路地裏クロスプロセス + Song No. 2 - Miles Davis

放射
東本願寺 2013/10



赤い幕
東本願寺 2013/10




記事作成途中で下書き保存したつもりが公開になってました。書き始めたばかりの不完全な記事が数時間ブログにアップされることになって、気づいた時点で大慌てで削除し、何とか体裁を整えてからのこれが再アップです。何人くらいこの予期しない不完全な掲載を眼にしたのかな。なにしろ載せるつもりの写真を二枚だけ貼った状態で公開してしまっていたから、気づいたときは結構焦りました。
不完全な形でさらしてしまった数時間の間にもしもコメントを書いてもらった人がいたら、ごめんなさい。ずっとコメント欄を閉じてることもあって、慌てて記事を削除してしまった際に、コメント欄確認するのを忘れてしまいました。

ということでこの形でこの記事を始めて目にした人には普段通りの新しい記事アップ、書き始めた状態でブログにさらしてしまったのを見てしまった人には、一応記事の形に纏めたのがこれになります。


空と尖塔
東本願寺 2013/10





水鉢
東本願寺 2013/10


今回の写真はクロスプロセスです。今までのところクロスプロセス現像したのはフィルム3本。最初のがフジのリバーサルフィルム、ベルビアで撮って真っ赤に色転びしたもので、後の二本はロモのクロスプロセス用のリバーサルフィルムで撮った今回のような感じのもの。クロスプロセスの色転びとしては今回載せたようなものほうが一般的なイメージになってます。
ただ、イメージを異界に飛ばしてしまうにはちょっとオーソドックスすぎる感じで、最初にやってみたベルビアの赤転びは出来上がった時はなんでもすべて真っ赤になったからちょっと偏りすぎてると思ったんだけど、こういう黄色と緑色の方向にシフトするクロスプロセスをやってみた結果としては、むしろ赤に転んだもののほうが異様に強烈で面白かったんじゃないかと思っています。

そうはいってもクロスプロセスは3本やってみた時点でまた赤転びのフィルムに手を出すかというと、そうでもなく小休止状態。
クロスプロセスはこういう色転びを起こしたりハイコントラストになると知っていても、プリントされたものを目にすると意外と考えていた絵とも違って、へぇっ!?って思うことも確かにあるんだけど、それでもイメージの逸脱方向がわりと同じ方向を向いてるせいなのか、なんとまぁ!?と思いつつも同時にちょっと飽きてしまうところもあったりします。だからなのか、3本やってみた後で次のクロス用にリバーサルフィルムを一本買ったりはしたけど、今のところこれには手を出すことなく使うのはいつもの他のフィルムばかりということになってます。
なんだかデジカメなんかについてるアートフィルターの類と使用感が似てるというか、変化はするんだけどデジタルがプログラムの幅を超えてまで変化しないように、クロスプロセスもどこかそのレンジに枠組みがあって、その変化の枠組みが見えてしまうような気がします。

東本願寺と西本願寺の間にある東西の細い通りで撮ってます。通りの名前を調べてみたけど出てこなかった。車も入ってこないような細い通りに癖のある印象の店が並んでる商店街でした。この辺りは結構通りが走ってるんけど、なぜかこの通りだけちょっと手触りの違う空気感が漂ってます。
この間から写真に場所と日付のクレジットつけてるんだけど、今回は皆一緒でした。つける意味無い。

☆ ☆ ☆

使ったカメラはロモのLC-A。わたしのはモルト(遮光用スポンジ)の経年劣化で光線引きするのを5000円程度の安価で買ったもの。モルトは自分で貼り替えて、光線引きはしなくなり、すぐに壊れるかもと思っていた本体も、ソ連の生産物としては意外なほどまともで、予測不可能な不安定さを発揮しつつ今も普通に使える状態にあります。一応今のロモグラフィーが復活させた中国製造でさらに中国レンズを使ったものじゃなくて、ロシアンレンズを使ってるオリジナルのLC-Aっていうのがお気に入りのポイント。

LC-Aは本当はロシアの大衆的なカメラなのに、今はおおらかな作りでトイカメラの扱いになってるカメラです。トイカメラって一時の人気はかなり静まってヴィレッジヴァンガードのカメラコーナーなんか、京都の店ではかなり縮小してる感じになってます。LC-Aも一時ほどの勢いはなさそうだけど、こうなってくるとある種へそ曲がりな性格でもあるから、またトイカメラを引っ張り出してみようかなと、最近は思うこともたびたびあったりします。
この夏は思い切りの酷暑になってるから、重いカメラ持って出るのも嫌になって、このところはPENのEE-2にジャンク箱で100円で見つけた昔のオリンパスのEE-3用の小さなストロボをつけ、思いつくままにシャッター切ったりしてます。
これなんかシャッター押すしかすることが無いカメラだから、もう気分はトイカメラそのものかもしれないです。



☆ ☆ ☆


Song No. 2 - Miles Davis


マイルス・デイビスのアルバムだと一番不人気の「Quiet Nights」に入っていた曲。
当時のボッサの流行に乗じて、レコード会社から作るように強要されたアルバムらしく、マイルス本人もまるで思い入れの無い失敗作としてるものの、マイルス・デイビス唯一のボッサ的なアルバムというか、ボッサのアルバムとして聴くとちょっと裏切られた感じがするかもしれないけど、ムーディでロマンチックでわたしは結構好きなアルバムになってます。
管楽器のアンサンブルでそんなに規模の大きくない、個別の楽器の音が和音を作っていく過程が辿れるような演奏は結構好きなところがあって、そういうポイントでもこの曲はわたしにフィットした曲でした。

このアルバム一曲目に入ってる「Song No. 2」の原曲は「Prenda Minha」というもので、ブラジル南部の伝承曲なんだそうです。













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【写真】黄色い扉の幼稚園 丸い角。 京都駅近辺で撮った写真 +【音楽】Miles Davis - Moja (Part 1)

黄色い扉の幼稚園


関西電力ビル


京都駅の周辺を歩き回って撮っていた写真です。北は五条を越えて四条近くまで、南は八条口から東寺辺り、東も京阪の七条の駅くらいまでは歩いていくので、わりと歩き回る範囲は広いんだけど、この二枚は京都駅の北側西本願寺と東本願寺にはさまれてる辺りの区域で撮ったもの。京都駅周辺は駅そのものと昔は丸物、近鉄百貨店プラッツを経て今ヨドバシカメラになってる場所に立ち寄るくらいで、ほとんど歩いたことがなかったから、知らない土地に来たのと感覚的には変らなかったです。ただこの辺りはまさに碁盤の目の道路になっていて、曲がり角は直角のコーナーばかりで視覚的には無茶苦茶単調だからそれほど面白いわけでもなく、それに自動車が通るような通りがほとんどだから路地といった風情のあるところはないに等しいです。大都市でもないのに自動車が通るような通りって写真撮っていてもなんだかつまらないです。
それと碁盤の目の道路は昔のダンジョンRPGよろしく、知らないところだと方向感覚を失ってしまう可能性があります。一度だけだったけど90度方向を間違えて歩いていたことがあって、見慣れた大通りに出るまで気がつかず、予想外の大通りに出てきて吃驚したことがありました。

ちょっと余談だけど、近鉄百貨店プラッツが閉店した時の写真を撮っていたり、他には八条口のアヴァンティにあった十字屋の写真とか、京都駅周辺じゃないけど、京都の老舗のレコードショップだったビーバーレコードだとか、閉店して今はない場所の写真が何枚かあります。こういうのとっておくと後で自分が通いなれていた場所の記憶として私的にはかなり面白いものになる可能性があります。
この京都駅の正面に出来たヨドバシカメラに客をとられて、いまや見る影もなく寂れてしまった寺町の電気屋街も昔軒を並べていたヒエン堂とか中川無線だとか、写真に撮っておけばよかったと、これは何しろこんなに寂れてしまうとは思わなかったので、今ではかなり残念な思いとして残ってます。潰れそうな店は積極的に写真に撮っておくべきかも。
こういう写真を、すべて虚空に消えたというようなタイトルで記事にしてみようかと思うこともあるけど、知らない人にとっては何の意味もない店内の写真だったりするから、未だに手付かずという感じになってます。


上のは黄色い扉よりも隣の建物に落ちる木の派手な影が目に付いて撮ったもの、下の写真は京都駅前の関西電力だったかな。このビル、コーナーの丸くなってるところが好きなので、そこを撮ってみました。建物自体こうやって陰影が強調されてるとなんだかかっこいいですけど、でも実物はそれほどでもなかったりします。
クロスプロセス現像したものの中からのセレクトとなっていて、燃える世界の真っ赤な結果じゃなくて、緑と黄色へのシフトという、クロスプロセスの色転びとしては割と一般的な結果になった感じです。
下の関西電力のビルの写真は空の色が独特でわたしとしては気に入ったところかなぁ。
見たそのままからちょっとずらすには有効な方法の一つだけど、予測不可能なシフトではあるもののシフトする方向がある程度決まってるから、ワンパターンといえばワンパターン。だからせっかくイレギュラーな結果になったとしても、ずらしたイメージが似通ってくることはあって、そういうポイントでは若干飽きが来るところもありそうな方法です。



使った機材はLOMO LC-A。
本来は大衆的な普通のカメラとして製造されていたものの、性能の不安定さなんかで、今ではトイカメラ扱いされてるロシアのカメラ。トイカメラは一時期ほどの勢いは無くなったのかな。
使ってみると意外ときちんと写ったりして逆に予想を裏切ったりするところもあるんだけど、普通のカメラとしては駄目なところがチャーミングになるような稀有なカメラでもあります。

LOMOのスライドフィルム200でクロスプロセス処理してます。
クロスプロセス現像はポパイカメラさん仕様です。


☆ ☆ ☆


Miles Davis - Moja (Part 1)


電気仕掛けの頃のマイルス・デイビスの曲です。ダーク・メイガスという、日本語で言えば黒魔術師となるらしいけど、まぁ名前からしてそんな禍々しいアルバムのトップに収められて、聴くものの襟首つかんで引きずり込むような役割を果たしてる曲。
この時期のレコードとしては「アガルタ」だとか「パンゲア」のほうが評価が高いようだけど、わたしは電気仕掛けのものはこれを一番最初に聴いたこともあって結構好きなレコードになってました。
一言で云えばジャズ畑から発想されたファンク、あるいはロックといった類になるかもしれないけど、ジャズがそのままファンクだとかロックへと素直に拡張していったというようなある種道筋を辿れるようなものでもなく、かといってジャズ以外の音楽分野でこの音楽に到達するような道筋があったかといえば、ジャズ以外にはなかったようなところもあると云ったような音楽。

ファンクやロックとしてみてもかなり異形だから、結局のところジャズでもファンクでもロックでもない、なにか混沌としたものというのが一番相応しいような感じがします。
とにかく出だしの、無類にかっこいいハイハット・オープンの連打からポリリズムの洪水へ、一気にこの禍々しいようなエネルギーの渦巻く場所に放り込まれること間違いなし。





ダーク・メイガスダーク・メイガス
(2005/11/23)
マイルス・デイビス

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【写真】私的京都駅ー今年最後の更新。 +【音楽】The Killers This River is Wild

向かう人たち


写真はロモのスライドフィルムXPro 200を使ったクロスプロセス現像です。燃える世界になるベルビアじゃないタイプのリバーサルフィルムを使ってみた結果、こっちは緑と黄色に色転びして、タイプは違えどやっぱり独特の雰囲気になります。

ということで、今年も彗星絵具箱に来訪有難うございました。来年もまたよろしくお願いします。

個人的には今年後半は結構トラブルに見舞われていた感じ。夏に膝がおかしくなってから、秋の初め頃に転倒して骨を割ってしまうといったことが起こってしまって、気分が停滞したまま今年後半の時間が過ぎていったような印象の年でした。今年は秋が存在しなかったような気分で、汗を拭き拭き稲荷山を登っていたのにふと気がついたら防寒の服を着る季節になってました。
来年はあまり整形通いをしなくてすむような年になったらいいなぁ。

先日腕のレントゲン撮りに行ったら、少しずれてくっついてるといわれました。痛みが取れないようだったらまた一月後くらいに来なさいといわれ、このまま痛みが収まれば、治療はこれで終了ということになってます。痛みはかなり軽減されていてカメラも苦もなく持てるような状態にはなってるんですけど、ちょっと波乱含みで年を越しそうな予感がしてます。

転倒した場所にあれから行ってみました。三条大橋付近の歩道だったんだけど、足元を見てみると他は全部凹凸のあるいかにも摩擦係数が大きそうな路面になってるのに、わたしが滑った場所だけ凹凸のない案内板が埋め込んでありました。運悪くその一枚だけ貼ってあった道案内の板に足を踏み出して滑ってしまったわけで、こういう運の悪さも今年で払拭出来たらいいなぁと思ってます。

☆ ☆ ☆

体に気をつけて、背を伸ばし、前を向いて歩いていきましょう。
皆様も良いお年をお迎えください。





LOMO LC-A +MINITAR1 F2.8 / 32mm
LOMO XPro 200をクロスプロセス現像。
クロスプロセス現像はポパイカメラ仕上げです。


☆ ☆ ☆


The Killers - This River is Wild


若干UKのロックバンドの印象があるけど、アメリカの、それもラスベガスから出てきたバンド。
野太いサウンドとメランコリックで繊細な感じが上手くミックスされているのが印象的って云うところかなぁ。
ちょっと土臭い気配もあるかも。
キャッチーで乗りやすい気持ちいい音で迫ってきます。
わたしはアルバム、サムズ・タウンを聴いただけだったので、それほどメジャーなバンドだと云う印象ではなかったんだけど、今ではアメリカを代表するようなロックバンドになってるんですね。
日本でも人気があるのか最近来日したようです。日本でキラーズといえば、ピンキーとキラーズがいるわけで、でもそんなこと全く知らなかっただろうなぁ。


サムズ・タウンサムズ・タウン
(2010/08/04)
ザ・キラーズ

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【写真】さらに燃える世界 Velviaによるクロスプロセス +【音楽】痙攣ボーカル再来 Pere Ubu  Navvy

ベルビアのクロス1


暫く美術館にも行ってないけど、涼しくなってきたということもあってこういう場所に行くにはいい季節になってきました。
ということで来月は実はちょっと前から楽しみにしていた展覧会があります。
誰の展覧会かというと、国立国際美術館で開かれる工藤哲巳の回顧展。アヴァンギャルド全盛の60年代、反芸術の旗手だった人で、美術の本では見たことがあったんだけど作品の実物はほとんど見たことがなく、特にグロテスクで異様なオブジェ作品は写真じゃなくて物質的な質感、量感を伴った形で見てみたいと思っていたものでした。これは来月の2日から。またこの回顧展は東京と青森へ来年巡回する予定らしいです。
もう一つは来年になるんだけど、2月に同じく国立国際美術館で開催予定のアンドレアス・グルスキー展。ドイツの現代写真の作家で、ヴォルフガング・ティルマンスを初めとしてドイツ現代写真の世界ってかなり興味があるから、これは絶対に逃さないでおこうと思ってます。ちなみに東京では先行で開催されて、今はすでに終了してる模様。開催地は大阪の中ノ島ですけど、もし興味を引かれたら、行ってみてはいかがでしょうか。

工藤哲巳回顧展
アンドレアス・グルスキー展



☆ ☆ ☆

この前記事にしたクロスプロセスの赤かぶりしたフィルムの別のコマをいくつか載せてみます。ちなみにクロスプロセスについてもう一度ごく簡単に書いておくとポジフィルムをネガフィルムの方法で現像するというイレギュラーな現像方法のこと。
さらに今回は音楽のほうが先にあって写真を選んだ感じになってます。

音楽はこれもまた前回の記事で話題にしたペル・ウブの別の曲。前回のペル・ウブよりは、実験的というか、ペル・ウブの本領発揮という感じの曲です。前回の記事で取り上げた後でついでに他にどんなのが上がってるんだろうと探して見つけたこの曲を聴いていて、視覚的にはメンバーの写真が数枚と、「DUB HOUSING」のジャケット写真しか出てこないけど、こっちにしたほうが良かったかなぁと、そんなことを思ってました。そうこうしてるうちにこういう曲はクロスプロセスの写真と合いそうな気がしてきて、クロスプロセスのほうもまだブログに出してないのがあったし、それではこの曲とクロスプロセスの写真の組み合わせで記事にしてみようと思い至ったわけです。記事の体裁はいつも通りだけど、今回はいつになく音楽との親和性は強くなってるはず。

冒頭の写真が一番音楽的なんじゃないかなと思います。花壇の写真だったんだけど具体的な花の属性ってほとんど飛んでしまって、なにやら妖しくも抽象的な絵柄に近くなってるのが、後になって妙に気に入った写真。
最初見た時は全然花の写真じゃなくなってる!と、失敗写真の内に入れてました。でも花を撮ってそう見えなかったにしても、それならば結果として花の写真じゃないと思えば、なにやら火山の噴火口から飛び散る火花のようにも見えるし、あるいは何に見えるとか無理にそんな具象の何かを持ってこなくても、これはこれで何か成立してるものがありそうな気がします。


ベルビアのクロス2


ベルビアのクロス3

工場っぽい素材を被写体にしても、インダストリアル・ミュージックのような感じっていうのにはなかなかならないというか、殺伐とした雰囲気で神経をささくれ立たせるような写真というようなのはどうすれば実現できるのか。ノイジーな写真でも、聴覚ほどは直接入り込んできて神経に直に絡みつくような感じにはならずに、さらにまた殺伐としてるといえば、たとえば血みどろの不快な映像のようなものであっても同様に、衝撃的ではあったとしても、対象と自分との間に何がしかの距離があるスタティックな客観性はどこかで保持されてるような気がします。何よりも映像は瞼を閉じればシャットダウンできるし。
結局のところ音楽が一番近いところまで感覚に肉薄するメディア?

それはともかく、これ、手前のドラム缶に写りこんでる光景が、意外と絵になるかも。3連積み重ねで若干差異を含んで並んでる、ここだけ切り取って写真にしても面白かったんじゃないかと思います。
反射するものとか映りこんでるものとか撮るのは好き。でもすぐに自分も映り込んだりするから、セルフ・ポートレート風に積極的に映り込みを活用する写真家もいるようだけど、ちょっと悩みどころだったりします。自分の映り込みを避けようとして、こういう写真の全部といっていいほどちょっと斜めから狙ったものになるんですよね。


ベルビアのクロス4

これは工場の煙突の別バージョン。この世界の光景とは思えない。
ロシアのカメラLC-Aのロシア的に不安定な露出計大活躍っていう所だけど、これクロスしなかったらどんな写りになってたんだろう。
フィルムは何をするにしろ不可逆な物質なので、たえず確かめられないもう一つの何かっていうものが付き纏って、想像をたくましくさせるところがあります。

全部真っ赤の結果で帰ってきたのを見た時はなんだかなぁっていう気分もあったけど、個別に見てみると意外と面白い効果になってるものもあって、やっぱり昔の、インディーズっぽい作りでサイケデリックな実験映画の一齣なんていう雰囲気は、他のフィルムでクロスプロセスをやった時よりは濃厚に出てきてるように思います。赤という色が強烈なのかなぁ。血の色で恐怖や不安を煽り立て、無意識に危険なサインとして刷り込まれてる色。世界が染まる色としては一番非常識な色かもしれないです。
この前は出来は面白かったけど、もうこのフィルムでクロスプロセスはしないだろうって書いたものの、もう一度くらいはやってみてもいいかなとちょっと宗旨替えしてしまいそうな気分になってます。

ちなみに撮っていたのは伏見の三須閘門から宇治川にかけての河川敷でした。この宇治川は八幡で淀川と合流した後大川の分岐点である毛馬閘門地区まで続いていきます。



LOMO LC-A +MINITAR1 F2.8 / 32mm



☆ ☆ ☆


Pere Ubu - Navvy


デビッド・トーマスの引きつりボーカル全開!この前のデビューアルバムとこの曲が入った「DUB HOUSING」というアルバムはレコードを持っていて、昔聴いてた時は平気で裏声にひっくり返る変なボーカルだなぁと思うほうが強かったけど、本当に久しぶりに聴いてみると、なかなかスリリングな不安定さで突っ走っていて昔聴いていた時よりもかっこよく聴こえました。
曲全体も荒削りの生々しい音でポスト・パンク的、ガレージ・バンド的な雰囲気が横溢していて、ドラムがドコドコ叩き出しながら煽ってるけど、これは絶対に高揚感じゃない、どちらかと言うと気が滅入ってくるようなダウナー感覚のほうが強いと思わせるところが、このバンドの特質なんでしょう。



Dub HousingDub Housing
(2008/10/28)
Pere Ubu

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☆ ☆ ☆


今日濡れた歩道で滑って転倒してしまい、左手で受けたのが影響して、左腕の骨にひびが入ってしまいました。
去年に続いて骨のトラブルに見舞われてしまって、片手でタイプ出来ないこともないけど苦痛なのでブログを暫くお休みします。
3週間くらいで治るという話だったので、それまでに復帰できると思いますけど、その時はまたよろしくお願いします。コメント返せそうにないので、また暫くコメント欄を閉じておきます。
ある程度治るまでカメラが構えられない!これがちょっときつい。          



【写真】燃える世界 +【音楽】恋する惑星 Faye Wong 夢中人

ベルビア・クロスプロセス01



J・G・バラードの小説のタイトルを借りてきてます。このタイトルが本当にぴったりの、今回は真っ赤な写真。
これ、クロスプロセスで現像したフィルムでした。真っ赤になってるのは、後で書くようにかなり思惑外れだったんだけど、そのイレギュラーな現像の結果となります。

クロスプロセスについてちょっと説明すると、これは最近のデジカメでもアートフィルターといった形で効果を適用できるような機能がついてるのが一杯市場に出てると思うけど、フィルムのほうはデジタル処理じゃなくて実際にフィルム上で化学反応として実現させる特殊な効果ということになります。
その前にフィルムのことも少し書いておかなければならないんだけど、カラー、モノクロの違いのほかに、一般的な用途で売られてるフィルムには大まかにネガフィルムとポジ(リバーサル)フィルムの二種類があって、ネガは反転した画像としてフィルムに定着、ポジはそのまま普通の画像としてフィルムの上に定着させることが出来ます。
だからポジフィルムは最終的にフィルムそのものが小さな写真の繋がったものになり、一応そこからネガのようにプリントも出来るんだけど、フィルムそのものをルーペで鑑賞したり、スライドとして大きく投影したりして写真を鑑賞するような形になることが多いです。わたしは基本的に紙媒体の上にプリントされ、何の補助もなく多数の人間がそれを鑑賞できるというのが本来的なあり方だと思ってるので、ルーペで覗くような写真との接し方は、覗きこむことは以前の記事でも書いたように結構好きな視覚体験ではあったりするんだけど、この場合はわたしが考える写真のあり方とはちょっと違うと感じるところもあります。撮影行為が孤独な行為であるのに、何も出来上がってからも、手軽に共有体験できずに、個の中に閉じてしまうような見方をすることもないだろうと、フィルムを使い出して短いなりにももう何年にもなるけど、ポジフィルムは今に至るもほとんど使ったことがありません。

さて、クロスプロセスというのは、このポジフィルムを使って撮影したものに対して行う処理なんですが、どういうことをやるかというと、ポジフィルムの現像を、使う薬品も違うネガ現像の方法で処理するということをやります。ネガ・ポジの異なった現像プロセスをクロスさせると。これは手順としては完璧に間違った手順なんだけどその間違った手順をあえてやることで通常だと手に入れられないイメージを得ようとする方法です。

クロスプロセスの結果は極端な色転び、ハイコントラスト化、粗い粒子状の画像といった特徴として現れることになります。
共通してこういう特徴が出てくるけど、だからといってポジフィルムだと全部同じような結果になるかというと、実はそうでもなくて、特に色の転び方でかなり個性が出てきます。わたしはこのクロスプロセスをするためのフィルムを選ぶ時にこういうことをあまりよく知りませんでした。どれでもポジフィルムだったら良いんだろうとしか思わなくて、目の前に並んでるポジフィルムから適当なのを一本選んだだけ。
その時選んだフィルムはフジフィルムが出してるベルビアというポジフィルムだったんですが、一般的にクロスプロセスの色転びは黄色か緑へのシフトという形で現れるのに、このフィルムはとにかく赤に転んでしまうのが特徴のフィルムでした。
一般的に予想される色転びとはかなり異質で強烈な結果となるので、そういうことを知らずにベルビアを使った人は失敗した!と思う人が多いとか。
わたしは失敗したとまでは思わなかったけど、買ってからこれは赤に転ぶフィルムだと知り、ネットで真っ赤になったサンプルを見てはいったいどうなるんだろうと、撮ってる間からサスペンスフルな気分を味わっていました。

おそらく非現実感で一杯の写真になると思ったから、日常から離れたようなところで写真撮るのが良いだろうと思い、荒涼としたものを撮った宇治川の河川敷へ行って、一日でベルビア一本撮りきってます。クロスプロセスは現像液が痛むから普通の現像所では受け付けてくれない場合がほとんどだったりするので、その後現像はいつものフォトハウスKじゃなく、どちらかというとクロスプロセスを推奨してるようなロモグラフィーのラボに郵送で頼みました。ネットではクロスプロセスを受けてくれるところがいくつかあって、ロモラボもその一つ。このベルビアのあともう一本、今度は違うポジを使ったクロスプロセスをやったんですけど、その時はポパイカメラというまた違うところで処理してもらってます。




ベルビア・クロスプロセス03





ベルビア・クロスプロセス02



ロモラボから帰ってきたフィルムとプリントを見ると、予想通り全体に赤いフィルターをかけたように真っ赤。黄色から緑色辺りで色転びするのを期待してやってみようと思ったのとは、最初に書いたように全く思惑外れの結果となってました。
一応その結果から、赤になったのがわりと写真内容に効果的だと思ったものを今回載せてます。
眺めてみた感じでは夢の中で見る光景のようだとか、まるで二昔前くらいの実験映画にでも出てきそうなイメージだなぁというのが第一の印象でした。極彩色ではないけどサイケデリックといえばサイケデリックな映像。だから最初の思惑から外れてはいたけど、これはこれで面白い結果になったんじゃないかと思います。とはいうもののもうベルビアをクロスプロセスに使おうとは思わないけど。

一番上のは木の陰の細かいところが全部赤の細かい濃淡になってかなり強烈なイメージになってるのがかっこいいです。
工場の煙突のは電線がちょうど煙の位置にかかってしまったのがどうなんだろうと、ちょっと判断できない形になってます。画面にこんな形で入っていても良いのか、電線はなかったほうが良かったのか。ただこの写真宇治川の土手の上から京阪の線路や道路を挟んで向こう側にある工場を撮る形になって、立ち位置を自由に変更できなかったから、電線を避けることは不可能に近い状態でした。

土手の石段は実物はどうってことのない石段なんだけど、ハイコントラスト、目立つ粒子といったものも相まってなんだか凄く意味ありげなイメージになってると思います。



ベルビア・クロスプロセス04


フィルムの性質上、その中の特定の駒だけをイレギュラーな処理にするということが出来なくて、とにかく一本全部がその処理の元におかれることになります。だからこういうことをするときはクロスプロセスにしたら面白そうと思うものだけを撮っていくほうが良いかもしれないと、そんなことが出来るかどうかは別にして思ったりしました。
それと、撮影そのものは普通に写してるわけで、普通に現像したら普通の写真が出来上がるんだけど、こういうイレギュラーな現像をするとその時点で普通に写っていたはずの写真は全部破棄されてしまうことになります。このフィルムで撮った写真が本来的にどう写っていたのかはクロスプロセスをやった時点でもうどうやっても確認することは出来なくなってしまいます。
いうならば完全不可逆の一発勝負になるわけで、こういうところが、クロスプロセス・フィルターをかけてみたけどいまひとつだから元に戻そうというようなことが可能なデジタル処理と大きく違うところだと思います。
でも一見こういうことってフィルムの弱点のように見えるけど、使ってみて思うのは実はこういう不可逆性というのはむしろフィルムで写真を撮ることの面白さを支えてるんじゃないかということ。
いつでも一回きりのチャンスで後戻りできずに、失敗してるかもしれないということが必ず寄り添ってるフィルムという存在は、使うたびにスリリングな体験をさせてくれる存在でもあります。







LOMO LC-A +MINITAR1 2.8 / 32mm

今回の写真はフィルムからのスキャンじゃなくて、ラボでCD化してもらったものからコピーしてます。


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Faye Wong 夢中人



ウォン・カーウァイ監督の映画「恋する惑星」のテーマ、でいいのかな、劇中とエンドクレジットのところで流れる曲。この映画の音楽としてはむしろパパス・アンド・ママスの「夢のカリフォルニア」のほうが耳に残ると思うけど。
映画の内容に良くあった、不思議少女を演じたフェイ・ウォンのキャラクターそのもののようなキュートでワクワクするポップソング。全体的にこの映画の音楽セレクトはセンスが良いです。もとはクランベリーズの曲でこれはそのカバーになるんだけど、フェイ・ウォンのために書かれたような印象になってます。

映画のほうは返還前の香港で生活する2組の男女の恋物語をアジアの猥雑な都市を舞台にまるでフランス映画のようなスタイリッシュな映像で綴っていく映画でした。前半のカップル、若い金城武が演じてるんだけど、そのカップルの話が後半のトニー・レオンとフェイ・ウォンの物語とちっとも絡まないで終わってしまうというところとか、あるいは自分の部屋を勝手に改ざんされてるのにまるで気がつかないトニー・レオンの不自然なほどの鈍感さだとか、あまり出来がいいシナリオとは思えないんだけど、全体の洒落た映像と音楽と気の利いたせりふで見せきってしまうタイプの映画。映画の中で体験する空間や時間のリズムがとにかく目と耳に刺激を与えて放さないといった類の映画でした。

タイトルもいいんですよね。簡潔で、特別な言葉を使ってるわけでもないのに、一度見たら絶対に忘れないようなタイトルになってる。その上映画の内容も上手く含めてるし、しかもお洒落。
もとは「重慶森林」なんていうタイトルなんだけど、この「恋する惑星」っていう邦題を考えた人は本当に凄い。
普通恋愛映画に「惑星」なんていう単語、頭に浮かびもしないです。