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【京都】南禅寺の紅葉 +名残の秋に一曲

南禅寺に紅葉の写真を撮りに行ってきました。少し前から紅葉の季節になったら観て来ようと色々考えてはいたものの、どこの紅葉が一番いいのかさっぱり判断がつかずに、意外と見ごろになるのが遅かったのも重なって、決めかねたまま保留状態になってました。ところが気がついてみると悠長なことをやってる間に紅葉の名所はとこもかしこも今が盛りみたいな状態になって、観にいくなら早急に場所を決めなければならないって云う状態になってました。
考えても目移りして決められなかったのが、事態が切迫したからといって急に決められるわけもなく、そこで植物園から園繋がりで動物園に行ったように、動物園から地形繋がりで南禅寺に行くことに急遽決定。南禅寺は毎週所用で出かけてるところから少し寄り道すれば立ち寄ることができる場所でもありました。

南禅寺って京都市の動物園の直ぐ近くにあります。動物園の南の噴水のある場所から東の方向に歩いて行くと南禅寺まで大体3~4分くらい。交通機関は色々あると思いますがわたしは地下鉄に乗ることが多くて、地下鉄だと蹴上の駅で降りてインクラインの線路沿いに少し歩くだけで南禅寺の参道に出られます。実は動物園に写真を撮りに行って、その後蹴上のインクラインから南禅寺辺りは先月の後半くらいに結構歩き回ってました。

先月の末にこの辺りを歩き回ってた頃は観光客が来ていても割とまばらな感じで、ねじりまんぽのあたりもトンネルをくぐる人なんてほとんどいなかったのに、一月経って紅葉のシーズンが到来してる最中に来てみるとやっぱり観光客が激増してました。南禅寺では空にカメラを向けない限り一定数以上の人が必ずフレームに入ってくるし、ねじりまんぽもトンネルをくぐる人がまるで列でも作ってるかのようでした。

南禅寺といってもお寺自体は割りと見慣れてるし、写真にとってもわたしには何だか代わり映えのしない写真になりそうであまり興味を惹かれないところがあります。ここでわたしが好きなのは南禅寺そのものよりも、境内の南東隅に異質な空間を開いてる水路閣のほうです。上を滋賀から京都にかけての運河ともいうべき疎水が流れてる煉瓦製の巨大な陸橋。異国風のデザインに名前のつけ方もかっこいい。テレビドラマでよくロケしてるところでもあります。こんなものを内に含むお寺ってまずないですよ。わたしはこの水路閣の古風とモダンが交じり合ったような感じが結構好き。南禅寺という古くからある場所にモダンで異物な要素を持ち込みながらも奇妙に馴染んでる近代建築物って、京都そのもののあり方のようにも見えます。
写真撮ってる人もここは見逃せないのか結構集まってきて写真とってました。橋脚部のアーチ状に刳られた面は水路閣の一番特徴的な部分なので写真に撮るのも順番待ちのような感じになってました。

動物園側からの参道を歩いてくると南禅寺境内に入る門に突き当たります。この門、南禅寺の中央に向けて設置されてるものとは別に南西の角にあって、調べてみたけど特別な名前は無いみたい。大きく南禅寺と書かれた札がかけられてます。おそらく大概の観光客はここから入っていく形になると思います。

境内は三門と法堂を境内の中央で東西に並べ、その周囲を木々の植わった庭園が囲み、さらにその外側を南禅院などのさまざまな関連した建築物が取り囲んでます。
わたしはこの日はとにかく紅葉が散りきってしまわないうちに写真に収めようと、寄り道感覚で紅葉を観に来ただけだったので、お寺の建築の中までは入らずに三門、法堂の周囲周囲を巡り歩いて紅葉を眺めたり、水路閣周辺の様子を写真に撮っただけでした。
三門は上に上がると京都が一望に見渡せるんですけど、登門するのに料金がいるのでこの日は止め。ちなみにこの三門って石川五右衛門が上に上って「絶景かな絶景かなと」やった門でもあります。

☆ ☆ ☆

南禅寺マップ

南禅寺の門
Nikon COOLPIX P5100

正門だかどうだか分からないですけど、疎水の方から来るとここから境内に入ることになります。

三門前の木々の空間
Nikon COOLPIX P5100

三門前に広がる木々が密集した空間。女の人が一眼構えて熱心にこの方向を眺めてました。傍から見ていて何か凄い被写体でもあるんだろうかってちょっと興味を引かれて、その女性が立ち去った後に同じ場所にわたしも立ってみて同じ方向を向いてカメラを構えてみました。見えた光景がこういうものだったわけなんですが、あの女性一体何に興味を引かれてこちらの方向に熱心にカメラ向けてたんだろうって、謎が解明できるどころか余計に謎めいた感じが残ってしまいました。人一人一人が同じものを見ても全然違うポイントに関心を持ってるって云うことなんでしょうけど、あの女の人、この光景の中の何がよかったんだろう。

三門前
Nikon COOLPIX P5100

三門の手前。紅葉も三門の様子も中途半端な捉え方になってしまいました、

10月下旬の南禅寺三門
Lomo Lc-a+ ; Kodak Ektar 100

ちなみに10月下旬の頃の南禅寺三門の様子です。こちらは法堂側から観たものですけど、観光客はあまりいなかったです。静かでわたしはこういう状態にある南禅寺のほうが好きです。

三門から法堂にかけて
Nikon COOLPIX P5100

三門から法堂へ続く南禅寺の中央部分の木々が立ち並ぶエリアです。この辺りは見てのとおり絢爛豪華。

落葉
Nikon COOLPIX P5100

地面を見れば一面が落葉で紅色になってました。写真撮る時は、下見て歩いてると結構面白いものが見つかるときがあります。あまり気を取られてると危ないですけど。

法堂
Nikon COOLPIX P5100

法堂の手前です。法堂の前に、これは香炉というのか、線香を立てる場所があって、その傍らには有料ですけど線香が用意されてます。参拝客はその線香を買ってここに立てていくわけです。線香の匂いが周囲に散ってこの辺りはまさしくお寺という雰囲気になってます。

クローズアップ!
Nikon COOLPIX P5100

わたしも試しに、よく観る背景暈し写真を撮ってみました。フィルムカメラだと全部撮りきって現像するまで時間がかかるので、紅葉の時期に間に合うように今回は写真の取り扱いが簡単なコンパクト・デジカメを持って出たんですけど、コンデジでもこの程度の写真は撮れるんですね。

紅葉のアップ!
Nikon COOLPIX P5100

文字通りの紅葉。でもこういう撮り方するとどこの写真なんだかさっぱり分からないというか。

水路閣
Nikon COOLPIX P5100

水路閣です。写真を撮る観光客で賑わっていて、誰もが入らないタイミングを取るのが難しいです。これも向こうのほうにちょっとだけ人が入ってしまいました。

水路閣の別アングル
Nikon COOLPIX P5100

別アングルから。こんな建造物がお寺の片隅にあるのはやっぱり凄いです。作る時によく許可したものだと思います。

水路閣と紅葉
Nikon COOLPIX P5100

水路閣の裏側というか、法堂に向いてる面とは逆の側。
南禅寺側から水路閣をくぐって、裏側に回りながら上のほうに続いて水路閣の天辺にまで導いてる石段があるんですけど、その途中から撮った写真です。
自分としてはこの日に撮った写真の中ではこの写真がお気に入りの一枚です。

水路閣からの散歩道
Nikon COOLPIX P5100

水路閣はその天辺、疎水が流れてるところまで上れるようになってますが、水路閣そのものの橋の上は柵が設けてあって先には進めないようになってます。だから上まであがってきた人は水路閣の上に水が流れてる光景を見て降りてしまう人がほとんどだと思います。
でもこの疎水の水路は流れてきた方向へ、水路閣とは逆方向にむけて水路沿いを散策できるようになってるんですね。道は木立の間に消えていって、一見立ち入ってはいけないような雰囲気なんですけど、水路沿いは疎水がやってくる方向に向けて散歩することが出来ます。この道を歩いてる人は本当にほとんどいないんですけど、ここまで来てこれを歩かないのは絶対に勿体無いです。
道の水路側は山、通路側の片側は写真では分かりにくいかもしれませんけど、じつは崖です。柵も無いので結構スリリング。たまに見回ってる人がいるみたいで、落ちた人がいないか調べてるのかもしれません。
この道の先にはインクラインの廃墟があります。南禅寺からは遠ざかってしまいますが、インクラインから南禅寺に戻るのは簡単なので、この疎水を辿る道はこの辺りの散歩には欠かせない場所だと思います。

☆ ☆ ☆

南禅寺って湯豆腐で有名で、門前にも湯豆腐を食べさせてくれる店が軒を連ねてます。今時分の季節はちょうど良いんですけど、写真を撮って帰り際、食事しようとする観光客が集まってるそういう店の前を通っていて、真夏でもやっぱり湯豆腐食べるんだろうかって思ったりしました。
観光できたら名物だからぜひとも食べて帰らないと気がすまないところですけど、真夏に湯豆腐ってほとんど苦行みたいです。

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Jo Stafford - September in the Rain


ジョー・スタッフォードの歌を一曲。ケニー・ドーハム同様、季節にちなんで「September In The Rain」

と云いたい所ですけど、秋にした恋を思い出してる曲で本当は春の歌なんですよね。でも細かいことは気にしないでおきます。

Harry Warren作曲の曲で37年の映画「Melody for Two」に使われてるんですが、もとはブロードウェイ・ミュージカルの曲らしいです。James Meltonという男性歌手が歌ってヒット。名演として知られてるのは演奏だったらジョージ・シアリングのもの、歌だったら、サラ・ボーンのものが有名です。わたしはSue Raneyが歌ったのが割りと馴染んでます。
このジョー・スタッフォードのバージョンの雰囲気が結構好き。真ん中あたりのスキャットと楽器がユニゾンで重なっていくところとかその後に続くオーケストラの部分とか。

☆ ☆ ☆



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【トイカメラ】植物園のリベンジをかねて動物園へ +ラテン・スピリチュアルその他

何だか同じ場所をぐるぐると廻り巡ってるような生活を送ってるうちに時間ばかりが過ぎ去って行くようで、動物園に行ったときのことを書こうと思い、撮った写真をスキャンして放り込んでおいたパソコンのフォルダを見てみれば、フォルダ名に記入しておいた日付は10月の半ば、思わないうちにもう一月も経ってました。
感覚的には夏が一年の真ん中にあると思ってるせいか、毎年この時期になってもまだ一年の半分が残ってるような気になってるんですけど、実際には1/4くらいしか残ってなくて、わたしにとって秋は来たと思えばあっという間に過ぎ去っていくといった感じの季節となってます。今年はあんな出来事に見舞われたために特にそんな感じが強いです。心の一部を夏の終わりの頃に置き去りにして来てしまったような感じがあって、なおのこと周囲で移り変わっていく季節の変化が早いような気がしてます。

☆ ☆ ☆

ということで、もう一月も経ったとは思えないんですけど十月の中ごろに京都市の動物園にカメラ片手に出かけてきた時のことをちょっとだけ書いてみます。タイトルに書いたので分かるように、夏の盛りにガッケンフレックスを首からぶら下げて植物園に試し撮りに行った時の、誰もいない、花も咲いてない木ばかりが目立つ緑一色の動くものの気配さえない単調な写真を撮ってしまったことにいささか忸怩たる思いを抱いてしまって、いつかもう一度もうちょっと小ましな写真を撮ってみたいって思ってたんですよね。
行く目的の場所を動物園に定めたのは同じ植物園って云うのも何か芸がないような気がしたから。夏の盛りのあの時の状態は最低であり、今行けば状況は好転して見物客で賑わって花も咲いてるかもしれない可能性も考えては見たものの、それほど間も空けずに再び植物園に行くのは二番煎じ的であまり新鮮味のない選択のように思えました。それでもう一度植物園に行くのはあまり気が進まなかったので、「園」繋がりという割と単純な発想で行く場所を動物園に決めてしまいました。

植物園は北山通りという名前で分かるように京都の北のほうにあります。意外と交通の便はよくて地下鉄の烏丸線に乗れば北山駅で直接植物園の入り口の前に出てこれるような形になってます。そこで今回の動物園なんですが、同じ「園」だから動物園も北山通りの近くにあるかといえば、こちらは結構はなれていて東山の方、岡崎公園の京都市美術館の裏側に設置されてます。美術館は正面が西側を向いてる建物だから、裏側というと美術館の東隣になります。美術館の裏手はちょっとした庭園になっていてその庭園を東に突っ切ると南北に走る並木道に出てきます。これが美術館の敷地の東側の境界といった感じで、動物園は並木道から車道を一本挟んだ場所で美術館の東裏側にその正面入り口を開いてます。
わたしは美術館はよく行くし、京都の観光案内でよく出てくる平安神宮の大鳥居の辺りから平安神宮、京都ホール、といった岡崎公園の西側は行動範囲の内に入ってます。でも行動はそのエリアが中心で動物園のある方角にはほとんど足を延ばしたことがなかったので、動物園が近くにあるということだけは知ってはいたんですが、まさか遊歩道に隣接した車道一つ挟んだだけという位置に、よく行く美術館とほとんど地続きで存在してるとは今まで気がつかなかったです。
面白いものでたとえば2~3メートル先に脇道があっても、そこを曲がって足を踏み入れない限りは、その曲がり角がたとえ目の前にあったとしても、その先を知らないというポイントでははるか遠くの海外を旅してるのと大して変わらないということなんですよね。逆に云うと見慣れた街角でも普段足を踏み入れない脇道を曲がるだけで、その行動からは海外旅行と同じような質のものを得られてるのかもしれないなんて思ったりします。

今回の動物園は普段散歩してる場所の、2~3メートル先の脇道を曲がったら思わないほどの目の前に予想外のものがあったという、ちょうどそんな感じの新鮮さがありました。

☆ ☆ ☆

植物園では目的の花も咲いてなくて動くものもなくひたすら緑一色の風景の中で真夏の日光に晒されて汗だけは体が干からびるほどかいていたという体験でしたけど、動物園はそういう状況とはまさしく正反対の場所で、園内は人で賑わっていて、動くものが一杯あって、色とりどりのものを一杯目にすることが出来るだろうと、「園」繋がりという単純な思い付きではあったものの、植物園では体験できなかったそういったことが目の前に繰り広げられるだろうと密かに期待してました。

まぁ結論から言ってしまうと、植物園ほどではなかったけど、こちらも期待した割には大したことがなかったと、そんな感じで動物園を一回りして出てくることになりました。
子供の時に訪れたことはあったはずなんですけど、そんなことはもう完全に忘れてしまうくらいに時間が経って訪れた動物園は、第一印象が何だか寂れてるっていうものでした。お客さんは結構来ていて園内の雰囲気は賑やかだったにも関わらす、全体の印象は何だか華やかさに欠けた印象というか。
大人の視線で観てしまったということもあるのかもしれません。そのほかにも一つの檻に1,2頭の動物しか入ってないようなコーナーが多かったり動物園全体の規模もそれほど大きくないということとか、檻や手すりやいろんなところの塗装なんかが微妙に剥げてたりするところがあって、動物を扱ってる場所だからある程度は仕方がないのかもしれませんけど、そういう状態で放置されたままになってる細部を見つけ出してしまうと、やっぱり印象としては寂れた感じがするのを避けられませんでした。

動物も、動き回って色とりどりで、園内では写真に撮れるものが一杯あるんだろうと思ってたのが、かなり予想を覆された感じでした。まず、檻の存在。虎とか熊とか見栄えがする動物の檻は動物が居住する区域を区切る檻とその檻から緩衝地帯を設けるような感じで少し空間を作って人を遮る柵が儲けられてました。柵といっても人も動物も越えられないようなもう一つの檻といってもいいくらいの背の高い柵。動物を見るのはこの二重の檻越しで、写真を撮るには邪魔としか言いようもないものです。腰くらいの高さの柵だけで区切られてるような場所では駝鳥だとかラマとかいました。でもラマは近づくと唾を吐きかけられる可能性があるということで、あまり近寄る気にもならず。全体が覗けるコーナーだとサル山なんかもありましたけど、ノミ取りしてる猿ばかりで全然動く気配さえない状態。梟が、知恵の象徴ということでちょっと写真に収めたかったのに、このコーナーも肝心の梟が檻の奥のほうに引っ込んでるか、夜行性なのか知らないけど巣箱に篭って出てきてくれないといった感じで、鳥の名前は檻の前に説明で分かるんですけど、どんな鳥なのか実物が出てきてくれなくてさっぱり分からないって云うケースが多かったです。

それと、植物園でもそうだったんですけど、こういう場所では展示されてるものとそれを眺めるものって云う二極化した構図を必ず取らされてしまうんですね。対象物との間には必ず越えられない距離が設けてあるという感じ。だから写真にとっても、客観的な対象物を距離をおいて客観的に眺めてるという構図しか取れないような感じになってきます。わたしは自分で写真撮ってみて感じてるのは、このぐらいでちょうどいいかなと思う位置から1,2歩踏み込んだ方が絶対に面白いっていうことなので、その一歩を踏み込ませないような構図を取る以外にないこういう展示目的の施設では写真を撮ってもあまり面白くないっていうのが、カメラを覗き込みながら動物園をうろつきまわってた時の感想でした。結果、このときの写真は記念撮影風のものを大量に生産して終わったという感じの着地をしてしまってます。

☆ ☆ ☆

動物園周辺ではこんな感じの写真が撮れました。
いささか不本意な首尾ではあったんですが、これもまたこの日にわたしがものごとを観ていた有り様として、まさしくわたしの感覚そのものだったんだと思います。

美術館裏にある並木
Wide Lens Camera ; Agfa Vista 400

これは動物園の前、京都市美術館の東裏側にあった並木道。美術館にはよく行くものの西側の入り口から入って西側に出て行くことがほとんどだったので、こういう道があることに気がつきませんでした。街路灯が真ん中に入ってしまったのがちょっと邪魔な感じ。

動物園正門前の光景
Wide Lens Camera ; Agfa Vista 400

動物園の入り口付近です。横断歩道に並んでる人はもちろん知らない人の一家。動物園の入り口しか目に入ってなかったので、この人たちがいることにほとんど気が向かなかったです。
近くによると動物のモチーフの飾り物が目に付くんですけど、この場所から見てるとあまり動物園って云う感じがしてません。

鳥類のためのドーム
Wide Lens Camera ; Agfa Vista 400

正面から入って直ぐのところにこういう鳥類を集めたドームがあります。実はこの日に撮った写真の中ではこれが一番のお気に入りです。どことなく絵画っぽい感じというか、写ってる細部はリアルなものなんですけど、全体はそういうリアルさをちょっと脇においてるような感じの写り方。昔の動物図鑑なんかの挿絵にでも出てきそうな雰囲気があります。
真ん中に対象物を置く日の丸構図の典型ですけど、この場合は正解だったような気がします。
植物園でも温室の巨大ドームがありました。実は植物園の方はこの温室ドームに入ろうとすると別料金を取られるようだったので入らなかったんですけど、ドームって云うのは意外とかっこいいというか、植物園の巨大温室ドームなんかは中に入って植物越しに見上げてドームを撮ったりしたらかっこいい写真が撮れたんじゃないかと今更のように思ったりしてます。
ともあれ「ドーム」がかっこいいというのはこの日の動物園での発見の一つではありました。

正体不明の展示館
Wide Lens Camera ; Agfa Vista 400

これは、何を見せたいのかよく分からないというか、自分でも仕上がったプリントを見て、何でこれを撮ったんだろうって一瞬思い至らなかった写真です。直ぐに思い出したんですけど、この丸いモザイクの屋根がきれいだったから撮ってみた写真でした。構図をあれこれ考えてるうちにこんな茫洋としたものになったというか。でもなんでこんなしまりのない画面になったのかなぁ。
この施設もなにをどう見せるための場所なのかはその場にいてもよく分からなかったです。どうも子供相手限定で何かしてるような雰囲気でした。そういう意味では中心を欠いてるような写真の印象はわたしがこの施設に感じた印象と通じてるといえばいえないこともないんですけどね。

実際に見ると迫力満点の虎
Wide Lens Camera ; Agfa Vista 400
典型的動物園スナップ
Wide Lens Camera ; Agfa Vista 400

動物園なので動物本来の写真を2枚。実は鑑賞者の位置しか取ることが出来ないのにちょっと興ざめしてきて、動物園に行ったにもかかわらず動物の写真はほとんど撮ってきませんでした。見栄えのする動物は二重の檻の向こうで行ったりきたりしてるだけで、写真は檻を含めて撮る他無く、現像するまでもなくものの見事に記念写真風のものしか出来上がらない気配が濃厚になってきてました。この写真もまさしく予想したとおりの記念撮影のスナップといった感じです。
虎の方は人を隔ててる柵の間から手を入れてカメラを緩衝地帯に突き出して撮ってみたんですけど、虎の住居区域を隔てる檻はやっぱり視覚的には邪魔物になってます。
対象を観賞するような距離のある写真じゃない、動物園の斬新な撮り方がないものかと考えないこともなかったんですけど、ともあれこの時はいいアイディアは浮かばず仕舞でした。

麒麟のオブジェ
Wide Lens Camera ; Agfa Vista 400

動物園の中ほどにあったキリンのオブジェ。檻の中にいる動物よりも写真の対象にしやすそうな感じでした。キリンの檻は動物園に入った直ぐ横にあったんですけどこのキリンのモニュメントは何故か離れたところに立ててありました。
右下に写ってるベンチとゴミ箱!これはキリンに注意を奪われていて、その時は写ってるとは思わなかった。

空を巡る象
Wide Lens Camera ; Agfa Vista 400

これも動物よりも被写体にしやすかったもの。動物園ならどこでもこういうものがあるのか、小さな遊園地の区画があって、他にも観覧車とか遊覧汽車なんかが子供相手に賑やかに動いてました。この遊具の写真は左の運転室の建物の屋根くらいまで上昇した後で下に降りてきたのであわててシャッターを切ったものです。その時は何故か運転室の屋根くらいの高さまで上がっては降りていく乗り物だと勝手に納得してしまって、一枚写真を撮って満足した挙句その場を去ってしまったんですが、上がる高度を変えて何度も上下するものだったんでしょうね。
もうちょっと高い位置まであがるのを待って撮った方が迫力があったかもしれません。

蹴上インクラインへ それにしても写りが悪い
Wide Lens Camera ; Agfa Vista 400

これも動物園で撮った写真ですけど動物園の中の光景じゃないです。動物園の南側は疎水の水路が走っていて、園内の東南の角から南側を見ると水路とこういう噴水が見られるようになってます。ちなみにこの水路は写真の右側、方角で言うと西に向かって流れていって美術館脇の、桜の季節には両岸が桜の花で満開になる水路になっていきます。左脇にある建物は琵琶湖疎水記念館。この写真でちょっと説明しにくいんですけど、中央から左よりに奥の方向に向けて水際から草色の地面に変化してる部分、ここは既に水はなく、普通に歩けるような状態になってるんですが、この道を画面の奥のほうにずっと進んでいくと次第に上り坂になって蹴上のインクライン(傾斜鉄道)の跡地に出てきます。ここは一種の廃墟とも言うような場所で、実は散策すると動物園よりも面白かったりします。後日インクライン辺りも写真を撮りに出かけたのでその時の話はまた機会があれば書いてみるつもりでいます。
この写真を撮った日は薄曇で向く方向によっては空は雲一色になってるような天気でした。雲が広がって色のない空とその空を反射して同じく色彩を欠いた水面が画面の大部分を占めてます。写真の写り具合もあって、楽しい動物園で目にするとはなかなか思えない光景です。

ちなみにインクラインの線路跡地のゆるい傾斜をずっと上っていくとこういう場所に出てきます。
インクラインの線路跡の下をくぐるように設けられたこのトンネル、名前が変わっていて「ねじりまんぽ」っていうんですよね。

道なりに歩いていくと南禅寺のほうへ
Wide Lens Camera ; Agfa Vista 400

動物園周辺の地図

☆ ☆ ☆

最初のほうでも書きましたけど、動物園は動物を観て楽しむところではあるけど、その延長にあると思ってた写真を撮ると云うことに関してはあまり向いてない場所だったなぁっていうのが園内を一回りしてみての感想でした。
檻に囲ってさぁ見てくださいと用意され差し出されてるものを写真に撮ると云うのは、対象への関わり方をかなり限定されてしまうし、固定化された関係から出ることなく終わってしまうことが多かったような気がしました。
こういう感覚の枠組みといったものに囚われてしまうと、対象物が騙りかけてくるものがあったとしてもなかなか耳には届いてこなくなるように思います。

どうやらわたしが囚われてるらしい枠組みから云うと、ラマに唾を吐きかけられるのもものともせずに近づいていくとか、虎の檻に入るとかしてみると様子は変わるかもしれないけど、京都市動物園はそこまで命をかけて撮影するような場所じゃなかったです。

☆ ☆ ☆

番外編 1

動物園のたしか北東の端っこだったと思います。爬虫類館という建物があって、夜行性の爬虫類なんかを展示してました。無料で入れるところだったので、せっかく来たんだから一応中を窺って写真を撮ってみようと思って入ってみました。
夜行性動物の展示というだけあってなかはやはり暗く、どうせ撮れないだろうと判断して、失敗した場合でもフィルムを一枚消費してしまうようなカメラはやめて、一緒に持って行ったデジカメのほうを使って撮ってみることに。
予想通り薄暗がりのなかで人が流れるように歩いたりしてる場所では手ぶれと被写体ぶれの集合のような写真になってしまったわけですが、眺めてるうちにFhotoshopで加工したら面白くなるかもしれないと思い出して、色々といじくってみました。
その結果がこれ。どことなく「No New York」のジャケット風写真の出来上がり?

爬虫類館にて
king Ocean Z520 + Photoshop

番外編 2

このカメラに最初にフィルムを入れた当初はフィルムを消費するのがためらいになってなかなかシャッターが押せませんでした。持って出かけてもこっちは1,2回シャッター切る程度で後は失敗しても気にならないデジカメでほとんど撮ってるっていうような感じ。だから先月動物園とその後に行った蹴上のインクラインの写真で36枚全部撮り終わって現像に出したんですけど、一番最初のコマに写ってたのは真夏に鴨川に出ていた夜店の列の写真といったものでした。それ以外にもフィルムカメラに慣れないうちに撮ってる部分には1~2枚単位でこの夏の間にこのカメラを持って出かけたいろんな場所の写真が並んでます。
そんな雑多な写真の中から、ちょっとピックアップ。

六角堂の写真です。

六角堂全景
Wide Lens Camera ; Agfa Vista 400
六角堂の鳩
Wide Lens Camera ; Agfa Vista 400

寺町辺りから六角通りを通って「ポコ・ア・ポコ」という中古のCD、DVDショップを覗き、六角堂に立ち寄ってから烏丸御池の新風館に抜けていくというのがわたしの散歩のコースの一つです。中古CDショップが目当てで六角堂はその道筋にあるという関係に過ぎないところもあるんですけど、散歩途上にあるこの六角堂は割りと馴染みがあるお寺になってます。ちなみにこのお寺は参ると縁結びの効能があるそうです。池坊のビルの隣に位置していてまわりを高いビルに囲まれてるような感じになってるので、ビルの合間にちょっとした異空間が開けてるような雰囲気もあるかもしれません。
全景の方は真ん中の木が邪魔かな。でも木よりも手前で撮ろうとするとこの付近だとどの位置にいても、どれかが真ん中辺りに位置しそうで、この角度では位置取りはちょっと難しそう。
鳩の方はこれは京都のお寺にいる鳩に限らないのかもしれないけど、ここの鳩は特に凶暴みたいです。売店で売ってる豆を買って鳩にやろうとすると、撒かれるのなんか待ってなくて、手や頭に平気で乗っかってきて持ってる豆を直接奪い取ろうとしてきます。この写真撮った時もカメラ出しただけで何かもらえると思ったのか近寄ってくる鳩が結構いました。

両方ともアンダー気味で暗く、感度400のフィルムだったので粒子感も若干あります。でも実はこういう暗くてざらついた写真も好みだったりします。真ん中がスポットライトが当たってるみたいにぼんやりと明るく、周囲に行くほどざらついた闇に溶け込んでいくような写真。これは夕方に撮ったために明るい写真にならなかっただけの話なんですけど、意図して暗い写真も撮ってみようかななんて思ったりしました。

☆ ☆ ☆

今回動物園に連れて行ったカメラのことも簡単に書いておきますね。

付録のカメラ
PowerShot S710IS

どういうカメラだったかというと、こんな雑誌って言うかムックの付録についてたカメラです。わたしが買ったのは今年の春過ぎくらいでちょっと前のことになります。
もともとVivitar Ultra Wide and Slimというカメラがあって、それのカラーバリエーションを増やしたWide Lens Cameraというのが今市販されてるんですけど、それをそのまま付録にした形になってます。ムックに付録でついてるカメラは市販されてるWide Lens Cameraと全く同じ。clover-sanのワンポイントのマークはこの付録版だけの特徴ですけど、カメラの構造のうえで付録だからこの機能が削ってあるといったようなことは一切してないです。それでカメラだけで市販されてるものよりも500円ほど安かったのかな。こちらはムック本がついてることも考え合わせると実質はもっと安い形になってるかもしれません。ただ本がついてるといっても極薄で作例写真がちょっとだけついた取扱説明書と残りは他のトイカメの広告みたいな内容でしたけど。

カメラそのものはオール・プラスティックでものすごく安っぽいです。市販版は3000円くらいで売ってるものだったと思うけど、値段も含めて重さも存在感も凄く軽いカメラ。実際に巻き取りクランクなんかが折れてしまうことがあるようです。壊れにくく作るような配慮はしてないけど、ひたすら安い値段で売るから破損したら買い換えてくださいって言うスタンスなのかな。

でも全体が安っぽい割りに、レンズはプラスティックだけど焦点距離22ミリっていう、こういう類のカメラにはあまりついてない超広角のものがついてます。これがアンバランスな印象を与えてちょっと面白いです。一つのものをクローズアップするように撮るのは全く不得手かもしれないけど、その場の雰囲気とか空気感をまるごと収めてメリハリのある絵にしてしまうのは大得意という、かなり極端なテイストを持ったカメラになってます。

☆ ☆ ☆

絞りはf11というかなり暗い値で固定、シャッタースピードも1/125で固定というような仕様なので露出のことなど一切考えようもなく、さらに深い被写界深度に写るものすべてを納めて、ピントをあわす必要もないような思い切った本体。そういう極端な本体に、さらに極端な広角レンズを搭載して周囲が歪むのもお構い無しに迫力のある絵を作ろうとするカメラ。
最初のうちはシャッター切るたびにフィルム一枚消費するのでなかなかシャッターを押せなかったけど、そのうちフィルムの消費に関しては結構割り切れた感覚になって抵抗無しにシャッターが切れ始めると、安っぽくてフットワークのいいカメラに破格のレンズが乗っかった、枠に収まりきれないような印象はまるでロケン・ロールなカメラといった感じになってきます。
パンフォーカスで見えるもの全部にピントが合って、柔らかく暈すことなど一切考えてないようなところも、ソリッドな感じでロック・スピリットかも、なんて思ったりしました。

動物園は期待はずれでも、ロックなカメラと一緒に行動してるのは意外と面白かったですよ。

☆ ☆ ☆

Maria Rita - Herois da liberdade


リオのカーニバルを代表するサンバチームG.R.E.S.Imperio Serranoの、1969年のサンバ・エンヘード曲。エンヘードってテーマ曲くらいの意味合いだと思います。
歌ってるのはマリア・ヒタ。ブラジルを代表した歌手エリス・へジーナの娘です。お母さんとそっくりの声質。
クイーカの脱力的な伴奏と何だか鼻歌交じりのような曲調で始まる曲ですけど、最後の方は意外なほどスピリチュアルで感動的な印象の展開になって行きます。オーオーオオーオーのところと高らかに歌い上げるラストフレーズ「Liberdade senhor」とバックコーラスが重なるところが凄い好きです。

Maria Ritaのこのヴァージョンは他のミュージシャンの曲も入ったコンピレーション・アルバム「Aula De Samba」に収録されてるだけで、彼女本人名義のアルバムには入ってなかったんじゃないかと思います。

Esperanza Spalding - Ponta de Areia


原曲の邦題は「砂の岬」
ブラジルのミュージシャン、ミルトン・ナシメントが1975年にリリースした曲です。
元は子供のコーラスを織り交ぜたりして結構素朴な感じも併せ持ってる曲ですけど、Esperanza Spaldingのこのアレンジは随分と原曲のイメージとは違ったところで成立してるようです。微妙に不安定な和音の上を渡り歩いてるような展開で元曲の素朴さ、サウダージ感を残しながらも現代的で洒落た演奏になってるように思えます。

ベース弾きながら歌うジャズ・シンガー。作曲家でもあり、最年少のバークリー音楽院の講師でもあるという何だか凄い才人です。バークリーは学校の先生が勧めるからという理由で受験、時期はずれの試験を特別に受けることになって、演奏してみたらその場でOKが出たんだとか。でもバークリー音楽院って最初はどういうところなのか知らなかったそうです。
ウッドベースを弾きながら歌うって云うのもなかなかかっこいい。

日本だとTHE BOOMがカヴァーしてるらしいので、メロディは聴いたことがある人も多いかもしれません。

KENNY DORHAM - Autumn In New York


季節がら、このタイトルだと今出しておかないと来年までアップする機会がないかもしれないので。
ケニー・ドーハムの、トランペットなのに全然きらびやかじゃない、つや消しみたいな音も好きなんですけど、この曲のこの演奏はピアノと特にベースの響きの方が好きだったりします。
メロディラインの作り方から随分と歌いにくそううな印象だし最初は器楽曲だと思ってたんですけど、この曲、歌ものなんですね。ヴァーノン・デューク作曲で34年にミュージカル「Thumbs Up!」で使われたもの。歌のほうはわたしはジョー・スタッフォードが歌ったのが結構好きでした。
このケニー・ドーハムの演奏したものは昔ラジオで聴いたのが最初だったように記憶してます。録音しておいた音楽番組を聞き流してると耳を捉えて離さなくなった演奏が流れてきて、それがこの「ニューヨークの秋」だったという感じ。
録音してたおかげで、後から演奏者が誰だったのか、どういうレコードに収められてるのかも苦もなく分かりました。これがメロディだけ耳に残って、誰が演奏してるのか分からないって云うことになると、何かのきっかけでもう一度出会うようなことでもない限り、いつまでたっても正体がわからないというもどかしい事態に陥ってたと思います。

ちなみにブルーノートから出てるCDの日本版は複数出ていて、1枚のダイジェストになったものが多いんですが、このアルバムの完全版は2枚組になってます。

Patti Page - Try to Remember


以前この曲を記事に載せた時、このパティ・ペイジのものを探しきれなくて、別の歌手が歌ったものにしたことがありました。たまたま思いついて探してみたら、今回は首尾よく見つかったのでアップしておきます。
わたしはこの曲は、パティ・ペイジが歌う夢見心地でふわふわとした浮遊感に満ちたこのアレンジが大好き。

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一応動物園のお話だったので、動物もので締めくくりです。



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Aula De SambaAula De Samba
(2008/03/25)
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