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【写真】冬枯れの雨の日に、大川沿いを散策する。桜ノ宮ー源八橋 / コピー・ライカ機 Leotax F について 【音楽】 No Problem

あれからもう一年と、早いものでフジフィルム主催の誰でも参加できる写真展覧会の応募期限が近づいてきたということで、今年もまた参加してみることにして、とはいうもののどの写真にしようか迷い、期限ギリギリまで粘ったあげく、半ばなんでもいいやと追い立てられるような形で先日出してきました。去年は普通に郵送で送ったんですが、今年はフォトハウスKのほうから出してもらうことにして、フォトハウスKのほうで提出する写真の引き伸ばしを頼むと展覧会の応募台紙、これに貼った写真が台紙ごと会場に飾られることになって、台紙の代金は参加費もかねているんですが、これが元は500円のところを300円とちょっと値引きしてくれた上に、店のほうから一括して応募、会期終了後の写真の返還も引き受けてくれるそうなので、この形で頼むことにしました。
去年と同じ特定のテーマなしで、しかも写真にこめた思いを書けという悩ましい規定があり、去年はここで何を書こうか結構悩んだりしたんだけど、どちらにしても猫と子供の写真には確実に負けるので、今年はあまり深く考えないように、適当に流しておきました。去年の展示を見た限りではみんな結構好き放題適当に書いていたみたいだし、大体普段からこんなこと考えて壁の模様の写真とか撮ってないから。
テーマがないというのもかえって選びにくいというか、テーマを設定しない自由な写真というテーマがありそうに思い出すと、これまた特定方向に妙な拘りがありそうな写真は場違いのように思えて選べなくなってしまったりします。
自由の祭典のようなロックコンサートで、自由なんだからスーツ着て行ってもいいはずなのに、そういう格好だとどうも場違いな感じになってしまうのと同じようなことかな。ちょっと違うか。

でも去年の展示を見た限りではロックコンサートにスーツ着てきてるような写真も一杯あったから、そんなことまるで気にしなくてもいいのは頭ではわかってるんですけどね。



☆ ☆ ☆


と近況報告を最初に入れた後は、季節はもう初夏を通り越しそうな勢いで暑くなってきているにもかかわらず、まだ冬のある日に大川沿いで写真を撮っていたお話の続きとなります。季節はずれになろうがどうしようが、まだ続きます。

4回目にここに来た時、これは理由があってよく覚えてるんですけど、いかにも雨が降りそうな日でした。この時使っていたカメラに装填してあったフィルムの残り枚数は大体10枚に満たないくらい。6~7枚くらいだったかな。この状態だとスペアのフィルムも持って出て、途中でフィルム交換ということになるんですけど、この日は本当に雨が降りそうな雲行きで、さてフィルムを撮り終わったからといって雨の中でフィルムの入れ替えなんかやるだろうかという思いがありました。
それで撮らないときは1~2枚しか撮らないときもあるし、雨降り用の防水カメラを持って出ても雨の勢いに気おされて撮る気分が減退していくのを体感してもいたから、結局雨が降り出す頃に残り枚数を撮りきるくらいで撮影も終了すればいいだろうと判断して、予備のフィルムを持たずに出かけました。

前回大川左岸を桜ノ宮まで歩き、帰りは途中で京阪国道を歩いて右岸に移動、そこから天満橋まで造幣局の側を歩いて帰るという道筋を取って、桜ノ宮までの区域ではベッヒャー夫妻風の螺旋階段塔があった位置から環状線の桜ノ宮駅、そのすぐ傍の源八橋までの大川右岸が未踏地域として残ることになりました。
ということでこの4回目の大川訪問の時は桜ノ宮までの区域を全部見ていくために天満橋から大川右岸を螺旋階段塔のあった場所をさらに越えて源八橋まで歩いてみることにしました。
この区域の右岸を歩いてみて知ったのはちょうど帝国ホテルが大川に面している区域で、右岸左岸両方あわせても桜ノ宮までの大川沿いの散策路としては一番豪華な公園作りがしてあったことでした。




帝国ホテルへ向かう道で




ホテルの庭の花01




源八橋01

帝国ホテルの一角。
帝国ホテルの大川縁の散策路にあった植物。ちなみに赤い葉の植物でした。モノクロだとわからないんですよね。
ちなみに赤と緑なんていう隣り合ってると目がちかちかするような色も明度が同じならモノクロだと区別がつかないです。まったく明度が同じ赤と緑のストライプの洋服はモノクロで撮ると無地の洋服になってしまうかも。
一番下が源八橋。橋そのものはなんていうことのない橋なんだけど…。



前回源八橋までやってきた時に、古臭い名前の割りに妙にフォトジェニックな場所だった記憶があり、でもその日のものを即日で現像してみれば無粋な自動車が写りこんでいたりして、そういう写真は同じ位置からもう一度撮り直してみようかと思ってたんですね。だからこの時も帝国ホテルの大川側の庭園の中を初めて通りながら、ここも撮れるところが結構ありそうだなぁと思いながらも、あまり長居もせずに源八橋のほうに向かいました。
再度訪れても源八橋の周辺はやっぱりわたしにとっては奇妙に撮り甲斐がある場所のように見え、結局10枚にも満たなかったこの日のフィルムの残り枚数は、思いのほか早くに撮り終えてしまうこととなりました。
雨も結局降りそうにない天気になってきていたし、フィルム交換も余裕でできる状態だったのに、肝心のフィルムを持ってきていないから、あっという間に撮り終えてしまった後、さてこれからどうしようかと思案することになります。

何もしなければフィルムを撮り終えたカメラでこれ以上何をすることもできないわけで、帰る以外になかったわけですけど、せっかく来てまだ撮れそうな天候と時間帯のなかにいるのに帰るのももったいなく思い、目の前にあった環状線の桜ノ宮駅から二つ目の駅である大阪駅がちょうど梅田にあたる場所で駅の隣にはヨドバシカメラもあったから、そうだ、ヨドバシカメラまで行って続きのフィルムを買ってこようと思い立ち、環状線で梅田まで出かけて見ることにしました。
ヨドバシカメラへはそんなに時間をかけずに到着して、この日使っていたイルフォードのモノクロフィルム、XP2を買おうと売り場に行ったら、イルフォードのフィルムは各種売っていたのに、目当てのXP2が見当たりませんでした。後日XP2はなぜかカウンターの中においてあるのを知ったんですけど、売り場の棚においてなかったものだからこの日は買おうと思っていたフィルムがない!って思い込んでしまいました。カラーでも他のモノクロでも何でもいいから買って撮影を続ければよかったんですけど、この日はどうしてもイルフォードのXP2で撮りたかったので、その後このヨドバシで買えなかったフィルムを求めて、梅田のカメラ屋をはしごすることになります。
結果からいうと目的のフィルムはどこにも売ってなくて、こういう時は運が悪いというのか梅田には結構中古カメラ屋なんかが多く、必然的にフィルムを探し回る場所も多くなって、結局フィルムを捜し歩いてるうちに撮影できる時間が予想外に少なくなってくるということになりました。
途中でフィルム探しが無理と思えてくると、カメラ屋めぐりの目的はフィルム探しはそっちのけで、中古カメラの品定めに変化してしまい、この日は桜ノ宮に戻ることもせずにそのまま帰宅してしまいました。

この日のことはこんなことがあったから割とよく覚えていました。
でも一連の大川行で日にちが区別できるのはこの日が最後くらいで、あとはどの日にどういう撮影をしたかというのは区別できるような形で記憶には残らなくなってきます。
なにも記憶力が限界にきたからというわけでもなくて、この後大川に撮影に来るのは天満橋経由だと桜ノ宮まで来るのに川の半分を歩いてこなければならないから、京橋で環状線に乗りかえて桜ノ宮で降りるというルートに変更することになり、桜ノ宮を拠点にしてみると撮影したくなる場所は駅の周辺に散らばっているような形になって、その日の気分でさらに北へ歩いていったり帝国ホテルのほうに行ってみたりと、気ままに歩き回るような散策に変わっていったからでした。

☆ ☆ ☆

ということで、写真は撮影行の記録というよりは、この辺りからは場所の記憶のようなまとめ方になると思います。

まずは中古カメラ品定めに変化してしまった4回目の訪問以降の撮影行で、桜ノ宮駅を降りてから、あまり遠くまで行かない範囲で、とにかくいろいろと写真を撮っていた源八橋の周辺から。


源八橋周辺01




源八橋周辺02




源八橋08




源八橋周辺04




源八橋周辺05




源八橋周辺06




先に書いたように橋そのものは特に意匠を凝らしてるわけでもなくて、若干見栄えはいいけどごくありふれた橋という印象なんだけど、ありきたりな割には周囲の空間はどことなく密度が異なってる印象を持つような場所でした。1枚目と3枚目は川岸のビルが直接、間接的に画面に入り込んでるのに、こういう端から興味の対象外とでも言うようなありきたりのビルが画面に入ってもそれほど雰囲気を壊さないところがあるし、桜の季節の頃から橋の真下の川縁でなにやら工事が始まったので撮らなかったけど、近接する環状線の鉄橋さえもどこか風情のある印象にしてしまう何かがこの場所にあるような感じでした。
ちなみに源八橋と何度も書きながら橋そのものはほとんど撮らなかったこの橋、この古風な名前は昔ここにあった渡し舟「源八渡」にちなんで名づけられたものだとか。右岸の少し下流、帝国ホテルのある大阪アメニティ・パークと左岸側にある環状線桜ノ宮駅を結んで通勤客が通る、橋としては特に観光目的のものでもない普通の橋のようでした。
位置的には最初に大川にやってきた天満橋の辺りから大川の起点となる毛馬閘門までのちょうど中間地点くらいにある橋で、この橋を境に上流と下流の様子は激変することになります。

3枚目のは橋のようなものがなんだったのか未だに疑問。大きさからいうと人が渡れるような規模でもなかったし、水量によっては水没してるときもあったから、これ、なにの残骸なんだろう?
三角錐で空中たかくに聳え立っているメタセコイアの並木。大川は桜とメタセコイアの二重の並木道です。この木は確実にこの場所の雰囲気作りの役に立ってます。
4枚目は鏡面のような水面を撮りたかった写真。実は4回目の時にフィルムがなくなった後でここをユリカモメが大量に埋め尽くしている光景を見てフィルムを持ってきたら絶対撮ろうと思ってたのに、フィルムがある時は全然集まってくれなかったです。
犬が写ってるのは、手前の犬の顔あたりの形が妙だけど、これ、フリスビーを銜えてるからこんな長い顔のようにもみえることになってます。シャッターチャンスに弱いアンチ・ドラマチックな撮り手の本領発揮というか、犬はどうにも思うような位置には来てくれなかったです。
反面動かないものは臆するところがないというか、大川はボートの練習をしてる人がコンスタントにいて、桜ノ宮からちょっと下流に下がったところには、おそらくどこかの大学のボート部あたりだと思うけど、川岸にこういうボート置き場を設営してるところがあります。この日は割と調子がよかったのか、こんな被写体でもそれなりに絵的に収まってるようにみえてシャッターを切ってみたものなんですけど、さてそれなりの絵になったかどうか。
ボートは割りと定期的に川面をわたってきて、橋の上から写真も撮ってみたけど、まるでうまく画面の中に納まらなかったです。


といった感じで大川探査行のお話はこの先帝国ホテルに寄り道した後で源八橋を越え、様子が一変するのに驚きながらも、上流の毛馬の閘門へ向けてさらに次回へと続くこととなります。









Leotax F +Ernst Leitz Summitar 50mm/f2
Olympus μ 140


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ちょっとばかり追加で、新しいPCとカメラのお話。

新しいPCを使い出して半月ほど経ちました。こんなことをゆるゆると書いているうちに季節は早くも梅雨に入ってしまうという劇的な変化も生じさせています。寒い気温が長く続いた後いきなり夏のような暑さの日が何日か猛威をふるってあっというまにいくらなんでもちょっと早すぎるんじゃないかと思うほどの迅速な入梅。春や初夏のさわやかな気候はあまり体験できなかったのでちょっと残念だったりします。生まれ月が5月なので晩春から初夏にかけては体調的な面でも一番いい季節となるところだったんだけど。

さて、使い始めたPCなんですけど、10年使い続けたワークステーションと比べると、相手が古豪のワークステーションといえども、10年を経た進化の後ではそんな古臭いものはまるで相手にならないといいたげなほど快適な環境になってます。
なまじ高価なワークステーションを買ったために元を取らないともったいないという気分もあって、ずっと使い続けていたし、またワークステーションのほうもさすがに費用をかけただけのことはあったのか10年の間に壊れたのは一度だけどいう頑丈さだったから、ずっと使い続けることを可能にしていた面もあって、そんなこんなの理由で気づかないうちの10年使用となったわけですけど、使ってる間はかったるいなぁと思いながらもそれなりに慣れていた使い心地も、新しいPCを体験すると、まるで快適さは別世界という感じになっていました。新しいPCを使ってみた気分はキーボードの感触に苛立つ以外は、よくもまぁ10年前の物を今まで使い続けていたものだと自分ながらも感心するようなものでした。こんなに快適で安定した感じがするものならもっと早く買い換えて置けばよかった。
PCは高価なものを長期間使うというよりも手軽な形で最新のものに適時変えていくほうが使い勝手はいいと認識が変わりました。

OSはウィンドウズ7のもので、料金を上乗せすれば「8」に換装できたけど、OSに対しては他のグラフィックソフトに向けるような関心はほとんどなかったから、基本セットのまま買ってます。ある程度枯れたOSのほうが安定してるし。
それにしてもサービスパックを複数回導入して安定しだした頃に新しい不安定なOSに切り替えるなんていうのは商売的には正解なのかもしれないけど、ものの有りようとしては馬鹿げてるといってもいいんじゃないかと思います。
10年ワークステーションのXPとは若干見た目が変わっていたから最初は戸惑ったけど、XP仕様にできるところはそういう風に設定してXPっぽくした使用感覚で使ってると特に苛立つところもない感じ。XP的な使い勝手にできる部分限定で「7」を使ってるだけで、「7」独自のものを併用するとまた印象は変わるのかもしれないけど、仕様変更でXPで使っていたHDDが「7」では編集できなくなるというトラブルはあったものの、「7」で使えるようにするやり方はネットで調べたら出てきたし、今のところは使い勝手で問題になるようなところもないです。

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大川へ写真を撮りに行っていた冬の終わりから春にかけてよく使っていたカメラLeotax Fってこういうカメラです。

leotaxf

初期のライカであるバルナック・ライカの日本製コピー。柴又にあった今は無き昭和光学精機という会社が作ったカメラで、誕生したのが昭和29年ということだから、ゆうに半世紀以上前のカメラということになります。
電池を使わないで写真が撮れる完全機械式のカメラ。精緻なメカニズムで組み上げられてる一方で、トイカメラのように、写真を撮るという行為が付加価値的なものを取り払ってみれば実はきわめてシンプルな仕組みで成り立ってるのを実感できるようなカメラでもあります。
設計者オスカー・バルナックの名前を冠してバルナック・ライカと呼ばれるこの頃のライカのカメラは、ライツ社が戦後の賠償の関係で特許権を剥奪されてしまったせいで、世界中でコピー機が作られることになりました。昭和光学精機は戦前からパテントをうまく回避する工夫でライカタイプのカメラを作っていたようだけど、戦後はそういう回避策をとる必要もなくなって、これもそういう状況の下で世に出てきたコピー・ライカのひとつになるのかもしれません。大きさがちょっと大きくなってるだけで本当にオリジナルとそっくり。操作も独特のフィルム装填から(バルナック・ライカはフィルムをカメラにセットする時にフィルムの一部をはさみで切り取ります)、撮影終了のフィルム巻き戻しまで、オリジナルのバルナックライカの取扱説明書で間に合うくらいに似ています。
ただ、コピー機といえども、頑丈で仕上げは美しく、きわめて丁寧に作ってあって、それは今でも昨日作った製品のようにスムーズに動くことでもわかるんですけど、欧米では本家よりもマニアックな人気がある機種というような扱いなんだそうです。
この機体は前オーナーがかなり大切に使っていたようで、全体の質感もまるで痛んでるところがなく、50年以上前の道具を持ってるという古臭い感触はほとんどない状態でした。
リサイクルショップであまり痛んでない革ケースもついて確か7000円程度だったかな、ともかく1万円にも満たない安価で出ていたから、いかにも昔のカメラというレトロで金属質感たっぷりの外観が好きだったのと、ライカのLマウントレンズ用のボディがひとつ欲しかったという理由で買ってみました。本当に状態は良好で、この状態になるまで手入れしていたものを普通手放すかなと思うと、ひょっとしたらどこかの年寄りが亡くなって、その遺品を遺族が整理して二束三文で処分したものかもと想像するところもあります。
わたしは基本的には本屋で積んである本があれば必ず5冊くらい下のものを取り出してくるタイプの人間なんですけど、DVDとかこういうカメラの類は、どこの誰が使っていたのか分からないといったことが、なぜかそれほど気にならないんですよね。中古でしか入手できないとなると開き直ってしまう性格なのか、その辺の区分けを感覚的にどう処理してるのか自分でもよくわからないです。

つけているレンズは、ボディのコピーライカとは違って、これは正真正銘のライカのもの。ズミタールという名前のレンズで、ライカ・レンズの中でも一二を争うほど人気のないレンズだったからわたしにもなんとか手が出せました。一度使ってみたかったんですよね、ライカというブランドがついたレンズ。
ただレンズの味がどうのこうの、空気まで写しこんでるだとかなんだとかというのはわたしにはよくわからなかったので、猫に小判だったのかもしれないけど。
ついでになぜ一番人気がないのかもよく分からなかったです。よく写るレンズなのに。メタセコイアの街路灯なんか結構立体的に写ってます。



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Duke Jordan - No Problem


ジェラール・フィリップ主演で、なんとボリス・ヴィアンも俳優として登場しているロジェ・ヴァディム監督の映画「危険な関係」のテーマです。映画での演奏はアート・ブレイキーとジャズ・メッセンジャースの結構ファンキーな演奏で、デューク・ジョーダンは表には立たなかったんだけど、これは作曲者自身の演奏となってます。

昔ジャズ喫茶でかかってるのを聴いて一回で気に入ってLPを買いに走った曲。
LPのジャケット写真も白い雪景色を背景にしてリリカルな印象のもので好きなデザインでした。間違いはしないけど、オーネット・コールマンのレコードにも似たような雰囲気の雪景色ジャケットがあります。
でもレコードのほうは聴いた感じではこの一曲だけが好きで後はあまり印象に残らなかった記憶があります。
のちにCDでこの曲手元においておきたいなぁと思った時に、同じCDを買うのも芸がないかと「Si-Joya」と別タイトルがつけられてはいるけどこれと同じ曲が収録されている別のCD「フライト・トゥ・ジョーダン」というブルーノートから出ていたものを買いました。でもせっかく買ったのにこちらはホーンがはいったせいなのかどちらかというとファンキーよりの、作曲者自身の演奏なのにいいところを全部スポイルしたような演奏でがっかりしたことがあります。一曲しか記憶に残らない、しかも作曲者がその曲の微妙なよさをあまり理解していないということで、結果としてこの一曲は好きだけどそれ以降デューク・ジョーダンはほとんど聴かないピアニストになってしまいました。
今他の曲を聴くと印象も変わってくるかもしれないです。




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フライト・トゥ・デンマーク(紙ジャケット仕様)フライト・トゥ・デンマーク(紙ジャケット仕様)
(2013/06/26)
デューク・ジョーダン

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【展覧会】KYOTO GRAPHIE 開催中 【写真】冬枯れの雨の日に、大川沿いを散策する。天神橋から桜ノ宮へ 【音楽】 Keep Your Hands off my Baby / The Beatles

情報としては既に始まっているイベントで若干遅れているんですが、現在京都市内の複数の場所を拠点にして国際写真フェスティバルというタイトルで大掛かりな写真の展覧会が開催されています。

KG1

最近美術系の本を扱ってる店でフライヤーを見て、フェスティバルの存在を知りました。全体の案内をしているフライヤーは大きなポスターを折りたたんだような形状で全体をスキャンするのは不可能だったんですけど、それによると、メインとなるのが、細江英光の展示をしている高台寺塔頭 圓徳院や京都文化博物館別館でのマリック・シディベの展覧会など、12会場、その他市内中心部にある画廊などを多数利用してのサテライト・イベントが開催中ということです。全展覧会場の詳細をここに記すのは無理だけど、期間は5月の6日までということなので、興味があれば足を運んでみるのも一興かと思います。

京都でこういうイベントがあると大抵映画関連だったりするので、写真がテーマというのはちょっと珍しい感じがします。というか写真そのものが、興味がある人間だけじゃなくてこういう一般を対象にしたような形で巨大なイベントのテーマになるほどのものだったのかと若干意外な感触を持ちました。たしかにわたしを含めて街中にカメラ持って出かけてる人は増えているようには思うけど、フェスティバルが形になるほど人が集まってるのかなぁ。


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大川沿いを歩いた時の記録。この前の桜編を挟んで、時間としては遡った続きとなります。

大川へ赴いた2回目。
雨に煙る世界を撮りたくて、京阪の車窓から見える川を思い出し、思いつきでその川、旧淀川である大川に降り立って写真を撮った日、その時は結局最後は雨に気合負けして早々に終了となったんですが、その数日後に再び川縁の写真を撮るべく大川にやってくることになりました。
最初の時は上流に向かって歩き、その時は桜だとは気づかなかった並木道が遠くまで続いているのを見て、次はこの並木の先に何があるか見てこようと思っていたものの、2回目に天満橋で降りた時は結局上流には向かわずに下流の方向へと歩いていってました。予定変更に特に理由はなかったんだけど、一応両方向に様子見してどちら側を重点的に歩き回るか決めようと思っていたのかもしれません。

下流の方向も大体似たような感じの散策路が続いていたりして、巨大な椰子の木が生えてると、でかい!と思ってシャッター切ったりたけど、あまり代わり映えがしないなぁと思い始めると次第にシャッターを押すこともなくなってました。

やがて大川の真ん中に中州のような島が現れてその島の両側へと川が二分されてるところに出てきます。中州には川の両側から橋が架かり、橋の中央で中洲に降りる巨大な螺旋スロープが設置されているというかなり目を引く部分がありました。
そして、ここまで右岸を歩いて下っていったのが、左岸の方向を見ると川を挟んでかっこいい煉瓦造りのレトロビルを発見。あまり被写体がないなぁと思って歩いていたので、さっそくシャッターをきってみることにしました。

レトロビルが見える

螺旋スロープが設置されていた橋、標識によると天神橋を渡って中洲に降り、螺旋のスロープに近づいてみました。
天満橋のほうから見ているときは目新しいものに見えたけど、下流側から眺めた時に、ここには来た事があると気づくことになります。中之島の大阪市中央公会堂から上流に向けて、一昨年の暮れにイルミネーションのイベントがあったときにこの辺りまでやってきてるって。要するにこの中州は中之島であって、そう思って下流の方向を眺めると遠くによく知った大阪市中央公会堂が見えていました。
考えてみれば京阪の淀屋橋に向かう路線と並走して流れている川だから淀屋橋で下りて上流に向かった川と同じ川だというのは容易に想像がつくことでした。あまり全体像を考えないで歩き回ってるから、こういう風に点でしか捉えていない場所がほとんどだったりして、その点が思わない時に線で結びつく瞬間はなんだか凄い秘密に出あって解き明かしたような、世界が秘めていた秘密の一つに光明が当たったような気分になってなかなか面白いです。

螺旋スロープ

天神橋からおそらく自転車などで中之島へ降りてくるためのスロープ。スロープの真下まで近づいてかっこいい自転車乗りでも降りてこないかなとカメラ構えて待っていたんですけど、冴えないおじさんが降りてくるだけだったのでそういう写真を撮るのは断念してしまいました。
レンジファインダータイプのカメラで撮ってるために、中央に収まらなくて若干トリミングしています。
トリミングとか後で加工を加えるやり方は色々と考える事があるものなんですけど、ホンマタカシの著作でロバート・フランクのネガのコンタクト・シートを見た時、縦横構図違いで同一被写体を何枚も撮るというようなお仕事撮りの方法を忠実に実行していたり、完成作はトリミングしてるものもあるというのを知ったというようなことが書いてあったのを読んで、ちょっと気楽に考えても良いのかなと思ったことがあります。あまりトリミング等を当たり前の行為と考えすぎて、後で適当に加工できるから撮る時は加工しやすいように全体を撮るだけでいいなんてことになったらおそらく写真の上達なんて望めないと思うから、そこまでラフに考えたりはしないけど、プロでさえも何パターンも撮ったりしているんだから、アマチュアが一発撮りで完成作を撮れるというのも考えて見るとかなり傲慢な思考じゃないかとも思います。

もう一つ。以前に手前が暗がりで向こう側に明るい世界があるようなシーンが好きといったようなことを書いたけど、ああいうことは書かなければよかったと。だってこういうことを云ってしまってるとこの写真もあの類の写真ねと簡単に腑に落ちてそれでお終いって云うところが出てくるわけだから。種明かししてるマジックみたいな感じが出てくるんですよね。

レトロ煉瓦ビル


蔦模様

後で調べてみたら、この対岸に見えたレトロな煉瓦ビル、元は大林組のビルなんだそうで、今はレストランになっているらしいけどビルの一部を大林組の歴史博物館として平日のみ一般に開放しているそうです。この写真を撮った時はなぜか川縁の裏側しか興味が行かずに表側に回り込むことさえしなかったんだけど、機会があればビルの中もちょっと見に行ってみたいなぁと思いました。レストランはル ポン ド シエルという高級フランス料理の店で、入るには敷居が高すぎます。
ビルの裏面の蔦模様を撮った場所は裏寂れた中庭のような風情で、わたしには趣があったけど、レストランから見るにしてはちょっと場違い感がありました。この寂れた小さな中庭もなぜか写真撮るのを失念して、壁の模様を撮っただけで満足してしまい、この時の感覚の動きは我ながらちょっとおかしかった感じでした。

この日はたどり着いた場所が知っていた場所だと判明した時点で左岸側を引き返し、天満橋のマクドナルドで前回食べそびれたテキサスバーガーを楽しんだだけで終了となりました。

3回目。

3回目に出かけたときは、今度は上流に向かって並木道の先にあるものを確かめに歩くことにしました。でも最初に来たとき川縁を歩くには左岸側は街路が途絶えており、天満橋で対岸に渡ってさらにあのユリカモメが並んで止まっていた歩道橋を使って左岸に戻ってくるというような迂回ルートを取る必要があったから、ここは並木道が始まる地点まで街中を歩いて行こうと決めてました。大川の左岸側の並木道が始まる辺りは京阪が地下に潜っていく地点とほぼ一致していて、ここには線路を挟んで大川とは反対側に大阪城公園があり、その公園に行く歩道橋が植物に覆われてちょっとした廃墟の風情を持っているのを京阪の窓から眺めていたので、まずこれを写真に撮ってから川縁に下りようと計画してました。

廃墟風橋脚

歩道橋

下のは廃墟風って訳でもなかったけど。椰子の葉を上から見下ろしたのが新鮮だったので。

大阪城公園の歩道橋から大阪陸軍造兵廠の写真も撮ったけど、これはあまり上手く撮れずに大川の桜並木の街路へと向かいます。
この日大川の左岸を大阪環状線の桜ノ宮辺りまで歩いて、この辺りが大体大川の中間地点くらいになって、ここを基点に上流と下流の様相が激変したりするんですけど、この日の時点ではそこまで様子は分からずにちょうど激変するターニングポイントまで歩いて、その後再び天満橋のほうへと帰ってくることになりました。

大川の左岸を歩いての印象は、川縁の並木道っていくら歩いても視界はそれほど変わらないなぁと云うこと。散策には気持ちいいかもしれないし、ジョギングしてる人が結構いたりしてそういう人には最適の場所なのかもしれないけど、写真撮ろうと思って歩いてる人間にははっきり云って川側は代わり映えのしない光景が続くということになります。逆に云うと代わり映えしない光景が続くなぁと思い始めると、撮影できそうなポイントを見逃しがちになるということにもなってくるようでした。
対岸は造幣局があるけど仕切り壁のさらに向こう側だし、いきおい川縁を歩いてるのに視線に目新しいものが掠めていくのは川縁じゃない方向にあるものばかりというような状態になってました。
散策の桜並木が続く道の脇には小さな池とかもあったけど、水が汚いというか、大川自体も都会の中を流れる川の宿命なのか実は川面そのものは塵が淀んでいるような場所もあって、そんなに云うほど綺麗でもなかったりします。
そんな中で左岸沿いに歩いて撮っていたのがこんな写真でした。

休憩所

縦のライン

ベックリン風

個人的なイメージとしたらベックリンの描いた「死の島」的なもの。実際には死の島のように山で囲まれてるわけでも、島でさえもないんだけど。

大川沿い

川沿いを撮りに来ているにもかかわらず、この日川沿いを撮ったのってこの程度でした。

大川の岸

源八橋で大川は別流に導かれるところがあり、分かれた流れは程なく再び大川に合流してるんですけど、その分岐した区域に海岸風の人工の砂浜が設置されています。元は貯水場だったものを散策できるように設えなおした場所で、一応水の広場という名前がついてる区域のようです。
無粋な工事中の柵が並べてあったのがちょっと邪魔。柵が並べてある四角いパターンの行列は面白かったんだけど。

コンコルド(嘘)

同じく源八橋付近で飛行機に遭遇して慌てて撮ったもの。でも慌てなくてもこの辺りは航路になってるようで、飛行機もしょっちゅう飛んできてました。京都だと飛行機が飛んでる光景って見ないから、こういう光景は大阪の人には当たり前かもしれないけど、実はビルの上に飛行機があるというようなイメージはいかにも京都とは別の世界に来たと云うイメージなんですよね。

と、こんな感じでこの日は左岸を桜ノ宮の駅辺りまで歩いて引き返すことになりました。帰りは途中の京阪国道を渡って右岸に移り天満橋まで造幣局の側を歩いて駅に到着。

京阪国道は大川を渡る部分は近代的なアーチ状の橋なんだけど、橋から川縁に下りる部分はレンガ造りのちょっと変わった螺旋階段が設えてありました。

ベッヒャー風螺旋階段塔

モノクロで正面切ったこういう撮り方をすると、意図していたわけでもないのにベルント&ヒラ・ベッヒャー夫妻の採掘塔や砂利工場を撮ったタイポロジーの作品っぽいイメージ、一枚ではタイポロジーは成立しないんだけど、そういう作品と見かけだけは似てしまうことになったようです。こういうことをやるうえで何かに似ているというのはあまり褒められたものじゃないけど。
意図せずに何か顔のようにも見えるところがあるのも撮った本人的には明確に駄目な部分でした。下の部分は足にも見えるし。
顔に見えるから撮ったわけじゃないので、こういう要素は出来ればついて欲しくなかった。


桜ノ宮の駅の前まで歩いたのに、それを無視して再び戻ってきた天満橋の駅のマクドナルドでまたテキサスバーガーを食べようとしたら、テキサスバーガーは期間限定だったこともあって既にメニューから消えてました。
仕方なくこの日は代わりにメニューに登場していたアイダホバーガーを食べることに。
別にアイダホバーガーも不味くはなかったけど、テキサスバーガーが食べたかった。


大川沿い、次回に続きます。




使用機材。
OLYMPUS μ ZOOM 140 +OLYMPUS ZOOM LENS 38-140mm
Leotax F +Ernst Leitz Summitar 5cm/F 2.0


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Keep Your Hands off my Baby - The Beatles


ビートルズがBBCラジオのライブで残した曲の中で結構好きなもの。昔の録音ということもあって音はかなり悪いんだけど。
元はキャロル・キングが作って、ロコモーションのリトル・エヴァがヒットさせた曲で、こういう曲をカバーした時のビートルズは本当に上手くて、往々にして元歌よりもかっこよく、しかもビートルズでしか演奏できないだろうって云うほどビートルズっぽい雰囲気を纏わせた形に仕上げてる場合が多いです。基本的に彼ら自身ががこういう音楽の大ファンだったのが本当に良く分かる感じ。
この曲も、曲は典型的な60年代ポップスなんだけど、最初期のビートルズっぽい雰囲気もいっぱいあって楽しい仕上がりになってると思います。
So keep your hands ~のところのノリが結構好きだったりします。ジョンの気持ち良さそうに歌ってる声が決まってかっこいいです。




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ザ・ビートルズ・ライヴ!!アット・ザ・BBCザ・ビートルズ・ライヴ!!アット・ザ・BBC
(2001/06/08)
ザ・ビートルズ

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【写真】冬枯れの雨の日に、大川沿いを散策する。桜編 【音楽】I Loves You Porgy / Nina Simone

少し前のニュースになるんですが、去年の夏灼熱の太陽の下で眺めた遠未来的廃墟然とした海に浮かぶドーム状建築物「なにわの海の時空館」が閉館になったらしいです。それも橋下市長の「こんなばかげたもの」という罵詈雑言のおまけつきで。
それにしても去年の夏によく訪問しておいたものだと思います。ただエントランスの建築物には入ったんですけど、ドームそのものは中の展示物が激しく不釣合いで、こちらの期待するものとは違ったためにお金払ってまで入る気にはならなかったのが今となっては悔やまれるというか、こんなに早く閉館になるのが分かっていたらあまり興味はなくてもドームのほうにも入っておけばよかったと思ってます。
閉館のあとの円形ドームの再利用はまだ決まっていないとか。中には実物大で復元された菱垣廻船が展示してあって、この船もドームそのものもそれぞれ再利用出来そうに思うけど、建築する際に船を収めた上にドームを被せるような作り方をしたために、そのままでは船がドームから出せない状態になっているとか。船を再利用するには円形ドームを取り壊さなければならなくてそれにはかなりの費用が要る、またドームのほうをたとえばレストランなんかで再利用しようとしても実物大の船が取り出せないものだからそういうことも不可能と、そのままにしておいても維持費がかなりかかるらしくて、なんだか袋小路に入ってしまってるような状況のようです。

わたしとしては維持なんかしないままにあの状態で朽ち果てていくのに任せたら、海で隔離されて孤絶したような、きっと凄い廃墟が出来上がるのにと、想像するだけでワクワクするんだけど、やっぱりそういうのは無理なのかなぁ。あの地域って去年行った時の印象で書いたけど開発に失敗して廃墟の集積地になってるんですよね。だからもう一つ飛びっきりの廃墟が追加されることで廃墟のワンダーランドのような空間にしてしまえないものかと思ったりします。

☆ ☆ ☆

ということで今回のメインの話題。

実は前回の雨の日に撮った写真の続きにしようと思ってたんですけど、関東が先に満開になったのに関西はどうしたんだろうと思うくらい開花が遅れていた桜がこのところ急に満開になり始めて、でも考えてみれば桜って入学式だとかに添えられるような花だから関西の開花が特に遅れていたわけでもなかったわけで、まだかなまだかなと思う反面、この調子だときっともうちょっと先だろうと思って油断していたところへの急展開の開花となって、わたしの記事も予定変更することとなりました。
雨の日の写真を撮りに行ったのが切っ掛けで、上流へ向かって川沿いを歩いて写真を撮り続けることになった大川ですが前の記事に載せた写真に写っていた並木道の並木は桜の並木で、この一帯ってシーズンになると川の両岸を延々と桜が埋め尽くす桜の名所だったんですね。
今年の桜はどうしようかと、大川に行く前はまだ決めてなくて、石清水八幡宮に行ったから、あそこの木津川河畔の背割堤は桜並木だしあそこにしようかなと思っていたのが、大川沿いがシーズンになると桜でびっしりと埋め尽くされると知ってからは、川沿いの写真を撮ってるんだからその一環として今年の桜もここの桜にしようと思うようになっていました。
一応考えていたのは天満橋周辺から桜ノ宮を越えて淀川からの分岐点になる毛馬の閘門、さらにその先に広がる広大な淀川河川公園の毛馬地区まで歩いて写真を撮っていたのを何回かに分けて記事にして、その一連の記事の最後を大川の中心部分である桜ノ宮の桜で締めくくろうと思っていたのが、悠長に構えていたら締めくくりとなるはずの季節があっという間にやってきてしまって、まるで番外編のような扱いになってしまったのが残念といえば残念なところでしょうか。

このところは大川沿いというよりも淀川の河川敷で写真を撮っているほうが多くて、大川沿いに毛馬の閘門まで行こうとすると電車だと大阪の環状線の桜ノ宮駅で降りて、この大川に隣接する駅から上流を目指すんですが最初の頃ならまだしもある程度写真を撮った後だと感覚的には無闇に遠い道のりになってきます。だから撮影場所の中心が淀川よりになった頃から交通は阪急を利用、京都線の淡路で千里線乗り換えて淀川の反対側になるけど毛馬の閘門に近い場所にある次の駅の柴島(これでくにじまと読みます。いきなりこう読める人はおそらく皆無でしょう)で降りるというルートを取ったりしていました。
こんな感じで大川沿いにやってきても最近は桜ノ宮から下流のほうの様子はほとんど確認していなかったりしたから、三月の下旬頃関東のほうでは既に桜が満開になってると聞いて、あまり立ち寄らなくなっていた桜ノ宮の下流の桜がどうなっているのか確かめに行ってみました。

今年の桜はこの大川の写真を撮っていた感覚の延長上で、曇り空に朧に霞むような感じで撮ってみるというのが基本にありました。桜ノ宮に桜の写真を撮りに行ったのは合計で三日だったんですけど、三月下旬に最初の様子伺いに出かけた日はまさしく思惑通りに曇った日になっていました。
一応こういう図柄で撮ってみたいというのも頭にあって、それはどういうのだったかというと縦構図で下半分が水、桜は上半分に治まる形で淡い色の花がグレーの空に淡く溶け込んでいくような感じ。桜の幹も画面に入れてみたいとも思っていました。桜の木って花が儚げな印象なのに結構黒々として、肌理もごつごつした厳つい印象で、でもそれでも淡い桜とマッチしてユニークな視覚バランスで成り立っていると思います。
三月下旬に桜の咲き具合を見に行ったときにこういう感じで写真を撮ってみて実際にどんな感じに写るかどうか確かめてみようと思ってました。

様子見の桜
OLYMPUS μ ZOOM105 +OLYMPUS LENS ZOOM35-105mm KODAK SUPERGOLD400

関東のほうではとっくに満開になってると聞いてちょっと焦りながら出かけてみたんですが、桜ノ宮の桜並木がある場所に降り立ってみると、桜の花そのものはこの3月下旬の時で木によっては満開に近い状態になっているのもあるけど、全体的には三分咲きくらいだったかなぁ。やっぱり関東のスピードの比べるとかなりスローテンポの開花のままのようでした。
何枚か撮ってみて、思い描いていた構図の写真はもうちょっとくすんですべてがグレイッシュな空間に溶け込んでいくようなのが頭にあったんだけど、曇りの日にはこんな感じで撮れるという確認は出来ました。それでも結構気に入った写り方だったので桜が満開になったときもこんな感じで撮ってみようと思いました。

曇り空に溶け込んでいく桜1
OLYMPUS μ ZOOM105 +OLYMPUS LENS ZOOM35-105mm KODAK SUPERGOLD400

曇り空に溶け込んでいく桜2
OLYMPUS μ ZOOM105 +OLYMPUS LENS ZOOM35-105mm KODAK SUPERGOLD400

曇り空に溶け込んでいく桜3
OLYMPUS μ ZOOM105 +OLYMPUS LENS ZOOM35-105mm KODAK SUPERGOLD400

結構咲いていた木で花中心にとって見たもの。曇り空に溶け込むといった感じとしてはこういうのを狙っていました。青空に映える桜もいいけどこういうシックなのもいいんじゃないかと思います。

この日は桜もまだあまり咲いていなかったので、様子見を済ませただけで、写真はそんなにも撮らずに帰って来ました。

そして四月にもなろうかという月変わりの週末の日に再び出かけてみる事に。ちなみにこの日はそれほど雲ってもいない日でした。結果的に3回桜の写真を撮りに桜ノ宮に行ってきたんですけど、期待通りに完全に曇っていたのは様子見に来た日だけでした。
スローテンポで終始するのかと思えた桜の開花は4月が目の前に近づいてくる頃になると急激にスピードを増していくような感じで街中を歩いていて目にする桜も豪華に咲き誇ったものが目立つようになってきていました。

一応ネットで桜ノ宮の開花情報を確認して行って見ると、環状線の桜ノ宮駅を降りた目の前の桜並木も上の写真を撮った頃とは見違えるほど薄桃色の花を空一面に敷き詰めたような状態に変化していました。

おぉ咲いてる!と逸る気持ちにせかされて駅前の源八橋の袂から大川沿いの公園に降りてみます。
駅から出てきた時、駅員さんが総出で駅に出入りする人の案内をしているような様子から容易に予測できたし、公園に降りるまでの人の列でも確信できたことだったけど、満開の桜が埋め尽くす桜ノ宮の公園は空を桜が埋め尽くすように、とにかくお花見の客で地上が埋め尽くされてるような状態でした。
見渡す限り見物客がシートを広げてお弁当を食べているような状態。桜の木の周りにもカメラ持ったわたしみたいな人が順番待ちして撮ってるような場所がいたるところに出現していました。
さて、こういう場所で桜の写真を撮ることになったんですが、期待に満ちてやってきたわりに人の多さに気おされて1時間もしないうちにあまりカメラを構える気力もなくなってしまってるという状態になっていました。
お弁当を食べてるような人を入れたくないとカメラを向けるのは人がいない大川のほうばかり。水の光景が画面下半分を構成する写真が頭にあったから大川の方向にカメラを向けるのはそれほど予定と違う行動でもなかったんですけど、帰って現像プリントしてもらったものを眺めてみると、ものの見事に同じような絵柄の写真ばかり撮っているという結果になっていました。

2回目は花見客の多さに気おされて、その結果から3回目に来た時はおそらく桜の宮公園の中心部よりは人が少ないだろうと予想をつけて、上流の毛馬閘門に向かう川筋の桜並木にそって歩いてました。結局こっちもそれなりに人が集まっていたんですけど、そういう状態で撮ったこの2日間の桜の写真を並べてみます。

ちなみにこの2日間持って出たカメラはニコンのFM3Aに35-105mmのズームレンズをつけたもの。このところニコンの一眼レフを持って出かけるとなると視野率100パーセントでサラ・ムーンも使っていたらしいF2がメインだったんだけど、ズームレンズが結構重いので、F2よりも軽いFM3Aにしました。

水辺の桜1
NIKON FM3A +AIS ZOOM NIKKOR 35-105mm : KODAK SUPERGOLD 400

水辺の桜2
NIKON FM3A +AIS ZOOM NIKKOR 35-105mm : KODAK SUPERGOLD 400
源八橋から。

水辺の桜3
NIKON FM3A +AIS ZOOM NIKKOR 35-105mm : KODAK SUPERGOLD 400

水辺の桜4
NIKON FM3A +AIS ZOOM NIKKOR 35-105mm : KODAK SUPERGOLD 400
これも源八橋から川面を望んで。

桜 水辺
NIKON FM3A +AIS ZOOM NIKKOR 35-105mm : KODAK SUPERGOLD 400

水辺の桜6
NIKON FM3A +AIS ZOOM NIKKOR 35-105mm : KODAK SUPERGOLD 400

最後のが最初様子見に来た時に、試しに撮って見たものの構図応用編といったところ。他のものも同様に水辺の桜というものでわたしがイメージしていたこの絵柄のバリエーションと云ってもいいかもしれないです。最後のは妙に平面的で日本画にでもありそうな写り方になってる感じ?

撮って見て思ったのはやっぱり頭の中にある種のイメージを用意して写真撮るのはあまりいい方法じゃないかなということ。頭の中の絵柄に合うように世界を見るということは、せっかくその場に行ったのにその場の空間なり雰囲気なりをちっとも見たり感じたりしていないんじゃないかということでした。実際に桜ノ宮に行かないと見られない光景ではあるものの出来上がった写真は桜ノ宮にいかなくても成立する写真になっています。
物を見るということを意識化させる装置であるカメラは、目の前の世界と、それを持った人間の頭の中にある好みのイメージとのバランスの上で成り立っていて、そのバランス具合では物を見ない装置にも簡単に変化するところがあるように思います。

木漏れ日と桜
NIKON FM3A +AIS ZOOM NIKKOR 35-105mm : KODAK SUPERGOLD 400

これは大川の川縁を離れて民家の桜を撮ったものです。木漏れ日が落ちてるのがちょっとかっこよかったので。
桜の名所の桜よりもこういう桜のほうが色々変化に富んで撮れそうなところもあります。

桜と遊歩道
NIKON FM3A +AIS ZOOM NIKKOR 35-105mm : KODAK SUPERGOLD 400

これは3回目に行った時に撮ったものだったかな。あまりにも水辺の桜の写真ばかり撮っていたのでちょっと違う状態で撮ってみようと思ったものだったはず。
源八橋の上からしたの歩道をバックに撮ろうと思い、点景に人物が入っていたほうが良さそうだったので、橋の上でしばらくカメラ構えたまま待っていました。あまり絵になる人も通ってくれなくて痺れを切らしてシャッターを切ってしまったんですけど、アンチ・ドラマチック派の本領がここでも発揮されて、人の様子も妙なタイミングで撮ってしまってる写真となりました。人の影は木の影と重なってるし、向こう側に去っていく人影だったのも、よく分からない写り方というか。

出来上がりとしては、自分で、橋の上で待ち構えてまでして撮った写真にこういうことを云うのは何だけど、ちょっと情緒的過ぎるところが今ひとつだったかもしれないです。本当のことを云うと自分の好みはもう少しストイックな感じのものだったりします。

ちなみに源八橋って古風な名前の橋のわりに、この橋の周辺は結構フォトジェニックな場所が多いです。桜の季節の前に撮ったこの辺の写真は、この記事のあとで雨の日の大川散策の続きの記事としてブログに載せるつもりでいるんですけど、かっこよく写ったのが多いです。

桜と遊歩道2
NIKON FM3A +AIS ZOOM NIKKOR 35-105mm : KODAK SUPERGOLD 400

同じく橋の上から。3回目に行った時に撮った写真で、ずっと人が入らないように撮っていたのに飽きてきてお花見に来ていた人も入れて撮ってみました。人が入ると写真が動的になるしその場所の雰囲気もよく出てくるようです。こうやってみるとシートひいてお花見してる人も、桜の写真には邪魔だと思って避けていたんですけど、遠慮なく撮ってしまってたほうがよかったかなと思ったりします。何よりも桜ノ宮の桜の下の雰囲気がそうだったんだから。
ただ、知らない家庭やまるっきり縁のない会社の宴会の写真がわたしの写真のストックに入っても、わたしにとってはあまり面白いものでもないだろうなぁと云うところはあるかもしれないですけど。

桃色桜1
NIKON FM3A +AIS ZOOM NIKKOR 35-105mm : KODAK SUPERGOLD 400

桃色桜
NIKON FM3A +AIS ZOOM NIKKOR 35-105mm : KODAK SUPERGOLD 400

色違いの桜。
下のは房にあたる光の加減が柔らかくて立体的で、好みの感じで撮れてました。
あらためてみると、曇りと雨の日を目指していながら、桜目当てでやってきた三日目のこの日は思い切り晴れてますね。あの日ここまで晴れてたかなと思うくらい空が青いです。

桜咲く丘にて
NIKON FM3A +AIS ZOOM NIKKOR 35-105mm : KODAK SUPERGOLD 400

個別の桜じゃなくて全体的に撮ったものの一枚。大川を上流へ遡った毛馬の閘門に近い場所で、桜ノ宮の帝国ホテルの前辺りの中心部分からかなり離れているせいなのか、桜ノ宮の駅から出て辺りの光景に面食らったほどの人出ではなかった場所でした。ちょっとした丘のようになったところからなぜかここだけ人がいなかった場所を俯瞰的にスナップしてみました。お花見客がいないとこれはこれでちょっと物足りないイメージになってしまうかなぁ。

☆ ☆ ☆

大川の周囲は関西以外の人も知っているかどうか分からないけど、隣接する造幣局の桜の通り抜けでも有名といった、いわゆる桜尽くしの場所でもありました。だから川縁にいつ果てるともなく連なる並木がすべて桜だと知った時、川縁を一面に埋め尽くす桜の光景は壮観だろうと思って、このところ撮影にやってきている場所でもあったから今年の桜の場所はここにしようと決めたんだけど、実際にシーズンが始まってきてみると、人の多さでちょっと失敗したかなというのが正直な感想でした。たしかに空一面に桜の絨毯を敷き詰めているような光景は圧巻ではあったけど、川縁の綺麗に整地されて起伏のない並木道だとか、視覚的にはそれほど変化に富んでいるわけでもないというのも、若干マイナス要素に働いてる感じもしました。橋が架かってるところだから橋から俯瞰で撮れるのは、俯瞰好きのわたしとしては面白いところだったけど、それ以外では特筆するようなものはあまりなかったです。
ここは桜の名所ではあるものの、宴会をする目的でもない限り、写真を撮るということでは桜が咲いていない時のほうが面白い場所だったように思います。


☆ ☆ ☆

Nina Simone - I Loves You Porgy


ガーシュインの曲をニーナ・シモンが歌ったもの。この曲の演奏としてはおそらくトップレベルのものになるはず。
なんだか魂を鷲づかみにされるような感じで、文字通りソウルフルとしかいいようのない演奏だと思います。
この人の歌声ってこの曲はそうでもないけどビブラートの付け方があまり好きでもなかったり、ガーシュインの曲もそれほど自分の感覚にフィットするものも無いというような程度の関心の持ち方だったんだけど、この演奏だけは別格という感じでした。
ニーナ・シモンは元々はジュリアード出身のスタジオ・ピアニストというだけあって、歌もさることながら、情感を込めて紡ぎだされるピアノの音、一粒一粒が本当に美しいです。


☆ ☆ ☆





リトル・ガール・ブルー +4リトル・ガール・ブルー +4
(2012/12/19)
ニーナ・シモン

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【写真】冬枯れの雨の日に、大川沿いを散策する。 +【写真】まるでホラー映画のようだ。 My Bloody Valentine - Sometimes / Throbbing Gristle - Hamburger Lady

前回、梅田の写真のお話しが続くと書いておきながら、今回は違う話題で話を進めます。オオサカガーデンシティの話はちょっと先延ばし。別に梅田の写真にトラブル発生というのじゃなくて、最近写真撮りに出かけていたのが結構楽しかったのでその楽しさの中にいるうちに形として纏めておきたかったからです。

二月の下旬頃から三月に入った今にかけて、実は今も行動範囲を広げながら暇があれば通ってる最中の場所なんですけど、大阪の造幣局のある桜ノ宮一帯、淀川から派生して流れる大川の川縁で写真を撮っていました。

切っ掛けは雪でした。雪が降ったことじゃなくて雪が降らなかったこと、これが切っ掛け。
今年の冬は例年になく寒くて、これは京都でも例外じゃなく、あとで歩きにくくなるほどの雪なんてもう何年も降ったことがなかったけど、どうも今年の冬はそういう量で雪が降ってくる可能性があると、天気予報なんかをみていてもそういう予感に満ちた冬になっていました。

今年に入ってからお正月に八幡で写真を撮っていたあとで、去年の夏に一度撮って以来、いちいち三脚なんか立てないと撮れないのに36枚撮りのフィルムなんか入れてしまったためにほとんど撮り終わる時期の予測が出来なくなっていたピンホールカメラを持って、ジョギングしてる人がたまにいる程度だから三脚立ててもあまり気兼ねがしない宝ヶ池なんていうところに行って写真を撮ってました。
普通の35mmカメラやピンホールカメラを使って宝ヶ池で写真撮っていた頃は単純に寒かっただけで雪が降るところまではいかなかったんだけど、そのうち天気予報で雪が降るかもと云われてるうちに、向こうまで広大な池の水面が広がる空間を埋め尽くすように空から降ってくる雪なんていうのを思い浮かべて、ここで雪が降る光景なんかが撮れたら面白いかも何て思い始めることになりました。

宝ヶ池でのそういう気分が切っ掛けだったのか手に入れたからそういう気分になっていたのか発端はあやふやだったけど、ちょうどそんな気分になりかけていた頃に、安っぽいプラスチック製ではあるものの防水仕様になったコンパクトカメラを買っていました。
買ったのはオリンパスのフィルムカメラでミュー2ズーム110というカメラ。今はもう製造していないので当然中古という形で1800円の値段がついているものでした。暗いズームレンズを使ったプラスチック外装のカメラって金属でできた重厚なクラシックカメラに比べると全然人気がないから、有名写真家がサブで使っていたなんていうエピソードでもない限り、大体このくらいの安価で売ってるものがほとんどです。

以前に防水カメラが欲しかった時に色々調べたことがあって、このオリンパスのミューシリーズが生活防水を売りに一つにしているのは知っていました。その時の調べた候補には愛用のニコンからはニコノスといった防水というより水中カメラといったほうがいい本格的なものもあったんですけど、とりあえず雨が降りそうな日だけ使うという意味では大仰過ぎて、また中古市場でもあまり見かけなかったからこれはあまり選択肢には入らなかったです。

ミューは初代を森山大道が使っていたので有名なカメラで、でもミューが防水仕様になるのは二代目からなので、これは選択外。森山大道は全然カメラに拘る人じゃなかったから、ミュー初代もそれを手にしたからといって森山大道のような写真が撮れる特殊なカメラというわけでもなかったです。
そして初代以外のミューの防水仕様のもので中古ショップでよく見かけるのは大半がズームレンズになったものでした。
ただズームレンズはどうしても単焦点の明るいレンズに比べると画質は落ちるだろうし、あれば便利だろうけど雨の日にわざわざ撮影に出かけるなんていいうこともやってなかったから、一つ欲しいと思いながらもなかなか買えずにいました。

そういうあればいいけどなければ困るというほどでもないカメラを、結果そんなに予定していたことでもなかったにもかかわらず、雪の予報に右往左往している間のちょっとしたきっかけで買ってしまうことになったわけです。
買ってから動作確認で24枚撮りのフィルムを入れて東山辺りで適当に撮ってみました。中古は不具合があればできるだけ早めに表面化させるように、とりあえず試し撮りしてみるんですが、雨降り用が目的だからそれなりに写っていればそれでいいやと思っていたのが、仕上がった試し撮りの結果は、暗いズームというのは画質が悪いと思っていた先入観を吹っ飛ばすほどよく写っていたというものでした。
これ、雨だけど出かける何かの用事があってでもそんな日でもカメラがないとちょっと不便だしとりあえず持って出るといった程度ものじゃなくて、雨の日に積極的に撮影に出てみようという動機をかなり後押しするくらいの写り具合でもありました。

ちなみに買ったミューってこんなカメラです。

ミュー2110
NIKON COOLPIX P5100

デザインされすぎていたり、安っぽいプラスチックなのに豪華なシャンパンゴールドのカラーリングとか、かっこ良いのか悪いのか良く分からないカメラです。

☆ ☆ ☆

宝ヶ池が降る雪で埋め尽くされるのを待ちながらも、予報では今にも大雪が降るとでも信じそうなことばかり云っていたにもかかわらず、結果は嫌になるほど寒くはなるけど肝心の雪が空間を埋め尽くすほど舞い降りてくるような光景には結局遭遇しないままに今年の寒さの峠は越していきました。

さすがに3月ともなると、雪は今年はもう無理そうだと思うようになってそれは諦めるにしても、手元に手持ち無沙汰に残ってしまった防水カメラを何とかしようと思ったわけではないんだけど、晴れた日以外の世界という点では以前から撮りたいと思ってる状況があって、雪が期待むなしく季節とともに通り過ぎて行ったあとに、そういうことが頭の中に浮かんでくることとなりました。
それがどういうものかというと、大雑把に云えば遠くが霧のようなもので霞んで朧になっているような世界といったもの。
でも霧なんて考えてみたら生まれてから1~2度くらいしか遭遇していない世界で、おそらく京都ではまず遭遇することは無理だろうと。それで霞む世界に出会うにはどうしたらいいんだろう?曇り空をメインにしてみたらどうだろうかとか、写真を撮るといえば晴天の日だけを対象にして出かけている合間、霞む世界といったものが時折頭を掠めるたびに考えることがありました。そういうことを考えてイメージしていたものの一つに、今持っている機材では撮るのは不可能だけど、雨に霞む遠くの世界というものがあったんですね。これ、霧の時と同じようなイメージが作れるんじゃないかって。
そして防水カメラを持ったことで、今までは雨降りとなると無条件で撮影なんか止めとなっていたのが、こういう悪条件の時も撮影に出かけることが出来るようになっていました。

遠くまで見通せるような光景だったら街中よりも開けている場所が良さそうだけど、以前に荒涼としたものを撮りに行った宇治川公園のような遠くまでまるで何もないようなところだと、霞む状況さえ作れないから、霞んでいるのが分かる程度に遠くに何かがある、それでも見渡す限り開けている場所と云った感じのところがいいなぁと思い、でもそういうところって具体的にどんなところだろうとこれまたあれこれ考えているうちに、京阪の京橋から地下の天満橋駅に入っていく直前に線路に並走して流れる大きな川のことを思い出して、あそこなら雨さえ降れば条件にぴったりじゃないかと思いつきました。
それである雨の日に、防水カメラとして手元にやってきたこのミュー2ズームにイルフォードのモノクロフィルムを詰めて、これまた八幡の駅のときと同じように降りたことのない天満橋の駅で降りてみることにしたわけです。

☆ ☆ ☆

天満橋の駅で降りて地表に出てみると、駅の片側から直接川縁に出られるようになっていて、駅構内にあったマクドナルドの店舗も川縁の方向が大きな窓で開いている状態だったことからも、駅そのものが川(あとで調べてみると大川という名前の川でした)の景観をまず第一にしているというのがよく分かりました。

とりあえず駅から出て川縁で撮ってみた写真はこれ。南天満公園を大川を挟んで眺めたものです。

京阪天満橋駅の側
OLYMPUS μ2 110 +OLYMPUS LENS ZOOM 38-110mm f/4.6-10.9 : ILFORD XP2 SUPER 400

駅を出て大川縁をどちらに進もうかと両側を見渡し、川上側が蛇行していたからこちら側のほうが変化に富んでそうと、とりあえず川上、方向で云うと東側に歩いていってみることに。
駅傍にかかっていた天満橋を横断して橋の東側に行き、中ほどから大川の上流に向けてスナップ。

天満橋
OLYMPUS μ2 110 +OLYMPUS LENS ZOOM 38-110mm f/4.6-10.9 : ILFORD XP2 SUPER 400
天満橋の南詰付近に建っていた銅像です。

天満橋 a
OLYMPUS μ2 110 +OLYMPUS LENS ZOOM 38-110mm f/4.6-10.9 : ILFORD XP2 SUPER 400
川の分量をうんと下に下げて、雨の空を多く画面に入れて、その場の雰囲気を切り取れるかと思って撮った一枚。蛇行する川の表情が若干変化を与えてる感じ。
天満橋を右岸のほうに渡りきる前に左岸に船が係留されてるのを見て、もう一度戻ってそちら側に降りてみました。

外輪船係留地
OLYMPUS μ2 110 +OLYMPUS LENS ZOOM 38-110mm f/4.6-10.9 : ILFORD XP2 SUPER 400
水上バスに外輪船風の装飾を施したものが係留されてました。寂れた石段を降りていって近づいてみて、雨が降る中誰もいない様子だったので、ひょっとしたら放置されたままになってるのかとその時は思ったんですが、後日この船が川面を移動していくのを見たから、現在稼動中の船だったようです。

天満橋左岸行き止まり
OLYMPUS μ2 110 +OLYMPUS LENS ZOOM 38-110mm f/4.6-10.9 : ILFORD XP2 SUPER 400
天満橋から降りていく左岸はそのまま進んでいくと行き止まりになってました。これ、写真のフレームからは外れてますけど、手前に柵があってこれ以上先に進めなくなってます。

天満橋 b
OLYMPUS μ2 110 +OLYMPUS LENS ZOOM 38-110mm f/4.6-10.9 : ILFORD XP2 SUPER 400

左岸がそのままでは行き止まりになっていたのでそのまま天満橋まで戻って、今度は橋を渡って右岸のほうに歩いていきます。橋の途中で水上バスがやってきたので、一枚撮ってみました。

天満橋を渡りきると右岸の遊歩道が川縁に伸びているのが見えてきます。

天満橋右岸から見下ろしてみる
OLYMPUS μ2 110 +OLYMPUS LENS ZOOM 38-110mm f/4.6-10.9 : ILFORD XP2 SUPER 400

小さな公園にて
OLYMPUS μ2 110 +OLYMPUS LENS ZOOM 38-110mm f/4.6-10.9 : ILFORD XP2 SUPER 400
いかにも雨が降りしきってるような光景です。
橋を渡りきった辺りにあった小さな公園風の空間には椰子の木が。あとで分かることなんですけどこの大川沿いには椰子の木が結構植えてあって、こういう集落を作っているところが目に付きました。暗かったからフラッシュ焚いてみたけど、葉の重なり具合が平たいレイヤーを重ねたような妙な写り方してます。フラッシュ焚かないほうがよかったかな。

雨の降るなかを水溜りを避けながら大川右岸を川上に向けて歩いていくともう一つ橋、川崎橋という名前らしいんですが歩行者専用の吊橋がみえてきます。天満橋から撮った写真に写ってる橋です。
ここを通って行き止まりだった大川左岸にもう一度渡ってみました。

川崎橋
OLYMPUS μ2 110 +OLYMPUS LENS ZOOM 38-110mm f/4.6-10.9 : ILFORD XP2 SUPER 400
橋のケーブルは見上げてみるとゆりかもめが並んで止まってます。下からカメラ向けても逃げなかったから、写真撮る人が多くてカメラという機材を向けられることに慣れてるのかな。でもどうしてこんなに留まっていたんだろう?雨が降ってるから雨宿りでもないと思うんだけど。

川崎橋を越えて 大川左岸 1
OLYMPUS μ2 110 +OLYMPUS LENS ZOOM 38-110mm f/4.6-10.9 : ILFORD XP2 SUPER 400

川崎橋を渡りきって左岸に下りて川上に目を向けると遠くまで並木が続いているのが見えました。雨に濡れる冬枯れの並木はまるで外国のような雰囲気だったりします。

この日はいつも歩き回るほどに全然歩いてはいなかったけど、この辺りで早くも足元がびしょびしょになってきてました。カメラは防水とはいえやっぱり濡れるのは嫌でちょっと保護気味に持っていたら、その分体のほうが疎かになって普通に雨の中を歩いて濡れるよりも激しい濡れ方になっていた感じでした。
行く手を眺めてみると左岸は並木が結構先まで続いてるようだったし、似たような写真が撮れるだけかもしれないと思うところもあって、さらに雨が目的だったけどその雨に気おされるような形になったりして、この辺りから先にすすむのは今日はちょっと止め、と判断。もうちょっと雨に濡れないような場所で写真を撮ろうと元に戻ることにしました。

再び天満橋に戻って今度は川下側を見下ろせる側を天満橋の駅に向かって歩いていきます。
橋の途上で撮ったのがこの写真。

天満橋から天神橋の方向を向いて 1
OLYMPUS μ2 110 +OLYMPUS LENS ZOOM 38-110mm f/4.6-10.9 : ILFORD XP2 SUPER 400

このあと持って出ていたいつものバッグがびしょ濡れになってるのに気づいて、しかも防水だと思っていたのに外についたポケットの中まで水が染み込んでいるのを発見してしまったら雨の中を歩くのが急激に嫌になり、写真もそこそこ撮れたし、今日はこの辺で中止することにしようと、駅に戻ることに。駅に戻ってからは駅を出る前に目にした構内のマクドナルドへ一服するために立ち寄りました。いつもメニューにあればクォーター・パウンダー・チーズを頼むので、この時もこれがメニューにあったから頼んだんだけど、店を出る時、店の外に貼ってあったポスターで、テキサス・バーガーが復活していたのを知って、店に入る前に気づいてたらこれを頼んだのにと、これはちょっと失敗をしました。以前に食べた時にテキサス・バーガーを結構気に入ってました。
マクドナルドは最近業績が悪化してるらしくて、そういえば京都でも河原町辺りにあったマクドナルドは知らない間に全滅してるし、人気のある商品をどうして期間限定なんていう扱いにしておくのかちょっと理解に苦しみます。

☆ ☆ ☆

この日雨降る中へ撮影に出たもののほとんど天満橋周辺だけで撮っていて、あまり川沿いを歩いたわけでもないままに終了。でもカメラ庇って足元びしょ濡れなんていう状態に雨の中で途方にくれながらも、その途方にくれる感覚もある種楽しんでいるようなところがありました。
撮影している最中は、雨の大川を橋の上から眺めながら、思ったほど遠くは霞んでないなぁと思っていて、写真の仕上がりがどうなるか気になっていたんですけど、旧ムツミから仕上がったものを受け取りに行ってみると、その場で見ていた以上に遠く霞み溶け込んでいくような仕上がりになっていました。。自分でもおぉ、ちゃんと霞んでると吃驚。
それで、大川の天満橋駅周辺からほとんど離れないままに歩くのを止めて帰って来たせいもあって、大川が天満橋の間際で滝になって落ちているというような状態でもなければそのまま川は続いていくわけだから、それならば大川沿いにもうちょっと行動を広げて上流、下流へと川の様子を見に行ってこよう、天満橋のすぐ先の上流で蛇行して視界から去っていくさらにその先がどうなっているのか探りにいってこようと思いたちました。
そしてその興味は川の先に広がっていたわたしにとっては意外な光景に誘われ予想外に持続して、その後三月の中旬の今現在に至るまでカメラ持って足繁く通う動機となっています。

ということで、梅田のガーデンシティの写真を続きとしたままで、こちらの雨の日の遠く霞む世界の話題も二度目の大川散策以降のお話として次回に続きます。さて、蛇行する先の大川に一体何が見えてきたのか。


☆ ☆ ☆


My Bloody Valentine - Sometimes


「マイ・ブラッディ・ヴァレンタイン」なんていう名前だと、ホラーものの何かを連想するし、実際にこの名前のホラー映画もあったりするんだけど、こんな名前のバンドだからといって別にホラーを髣髴とさせる音楽をやっていたわけでもなくて、単純にメンバーの代表であるケヴィン・シールズがホラー映画が好きだったというだけの理由で名づけられたものらしいです。でもやっぱりデスメタルを演奏するガールズ・バンド辺りのほうがぴったりするバンド名ですね。
のちにシューゲイザーと呼ばれることになるジャンルを代表するグループなんだけど、グループ名のちぐはぐさ同様にこのシューゲイザーって言うジャンル命名も今ひとつしっくりこないところがあります。俯いてひたすらコードをかき鳴らすギタリストの様子などから、靴を見つめる人なんていう意味合いで付けられたジャンルの名前で、ちっとも音楽の本質を言い表してる名前じゃないから、ジャンルとしても何処か成立しにくいところがあったように思っています。

音楽的にはサイケデリック・ミュージックの一形態といったところかな。一般的にはギターの甘い爆音ノイズというような表現がされる音で、でもノイズといった時に連想される、少なくともわたしが連想するようなものとはちょっと毛色が変わった音を作っていました。
わたしはノイズ・ミュージックというと、スロッビング・グリッスルなんかのアヴァンギャルドなノイジー・ミュージックを思い浮かべるんだけど、マイ・ブラッディ・ヴァレンタインのノイズというのはギターでひたすらかき鳴らし続けるコードの連鎖音にエフェクターなどをかけて歪ませ、分厚い音の壁のようにしたものを指しています。
ノイジーといっても随分と音楽的。コードの構成はしっかりと残って、そのコードが持つ色彩感は様々に工夫されたエフェクターで増幅され、甘い爆音といわれる甘美な要素をも増幅させていくような方向で音の空間を形作っていきます。
写真でいうと色の飽和を起こしたような音楽という感じがします。色彩の綺麗さは残して同時にひたすらに過剰な感じ。昔のヴェルヴェット・アンダーグラウンドのようなサイケデリック音楽のバックに使われていたような不定形の色の泡が拡大収縮するような映像、光が乱舞するような抽象的な映像はむしろこういう音楽のほうが似合うんじゃないかと思います。

音楽的には嫌いなジャンルじゃないんだけど、ギターの扱いが、せっかく6本も減が張ってあってそれぞれ違う音にチューニングされてるんだから、一面に塗りつぶしてしまうようなコード掻き鳴らし専用楽器じゃなくてもうちょっとそれを生かした弾き方したほうがいいんじゃない?なんて思うことがありました。ここから愛されるギタリストは登場しないだろうなぁと、ジャンルとしては最近また息を吹き返してるようだけど今でもそういう風に思っています。

Throbbing Gristle - Hamburger Lady


言葉の意味でノイジーな音楽をやっていて好きだったバンド、スロッビング・グリッスル。
実験的で退廃的で病んでる音楽で、映画でいうとリンチ監督の「イレイザーヘッド」と同系列のような感じ。そういえば「イレイザーヘッド」の音楽も音響的なノイズ・ミュージックでかっこよかったです。
これはかなりイメージの喚起力が強い音楽になっていて、内容は歌詞も含めて極めて不快なものなんだけど個人的にはスロッビング・グリッスルの曲のなかではわりと好きなものになります。呪術的な呟きをのせて彼方の異界からかすかに届いてくる音楽のようでもあり、聴いているうちにどこかこちらの精神も確実に蝕んでいくような雰囲気もあって、なかなかやばい印象の音楽ではあります。
真夜中に暗い部屋で聴いてると、効いてきます。




☆ ☆ ☆



Loveless: Expanded Remastered EditionLoveless: Expanded Remastered Edition
(2012/05/07)
My Bloody Valentine

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D.O.A. The Third And Final Report Of Throbbing GristleD.O.A. The Third And Final Report Of Throbbing Gristle
(2011/11/07)
Throbbing Gristle

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【写真】梅田界隈で京都では撮れない都市の写真を撮ってみる。+【音楽】~タカタンタン、スウィート・サウンド・オブ・ザ・シャミセン♪~

大阪の梅田で撮っていた写真です。
撮っていた時期は去年八幡の鉄橋から見えた気になるものに接近していった頃よりも前のこと。コスモスクエアで写真を撮っていた夏が去っていき、そろそろ紅葉が始まるかなと思わせる雰囲気になりつつあった、晩夏から秋の半ば過ぎる頃のことでした。西梅田ガーデンシティという、色々撮っていたのはこの辺り周辺だったんですけど、そこにあるうどん屋さんでお昼御飯を食べた時、メニューに秋の新メニューのカレーうどんを始めましたという表示が出ていたのを覚えています。というか覚えてるというよりも実際にそのカレーうどんを食べました。
記事にする順序として俯瞰してみると、今年の石清水八幡宮の初詣から八幡へ行く切っ掛けになった橋脚の廃墟の話に続いて、さらその前に撮っていた写真のことを書こうとしてるから、なんだか意図的に時間を遡って去年の真夏のコスモスクエアに再び連結させようとしてるような意図的な展開に見えるかもしれないけど、時間を遡っている記述には大して意味はないです。去年の夏の終わりから秋の半ばころまでに撮った写真は結構数多くあるのでここに載せる写真の数が足りなくて困ったということでもなく、今頃になって数ヶ月前の写真を載せる気になったのは、単純に梅田という場所について書きにくかったからだったんじゃないかと思います。

梅田というと中古カメラ屋が結構店を開いているのを知ってからは、京都から京阪にのって終点の淀屋橋で降り、御堂筋線の地下鉄で次の駅になるこの地下道が迷路のようになった街に一番に立ち寄るような具合になっています。
この辺りにやってくるのは今は京阪を使ってやってくるものの、以前は阪急を使っていたこともありました。阪急だと河原町の駅から乗って神戸なんかのもっと先の土地に行く以外だと、終点の梅田で降りることになります。
阪急にのって大阪といえば梅田へ一番に向かうというルートを取っていた頃、大阪へやってくる一番の目的は難波の日本橋界隈で、ここは東京で言うと秋葉原のような一大電脳空間ともいうような場所だったんですが、PC関連、3DCGのソフト関連の買い物をしたり、掘り出し物の映画DVDでもないかと廃盤DVD漁りに出かけたりするのが中心であって、北の梅田というのは大阪への入り口ではあったけど、そのまま御堂筋線に乗って南の難波へ行く通過点に過ぎないような場所でした。

大阪の北区にある梅田という地域は西日本で最大の繁華街で、JR、阪急、阪神、大阪の地下に張り巡らされた地下鉄などの主要鉄道の駅が一同に介し、RPGファンなら狂喜しそうな一大迷宮と化した地下街が地下空間を縦横に走っている場所というある種特異な場所ではあるものの、わたしにとってはせいぜい迷宮地下街の一角にあるキディランドや紀伊国屋書店に立ち寄る場所、たまに足を伸ばして古本屋街とか駅前第1~4ビルの、時間から忘れ去られたような寂れた異空間を巡ったりする程度の場所で、印象的にもいつまでも地下街と地上のポイントが結びつかないところといったものから出るほどの場所でも無かったです。

ところがこの何年かで行動パターンはすっかり変わってしまって、中古カメラショップが意外と集中して存在してるというのを知ってからは、やってくるルートは京阪の淀屋橋経由と変化はしていたけど、梅田は以前の通過する街という存在から、そこを目的にやってくるという街に変貌してしまいました。逆に難波、日本橋のほうにはあまり行かないようになって、稀に行っても黒門市場前のトキワカメラ程度で電器屋街にはあまり近寄らなかったのが、最近DVD漁りに久しぶりに行ってみたら街角のいたるところにメイドさんコスチュームの女の子が道行くオタク相手に客引きしている、PC関連の店が特長だったのにそういう店が激減して、アニメのフィギュアショップなんかが妙に目立つ、なんだかオタク以外にあまり意味を成さないような街に変化していて、諸行無常を痛感するような有様となっています。

こういう風にこの数年は大阪といえばまず梅田に足を運ぶという行動パターンになっているものの、梅田という都市の印象は足繁く通う場所になったとはいえ、以前の通過地点の時と大して変わらなくて、よく行く場所に関しては地下街のどのルートを通ればたどり着くかということくらいは把握しているものの、巨大迷宮地下街と地上との関係は自分が行く場所以外は依然と全く把握できずに茫洋とした印象のままの街といった姿を変えようとはしていません。

去年だったかそれほど写真が撮れなかったから記事にはしなかったけど、お初天神や偶然見つけた街の区画全部が廃墟と化してる空間の色合いがそこだけ彩度をなくしたようなところとかを巡り歩いたことはあるものの、通過するだけ場所から目的の場所に変わったけれど、梅田という巨大繁華街は錯綜する地下迷路と、隣接するビジネス街とむやみに多い人という印象ばかりが際立ち、あまり魅力的な要素も目に入ってこなくて、目的地であることから離れても意味のある場所という対象には必ずしもなっていませんでした。

そしてそんな折に、目的地とは全く関係のないところにまたカメラを持って出かけてみようと思ったわけです。

☆ ☆ ☆

去年の夏の終わりから秋の中頃にかけて梅田で写真を撮り歩いていた切っ掛けは、コスモスクエアから今度はどこで写真を撮ろうかなと考えていたような頃、中古カメラ屋に行ったあとで梅田大丸の上層階にあるレストランでお昼御飯を食べた際、屋上でもないんだけどちょっと空中テラス風に張り出した展望台から眼下に見える隣の阪神百貨店の屋上を眺めていて、そういえばあの屋上って一度も行ったことがなかったと、ちょっとした気まぐれで隣の阪神百貨店の屋上まで出かけたのがそれだったように思います。わたしとしては梅田の百貨店では大丸が利用度ではトップ、ほとんど行かないのが阪急百貨店、大丸の隣にあるのに全く行ったことがないのが阪神百貨店という序列になってました。これ、京都の百貨店のわたしの中の親密度とぴったり一致してる感じ。阪神に立ち入ろうともしなかったのはおそらく京都には阪神百貨店がないというのが無意識的な理由にでもなっていたように思います。

その阪神百貨店の屋上で撮った写真がこんな感じ。

屋上
OLYMPUS 35 RC +E.ZUIKO42mm f/2.8 : KODAK SUPERGOLD 400

道があまり綺麗じゃないかな…。
阪神百貨店の屋上って多段構成になっていて、段差のある下の階層を上から俯瞰で望めるような位置取りが出来ます。
ただの屋上なんだけど、それでもみたこともなかった光景はやっぱり新鮮で、このあと梅田も大半が行ったことのない街だし、いつもは行かないようなところを回ってみようかなと思い立ちました。
考えてみるとこういう大都市の光景って京都では見られないものなんですね。なにしろお寺なんかの景観を壊さないようにという意味合いで建築物の高さ規制があって、京都には高層建築が見当たりません。だからその気になって周囲を見渡すと梅田のような街は通りすがる分にはそれなりに見慣れてはいるけど、立ち止まってみると思いのほか新鮮な場所であったりします。

何故東や南ではなく、そちらに向かったかはあまり覚えてないんですけど、100円で買ったオリンパスのカメラに詰めていたフィルムのコマの順番からみると、JR大阪駅の北側にあるヨドバシカメラのさらに北側からJRの線路に沿って西のほうに歩いていくルートを取っています。この辺りってヨドバシカメラくらいが出向く目的の場所の北の限界なので、それよりも北側なんてほとんどいったことが無い場所でした。

ヨドバシカメラ前
OLYMPUS 35 RC +E.ZUIKO42mm f/2.8 : KODAK SUPERGOLD 400

大阪駅の2階屋外回廊からヨドバシカメラの方向を見て撮った一枚。若干変わった切り取り方をしてみたもので、こういうフレームの撮り方をすると上の阪神百貨店の屋上写真同様にどことなく意味ありげに見えてくるけど、形の配置くらいにしか興味を持ってなくて、それほど意味があったわけでもなかったりします。
大きなテーマを担うようなものへの懐疑だとか億劫さがあって、自分が図らずも撮ってしまっている写真はごく小さな視点からの眺めに終始するような、わたしの場合はごく小さな視点の元になるような個人的な生活も絡める気がほとんどない視点から周りの世界を眺めて撮っているような写真なんだと思っています。
なんというか、こういうことを自己分析すると都合のいいように考えるところもあってあまりやらないほうがいいかもしれないんだけど、ポストモダン的なパラダイムの中で自分なりの立ち位置を探りながら撮ってるような感じになるのかなぁ。

これ、梅田に思い入れがあったなら、たとえばヴィム・ヴェンダースの映画「東京画」のように、わたしの梅田というような独自の写真も撮れそうなんですけど、何しろ通過地点の街であることはあまり変わっていないものだから、都市のきらめきのような写真を撮ろうと思って去年の秋の一時期シャッターを切ってはいたけど、わたしがその場所でその方向を向いてシャッターを切ったという対象との関係性はあるものの、わたしと梅田という巨大都市の間に何か個的で特別なものが生じたわけでもなく、表層的なものと戯れていた(こういう書き方をすると構造主義っぽくてちょっとかっこよかったりしますね)一時期であったことはいつもどおりだったんじゃないかと思います。

ヨドバシカメラのさらに北側にある閑静なビル街。言い方がちょっと変だけど、表通りからいくらか入り込んだ場所だったせいか、本当にビル街なのにひっそりとしている一区画でした。

木立を通して
NIKON F2 PHOTOMIC A +AI-S NIKKOR 50mm F/1.4 : KODAK TRI-X 400

JR西日本本社内にあるちょっとした公園の中から道路を挟んで対面にあったビルを眺めた光景。
木立のような自分の立っている場所が若干暗闇で、その木立を境にして向こう側に少し明るい世界が広がっているというのは、わたしにとっては好みのパターンになっているようです。

梅田未踏地域への侵入はここからJRの東海道本線と貨物駅に挟まれた間を縫うようにして走る道路に沿って西側に向かうことから始まりました。

ガラス窓越しのスカイビル
CANON AUTOBOY TELE +40-70mm二焦点切り替え方式 f/2.4-4.9 : KODAK T-MAX 100

JRは高架の線路になっているんですけど、その高架の高さまで登ったところにある通路というのか、そういう線路に沿った道の側にあった汚い窓から北のほうを眺めた光景。汚い窓というのがポイントで、ガラスが曇って向こう側が幾分ぼんやりとした見え方になってるのに気をひかれて撮ってみたものです。遠くに写っているのは梅田スカイビルです。

ディテールに富んだビル
OLYMPUS 35 RC +E.ZUIKO42mm f/2.8 : KODAK SUPERGOLD 400

東海道本線に沿って貨物駅側に建っていた、ディテールに富んだビル。いかつい印象がかっこよかったです。建物はわたしはコンクリートとガラスで出来たただの直方体のような機能主義追求のビルは大嫌い。この写真の建物は装飾的という細部ではなかったけど、ディテール感覚に富んだ装飾性のある建物のほうがはるかに好きなので、こういうところもモダニズムには属していない感性なんだと思います。

この辺りを線路が敷かれた方向に向いて歩いていると、まぁ歩道脇にはいろんなビルが建っていたり、再開発で工事中のところも多くて、そのビルの駐車場や工事現場の出入り口なんかに、交通整理なんだか警備なんだか、とにかくそういう仕事を髣髴とさせる制服を着たおじさんや兄ちゃんが立っていて、道行く人にいちいち挨拶をしてるんですよね。わたしもその人たちの前を通るたびに「こんにちは!」なんて声をかけられて、こういう通行人に対する態度って流行ってるのかなぁ。工事中は色々と迷惑をかけるから日ごろの態度で懐柔しておこうというような算段なのかもしれないけど、なんだか声かけられるたびにいちいち愛想笑いを顔に浮かべて軽く会釈しながら通り過ぎるのがそのうち苦痛になってきて、この辺りの道はそのうちあまり通らなくなりました。後になってこういう状況をカメラに収めておくのも都市の表情として最適のものだったと思ったものの、どうも居心地悪さに足早に立ち去るほうが気分としては先立っていました。

東海道線の高架下を大阪駅から西に歩いて、次の駅に着く手前くらいの所で高架下を横断できるところがあり、昼を結構すぎていた頃に思いつきで行動開始したものだから、そろそろ暗がりが広がり始めるような時間となっていたこともあって、この辺で一度戻ろうと高架下を潜って線路の反対側に出たあとは線路の南側に沿って伸びている通を歩いてJR大阪駅のほうに戻っていきました。戻ってる途中で右手ビルの林立する合間にちょっとした並木が並んでいる空間を発見、ただのビルの谷間の空間じゃなくて散策もできるような公園に近い雰囲気の空間でした。
時間が夕刻を過ぎつつある頃だったからこの空間が気になりはしたものの最初に彷徨っていたこの時は足を踏み入れず、そのまま出発点だった大阪駅に戻ることになります。
その日帰宅してからもこの公園状の空間のことは頭に残っていて、今度行ったらどういうところだったのか確かめてこようと思いました。

結果からいうとそのビルの谷間に見えた空間はオオサカガーデンシティという名前の再開発区域で、その一帯の複数の高層ビルを含めて情報時代の都市空間、さらに憩えるような緑が豊富な空間をも併せ持つ、商業、文化両面での魅力のある複合空間を形成する意図を持って再開発された場所であったことが分かりました。
次に梅田に来た時にこのガーデンシティに行ってみたら、意外と範囲は広く洒落た都市空間を作ろうとする意図もわりとよく伝わってくるような場所だったので、これはちょっと面白そうと、去年の夏の終わりから秋の半ばころまでこのガーデンシティと、東海道本線を歩いていた時に目に付いていたスカイビル周辺で写真を撮ることになりました。

☆ ☆ ☆

この期間、写真を撮っていたのはガーデンシティ周辺のほうが圧倒的に多かったけど、今回はそちらじゃなくてスカイビルのほうの写真を載せてみます。

スカイビルは阪急で梅田経由で難波に行っていた頃から阪急の車窓から良く見える、他に高い建物もない所で一棟だけ空中高く聳えたつようなかなり目立つ高層ビルでした。
メインはタワー・イーストとタワー・ウエストという二棟の高層ビルで、その二棟の高層ビルが頂上で連結され、その連結された部分が空中回廊風の展望台になっているという形の建物。
阪急の車窓からは梅田に着いたということが一目で分かるランドマーク的な様相も合わせ持ったビルだったんですが、梅田経由で大阪に来ていた頃は先に書いたように梅田そのものに目的があったわけじゃなかったので、駅から少しだけど離れているこの場所にわざわざ足を向ける必要性もなくて存在は知ってはいたけど今まで一度たりとも行ったことがない場所でもありました。

今回ガーデンシティで写真を撮っている間、日頃の通過都市としての範囲を超えて行動していたので、ガーデンシティで写真を撮るのに飽きてきた頃合に、それならばそんなに遠いところにあるわけでもないし、ここは行動範囲が広がったついでにスカイビルの辺りも一度歩いてみようかと思って行ってみることにしました。

JRの貨物駅が近くにあるせいなのか倉庫風の建物が目立つ、あまり人気のない大通りを暫く歩いてスカイビルに到着。

はるかな高みで連結されたスカイビルのある一帯を眺めて最初に思ったのは、これ、京都駅とそっくり!ということでした。敷地内に点在するパステルカラーで塗られた巨大な円筒状の装飾オブジェだとか、碁盤の目上に四角い空間が並んで口を開けている直方体の謎の建築物とか、全く同じものが京都駅にもあるし、全体のなんだか纏まりがなくて、混沌といったある種豊穣なものとはまた違う雑多なだけで妙に安定しないイメージを与えようとするところも全く京都駅と同じ。
あとで調べてみたら予想通り設計者は京都駅を設計した人と同じデザイナーでした。これはでも作風というよりも自己の模倣に近いんじゃないかなぁ。デザインのコンセプトが一貫してるというよりも、京都駅で使ったパーツのデザインをそのままスカイビルに流用してるという印象のほうが強かったです。建築のコンセプトでたとえばコンクリート打ちっぱなしというのが一時期はやってましたけど、ああいうのは建築のコンセプトが同じという印象はあっても流用しているという感じには見えなかったから、スカイビルは成立の意図が根本的にそういうのと違っているんじゃないかという印象でした。京都駅は結構好きなんだけど、このスカイビルはあまり好印象でもなかったかな。

わたしはシャッターを切る時、後で思うとその時目の前にした世界に何か気配とでもいうようなものを感じて、シャッターを切っていると思ってます。
その気配がどういうものだと云われると、言葉で云うのは不可能な何かなんですけど、上手くいけば写真には特に非現実的なものが写ってはいなくても、ただ目にした通りの世界がフィルムに定着されていても、そこに何か別のものが生起してくる予感というものも一緒に封じ込めることができるんじゃないかと思っています。云うならばありふれていて同じような光景なんだけど、受ける印象はちょっと異なった何かがあるというような写真です。

このスカイビルは見た目は特異点の塊、非現実な要素ばかりで成り立っているような高層建築だったのに、自己を模倣してるだけ?なんていうことが頭に浮かんだせいもあったのか、このシャッターを切ろうとする気配のようなものをほとんど感じることが出来なくて、被写体の目立ちぶりに反比例するかのようにあまり写真を撮ろうという気にはならなかった場所でした。

裏返された数字
NIKON F2 PHOTOMIC A +AI-S NIKKOR 50mm F/1.4 : KODAK TRI-X 400

陽の当たるマネキン
NIKON F2 PHOTOMIC A +AI-S NIKKOR 50mm F/1.4 : KODAK TRI-X 400

滑り台は撮りにくい
NIKON F2 PHOTOMIC A +AI-S NIKKOR 50mm F/1.4 : KODAK TRI-X 400

柱の向こうに
NIKON F2 PHOTOMIC A +AI-S NIKKOR 50mm F/1.4 : KODAK TRI-X 400

結局結果としては見上げる視点があまり好きじゃないということも相まって、スカイビル全体の様子が分かるように写した写真はほとんどなく、地上部分に広がっている鏡張りだったかガラス張りだったか周囲の光景を壁面に写すビルの写真なんかを数枚撮ってみただけで、その写真もただの反射ビルが写ってるだけという結果に終わってました。

一番上のは数字が写したかったのが一番の目的。街中の言葉の断片とか数字とか、J・M・スコットの「人魚とビスケット」ように、秘密の通信やちょっとした暗号のようにみると随分と意味ありげに見えてくることもあって、これはあまり暗号風には見えないけど、そういうのを写すのはわりと好きだったりします。

マネキン一体にスポットライトのように陽光が降り注いでいた場所。

妙な建築なのに撮る気にならないなぁと思って、一度スカイビルから出て近くにあった公園で気分転換に撮ってみた滑り台の写真。公園の遊具は被写体としては写しにくい対象です。どう見ても様になるところがない。落ち着かない異物感丸出しでどうしてもかっこよく画面に収まってくれないです。

最後のは手前が暗くて向こうに明るい世界が垣間見えてるっていうののバリエーションかな。とはいっても撮ってる時は明確にそういう風にも思ってなくて、薄暗いところに柱が林立してる光景を上手く写真に出来ないかなと思って撮った写真です。柱が一杯写ってるけど、だから?とか自動車が向こうのほうにみえてるのがどうかした?とか云われたらその時点でお終い。何かが写ってるというよりも気配勝負って云う感じになってるかも。

☆ ☆ ☆

スカイビルで撮った写真でもう一枚。
ここを訪れていた時、サブにイキモノカメラというトイカメラを持ってきていたことがあって、それで写した中の一枚です。110フィルムというちょっと特殊なカートリッジタイプのフィルムを使うカメラで、フィルムはフジフィルムが生産を終了した後供給が途絶えてカメラそのものも置物としか利用できない状態になっていたのが、去年別のメーカーだったけどこの110フィルムを復活させたところがあり、110フィルムを使うカメラをまた使えるようになりました。
このスカイビルに持ってきていた時のフィルムは撮りきった後もなかなか現像に出さないで放置していたんですが、最近その放置フィルムをようやく現像に出して、半年振りくらいに写したものを見ることになりました。
ちなみにイキモノカメラは京都駅八条口のイオンに入ってるヴィレッジヴァンガードで売れ残りのうえに処分品扱いもされないで棚の隅でほこりを被っていたのを入手したものです。最近では110フィルムにちょっと活気が戻ってきたので売り場の隅に埃まみれで転がっていたこのカメラもきちんと壁に並べて売られるようになってました。
カメラは1000円以内で買えるけど、フィルムがちょっと高いかな。

スカイビル高層通路
イキモノカメラ(ハチカメラ): A-POWER 110 Fukkatsu ISO400

サブ・カメラとして思いついたようなタイミングで撮る撮り方をしていた上に中身を見たのも半年振りだったから、何を写したのか綺麗さっぱり忘れていたし、この写り方も相まって、おぉこんなのがこんな風に写ってる!♪と、仕上がったプリントを見るのが結構刺激的でした。
ディテールなんかほとんど飛んでしまってる、これぞトイカメラとでもいえる写り具合がなかなか味わい深いというか、ちょっとシュールな被写体の特徴と上手くマッチしてる感じがします。

この出来上がった写真をみて、梅田で撮った写真はガーデンシティで撮っていたもののほうが多かったのに、これを早くブログに載せてみたくて、気配が感じられなくてあまり写真が撮れなかったスカイビルのほうを先に持ってきたというところも多少はあったかもしれないです。

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西梅田路上カフェ2
CANON AUTOBOY TELE6

ということで、イキモノカメラにつられてスカイビルでの写真を持ってきたために、この記事はメインのオオサカガーデンシティの写真を残したままで次の記事に続くことになります…。



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MONKEY MAJIK × 吉田兄弟 -CHANGE-


Youtubeで座頭市の殺陣なんていうタイトルの動画があって、みて見たら勝新のじゃなくてタケシのものだったからちょっとがっかりしたものの、それにつけてあった音楽がなかなかかっこよくて、調べてみて行き着いたのがこの曲でした。
これ、海外のバンドだと思ったら在日外国人が組んだ、日本のそれも東北から出てきたロックバンドらしいです。ほとんどこういう分野のものって聴かないから知らなかったけど、わたしが知らないだけで結構メジャーなバンドだったらしく、この曲もわたしがブログを始めるよりも前といった、意外と以前にリリースされたものでした。

とにかく耳を捉えて離さない吉田兄弟の三味線と無茶苦茶かっこいいベースの音。展開されるイメージも勘違い日本じゃなくて、そこは日本に住んで日本の空気感を知るロックグループの本領発揮というのか、ワンダーランドの日本っていうイメージで纏めてるのが面白いです。
三味線はギター的な奏法を導入してはいるものの完全にギターの擬態をしているわけでもなくて、三味線の本来のテイストを保ったままでこういう曲に馴染んでしまってるのも驚異的。テクニック云々以前に、曲の中での三味線の扱い、位置づけそのものが本当に上手いと思いました。

歌の内容は、何も上手くいかないし自分には変化する必要があるけど、変化するためには導いてくれる人が必要だ、なんていう内容のようで、これはいただけないというか新興宗教の教祖熱望の歌のような感じに聴いてしまいました。

PVは片や薄暗がり、片やカットの切り替えが激しくてよく分からないけど、すもうダンサーズとラップシーンの右手で激しく狐憑依のダンスを踊っていた女子高生風の女の子がかっこいいです。PV全体に狐のイメージを使ってるけど、個人的には狐はちょっと気味が悪いです。京都だと伏見に稲荷大社があって、幾重にも連なる鳥居がイメージとしては有名なところなんだけど、あの場所、どうも苦手。
PVでひとつ理解不能なのは、車との正面衝突で幕を閉じているところかな。この閉じ方は意味不明だし音楽の扱いの面白さに比べると天と地ほどの差がありそう。



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イキモノカメラはすでに生産終了になって、デジタルハリネズミなんていうデジカメになってるからもう入手するのは残り物以外では不可能。
これは同じ110フィルムを使うベビーホルガ。カメラとしてはイキモノカメラと大差ない感じかな。