2016/05/16
砂塵 + Throbbing Gristle - Desertshore Installation

2016 / 04 / Canon 7 / Fuji PRESTO400を自家現像

2016 / 04 / Canon 7 / Fuji PRESTO400を自家現像

2016 / 04 / Canon 7 / Fuji PRESTO400を自家現像
昨日の15日はわたしの誕生日!
京都では葵祭の日で、毎年このお祭りの日に一つ歳を重ねる。葵祭のほうにしたら、お前の誕生日なんか知らないと言うだろうけど、わたしとしては葵祭はなんだか他人事じゃないような感じが少しだけあったりする。
最近は迷い道に入り込んだような写真の撮り方になってるけど、これからの一年、そういう気分を吹っ切れたらいいなぁ。
☆ ☆ ☆
気温も上がってきて現像液の温度管理もほとんど室温で大丈夫な季節になってきたこともあって、今年になって始めてやってみたモノクロフィルムの自家現像。久しぶりだったので思い切り勘違いして、かなりイレギュラーな手順を踏んでしまい、その結果が今回の写真となる。ちょっと前にフィルム写真に起こることのすべては失敗なんかではありえないと書いたので、たとえ勘違い処理の結果だったとしても、それもまた偶然の産物、口が裂けても失敗なんて云わない。
二段増感で撮ったフィルムだった。フィルムの本来の感度、このプレストの場合はISO400なんだけど、その感度400のフィルムを感度1600の設定で撮影する。感度1600で撮ったら当然のことながら光量不足のフィルムが出来上がる。その露出アンダー状態のフィルムを現像の段階で増感現像して全体を持ち上げるというようなやり方だ。何か難しいことをやってるように見えたらそれは全然違って、単純に現像時間を普通よりも多めにとるといった作業だ。
わざと露出不足の状態で撮ったフィルムを通常よりも長い時間をかけて現像すると、光量が少なくても一応光が入った部分は時間を長く取った分現像がどんどんと進み、光がほとんど入らなかった暗い部分は時間をかけてもあまり像が持ち上がってこなくて、結果ハイコントラストなネガが出来上がる。基本光量が不足してるわけだからフィルムの粒子は目立つことになって、全体にざらついた質感の写真になる。
また、増感での撮影、現像はこういうハイコントラストや荒れた効果を狙う意味合いもあるけど、シャッター速度を稼ぐためという意味合いもある。実際のところ二段程度の増感だったら、今のモノクロフィルムは性能がいいので、そんなに荒れた感じにもならなくて、シャッタースピードを稼ぐ意味合いで使うほうが多いかもしれない。
で、この今回のフィルムなんだけど、フジが出してるデータ表をみて、二段増感で液温20度だったら9分か、と確認した後で現像を始めたのはいいとして、普通に現像する時は現像液を二倍に希釈して使ってたから、この時も何も考えずに水で薄めて現像してしまった。
ところが後で気づいたんだけど、確認したデータは現像液をそのまま使った時のデータだった。要するに薄めた現像液で原液のときに要する時間で処理したために、まるで現像時間が足りない状態で切り上げてしまったというわけ。しかも、データ表を良く見ると二倍希釈の時は一段オーバーまでしかデータが記載されてなくて、希釈した現像液での二段増感はフジフィルムのほうから、それはどうなるか分からないよと宣言されてるようなものだった。
そんなイレギュラーな作業の結果できあがったのがこんな感じ。
・・・意外と上手くいってる?
確かにコマとコマの境目がどこか分からない、シートに入れるのにカットしたいんだけど、どこでカットしたらいいのかさっぱり分からないというようなコマもあったんだけど、きちんとイメージが出てきてるコマもそれなりに出来上がって、フィルムの上に並んでた。
暗く幻想的なイメージになってなかなか面白い。
でもこういうイメージは気をつけてないとすぐに、とにかく森山大道エピゴーネンへの道まっしぐらっていう感じになってしまうのが玉に瑕かな。誰かの撮った写真そのものの影響とかは受けないようにしつつ、それでも、随分と前にここで取り上げた田原桂一の窓シリーズの、光の粒子が物象化したような感じは自分なりに撮ってみたいと思っていて、こういう方法でいけるんじゃないかと思った。森山大道は良くなくて、田原桂一エピゴーネンはいいのかと云われると、これは言葉を濁すほかない。
この後さらに一本二段増感で撮って、これはちょっと現像に時間かけすぎて全体に白っぽいイメージとなっていた。今、次のモノクロを入れた状態になってるのはもうちょっと極端に、三段増感、現像時間少なめでやってみようか。
使ったカメラ、キヤノン7はライカのL39マウントのレンズを使える、古いレンジファインダー。でもこれはもう使わない。
ファインダーの覗き口の周りが金属の角ばったデザインで囲まれていて、眼鏡のレンズの片隅に擦り傷がついたから。これは昔のカメラでもちょっと酷い。ファインダーの中は広くて見やすいんだけど、眼鏡に傷がつくのとの交換では、これはあまりにも分が悪すぎる。眼鏡かけてる人はこの機種は要注意だ。
☆ ☆ ☆
こういう類の音楽が合いそう。
Throbbing Gristle - Desertshore Installation (Jam Extract)
スロッビング・グリストルの曲。今はグリッスルという読み方になってるようだけど、昔はグリストルといってたように思う。
これ、確か12枚組のCD-Rでリリースされたものだと思うけど、アマゾンにはなかったし、CD-Rという時点でほとんど自主制作盤のような感じで、というかインダストリアル・レコードというのがスロッビング・グリストルのプライベート・レーベルだったりして、すべてが大手の流通に乗るCDでもなさそう。
スロッビング・グリストルの音楽はサブカル御用達のような小さな輸入盤専門のレコードショップに置いてあった怪しげなレコードで聴いてたから、むしろCDになってるのをアマゾンなんかで見つけたらかえって吃驚する。えらく堂々としていて、日の当たる場所においてあるような有り様は、暗い、いかがわしさにはあまり似合わない。
どこか肉感的で催眠的なリズムがかっこいい。ノイジーなギターサウンドはちょっと浮いてる感じがしないでもないけど、中盤のコーラスが入ってくる辺りの雰囲気はこの類の音楽にしては冷たい美しさに満ちていて結構好きだ。
☆ ☆ ☆
上の曲が入ってるのは探せなかったので、セカンドとついてはいるものの、スロッビング・グリストルの実質的なデビューアルバム。
でも音楽的な音とは随分と離れてるというか、聴くのは一種の修行のようになるかもしれない。