【写真】桜 宇治川派流~伏見港公園 +【音楽】桜歌

いつまで経っても寒さが残るような気候が続いていたけれど、今週に入ってから一気に持ち直し暖かくなってきたので、桜もそろそろ見頃になってるかもと思って、お花見に出かけてくることにしました。いつものごとくどこにしようか場所選びに迷い、迷った挙句に今年の桜は宝ヶ池にしようかなと漠然と考えていました。でも今回実際に行った場所は宝ヶ池ではなくて伏見港公園というところ。伏見港公園を最終的にお花見の場所に決めたとはいえ、実はわたしはこの公園の存在をほぼ最近になるまで知りませんでした。

少し前から宇治川公園で写真撮っていて、そこは伏見の辺りを東西に横切るように流れている宇治川の左岸に隣接した広大な空き地といった風情の公園なんですが、その公園や電気の鉄塔が建ってる薄の原で写真を撮ってる時、対岸に巨大なモニュメントのような構造物が川縁の林の合間から見え隠れするのを見て、あれは何だろう?川に隣接してるから水門の類だとは思うけど空間のその一点の濃度が濃くなってるような印象を持ち、対岸には工場地帯も見えてるから、工場萌えの気配もあるわたしとしてはだだっ広い宇治川公園の写真を撮ったらそのうち空間密度を変えてるような建造物がある川の右岸でも写真を撮ってみようって思ってました。
そして、宇治川公園で写真を撮っていた後で、対岸を散策するためにその水門が見えていた辺りに近そうな京阪沿線の中書島駅で降りてみた時にまず目にはいってきたのがこの公園でした。伏見港公園は宇治川の川縁の土手よりも近く、駅の南改札出口を出たすぐ目の前にありました。
対岸の水門らしい建物の辺りに行くのが目的でやってきたところだったけど、目の前にある公園に興味を引かれて川縁に行くよりもさきに公園の中に入ってみました。歩き回ってみると対岸から見えた水門もこの公園の一部のようで、まだほとんど咲いてもいなかったけどどうやら桜並木もあるらしいということが分かって、歩き回ってるうちに今年は桜が咲いたらここに写真を撮りにきてみようかなというアイディアにかなり惹かれるような状態になっていました。

内陸部で港?って云うのはかなり奇妙な印象なんですけど、調べてみると秀吉の時代、伏見桃山城の築城の際に資材を運搬するための宇治川の改修も含む工事の際に作られた港だったらしいです。この伏見港に注ぎ込んでる宇治川派流(観月橋のあたりから伏見港の水門へ抜ける運河)も、伏見城の外堀から伸びてきた、明治以降には京都の疎水がその南端で繋がれた濠川に合流する流れとなって、周辺に宿屋だとか酒蔵が建てられて物品の流通が盛んな場所になっていったらしいです。
この伏見港に流れ込んで水門を通して宇治川に放流されていく宇治川派流って、その時は気づかなかったんですが年末にオリンパスOM-1の試し撮りに伏見の川沿いを歩いてビニールシートを被せてあるシーズンオフの屋形船なんかを撮ってたあの川のことで、わたしは寺田屋がある辺りで商店街のほうに方向転換したんですが、そのまま川縁を歩いていけば、この伏見港にたどり着けることになっていたようです。今回港のほうから宇治川派流を遡って歩いて行き、前回寺田屋のほうに方向転換した場所までたどり着いて、点と点が繋がった形となりました。ちなみに坂本龍馬で有名な寺田屋はこの伏見港の船宿だったんだそうです。

京阪の中書島の駅からそのまま公園に入るとブランコなどの遊具が置かれた児童公園やテニスコート、プール、室内運動場などの施設が集まった場所に行き当たります。その施設が集まった場所の周囲をウォーキングのための遊歩道が取り囲んでその遊歩道を奥のほうに進んでいけば、視界が開けて伏見港とそれを取り囲む広場という開放的な空間が目の前に現れることとなります。伏見港の跡地とそこへ流れ込んでくる宇治川派流すべてが伏見港公園だと思ってたらどうやら公園としての範囲は各種の運動施設とその周りの遊歩道の区画だけのことのようでした。
桜はこの公園周辺の遊歩道と伏見港跡地にある広場と宇治川派流の岸辺に並木となって植えられていました。

遊歩道の桜
Nikon FM3A AI-S Nikkor 50mm F1,4 : Ferania Solaris 400

桜花
Nikon FM3A AI-S Nikkor 50mm F1,4 : Ferrania Solaris 400

公園の遊歩道を歩いて港の跡地に出て行くまでの間に出迎えてくれる桜の並木です。今回ソラリスというイタリアのフィルムを使ってます。トイカメラで使う人が多い、淡い色が特徴であるフィルム。来月で使用期限が切れる状態だったのでもうそろそろ使わないとと思ってたのが、淡い色合いということで桜を撮るのにはちょうどいい感じに使えそうでした。結果、今回の写真はその特徴が良く出たものが多く撮れていたようです。この桜と空の青の柔らかい色合いはなかなか綺麗。

港の見える場所
Nikon FM3A AI-S Nikkor 50mm F1,4 : Ferrania Solaris 400

桜並木の遊歩道を進んでいってそこかららさらに港のほうに伸びる道を進むと、宇治川派流と公園の広場、向こう岸に渡れる橋が見えてきます。
端の名前は伏見みなと橋だそうで、そのままといえばそのままのネーミングでした。

みなと橋の上にたって濠川の方向を向くとこんな光景が広がってます。濠川(宇治川派流)の川沿いの桜並木はここから始まります。年末にOM-1の試し撮りにきた時には打ち捨てられたように繋がれていた十石舟が、川面をゆっくりと進んできます。あの時はシーズンオフなのかもう営業してないのか良く分からなかった船が、冬眠期間を過ぎて営業を始めると結構生き生きとした様子というか、わたしがこの後川縁の桜並木の元を歩いてると、客を乗せた十石船がひっきりなしにこの運河を上り下りして来るのに出会いました。

みなと橋から
Nikon FM3A AI-S Nikkor 50mm F1,4 : Ferrania Solaris 400

橋から水門を望む
Nikon FM3A AI-S Nikkor 50mm F1,4 : Ferrania Solaris 400

同じくみなと橋から反対の方向、運河が宇治川に注ぎ込む方向を見るとこういう光景が目にはいってきます。対岸もこういう芝生と旧伏見港の遺跡、昔使われていた三十石船などの遺物が飾られてるような広場になっていて、散策したり、芝生の上で一休みしてる人が見受けられました。奥のほうに見えるのは対岸の林越しに見えていた水門で赤く見えるのがその入り口です。
三栖閘門(みすこうもん)という水門で、宇治川派流と宇治川を出入りする船のために水位の違う運河と宇治川を調整するための門。だから運河側と宇治川側の二つの門で仕切られてる形になってます。昔は大阪や琵琶湖への蒸気船、外輪船が運行することもあったそうですが、陸路での交通網が整備されてくるに連れて川を利用した交通は廃れていき、今はこの水位調節の門は役目を終えて閉ざされたままになってます。十石舟がゲートを入っていくのが見えますけど、現在は内側の水門だけは開いていて、三栖閘門は奥のほうで十石舟の発着場として利用されていました。
このゲートはその上が通路になっていて写真で左手奥に見える公園の芝生に出られるようになってました。この芝生の広場、伏見みなと広場という名前がついてるらしいです。そしてその広場をさらに奥に行くと直接宇治川の土手に出ることが出来るようになっていました。

運河沿いの桜並木1
Nikon FM3A AI-S Nikkor 50mm F1,4 : Ferrania Solaris 400

運河沿いの桜並木1
Nikon FM3A AI-S Nikkor 50mm F1,4 : Ferrania Solaris 400

三栖閘門のほうはちょっとさておいて、みなと橋から宇治川派流沿いに歩いていくと川沿いに桜並木が現れてきます。

運河沿いの桜並木3
Nikon FM3A AI-S Nikkor 50mm F1,4 : Ferrania Solaris 400

結構間をおかずに橋が架かっていて、橋もまた川の風情のひとつというか、架かってる橋はすべて、それほど古風な橋でもなかったんですけど、ただ川が流れてるだけの風景よりも橋が架かってるほうがニュアンスが加わって見た目には楽しい感じがしてました。

運河沿いの桜並木4
Nikon FM3A AI-S Nikkor 50mm F1,4 : Ferrania Solaris 400

桜並木の一部には、これは地元の人が植えてるのか色とりどりの花が咲いてる区域がありました。この写真に見えてるのは紫と黄色だけだけど、他にも赤だとかオレンジだとか。わたしは花の名前には疎くて菜の花とかチューリップくらいしか分からないから、桜の木の根元で咲いていた花がどういう種類のものだったのかレポートできないんですけどとにかく綺麗な色が並んでるところがありました。桜だけのほうが鮮烈な印象を受けるかもしれないなら邪魔な彩りになる可能性もあるものの、わたしが眺めていた分には桜並木に異物が混入してるようには見えずに桜の清楚な色空間に華やかなアクセントをつけてたように良く見えてました。
撮影には2日出かけていて、この写真は2度目に訪れた時に撮ったもの。2日目は曇り空だったので、全体にちょっと暗めの写真になってます。

運河沿いの桜並木5 船つき
Nikon FM3A AI-S Nikkor 50mm F1,4 : Ferrania Solaris 400

先に書いたように運河沿いを散策してるとかなりの頻度で十石船が進んでいくのに出くわします。どの船も結構お客さんは乗ってるようだから、年末に見た何処か寂れたような印象とは大違い。

橋の上から1
Nikon FM3A AI-S Nikkor 50mm F1,4 : Ferrania Solaris 400

橋の上から2
Nikon FM3A AI-S Nikkor 50mm F1,4 : Ferrania Solaris 400

橋の上から3
Nikon FM3A AI-S Nikkor 50mm F1,4 : Ferrania Solaris 400

橋が色々と架かっていたので、途中から土手の石段を登り橋の上に出てから俯瞰で何枚か写真を撮りました。何枚かというよりも見上げてるものよりも枚数多く撮ってた感じ。桜って見上げるのがデフォルトで俯瞰で眺めたのが思いのほか新鮮だったということもあるし、写真そのものも意外と上から見下ろして撮ろうとすると足場が必要な場合が多くてなかなか撮れないから、見下ろすという視点そのものが新鮮だというところもありました。
桜並木にはところどころ腰掛けるところが儲けてあって、オーソドックスなお花見はそういうところで出来たりするようになってましたけど、俯瞰で見下ろすお花見が新鮮とはいえ宇治川派流に架かる橋は鉄路か、人が渡れても自動車が行き来する普通の道路になってるから、橋の上でマット敷いてご飯食べたりするわけにも行かなくて、俯瞰で見る桜はその場で立ち止まって眺めるだけしか出来ないのがちょっと残念なところだったかもしれないです。

疎水合流地点
Nikon FM3A AI-S Nikkor 50mm F1,4 : Ferrania Solaris 400

そのまま運河沿いに進んでいくと京都からの疎水と合流する地点に出てきます。ここは写真の手前になってるので写ってませんけど旧高瀬川との合流地点でもあります。今の高瀬川は二条辺りから始まり木屋町などを流れながら最終的に伏見港公園よりも西にいった辺りで宇治川に合流する形になってるので、この旧高瀬川からは運河に流れ込む水は今は途絶えてるようでした。高瀬川と合流地点ということでこの一角に高瀬川を開削した角倉了以の記念碑が建ってました。

写真に見えてる橋はであい橋という名前の橋です。三叉になったちょっと珍しい橋。右に流れていく運河に沿って歩いていくと桜並木の果てに年末の記事で載せた写真の場所に出て行くことになります。伏見港公園から始まる川縁の桜並木はここまでと立て札が立ってるわけでもないけど、感覚的にはこの辺りで終了という感じでした。

橋の上から4
Nikon FM3A AI-S Nikkor 50mm F1,4 : Ferrania Solaris 400

橋の上から5
Nikon FM3A AI-S Nikkor 50mm F1,4 : Ferrania Solaris 400

であい橋の上から撮ってみた桜です。水面に写る桜並木なんていうのも撮りたかったけど、あまり写りこんでなかったです。

☆ ☆ ☆

宇治川派流沿いとは反対側の三栖閘門周辺はこんな感じ。近くで見て正体も分かってしまうと対岸から望んでいたときの空間の質が変ったような感覚は薄れてしまいましたけど、巨大な構築物のスケール感が日常的な感覚をちょっとだけ逸脱してるところがあって面白いです。

三栖閘門1
Nikon FM3A AI-S Nikkor 50mm F1,4 : Ferrania Solaris 400

三栖閘門2
Nikon FM3A AI-S Nikkor 50mm F1,4 : Ferrania Solaris 400

片側は十石船の発着場と水門の資料館と芝生の広場、反対側には短い桜並木が続いてました。

日の丸と桜
Nikon FM3A AI-S Nikkor 50mm F1,4 : Ferrania Solaris 400

三栖閘門脇の芝生の伏見みなと広場に立っていた桜。2日目の曇りの時に撮ったものなのでちょっと精彩を欠いた感じになったのが残念。
桜とか撮る時に枝や花の一部を画面の隅のほうに寄せて撮るといった構図になりがちだったので、ここは一本だけ立ってるのを良いことに真正面中央にすえて撮ってみようと思った一枚でした。
真ん中に被写体を置くのって構図の本なんかでは大抵駄目だしされてるけど、わたしはそんなにいうほど酷い構図でもないんじゃないかと思ってます。

最後に、運河の先で以前歩いたところまで到着した辺りの橋の上で、テレビなのか映画なのか分からなかったけど撮影してる現場に遭遇しました。それで一枚スナップしてみたのがこれ。ちょっとタイミングが悪くて橋の上で俳優が化粧を直されてるようなところもあったのにそういう撮影っぽい雰囲気で撮れなかったのが勿体無かったです。

撮影隊
Nikon FM3A AI-S Nikkor 50mm F1,4 : Ferrania Solaris 400

☆ ☆ ☆

運河沿いに桜並木を歩いてみて、伏見港公園も含めて屋台のようなものが一切出てなかったから、そういうにぎやかなものが好きだったらここでのお花見はあまり楽しくないかもしれないです。でもマットを敷いて桜を愛でながらお弁当を食べるようなのには、のんびりしていて相応しい場所なんじゃないかと思います。わたしが写真撮ってた2日間、ピクニックにでも来たような感じでお弁当を拡げてる人がそこかしこに点在してました。
宇治川派流は川縁全域に渡って桜並木があるというわけでもなくて、途切れてるところも結構あるものの、桜並木がある部分は根元にライトアップの器具が設置されてたから、夜には照明に照らされて豪華な装いになるんだと思います。


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桜の雨、いつか


2000年に放映されたテレビドラマ「お見合い結婚」の主題歌だったそうです。わたしはほとんどテレビを見なくなったので、このドラマのことも全く知らないです。歌ってる松たか子はこのドラマの主役でもあったようなので、歌い手としては相応しい人選だと思います。意外と歌、上手いですね。
作詞も松たか子本人ということで大活躍の歌となってます。

PVの言葉の途中で口を閉ざすっていうシチュエーションは、歌詞のキーワードのところでのみ口を開くという演出なんでしょうけど、聞き取れなかった言葉に大切なものが含まれるというようなことを示してるようにもみえ、印象に残ります。

「果てしないこの旅で どこかでいつか会おう」の行でわたしは無性に泣けてきます。誰だって会うことも叶わない人がいると思うけど、果てしなく続く過酷な旅でもいいから、その途上で本当にどこかでいつか会えたら良いなと思って。
なんだか桜の満開の下に、あるいは桜吹雪舞う真っ只中にいて桜の花につつまれていると、現実なんて簡単に凌駕してそういう奇跡にさえ出会えそうで、桜というのは幻想的で不思議な魅力を持った花だと思います。





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不明

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いつか、桜の雨に・・・いつか、桜の雨に・・・
(2000/03/23)
松たか子

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