を一周するだけのところよりも歩いていて面白かったです。

通天橋からの眺め
Nikon FM3A Ai-S Nikkor 50mm F1.4 : FUJI Reala Ace 100

通天橋から
Nikon FM3A Ai-S Nikkor 50mm F1.4 : FUJI Reala Ace 100

拝観料を払って廊下を行けばすぐに通天橋に行き着きます。そこから見た渓谷の眺め。上の写真で向こうに見えてるのが正門に着く前に渡った臥雲橋です。

開山堂付近の紅葉
CONTAX TVS2 : FUJI PRO400 H

渓谷に降りていく道から
CONTAX TVS2 : FUJI PRO400 H

通天橋を通り過ぎる頃にFM3Aに入れていたフィルムが終了。ここからはサブで持っていってたCONTAX TVS2で撮ってます。予備のフィルムも持ってきてはいたけど全部撮りきる自信がなかったので、FN3Aには詰めませんでした。
上は開山堂手前の紅葉。開山堂まで登ってから普門院庭園まで降りてきて、そのまま渓谷に下っていく道から撮ったのが下の写真で、こちらは通天橋を含む光景です。

渓谷に下りる途上
CONTAX TVS2 : FUJI PRO400 H

☆ ☆ ☆

渓谷の風景1
CONTAX TVS2 : FUJI PRO400 H

渓谷の風景2
CONTAX TVS2 : FUJI PRO400 H

渓谷の光景3
CONTAX TVS2 : FUJI PRO400 H

渓谷に降り立った辺りの風景です。直接的な光が幾分和らいだ感じで幻想的な雰囲気を身に纏ってる感じがします。わたしは紅葉というと真っ赤じゃないと物足りないと思うほうだったんですけど、ここの紅葉や黄色やさらに緑まで混じった光景のほうが絢爛豪華じゃないかって認識を改めるようなところがありました。紅葉でもなんでもない緑さえもが紅葉の絢爛さ豪華さにはなくてはならない色要素になってるようです。
一番下の写真の木は周囲からちょっと目だって印象深かったんですが、木の前にちょっとした展望台が設えてあったので、何処か他のものとは違うものを持った木だったんでしょう。

普門院の紅葉1
CONTAX TVS2 : FUJI PRO400 H

普門院の紅葉2
CONTAX TVS2 : FUJI PRO400 H

再び渓谷から上がってきた庭園の紅葉の写真です。両方とも見上げた形で撮ったものです。最初のが結構お気に入り。下の方に人の頭が写りこんで紅葉の高さ、奥行きが出てると思います。

☆ ☆ ☆

大体4時頃までこの庭園居て写真を撮った後、一度出たらもう入れない庭園を後にしました。
北野天満宮よりも起伏に富んで見所は多く、天神さんで無料で貰った茶菓の威力も東福寺の絢爛豪華さには太刀打ちできなかったみたい。もう一度撮りなおしに出てきてよかったと思いました。

拝観の受付は朝の9時から午後3時半までと意外に早く、庭園そのものも4時半ごろには閉めてしまうようでした。それとどうやらライトアップのようなこともやってないようで、ある意味景観そのもので勝負してるところもあってなかなか潔い感じです。

帰る頃に撮った写真も少しアップ。

境内の光景
CONTAX TVS2 : FUJI PRO400 H

帰り道
CONTAX TVS2 : FUJI PRO400 H

上は東福寺内の休憩所というか茶店ですね。下のは東福寺の駅に向かう帰り道のスナップ。参道でも点々と紅葉が見られる場所がありました。
食べ物屋とか休憩の茶店とか撮ってるのは、ひょっとしたら帰り道お腹がすいてたのかもと、その日帰宅後、写真を選びながら思ってました。

帰りは東福寺の駅からそのまま京阪で三条まで出て、ムツミに今撮ってきたFM3AとCONTAX TVS2のフィルムの現像を頼んで、出来上がるまでをBALLのMUJI CAFEで軽食を取りながら過ごし、出来上がったフィルムを取りに行ったあと、同時プリント込みで3300円もしたのでちょっと気落ちしながらも、三条京阪の近くにあるブックオフに立ち寄って帰宅という行程で、この日の行動は締めくくりとなりました。

人ごみの中を歩いてきたせいか、翌日からちょっと喉が痛くなってます。風邪でもうつされたかな。

☆ ☆ ☆

京都の紅葉というと清水とか嵐山なんかのほうが地名的にも有名だから真っ先に代表的な場所として頭に思い浮かびそうですが、東福寺の渓谷の紅葉風景は京都でも屈指の景観を誇るところなんだそうです。住んでながらこういうことはあまり知らなかったんですが、あの圧倒的な光景を目の当たりにしてみればそれも納得という感じがしました。
ただ、京都屈指の紅葉の名所だったにしても、この満員電車並みの人出は本当に辟易しました。
最初の橋の混雑振りを見た時点でこのまま帰ろうかと思ったくらいの酷さだったので、これは何とかして欲しいと思ったんですけど、人気がある以上は仕方がない部分なのかもしれません。紅葉の絢爛豪華さと凶悪な人ごみを天秤にかけて絢爛豪華のほうに値打ちがあると思えるなら行っても後悔はしないとは思いますけど、それでもある種の覚悟が必要かもと思いました。

これほど豪華でなくても、満員電車のような混雑とは離れて、ゆっくりとお茶でも飲みながら鑑賞できるような紅葉とどちらが気分が豊かになるかなと、東福寺の絢爛さに満足しながらもそういうことも考えてしまいます。

かといって北野天満宮のはやっぱり頼りなかったんですけどね。



☆ ☆ ☆



Kenny Dorham - Lotus Flower


静かなるケニーというアルバムで有名なケニー・ドーハムのトランペット。わたしはこの人の鈍い光を放つような音とリリカルな旋律センスが結構好き。
「Quiet Kenny」というアルバムはそんなにいうほどバラードばかり集めてるアルバムでもないんですけど、トランペッターにしてはそのつや消しのような音と相まってすっかり静かな人というイメージが出来上がってしまってるミュージシャンでもあります。
でもこのアルバムによってすっかり定着してしまった静かな人イメージ以外にもケニー・ドーハムにはラテン路線といったものがあって、こちらは動的なケニーを代表している感じ。案外動的ケニーのほうが好きという人もいるんじゃないかと思います。

この曲はその動的ケニーのラテンアルバム「Afro-Cuban」に収録されてる曲なんですが、全体に陽気なのりの中でしっとりとしたバラードを聞かせてくれるところが結構気に入ってます。

ロータス何とかというタイトルの曲はこの人の場合複数あって、静かなるケニーにはロータス・ブロッサムというのが収められてます。同じロータスだけどもちろん全然違う曲。よっぽど蓮が好きだったのかな。





☆ ☆ ☆




アフロ・キューバン+2アフロ・キューバン+2
(2007/09/26)
ケニー・ドーハム

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【京都】桜 白川疎水周辺。白川尽くしです。+サイケデリック・ファンク

白川疎水道沿いの桜並木の写真を撮りに行ってきました。この前の祇園白川の写真の時は別のところに行くのが本来の目的で、いわばついでに寄り道して撮ってきたようなものでした。だから気分的にはちょっと中途半端というか、この場所の桜の写真を撮った後でも、今年の桜はこれでお終いという気分にはあまりなれなくて、やっぱりどこかへ桜を見に出かけたいなぁという気持ちは残ったままになってました。
京都の桜というとお寺なんかとセットになってる場所が多くて、それはそれで良いんですけど、どうせ撮るならそういう超有名な場所よりもちょっと外した場所の方が面白いだろうと思い、寄り道して祇園白川で写真を撮る前は今年の桜はたとえば宝ヶ池なんかがいいかなぁとか思い浮かべてました。
でも桜のシーズンが始まる少し前に思い浮かべてたのはそういう場所だったんですけど、今回祇園白川のあとで、やっぱりもう一度見にいっておかないと納得できないと思って行ってきたのは、当初色々と考えていた場所ではなくて、結局2つ前の記事に取りあげたのと同じ、白川疎水道になりました。

白川疎水道は以前の記事に書いたように桜並木になってるというのは知っていたものの、一度写真を撮ってきて記事に載せてるし、同じ場所を続けて取り上げるのは新鮮さに欠けるかもしれないと思ってました。でも今回また同じ場所に行けば前回に散歩した冬の情景と春の情景を比較できるということを考えると、そういうのも面白いんじゃないかと思ったんですね。冬の出来事で冬の最中に書いてたら時期的にかなり離れてしまって印象も薄くなってたかもしれないけど、わたしがスローテンポで書いてるのが幸いして、この時の事はつい最近アップしたばかり。印象は新しく、今の情景と比較するにはもってこいの状態にあります。

ということで今なら印象が新しいうちに比較できるような記事が出せると思って、シーズンが始まる前に色々考えていた場所はまた次の機会にするとして、今年の桜の締めは雪のちらつく中を歩いた記憶も生々しい白川疎水沿いの桜ということに決定しました。
桜の記事が二回続くことになりますけど、つきあってもらえたら幸いです。

今回も連れて行ったカメラはコンタックスTVS2。今度はコダックの安いフィルムを詰めていきました。このフィルムはちょっと黄色が強くなる感じなのかなぁ。相変わらず彩度が高い色味で撮れてます。

場所のことなんかは前回の記事で書いてるからあまり追加することもなくて、でもそうなるとこの記事、言葉で書く部分はほとんどなくて撮ってきた写真を並べただけのものになりそうです。

☆ ☆ ☆

冬の時と同じように叡山電鉄に乗って茶山の駅で下車、そこから東に向けて少し歩いていきます。ごく普通の住宅地なんですがそういうところを歩いてるとやがて白川疎水道と出会う場所に出てくることになります。
この茶山からの道と交差してるところにまず結構大きな桜の木が満開の花を咲かせていました。でもこのあとここから南に下っていくわけなんですけど、暫くは桜の木が見当たらない遊歩道が続くことになります。桜並木が現れるのは東鞍馬口通りと交差する辺りから。そこから南は疎水道沿いに桜並木が併走するような形で続いていきます。

桜並木が見え始める
CONTAX TVS2 : Kodak Super Gold 400 : CanoScan 8600F

南に向かって歩いていくと見えてくる光景。
自動車が走ってるところが東鞍馬口通りと交差してるところです。そこから先に桜並木が続いていくのが見えてます。桜並木が見えてくるとなんだかワクワクしてきますよ。

アリス風木のアーチ、春仕様
CONTAX TVS2 : Kodak Super Gold 400

冬の記事の時に木のアーチになっていたところです。場所は桜並木が始まる辺り。東鞍馬口通りからこのアーチをくぐるようにして桜並木の遊歩道に踏み込むことになります。
写真を撮った立ち位置は前回の方がもうちょっと前だったかな。それに前のはモノクロの写真だったから、それだけでもかなり印象が違う感じだと思います。色がついてる分春っぽい華やかさが出てる感じじゃないでしょうか。
でも華やかになった代わりに、ワンポイントだった意味ありげな自転車もないし、アーチの向こうに別世界が広がってるという感じはあまりしなくなったかなぁ。

疎水と桜
CONTAX TVS2 : Kodak Super Gold 400

上のアーチの場所から僅かに南に下ったところ。ほぼ同じ場所といってもいいかもしれません。その辺りから遊歩道を少しはなれて、柵のほうに近づいて撮ってみたものです。
この写真がわたしとしてはこの日に撮ったものの中では一番気に入ったものになってます。
現像されたものを最初に観た時は、随分と黒っぽいという印象で失敗したかなと思いました。でも眺めてるうちにこのくらい影が落ちてコントラストが効いていた方が立体感があるなぁと思い出しました。影が多いわりに桜そのものにとってはそれほど邪魔になる感じでもないし。疎水の水も雰囲気良く写ってます。
影とコントラストはコントロールして出来たというわけでもなく、わたしは桜しか見てなかったので偶然こんな形になったというだけのことだったりします。

駒井邸宅1
CONTAX TVS2 : Kodak Super Gold 400

駒井邸2
CONTAX TVS2 : Kodak Super Gold 400

駒井邸です。前回のと比べて角度とかちょっと凝ってみました。最初のは門柱の丸い灯りに焦点をあわせて背景の駒井邸を少し暈してやろうと試みたんですけど、失敗。望遠側で絞り開放で撮れば暈けると思ったんだけど。もっと明かりに近づくべきだったかな。
邸宅の一般開放は週末のみとなってるから、当然この時も門扉は閉ざされていて中には入れませんでした。

桜並木1
CONTAX TVS2 : Kodak Super Gold 400

桜並木2
CONTAX TVS2 : Kodak Super Gold 400

東鞍馬口通りから入って暫く遊歩道を歩いた辺りから御蔭通りに出会う辺りまでこういう桜並木が続きます。
この日は哲学の道の入口あたりまで歩いたんですけど、あっちのほうは見物客でごった返してたのに、こちらは数人が散歩してるのに時折出会う程度でした。同じ疎水脇の桜並木で間も空けずに繋がってるのに、白川通りを境にして見物客の数がかなり異なってます。哲学の道が白川通りで一応終わってるから、ここも連続してるとは思わないのかな。哲学の道だけでも満腹感が出るほど堪能できるんでしょうけど、ちょっと勿体無いです。

桜並木3
CONTAX TVS2 : Kodak Super Gold 400

春のグラウンド
CONTAX TVS2 : Kodak Super Gold 400

京大グラウンドとそれに面してる辺りの遊歩道の様子。御蔭通りより南側の白川疎水道は片側に木が茂っていたりして様子がちょっと変わってきます。木のベンチも用意されてるから、木陰で休息ということも可能です。

冬の時とほぼ同じ位置からグラウンドを撮ってみました。グラウンドはちょっと嘘っぽい色過ぎるかも。
冬の時と違って結構人が遊んでました。

桜並木4
CONTAX TVS2 : Kodak Super Gold 400

これも冬の時に撮ったのと同じ橋の上からスナップしてみました。使ったカメラが冬のはロケンロー・カメラだったので画角の違いで、向こうに見える鉄の橋の位置が異なって見えてます。コンタックスで撮ったこちらの写真はズームを望遠側にしていたようです。
左の囲いの中に一般人には関係がない疎水の設備がある場所なのか、左側に渡るためのあの橋は扉があって鍵がかけてあるので渡ることは出来ません。向こう側に何かあるのが分かってながら向こうに渡れないというのはわたしにはなんだか想像力を刺激してくるシチュエーションで、囲いの中に入りたくて仕方なくなってました。
これは冬に撮ったのも同じくカラー写真だったので印象は似てるかもしれないけど、桜があるだけでやっぱり春の景色になってますね。

桜の花1
CONTAX TVS2 : Kodak Super Gold 400

桜の花2
CONTAX TVS2 : Kodak Super Gold 400

桜の花を中心にしたスナップを2枚。
花主体となると画面が似たようなものになってくるから、やっぱりなかなか難しいです。もういろんなアクロバティっクな斬新な視点なんか探してみないと駄目なのかとか思い出して。
そのうち祇園白川の時に車夫さんを撮ってたカメラマンみたいに地面に座り込むくらいは当たり前になってくるのかな。

哲学の道の入り口付近
CONTAX TVS2 : Kodak Super Gold 400

哲学の道の入り口付近まで歩いたので、締めくくりに哲学の道のこの時の様子を一枚だけ。
今回は24枚撮りフィルムを詰めていって0から撮り始めて哲学の道に入ったところで全部撮りきりました。時間にしたら2時間ちょっとくらいだったと思います。大体どんな光景が待ってるか予想できたから上手く配分して撮りきれたのかもしれないです。このあとでもっといいものが出てくるかもしれないなんて思って撮り惜しみしたら、余ってきたりしてたかも。
とにかく一日で全部撮り終えてその足で現像に出しにいくつもりでいたので、この辺りは予定通りに進んでくれました。

春の白川疎水道はこんな感じでした。冬の写真と比べてやっぱり春らしい気配が写真にも現れてたでしょうか。


☆ ☆ ☆


Alberto Baldan Bembo - Kamasutra


イタリアの人気作曲家、アルベルト・バルダン・ベンボの曲。ラウンジ系とかモンド系の音楽を作ってる人です。この曲は映画「Codice d'amore orientale」に使われてたもの。といってもどんな映画なのかは良く分かりません。カーマスートラって言う曲のタイトルからイタリアのB級お色気映画の類かと思われるんですけど、さて本当のところはどうなんでしょうか。名前からしてバルダン・ベンボってメジャーな作曲家として頭角を現せそうにないです。
イタリアのラウンジ系統の音楽ってピッチオーニだとかオルトラーニだとかメジャーな作曲家の仕事は映画音楽を中心にしてるのか、大抵サントラのCDとして店頭に並んでる印象あって、肝心の映画を余り目にすることが出来ないから、聴いていてもどこか隔靴掻痒の感じがすることが多いです。

この曲に関してはうさんくささが絶妙に混じり合ってるようなところが凄くかっこいいというか、そういう印象を受けました。
シタールがやっぱりサイケデリックな味付けをしてます。ビートルズの時はシタールが入った曲ってビートルスがやる曲じゃないという印象があってあまり好きじゃなかったんですけど、そういうことを離れて聴いてみると、まさしく幻覚的なイメージが容易に頭の中に出てきそうでなかなか面白いです。サイケデリック・ファンクとでも言いたくなるような曲調も結構聴かせると思います。



【京都】南禅寺の紅葉 +名残の秋に一曲

南禅寺に紅葉の写真を撮りに行ってきました。少し前から紅葉の季節になったら観て来ようと色々考えてはいたものの、どこの紅葉が一番いいのかさっぱり判断がつかずに、意外と見ごろになるのが遅かったのも重なって、決めかねたまま保留状態になってました。ところが気がついてみると悠長なことをやってる間に紅葉の名所はとこもかしこも今が盛りみたいな状態になって、観にいくなら早急に場所を決めなければならないって云う状態になってました。
考えても目移りして決められなかったのが、事態が切迫したからといって急に決められるわけもなく、そこで植物園から園繋がりで動物園に行ったように、動物園から地形繋がりで南禅寺に行くことに急遽決定。南禅寺は毎週所用で出かけてるところから少し寄り道すれば立ち寄ることができる場所でもありました。

南禅寺って京都市の動物園の直ぐ近くにあります。動物園の南の噴水のある場所から東の方向に歩いて行くと南禅寺まで大体3~4分くらい。交通機関は色々あると思いますがわたしは地下鉄に乗ることが多くて、地下鉄だと蹴上の駅で降りてインクラインの線路沿いに少し歩くだけで南禅寺の参道に出られます。実は動物園に写真を撮りに行って、その後蹴上のインクラインから南禅寺辺りは先月の後半くらいに結構歩き回ってました。

先月の末にこの辺りを歩き回ってた頃は観光客が来ていても割とまばらな感じで、ねじりまんぽのあたりもトンネルをくぐる人なんてほとんどいなかったのに、一月経って紅葉のシーズンが到来してる最中に来てみるとやっぱり観光客が激増してました。南禅寺では空にカメラを向けない限り一定数以上の人が必ずフレームに入ってくるし、ねじりまんぽもトンネルをくぐる人がまるで列でも作ってるかのようでした。

南禅寺といってもお寺自体は割りと見慣れてるし、写真にとってもわたしには何だか代わり映えのしない写真になりそうであまり興味を惹かれないところがあります。ここでわたしが好きなのは南禅寺そのものよりも、境内の南東隅に異質な空間を開いてる水路閣のほうです。上を滋賀から京都にかけての運河ともいうべき疎水が流れてる煉瓦製の巨大な陸橋。異国風のデザインに名前のつけ方もかっこいい。テレビドラマでよくロケしてるところでもあります。こんなものを内に含むお寺ってまずないですよ。わたしはこの水路閣の古風とモダンが交じり合ったような感じが結構好き。南禅寺という古くからある場所にモダンで異物な要素を持ち込みながらも奇妙に馴染んでる近代建築物って、京都そのもののあり方のようにも見えます。
写真撮ってる人もここは見逃せないのか結構集まってきて写真とってました。橋脚部のアーチ状に刳られた面は水路閣の一番特徴的な部分なので写真に撮るのも順番待ちのような感じになってました。

動物園側からの参道を歩いてくると南禅寺境内に入る門に突き当たります。この門、南禅寺の中央に向けて設置されてるものとは別に南西の角にあって、調べてみたけど特別な名前は無いみたい。大きく南禅寺と書かれた札がかけられてます。おそらく大概の観光客はここから入っていく形になると思います。

境内は三門と法堂を境内の中央で東西に並べ、その周囲を木々の植わった庭園が囲み、さらにその外側を南禅院などのさまざまな関連した建築物が取り囲んでます。
わたしはこの日はとにかく紅葉が散りきってしまわないうちに写真に収めようと、寄り道感覚で紅葉を観に来ただけだったので、お寺の建築の中までは入らずに三門、法堂の周囲周囲を巡り歩いて紅葉を眺めたり、水路閣周辺の様子を写真に撮っただけでした。
三門は上に上がると京都が一望に見渡せるんですけど、登門するのに料金がいるのでこの日は止め。ちなみにこの三門って石川五右衛門が上に上って「絶景かな絶景かなと」やった門でもあります。

☆ ☆ ☆

南禅寺マップ

南禅寺の門
Nikon COOLPIX P5100

正門だかどうだか分からないですけど、疎水の方から来るとここから境内に入ることになります。

三門前の木々の空間
Nikon COOLPIX P5100

三門前に広がる木々が密集した空間。女の人が一眼構えて熱心にこの方向を眺めてました。傍から見ていて何か凄い被写体でもあるんだろうかってちょっと興味を引かれて、その女性が立ち去った後に同じ場所にわたしも立ってみて同じ方向を向いてカメラを構えてみました。見えた光景がこういうものだったわけなんですが、あの女性一体何に興味を引かれてこちらの方向に熱心にカメラ向けてたんだろうって、謎が解明できるどころか余計に謎めいた感じが残ってしまいました。人一人一人が同じものを見ても全然違うポイントに関心を持ってるって云うことなんでしょうけど、あの女の人、この光景の中の何がよかったんだろう。

三門前
Nikon COOLPIX P5100

三門の手前。紅葉も三門の様子も中途半端な捉え方になってしまいました、

10月下旬の南禅寺三門
Lomo Lc-a+ ; Kodak Ektar 100

ちなみに10月下旬の頃の南禅寺三門の様子です。こちらは法堂側から観たものですけど、観光客はあまりいなかったです。静かでわたしはこういう状態にある南禅寺のほうが好きです。

三門から法堂にかけて
Nikon COOLPIX P5100

三門から法堂へ続く南禅寺の中央部分の木々が立ち並ぶエリアです。この辺りは見てのとおり絢爛豪華。

落葉
Nikon COOLPIX P5100

地面を見れば一面が落葉で紅色になってました。写真撮る時は、下見て歩いてると結構面白いものが見つかるときがあります。あまり気を取られてると危ないですけど。

法堂
Nikon COOLPIX P5100

法堂の手前です。法堂の前に、これは香炉というのか、線香を立てる場所があって、その傍らには有料ですけど線香が用意されてます。参拝客はその線香を買ってここに立てていくわけです。線香の匂いが周囲に散ってこの辺りはまさしくお寺という雰囲気になってます。

クローズアップ!
Nikon COOLPIX P5100

わたしも試しに、よく観る背景暈し写真を撮ってみました。フィルムカメラだと全部撮りきって現像するまで時間がかかるので、紅葉の時期に間に合うように今回は写真の取り扱いが簡単なコンパクト・デジカメを持って出たんですけど、コンデジでもこの程度の写真は撮れるんですね。

紅葉のアップ!
Nikon COOLPIX P5100

文字通りの紅葉。でもこういう撮り方するとどこの写真なんだかさっぱり分からないというか。

水路閣
Nikon COOLPIX P5100

水路閣です。写真を撮る観光客で賑わっていて、誰もが入らないタイミングを取るのが難しいです。これも向こうのほうにちょっとだけ人が入ってしまいました。

水路閣の別アングル
Nikon COOLPIX P5100

別アングルから。こんな建造物がお寺の片隅にあるのはやっぱり凄いです。作る時によく許可したものだと思います。

水路閣と紅葉
Nikon COOLPIX P5100

水路閣の裏側というか、法堂に向いてる面とは逆の側。
南禅寺側から水路閣をくぐって、裏側に回りながら上のほうに続いて水路閣の天辺にまで導いてる石段があるんですけど、その途中から撮った写真です。
自分としてはこの日に撮った写真の中ではこの写真がお気に入りの一枚です。

水路閣からの散歩道
Nikon COOLPIX P5100

水路閣はその天辺、疎水が流れてるところまで上れるようになってますが、水路閣そのものの橋の上は柵が設けてあって先には進めないようになってます。だから上まであがってきた人は水路閣の上に水が流れてる光景を見て降りてしまう人がほとんどだと思います。
でもこの疎水の水路は流れてきた方向へ、水路閣とは逆方向にむけて水路沿いを散策できるようになってるんですね。道は木立の間に消えていって、一見立ち入ってはいけないような雰囲気なんですけど、水路沿いは疎水がやってくる方向に向けて散歩することが出来ます。この道を歩いてる人は本当にほとんどいないんですけど、ここまで来てこれを歩かないのは絶対に勿体無いです。
道の水路側は山、通路側の片側は写真では分かりにくいかもしれませんけど、じつは崖です。柵も無いので結構スリリング。たまに見回ってる人がいるみたいで、落ちた人がいないか調べてるのかもしれません。
この道の先にはインクラインの廃墟があります。南禅寺からは遠ざかってしまいますが、インクラインから南禅寺に戻るのは簡単なので、この疎水を辿る道はこの辺りの散歩には欠かせない場所だと思います。

☆ ☆ ☆

南禅寺って湯豆腐で有名で、門前にも湯豆腐を食べさせてくれる店が軒を連ねてます。今時分の季節はちょうど良いんですけど、写真を撮って帰り際、食事しようとする観光客が集まってるそういう店の前を通っていて、真夏でもやっぱり湯豆腐食べるんだろうかって思ったりしました。
観光できたら名物だからぜひとも食べて帰らないと気がすまないところですけど、真夏に湯豆腐ってほとんど苦行みたいです。

☆ ☆ ☆

Jo Stafford - September in the Rain


ジョー・スタッフォードの歌を一曲。ケニー・ドーハム同様、季節にちなんで「September In The Rain」

と云いたい所ですけど、秋にした恋を思い出してる曲で本当は春の歌なんですよね。でも細かいことは気にしないでおきます。

Harry Warren作曲の曲で37年の映画「Melody for Two」に使われてるんですが、もとはブロードウェイ・ミュージカルの曲らしいです。James Meltonという男性歌手が歌ってヒット。名演として知られてるのは演奏だったらジョージ・シアリングのもの、歌だったら、サラ・ボーンのものが有名です。わたしはSue Raneyが歌ったのが割りと馴染んでます。
このジョー・スタッフォードのバージョンの雰囲気が結構好き。真ん中あたりのスキャットと楽器がユニゾンで重なっていくところとかその後に続くオーケストラの部分とか。

☆ ☆ ☆



【京都】MORRIS CAFEでひと休み

12日の水曜日、BALのジュンク堂へ本を漁りに行った折、BAL8階にあるMORRIS CAFEで休憩がてらランチを食べてきました。
BALというのは河原町の三条を少し下ったところにあるファッションビルのこと。京都に出来たのはおそらく70年代の頃だと思います。以前に美術手帳の60年代から70年代にかけてのバックナンバーを古書で集めてたことがあって、その時にその頃に出た美術手帳のニュース欄で京都にBALという新しいファッションビルが出来たという記事を読んだような記憶があるんですね。
80年代中期頃にデザイナーズブランドが興隆を極めていた時はここも全館デザイナーズブランドで占められてるような状態でした。でもデザイナーズブランドが下火になるにつれ色々と様相を変化させながら、今は少数のファッションブランドや雑貨店以外はジュンク堂書店と無印良品が各フロアの大半を占めるようなビルになってます。
わたしは本を買う時は大型書店だと京都駅前の百貨店プラッツに旭屋書店が入った頃からそこで買うことが多かったので、しばらく河原町辺りで本を買うことは無かったんですが、2007年にプラッツが閉店して以降、BALにジュンク堂が入ってからは本を買うのはほとんどここになってしまってます。河原町周辺は古書店も含めて駸々堂書店、京都書院、オーム社、海南堂など昔は結構本屋が多かったのに、今ではどこもかしこも潰れてしまって全滅状態、残ってる大型書店はこのBALのジュンク堂と以前は松竹座で今はムービックス京都の別館に入ってる紀伊国屋書店くらいといってもいいような状況になってます。文化都市を名乗るにはいささか情けない状態ですね。

ウサギが誘う街角

BALのジュンク堂は5階から8階の4フロアに、最近になって地下一階に増設されたコミック専門フロアをあわせて、BALの中では5階分を占有しています。
BALに来た時に何か食事をする場合は以前は大抵地下2階のMuji Mealだったんですが、ここはちょっと飽きてきて食事自体をBALで済ますって云うことはこの何年かはやってませんでした。
それで12日の水曜日、本棚眺めすぎて疲れてきたからなのか、お腹も減ってきたしちょっと休憩したくなって久しぶりにBALで何か食べようという気になりました。Mujiは飽きてるので今回はパス。8階最上階のジュンク堂のフロアにMORRIS CAFEという食事も出来るところがあるのでそこで休憩することにしました。

8階は美術書やアート関連の書籍が置いてあるフロア。5階の文庫なんかが置いてあるフロアと違ってここはそれほどお客さんが上がってきません。MORRIS CAFEはこういう割と静かなフロアの一角にあります。大きなガラス窓でジュンク堂から仕切られていて、外から眺めてるとアンティーク風のテーブルが空間を置いてゆったりと配置されている、お洒落で本屋に相応しいような広い静かな空間の店という感じ。

MORRIS CAFE 01

外からも写真を撮ってくれば良かったんですけど、すっかり忘れてました。これは店内に入って中から見渡したもの。ガラス窓の向こうに見えるのがジュンク堂8階の美術書のフロアです。
外に面した窓からの採光も良く、アンティークのテーブルは広々としてなかなか居心地がいいです。本屋にあるせいなのか広いテーブルは本を置くにも適してるようで、ちょっと図書館風に見えないこともないかな。

MORRIS CAFE 02

アンティーク家具で同じのが揃えられなかったということなのか、置いてあるものは統一されてません。外から見てる分にはそうも思わなかったんですけど、中で座ってから見渡してみるとちょっと雑然としてます。

ランチメニューにはパスタが他のサンドイッチなんかよりもそれだけの場所を取って大きく書いてあったのでこれがメインのランチだと思って注文してみることにしました。本日のパスタとして書いてあった2種類のうち、高菜とベーコンの和風というのを選択。パンとサラダとドリンクがついてるセットと、さらにそこへスープが追加されてるセットの2種類があって、わたしが選んだのはスープもついてるほうです。スープはクラムチャウダーなど3種類から選べてわたしはこの日はミネストローネを選択しました。
ドリンクはジャスミンティーとかお茶の系統もあったけど本を目の前にするような場所ではコーヒーっていうイメージがわたしにはあるので、ここは嗜好に沿ってコーヒーを注文してます。ジャスミンティーってトイレの芳香剤を思い浮かべるんですけどそういうのってわたしだけかな。


パスタランチ 01

一度に全部運んでくるんじゃなくて、まずサラダとパンから持ってくるんですね。パンは胡麻が練りこんである香ばしいもの、サラダは、これは何のドレッシングなのかなぁ。黄色い粒子感のあるものがかかってました。

パスタランチ 02

こういうのってちびちび食べながら次の料理がやってくるのを待つのか、そんなことお構いなしに食べ終えて次のものを手持ち無沙汰に待つのがいいのか良く分からないです。
今回はとりあえずちびちびと食べてみました。しばらくしたらスープが到着です。

スープの後はこちらが食べてる進行状況を見ているのか、パンを食べ終えた頃にメインのパスタがやってきました。

パスタランチ 03

やってきたパスタは見た目あまり分量はなさそうでしたけど食べてみると実際はそれなりに量はありました。高菜とベーコンのパスタとは云うものの、しめじとベーコンが味の中心になってるような感じ。高菜は味のアクセント的なものだった印象です。ベーコンは京都産と云うことらしくて、厚手に切ったものが入ってます。あっさり目の和風味でも、基本はそれなりに脂気のある料理なので割りと満腹感はありました。
パスタを食べ終わると最後にドリンク、コーヒーが運ばれてきます。本当はアイスコーヒーを頼んだんだけど、運ばれてきたのはホット・コーヒーでした。まぁどちらでもいいといえばいいのでここは運ばれてきたホット・コーヒーを大人しくを受け入れることにします。

美味しいコーヒー


写真に撮るほどものでもなかったかな(笑)
見た目は唯のコーヒーです。
でもこのコーヒー、これがまたちょっと予想外に美味しかったんですね。味はしっかり出てるし香りはいいし、薄味のコーヒーがアメリカンなら、これはアフリカンと云ったところです。
さらに苦味系のコーヒーで、わたしは酸味がきついコーヒーは苦手なので、この選択でも好みに一致してました。

これで料金は1180円でした。スープがつかないセットだと980円で、値段的にはまずは妥当なところでしょうか。わたしはレギュラーで注文しましたけど、パスタの量は追加料金で大盛りに出来るようでした。カフェの食事ってなんか中途半端なものが出てきそうな気もするので、きっちりと食事した感じで終えられたのは割と満足感を覚えて良かったです。

店の中には画集とか本も結構置いてあったので、そういうのを見ながらコーヒーで散々粘った後、MORRIS CAFEを後にします。

☆ ☆ ☆

その後ジュンク堂のなかをうろついていて、洋書のコーナーでアリスの特集をしてるのを発見。特集コーナーでは外国で発売されてるアリスの本を集めてました。

アリス特集

この写真の一番上の棚の中央、明るい水色のアリスは不思議の国と鏡の国の2冊が箱に入ったもので、ページを開いてみるとテニエルの挿絵がカラーで入ってるというものでした。これははっきり云って欲しいです。わたしが持ってるのは金子國義の挿絵になってる新潮文庫版。テニエルのは昔持ってたけど今はどこに云ってしまったか分からないという状態です。この2冊セットの箱入りは、箱に入ってるというのも良いんですけど、大きくて色のついた挿絵というのが値打ちありそうに思えました。

BALを出てからいつも行く中古CD、DVDショップを覗いてこようと、六角通りを烏丸の方向に西へ歩いてると、とある場所でこちらを窺うウサギと遭遇。アリスの本を欲しいなぁと思いながら眺めていた直後だったので、何だかわたしの周囲で不思議の国に通じる回路でも開き始めてるんだろうかと、そんな期待感がちょっとだけ生まれました。ウサギさん、どこかに連れて行ってくれないかなぁ。

不思議の国への入り口

☆ ☆ ☆

この日ジュンク堂で買った本はこれです。「憂鬱と官能を教えた学校」

難しそうな本


所々拾い読みしてみると、コードネームとかそのまま出てきて、なんか小難しいことが一杯書いてあります。講演というか講義録をそのまま本にしたような形で、書いてある文章も講壇の上で講師が話してるような話し口調で書いてあります。おそらく講義の時には実際に楽器でコードを鳴らして講義を進めていったんだろうと思いますけど、これは家にあるキーボードで一々音を確かめながら読んでいく必要があるのかな。というより買っては見たものの最後まで読めるかどうか自信がなくなってきました。

なぜこの本に興味が出たかというとポップミュージックの分析じゃなくて、ポップミュージックを通して「バークリー・メソッド」の正体を明らかにしていくって言う、ちょっとひねくれた発想が面白そうだったこともあるんですが、講義を行った一人、菊池成孔のCD、「記憶喪失学」を持ってるというのも大きな理由でした。

デッサンが狂ってるジャケット

若干デッサンが狂ってるような気がしないでもないけどジャケットの絵が良いですね。内容の方はそのうちブログで取り上げてみようかな。

☆ ☆ ☆

ということで、実は今日はわたしの誕生日。また一つ歳をとってしまった。
京都では5月15日は葵祭の日なんですね。わたしはこのお祭りが来るたびに歳を重ねてしまうわけで、最近は葵祭に対してはちょっと複雑な感情を抱いてます。




京都BAL


☆ ☆ ☆

最後まで読んでいただき、有難うございました。


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