【洋楽】我が耳に残るクリスマスソング

前回の記事も京都駅のクリスマスツリーで終わってることだし、繋がりも良いということで今の季節にぴったりなクリスマスソングの話題です。
去年もちょうど今くらいの時期にクリスマスソングの記事を一つ書いてます。それで今回もまた同じように、クリスマスソングの記事でも書こうかなと思いたちました。
そう思い立ってから今年はどういう曲が良いだろうと曲集めに思いを巡らせ始めたんですが、集め始めて程なくしてから、ちょっと困惑することに直面することになりました。
実は去年記事にしたクリスマスの曲はわたしが今まで耳にした曲の中では一番のお気に入りとそれに近いものばかりを集めていたんですが、この時に後先考えずにわたしにとってのベスト1級のものばかりを集めて記事にしたものだから、今年のこの記事にどんな曲を入れてみようかと思っていろいろ考えてみたら、去年のと重複しないような選択にすると、一番のお気に入りが何一つ入ってないクリスマス・ソング集になりかねないって云うことに気づいたんですよね。クリスマスソングなんてそうそう毎年大量に新曲が出てくるわけでもないから、年毎にお気に入りが変わる可能性もまずないと。
お気に入りの入ってないクリスマスソング集を記事にしても面白くないなぁって思って、それでしばらく考えてました。
結局、お気に入りはお気に入りとしてまた記事に入れてしまうしか方法はないと開き直って、今回の記事にも去年の選曲の一部を組み入れることに決定。一応アレンジ違いのものを選んだものの、去年わたしの記事を読んでくれた人には同じ曲がいくつか並んでしまうことになりました。

どんな曲が良いか選んでいて思ったのは、これもまた去年に同じようなことを書いてるんですけど、「ホワイトクリスマス」だとか「ジングルベル」だとか「サンタが町にやってくる」だとか、ポピュラー的なクリスマスソングよりも、やっぱりどちらかというと賛美歌、あるいは賛美歌のような響きを持ってる曲のほうが好みに合ってるかなということ。だからといって別に教会に足繁く通ってるわけでもないんですけどね。でもなぜかこういう響きに心惹かれるところがあります。


☆ ☆ ☆

☆ El noi de la mare ☆





ということでトップバッターは去年と同じ、去年はセゴビアのギター演奏バージョンをアップした「聖母の御子」です。今回の最初のほうはJean-Felix LalanneとMuriel Andersonのデュエットによる同じくギター演奏。下のほうはこの曲のコーラスバージョンがあったのでアップしてみました。
Jean-Felix LalanneとMuriel Andersonのギターのほうはウディ・アレンの2008年の映画「Vicky Cristina Barcelona(邦題 それでも恋するバルセロナ)」の挿入曲としても使われてます。

スペインのカタロニア地方に伝わる古い歌で一般的にはカタロニアのギタリスト、ミゲル・リョベートがギター演奏用に編曲したカタロニア民謡集の中の一曲として知られてます。そしてこの曲はクリスマスキャロルとして良く歌われる曲の一つでもあります。
素朴なんだけどそのシンプルな旋律が含み持ってる和声の動きがことのほか綺麗な曲という印象で、わたしはこの曲のそういうところが大好き。
コーラスのものは他にもいくつか聴いてみたんですが、後半の下降していく旋律部分はなぜか歌の旋律の中には含まれてないんですよね。どうしてなのか分からないけど、この後半部分の旋律が結構好きなので、それを欠いたコーラスバージョンは若干物足りないところがあります。


一応探せるものはCDの情報も置いておきます。

DuetDuet
(1999/04/06)
Muriel Anderson & Lalanne

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それでも恋するバルセロナ オリジナル・サウンドトラックそれでも恋するバルセロナ オリジナル・サウンドトラック
(2009/05/27)
サントラビエル・バレスター・トリオ

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☆ It Came Upon The Midnight Clear ☆



賛美歌114番「あめなる神には」という邦題がついてるクリスマスキャロル。
アメリカ産の賛美歌で1850年に音楽家Richard Storrs Willisの手によって作曲されてます。この曲は一風変わった特徴があって、同じタイトルではあってもイギリスで歌われてるものはメロディが異なってるんですね。アメリカのクリスマスキャロルなんかに負けていられるかというような対抗意識でもあったのか、イギリスのこの曲はイギリス本国にある昔からのクリスマスキャロルを作曲家Arthur S. Sullivanが編曲した旋律に乗せて歌われてます。ちなみにこの人は劇作家William S. Gilbertと組んで数々のオペレッタを世に送り出したことで有名な人。ギルバート・アンド・サリヴァンのサリヴァンさんです。
だからこの曲に関しては同じタイトルだからと聴いてみればぜんぜん違う讃美歌が出てくることがあって、おそらくそれがイギリスバージョンなんでしょうけど、わたしの聴く限りでは曲の出来はアメリカ版のこの旋律のほうが圧倒的に良いです。
去年はイーディ・ゴーメが歌ってるものを取り上げました。イーディ・ゴーメらしい非常に伸びやかでつやのある気持ちのいい声で歌われていて、いつもながらの歌の上手さが際立ってるような仕上がりのものでした。この曲はわたしにとってはイーディ・ゴーメのものがベストという扱いになってます。ちなみに「~That glorious song of old」の部分のEm→A7→Am7→D7っていう和声の動き(おそらくこれで間違ってないと思うけど)に乗って伸びていくゴーメの歌声がわたしにとってのツボをつかれたちょっとしたポイントだったりします。
今回アップしたのはイーディ・ゴーメのものとは完全に曲調を変えて、マヘリア・ジャクソンのゴスペル・バージョンです。心に直接切り込んでくるように歌われる、こういうソウルフルな形もまた聴き応えがあっていい感じです。
ちなみに1991年の映画「A Midnight Clear 邦題:真夜中の戦場」でかなり印象を違える編曲を施されてこの曲が使われてます。わたしはこれも聴いたことがあるんですけど、編曲者が映画の意図に合わせすぎてるようであまり好きな感じではなかったです。


Christmas with MahaliaChristmas with Mahalia
(1990/07/16)
Mahalia Jackson

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このCDは今のところ入手不可。同タイトルのジャケット違いのものがあるんですが、トラックリストが無かったために同じ内容なのか確認できませんでした。



☆ Christmas Time is Here ☆



「PENUTS」の1965年の初アニメ映画「A CHARLIE BROWN CHRISTMAS (邦題 スヌーピーのメリー・クリスマス)」に出てくる曲です。このアニメが成功したおかげで「PENUTS」はTVシリーズ化されることになって、スヌーピーなどのキャラクターが広く知られるきっかけになったそうです。作曲と演奏をしてるのはジャズ・ピアニストVince Guaraldi。
この子供の歌声を使ったボーカル・バージョンはアニメに使われてたものです。後にスタンダード曲になっていろんなミュージシャンがカバーすることになるんですけど、この子供の奇をてらわない素朴な歌声が何だかこの曲には一番あってるような気がします。
わたしはこの曲を聴くと静かに降り積もる雪の光景を思い浮かべたりします。内省的な雰囲気も少しあるような曲ですが、歌詞の内容は意外にもクリスマスの楽しさ、幸福感について歌ってるんですよね。



A Charlie Brown ChristmasA Charlie Brown Christmas
(2006/10/10)
Vince Guaraldi

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☆ In the Bleak Midwinter ☆



邦題は讃美歌468番 「木枯らしの風 ほえたけり」
先にも書いたようにキリスト教徒でもなんでもないわたしの胸の奥にまで、どうしてこれほど迫ってくるものがあるのかと思うくらいに清廉で美しく、教会という空間で歌われることがこれほどふさわしいものもあまりないのではないかと思わせるような曲。
波乱万丈の展開でこちらの感覚を翻弄するでもなく、どちらかといえば訥々と語りかけるような曲調なんですが、むしろそういうシンプルさを持ち合わせてることが胸に迫るような感情を徐々に引き出してくる要因になってる気がします。
桂冠詩人Christina G. Rossettiが書いた詩に、後になってイギリスを代表する作曲家のひとりGustav Holstが曲を作るという形で成立したイギリスの賛美歌。作曲年は1905年というから、現代の賛美歌という扱いになるんでしょうね。
ちなみにこのGustav Holstはあの「惑星」の作曲家のホルストでもあります。「惑星」のなかの一曲「木星」を何年か前に平原綾香が歌にしてました。これも優れて美しい旋律を持った曲でした。

こういう旋律をもってる曲だからなのか、他にもクロスオーバー系の歌手、サラ・ブライトマン、とかケルティっク・ウーマンとか、IL DIVOとか、けっこう大勢のミュージシャンが取り上げたりしてるようです。わたしはシセルが客演して歌ったアルバム「Spirit of the Season」に入っていたバージョンも結構お気に入り。ただアルバム自体はクリスマスアルバムではあるんですけどかなり宗教よりの感じで、単なるクリスマスソング集として聴こうとすると結構違和感があるものでした。良かったのはこれと「Lux Aurumque」くらいかな。

この曲は映画のほうでは1995年の映画「 In the Bleak Midwinter (邦題 世にも憂鬱なハムレットたち)」というのに使われたことがあります。映画のタイトルは曲のタイトルそのままですね。


Gloucester Cathedral Choir(グロスター大聖堂聖歌隊)の「Christmas Carols」というCDが以前にリリースされてましたが、現在は入手不可。



☆ All I want for Christmas is you ☆



趣向を変えてボッサ・アレンジのクリスマスソング。曲はマライア・キャリーの「恋人たちのクリスマス」のカバーです。
2006年ごろに発売された「Christmas In Bossa」というコンピレーションCDに収録されてました。リオのレーベル「ALBATROZ MUSIC」から「~ In Bossa」って云うタイトルの、ジャンルを決めてそのジャンルの曲を全部ボサノヴァにしてしまうCDがいくつかリリースされていて、これはその中の1枚。
全曲本場ブラジルのミュージシャンが演奏していて、この曲を歌ってるのはマルセラ・マンガベイラ (Marcela Mangabeira)という人。実はこの歌手のことはわたしは良く知りません。どうやらボサノヴァの創世期に重要な役割を果たし、のちにプロデューサーになったロベルト・メネスカル(Roberto Menescal)の娘らしいって云うことくらい。アルバトロスというレーベルがメネスカルのレーベルだから、マンガベイラはこのレーベルの歌姫的な扱いのようです。


クリスマス・イン・ボッサクリスマス・イン・ボッサ
(2006/11/15)
オムニバスセシリア・デイル

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☆ White Christmas ☆



もう一曲ボッサ・アレンジのクリスマスソング、こちらは歌ってるのは小野リサです。
曲のほうはもう誰もが知ってるクリスマスの代表的な曲ですね。
一応補足的に書いておくと、ジョージ・ガーシュイン(George Gershwin)にアメリカのシューベルトと云わしめた作曲家アーヴィング・バーリン(Irving Berlin)の作。
曲の初出は1942年公開の映画「スイング・ホテル」で、ビング・クロスビーが歌ったもの。これが大ヒットしてのちにクリスマスソングのスタンダードになっていくわけです。1954年に「ホワイトクリスマス」っていうそのままのタイトルで映画はリメイクされて、この映画の主題歌としても使われました。
アーヴィング・バーリンといえばアメリカのポピュラーソングの創始者のような人です。「God Bless America」の作者でもあるから、アメリカ人でこの人を知らない人はいないんじゃないかと思います。アーヴィング・バーリンの曲だとわたしは「All Alone」なんかが好きかな。セロニアス・モンクが「セロニアス・ヒムセルフ」で弾いてたリリカルなソロ・ピアノ版を良く聴いてました。

マンガベイラの曲もこちらも冬の曲なのにボッサ・アレンジはほとんど違和感が無いです。むしろ冬のイメージの曲に南の国の温かい風が吹き込んで、気候的にちょうど良くなってるような感じさえします。
暖かくした部屋でリラックスして過ごすクリスマスって云うイメージになるのかな。ゆったりと流れる時間に耳をゆだねるのは、なかなか心地良いです。小野リサは声質もハートウォームな印象で、こういうアレンジには良く合ってると思います。


BOAS FESTASBOAS FESTAS
(2000/11/16)
小野リサ

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小野リサのクリスマス・アルバム。現在はamazonでは入手不可。
同じ内容のCDは別ジャケットで再販されていてそちらで利用できるんですけど、再販されたのはただの白っぽいだけのジャケットでつまらないです。



☆  Lux Aurumque ☆



去年のクリスマスソングのなかに、現代音楽の作曲家パトリック・ホーズ(Patrick Hawes)の「Quanta Qualia」って云う曲を入れておいたんですが、今回も同じような枠組みで一曲入れておきます。

エリック・ウィテカー(Eric Whitacre)作曲の合唱曲「Lux Aurumque」。

原題はラテン語で「黄金の光(Light of Gold)」という意味だそうです。「In the Bleak Midwinter」のことを書いてる中にシセルの客演アルバムで良かったとあげたもう一つの曲がこれです。
エリック・ウィテカーは70年の生まれというからまさに同時代をともに生きてる作曲家と云えるでしょう。現在は主に吹奏楽と合唱曲の作曲家として名前を知られています。
現代音楽の作曲家だしラテン語のタイトルがついた曲なんていうのもあるところから、若干面倒くさそうな印象も持つんですけど、ウィテカーは元々ロック好きだったらしくて、現代音楽的な範疇に入りそうにも無い「ラスベガスを喰い尽くすゴジラ (Godzilla Eats Las Vegas!)」っていうような妙なタイトルの曲も書いてます。

この曲の全体の印象は静謐でただひたすら美しい祈りの音楽といったようなものだと思いますけど、わたしがこの曲を聴いた時にさらに思ったのはそういう美しさと同時に、随分と音響的な作り方をしてる合唱曲だなということでした。時間に沿って展開していく旋律というような通時的な要素と同じくらい、その場で同時に鳴り響いてる音の層といった共時的な要素のほうをかなり重点的に考えて作られてるとでもいうか。こういう部分が凄く面白いものとして印象に残りました。最後のほうで途切れ途切れに音の塊が現れては消えていくようなところ。この辺は聴いていて、かっこいいなぁなんて思ったりしました。
共時的な音作りという点では、この曲がどれだけの声部パートに分けられてるかは詳しくは知らないんですけど、大体ウィテカーの作る合唱曲は構造がきわめて細かく分割されていて、多い時では16声部くらいにもなる曲もあるらしいです。隣接した音を細かく重ねるトーン・クラスター(ある音からもう一つ別の音の間にあるすべての音を同時に鳴らすこと)技法を使って、そういう時の響きは斬新というかかなり異様な印象を与えてくるようになります。

トーン・クラスターを使った緊張感のある音と多層にわたるパートが作る飽和状態になったような音空間、こういうのが美しい祈りの音楽と撚り合わされてウィテカーのかなり特異な音楽が姿を現すことになるんだと思いますが、こういう音楽って、その充満する音の海に聴感覚をゆだねてしまえば簡単にトリップできそうな感じがしますね。あるいはウィテカーの音楽を聴くことでトリップ感覚の擬似的な体験に近いようなものを感じ取れるっていうか。
もしも60年代後半にこの音楽が存在してたなら、キューブリックは確実に「2001年」で使ってたんじゃないかっていうことも思ったりしました。宇宙空間の絶対的な孤独とか、ボーマン船長が潜り抜けていくスターゲイトコリドーのシーンとかものすごく親和性がありそうです。


Eric Whitacre: The Complete A Cappella Works, 1991-2001Eric Whitacre: The Complete A Cappella Works, 1991-2001
(2003/04/29)
不明

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わたしが聴いてるのはこのアルバムなんですけど、amazonではどうやらこれも廃盤のようです。
マーケットプレイスのほうで出てるのは、2009年のこの時期、かなりのプレミアがついてますね。



☆ Auld Lang Syne ☆



この曲はたまにクリスマスソング集に入ってるのをみかけるものの、ほとんどクリスマスソングって云う印象はないです。
どちらかといえば聴いてしまうとクリスマスどころか一気に年末まで時間が飛んでしまうような曲です。でもYoutubeを漁っていてシセルが歌ってるのを見つけたものだから、クリスマスソングを探すという目的をそっちのけにして聴きほれてしまいました。その結実として、まぁわたしが好きな曲というだけの理由でここに入れてみたわけです。あえて日本語の題名は出しませんけど、赤ん坊、幼児を除いておそらく日本中の人が必ず耳にした事のある曲のはずです。
元々はスコットランドの古い歌、内容は古い友達と再会して、過ぎ去った懐かしい日々にともに乾杯するっていうような内容だったと思います。ここでは2番以降、シセルはおそらく母国のノルウェー語?だと思うんですが、自分の存在根拠を託してる言葉で歌ってます。そういう言葉で歌うのがふさわしい曲でもあります。

ということで、最後は年末に飛んでいってしまいましたが、2009年のクリスマス・ソング集でした。楽しめました?

では、メリー・クリスマス!です。



最後まで読んでくださってありがとう御座いました。
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