2015/12/11
秋の日に拾い集めた時間たち

2015 / 11 / Golden Half + 22mm Lens / Fuji SUPERIA PREMIUM 400

2015 / 11 / Golden Half + 22mm Lens / Fuji SUPERIA PREMIUM 400
前回の写真が向こう側への憧憬によって成り立っていたとするなら、今回はもうちょっと地表に留まってるところがある。
特異なものに視線が絡み取られて凝視したというよりも、通り過ぎなかったから結果視線を止めてしまったっていう感じ。感覚は極めてプライベートで、主観的なものだけど、その正体は自分でもよく分からない。
通り過ぎずに、そこで視線を流さなかったということの意味が、まるでカメラを通せば理解可能なものになるかもしれないとでも思ってるようなシャッターの切り方?
唯プライベートといってもこういう風に写真を撮って自分の視線を追体験してみると、プライベートだとか主観的だとか、自分のものといいながらも随分と視線はコード化されてると思う。生まれてから見聞きしたいろんなものがブレンドされて、自分のものだと、自分では思ってる感覚を作り上げていて、それは結局のところ他者の集合体に過ぎないもののようにも思えてくる。

2015 / 11 / Golden Half + 22mm Lens / Fuji SUPERIA PREMIUM 400

2015 / 11 / Golden Half + 22mm Lens / Fuji SUPERIA PREMIUM 400
蔦のような壁を這い回るものは、廃墟の記号だから面白い。でもこれよく見ると壁に這わせるように網が仕掛けてある。装飾的に這わせてあるわけで自生してるわけでもなく、廃墟的に見ようとしたならこれはちょっと興ざめなところがあるんだけど、撮った時には気づかなかった。
公園なんかにある遊具は被写体としては難易度が高いと思う。何だか結構良い被写体になりそうに見えるのに、実際に撮ってみるとまるで様にならないというか、どうでもいいようなイメージにしかならなくて途方にくれてしまうことがほとんどだったりする。
☆ ☆ ☆
ちょっとお気に入りの造形作家、というかクラフト作家とでも云うのかな、そういう作家さんがいて、なぜその作家さんが気に入ってるかというと、その造形作家さんが撮っていて、自分の作品の素材にもしてる写真がわりと面白いからだったりする。影響を受けた写真集に宮本隆司の「建築の黙示録」をあげてたような作家さんだから、「建築の黙示録」は正確に云うと廃墟そのものじゃなくて解体中の建築を撮った写真集なんだけど、分類するならこれはどう見ても廃墟好き。こういう廃墟好きなんていうところでも感覚的に親和性があるんだと思う。
で、何でこんな話を始めたかと云うと、最近この人が愛用していたカメラのことを知って、これがあの興味を引いた写真を撮ったカメラなんだと思うと、わたしも欲しくなって手に入れたから。こういうところは基本的にミーハーな性格の持ち主だ。
フィルムカメラはペンFが好きでこれを使い、それ以外のデジタル一眼で使ってるのがペンタックスのK100D Superというカメラだそうだ。
フィルムのペン好きで廃墟好き。わたしも似たような志向があるから同調する写真があるのも当然のことか。
情報の出所が2009年とちょっと古く、今もこのカメラを使ってる可能性はかなり低そうだけど、少なくとも自分が面白いと思った写真はこのカメラで撮られたのが分かっていたから、今は当然遥かに性能がいいデジイチが出てるのを承知で手を出してみることにした。今時フルサイズでもないこんな古いデジタルカメラを買うのは馬鹿げてるかとも思ったけどね。
2007年くらいに出てきたカメラで、なんと画素数は610万画素。いまのアイフォンよりも貧弱な様子だ。ちなみにまるで傷も汚れもない綺麗なボディで、一度もページを繰ったことがないだろうというほど折れ目一つついてないマニュアルも含め付属品が全部ついて値段は1万円しなかった。形は今のデジタル一眼特有のおにぎりのような丸っこい形で、わたしはカメラの形としてはあまり好きじゃない。
ニコンのフィルムカメラにF100っていうのがあって、このカメラ使い勝手は凄く好きなんだけど、形が今のおにぎりタイプに変化していく途上にあるという雰囲気で、このせいであまり手に取らないカメラになってしまってる。このK100D Superのおにぎりカメラを使うことで、F100も使う気分が盛り上がるかな。

今主流のカメラと違うところは、センサーがCCDだということと、単三の電池駆動だということかな。専用のバッテリーだと生産されなくなった時点でカメラも先が見えない状態になるけど、市販の電池を使ってるとそういうこともなく、これは結構なポイントかも。あと、この作家さんはこれに70年代の古いペンタックスのレンズをつけて使ってるということだった。このカメラは古いペンタックスのレンズでも、本体の機能をかなり制限なく使える設計になっていて、それはコンセプトとしてはいいと思う。しかも古いペンタックスのレンズって安いんだ。
ただ70年頃というならタクマー銘のスクリューマウントのレンズになるのかなぁ。プラクチカマウントのレンズはわたしも何本か持ってるんだけど、さすがにこれはカメラに取り付ける形そのものが違うから、使えるといってもアダプターが必要になる。
もうちょっとで10年前となるようなカメラを持って、そのうち出かけようと思う。センサーが今のものとは異なってるのが好影響となって、さてフィルムカメラのように時代を違えたような雰囲気の写真が撮れるだろうか。
古いフィルムカメラ使ってると、本やCDのことでも書かない限り、アマゾンのリンクが貼れなくて面白くないので、ゴールデンハーフは何度目のリンクになるか分からないけど、貼れそうなものを書いた時は積極的に取り上げてみる。
K100D Superのほうはアマゾンだと結構高い。