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暑中お見舞い申し上げます!+【音楽】屋根裏の二匹のねずみ

これからお出かけ
Pentax SP / T2.8/50 AUS JENA DDR : FUJI 100

暑中お見舞い申し上げます!

暑い夏が始まりました。
これを書いてる今は戻り梅雨とでも云うのか、梅雨明け宣言後の1~2日天気が良かっただけで後はずっと曇りか雨の日が続いてます。さて、これをブログに上げる頃には本来の夏空に戻ってるかどうか。
夏は特に京都は蒸し暑いし、どちらかというと汗っかきなので肉体的にはこの季節、辟易してるんですけど、一番好きなのは生まれ月のある春であるのは間違いないにしても、その延長上ということもあるのか気分的には夏は確実に二番目に好きな季節になってます。
以前の暑中見舞いの記事でも書いてるように、基本的にあまりいろいろと重ねて服を着るのが好きじゃない、どちらかというと裸族に属するタイプなので、Tシャツ一枚で過ごせる季節は本当に楽で開放的。そういうところも気分的には気に入ってる部分なのかもしれません。

実際の夏は痛みとしか感じられないような強烈な陽射しにひたすら打ちひしがれてる時間が占めてるものの、夏に対して持ってるイメージって、これも確か以前に書いたはずだけど、頬に当たるソーダ水のはぜる水滴の感触や、その淡いグリーンの透き通るようなソーダ水の色合いだとか、木漏れ日の下で半袖の服の中を通り過ぎていく翳りを身に纏った緩やかな風といった、結構涼やかなイメージが多かったりします。なぜか不快な蒸し暑い夏というイメージはその季節の真っ只中にいるときだけで、夏が過ぎるとともに忘れ去ってしまうらしく、わたしにとっての夏はいつも気持ちよく開放的な季節であり続けているようです。

ともあれ、こうやって始まった今年の夏、夏ばてに注意して、この夏に出会うすべてのことを楽しんで過ごして行きたいですね。

わたしの予定としては今のところ、先日招待状が来ていたフジフィルムの展覧会の会場に行くことと、海遊館に行ってみることくらい。京都にも水族館が出来たんですけど、夏休み中は極端に混んでそうで、ここはまだ遠慮しておきます。それと夏の映画で久しぶりにリドリー・スコット監督のSF映画が来るんですよね。この何年か時間があれば映画館の暗闇じゃなくて陽射しの中を歩き回ってる生活になってるけど、これはカメラを家に置いておいて劇場へ観にいきたいなぁと思ってます。

☆ ☆ ☆

暑中見舞い用の写真をどうしようかとしばらく考えて、そうだ、ソワレの色とりどりのゼリー・ポンチの写真なんか涼しそうで良いんじゃないかと思いつき、昨日、23日の月曜日にソワレへ行ってみたらなんと定休日でした。
その日、残り後二枚ほどで撮り終えるフィルムを消費して、ムツミに現像を頼み、出来上がったのを家で見て、ソワレにもう一度ゼリー・ポンチの写真を撮りに行くのも良いけど、これも夏の写真で良いんじゃないかなと思ったのがこの写真でした。
ソワレで門前払いを食った日に撮った残り二枚の内の一枚だったりして、撮影タイミングとしてはグッド・タイミング。

色が綺麗っていうのとかっこ良い車とリアウィンドウの向こうに見える薔薇というので撮った写真なんですけど、なんだかこれから夏のバカンスに向かうというようなイメージを無理やり重ねても良さそうな感じだし、窓には夏空が反射して写ってるし、道も眩しそうな光を返してるし、いろいろ都合よく考えてると、これは意外と暑中見舞いに相応しい写真じゃないだろうかと思えてきました。これだけ理由つけるとそれらしい写真に見えてきませんか?
ただもうちょっと夏空が広範囲に、もくもくとした立体的な雲と一緒に窓に写ってたらもっと夏っぽくてよかったかなと思ったりするところもあって、そこがちょっと残念なところかな。

☆ ☆ ☆

屋根裏の二匹のねずみ / かしぶち 哲郎


全然夏っぽい感じがしないけど。
ムーンライダースのかしぶち哲郎が矢野顕子とコラボして出したソロアルバム「リラのホテル」に入ってた曲。別にかしぶち哲郎のファンでもないし、矢野顕子はわざとらしくて過剰な感じが大嫌いなのに、なぜか買ってしまったアルバムでした。何が気に入ってったんだろう?
この曲はフランス映画的なイメージが浮かび上がってくるようなところがお気に入りなんですけど、物語仕立ての歌詞の内容は取り立ててどうって事がない感じです。言葉の繋がりにちょっと詩的な雰囲気があるところは割りと気に入ってるんですけどね。

わたしたちはおしゃべりな鳥
空の話を してはつきない

この辺りのロマンチックでイメージ豊かな感じは凄い好き。

このPV、洒落た写真を背景にしてるのは良いけど、写真の選び方がほとんど歌詞の絵解きみたいになってますね。


☆ ☆ ☆







リラのホテルリラのホテル
(1991/08/21)
かしぶち哲郎、矢野顕子 他

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【写真機】二眼レフ機 PigeonFlex 購入のこと +【写真】街角スナップ 京都旧府庁 +ビリー・ホリディの愛唱歌

去年の年末辺りにオリンパスのフィルムカメラを買ったりしていたカメラ買いあさり熱が、その後大人しくはなっていたもののしばらく前から再燃してしまい、またいくつかカメラを買うこととなりました。
DVDでもそうなんだけど、何度か書いてるようにわたしにはちょっとしたコレクション癖があって、これは常時発動してるわけでもなくまた集めるとなると地の果てまで赴くことも厭わないほどの熱情に溢れたものでもないんですけど、なにかのきっかけでちょっと頭を擡げてくることがあります。

今回の知らないカメラ使ってみたい熱の発動はコニカのビッグミニ BM-201というのを安値で買ったのが切っ掛けになったようでした。
この切っ掛けになったビッグミニ、京都河原町四条から三条への中間くらいにあるカメラ店三條サクラヤで見つけたものでした。ここは河原町辺りのカメラ屋ではクラシックカメラの品揃えが割りと良いところではあるものの、相場が今の相場じゃなくて他店では7~8000円くらいで買えそうなものが2万以上の値段で売られてたりするから、全く買う気にはならない店でもあります。でもこの三條サクラヤ、馬鹿げた値段でしかも大半が委託品のクラシックカメラを売ってる一方では、金属ボディの印象も端整でいかにも高級そうなクラシックカメラ以外の、おそらくバブル期辺りにでも発売されたんだろう、まるでガンダムのパーツみたいな異形のデザインを競った、今では全く人気のないプラスチックのオートフォーカスカメラを動作確認済みとして1980円均一でダンボールの箱に放り込んで売ってもいます。箱に書かれた文句は写るんですよりも安上がり!といったもの。

そしてもとからここでは馬鹿げた値段のクラシックカメラなど買う気はないにしても、アクセサリーの類もちょっとおいてあるからそういうのを見に行くことがあって、ある日その捨て値の箱のなかにビッグミニが放り込んであったのを見つけたんですね。このコニカのビッグミニのシリーズ、アラーキーが使ってたとか云う理由で結構知られてるカメラで、bm-201はシリーズの中では一番人気の機種じゃなかったけど、こういう半分捨ててるような扱いの中に見つけたのは初めてだったので、買ってみることにしました。

見つけたビッグミニを手にしたまま、こちらは明確に「故障品、教材等にどうぞ」と書かれた段ボール箱の中を覗き込んだり、同じくジャンク扱いのフィルターの類を放り込んでる箱の中をかきまわして遊んだりした後で、レジというか、中古品を扱ってるコーナーは店の最奥部分にあって、その最奥の行き詰まりにあるテーブルの上でなにやら仕事をしているおじさんの店の人の前に、これくださいといって段ボール箱からもってきたbm-201を差し出しました。

店のおじさんはわたしが差し出したビッグミニをあれこれひっくり返したりして眺めながら、
「…これ、いくらだったかな」と呟いた後で、しばらく考えてから「じゃぁ、500円」
わたしは1980円のダンボールの箱から持ってきたわけで、この値段を聞いてひょっとしてこのカメラ、ジャンク品が動作確認済みの箱に紛れてたの?ってとっさに思ってしまったんですね。それで、
「これ、あの動作確認済みの箱に入ってたんですけど(ひょっとしたら故障品なんですか?)」と、とっさに言葉を返してしまいました。これが結果的には大失敗。
おじさんはわたしの疑問を受けてこんな風に返してきました。
「あっちの箱に入ってましたか。だったら1980円です。お客さん、ジャンクの箱のほうにおられたからジャンクカメラだと思った」
この瞬間、余計なことを云ったために500円で買えたものが1980円になってしまったわけで、一言尋ねた直後にしまったと思ったんですけどもうすべてが後の祭りでした。
三條サクラヤの人、店の中の品物の値段、あまり把握してないのかなぁ。

500円で買えたはずのカメラ
Nikon Coolpix P5100
500円で買えたのに1980円払ってしまったカメラです。

ちなみにビッグミニはシンプルなデザインでいいんですけど、他の大半のプラスチックカメラは整理のついてないような曲線でデザインされた異形のものとしかみえないものばかりで、先にも書いたようにフィルムカメラ好きの人にも無視されがちな存在と成り果てています。でも誰も見向きもしないものだから、こういうプラスチック製フィルムカメラはどこでも今やほとんど捨て値で売ってるし、カメラだとは思わずに近未来的なロボットのパーツだと思うとなかなか持っていて面白い存在になるんじゃないかと思います。

☆ ☆ ☆

さて、ここからが本題。

このタイトルにつけたピジョンフレックスというカメラは、ビッグミニという新しいカメラを久しぶりに手にしたことが呼び水となり、またこんな風に店員が間違えた安値で買えなかったことが、高々1500円ほどの差額ではあってもこういういきさつで失うと精神的にはかなり大きなダメージというか、心残りにもなって、その後、奇跡よもう一度起こってわたしのその損失を挽回させてとばかりに、久しぶりに大阪のリサイクルセンターなんかに行ってみたりしてるうちに見つけたカメラでした。
ちなみにこんなカメラ。二眼レフです。

実はわたしは二眼レフは去年の今頃にヤシカフレックスc型というのを買って持ってるので、これが二眼レフ2台目となります。

ピジョンフレックス 革ケース
Ricoh GRD3

ピジョンフレックス カメラ本体
Ricoh GRD3

ピジョンフレックスって国産二眼レフの歴史の中ではほとんど語られることがないほど印象の薄いカメラなんですけど、元日本光学(現ニコン)の技師が立ち上げた会社で戦時中は軍関連の光学部品を作っていた、富岡光学というレンズメーカーが作ったトリローザというレンズを搭載してることで一部では知られてるカメラであったりします。そしてわたしがこれをリサイクルショップのレンタルボックスの中に見て欲しくなったのも、まさしくこのトリローザが使えるカメラというのが頭にあったからでした。

☆ ☆ ☆

ぼろぼろの革製ハードケースつきで4000円ちょっとという値段でした。製作年度1953年というから50年以上前のカメラです。半世紀以上前のカメラなんですけど、目の前に現れたピジョンフレックスは、そんなに時間が経ってるとは思えないくらい吃驚するほど綺麗な状態で今の時代まで生き延びてきたようでした。普通これだけ時間が経ってると地面の中から掘り出したと云われてもおかしくないくらい汚れ、朽ち果てていても珍しくないのに。
革のケースは確かに縫い目は綻び、擦れて表面の色がはげてるところが目立ちはするものの、ケースの役割はきっちりと果たすだけの構造は維持してるし金具も多少負荷をかけても外れそうな感じにはなってません。ちなみにこの写真を撮ったあとで、馬具用の革クリームで磨いたら、見た目はかなり持ち直しました。馬具用の革のメンテナンス用品は普通の革の手入れ用品よりも結構使い勝手が良いですよ。
一方カメラのほうも貼り革の一部はひび割れ剥がれて欠損してるところはあるものの、レンズは昨日作ったといってもいいくらい綺麗な状態だし、店で試しに低速シャッターの状態を見てみると1秒のシャッターは自分の時計と照らし合わせてもほぼ一秒で切れていて目立った遅延はなさそうでした。ちなみに去年買ったヤシカフレックスは低速シャッターに粘りが出ていて、1秒のシャッターが閉じるのに2秒くらいかかります。まぁこれは2秒のシャッターだと思えば使えないことはなさそうですけど。
色々と店で試してみてピントが分かりづらいというところはあったものの、全体の機構に目立った不具合がないことと、ピントに関しては店内は暗いし屋外で眺めたらまた変わるかもしれないと思って、買ってみることにしました。

二眼レフってレンズが二つあって構造も今のレンズ一つのカメラよりも複雑そうに見えるかもしれないけど、実は話は全く逆で二眼レフのほうがはるかにシンプルで原始的な構造のカメラになってます。
ちょっと仕組みを説明してみると、カメラの内部は上と下で完全に二つに分かれた暗箱になってます。これは比喩でもなんでもなくて本当にただの暗い箱が上下に重なってるだけの構造です。そして上のレンズは上の箱に、下のレンズは下の箱に直結されていて、役割は完全に分離、その役割は下のレンズが実際に写真を撮るためのテイクレンズで、上のレンズが何が写せるのか写せるものをファインダーに送ってるビューレンズという構造になってます。ビューレンズを通して入ってきた光は下の箱とは一切関わりを持たずに上の暗箱で45度に仕掛けられたミラーによって真上のファインダーに送られ、一方下のテイクレンズを通ってきた光は下の暗箱の背後にあるフィルム面まで届いて実際の写真をフィルムに定着させることになります。
今の一眼レフってこの二眼レフが2つのレンズを使ってシンプルにやってたことを1つのレンズでやってしまおうとしてるようなもので、そのぶん構造ははるかに複雑になってるんですね。さらにこのピジョンフレックスの時代の二眼レフだとそんなシンプルな二眼レフの中でもさらにシンプルというか、フィルムはただ巻き上げるだけの構造でシャッターとは何も連動してないし、シャッターと連動してないからひとコマの写真に気がすむまでシャッターをきることも出来るし、一回もシャッターをきらなくてもフィルムを最後まで巻き終えてしまえたりする物がほとんどで、構造として壊れそうなところはシャッター機構くらいしか見当たらないような単純な仕組みになってます。

【追記】ピジョンフレックスの使い方

ここからピジョンフレックスの素性についての記述手前までは最初に記事をアップした段階では書いていなかった部分です。検索でピジョンフレックスの使い方というキーワードで来る方がおられるので、最初の段階では書かなかった使い方について簡単にまとめておきます。使い方といってもかなりシンプルなカメラなので一般的な中判カメラの使い方と大して変わるところはないです。

使用するフィルムはブローニーという名前のフィルム。パッケージに120と書いてあるのがそのフィルムです。
感度は、カメラのシャッタースピードが最速で200分の1秒しかないので、ISO100くらいのほうが使い勝手が良いと思います。
モノクロでもカラーでも好きなほうでいいから、これを写真屋さんで買ってきて用意します。

1、まず、カメラ底部にある円形の止め具についてるレバーを矢印方向にまわしてストッパーを外し、裏側と底が一体になっているL字型の裏蓋を開きます。裏蓋はファインダー側で蝶番によって取り付けられているのでそのまま扉でも開くように開けることが出来ます。
2、底部の前側と裏側上部にそれぞれ巻き取り軸(スプール)を取り付けるための突起があります。突起はカメラの外側に突き出ているノブを引くと引っ込むようになっているので、カメラ上部の突起にからのスプールを、底部の突起にこれから使うフィルムのスプールを取り付けます。空のスプールが底部の軸受けについてるならそれを外して上部の軸受けに取り付けなおして、底部の軸受けを空にしてからそこにフィルムを装着することになります。
フィルムの向きはそのままフィルムを伸ばして上の軸受けに回したときにフィルムの黒い面(感光する側です。裏側には遮光のための紙が貼ってあります)がレンズのほうに向くようにセットします。
3、上の軸にフィルムを差し込み、巻取りのノブを回して上手く巻き取られることを確認したら裏蓋を閉じ、留め具のレバーを矢印とは逆方向に回して裏蓋を固定します。裏蓋中央には菱形の赤窓がついているので、その赤窓を開き、この赤窓からはフィルムの裏面の遮光紙が見えてるわけなんですけど、そこに最初のコマをあらわす「1」という表記が出てくるまでフィルムを巻いていきます。フィルムの裏面にはこういうコマの相当する数字が書かれていて、その数字が赤窓に見えてくるまで巻いてセット、ということを繰り返して撮影する仕組みになっています。ちなみにいきなり数字が出てきて巻きすぎてしまうということがないように、数字が出てくる直前にはカウントダウンのマーク、たとえば次第に短くなっていく矢印とか、そういうのが出てきますから、カウントダウンのマークが見えてきたらもうすぐ肝心の数字が出てくる頃だというのが分かるようになっています。
4、この繰り返しで12枚撮ったらフィルムは終了。あとはそのまま巻き取り軸に最後まで巻き取って、巻き取ったフィルムを取り出し、フィルムの最後についている留め紙というのか、その帯状の紙でフィルムの端を止めて、スプールごと写真屋さんに持っていって現像してもらいます。巻き取った側のスプール軸は空になって、フィルムが入っていた軸受けに空のスプールが残っている形になっていると思いますが、次のフィルムを装填する際にこの空のスプールを今度は巻き取り側に移動させて巻き取り軸として再利用するという形で使っていきます。空になったからといってスプールを捨ててしまうと、次にフィルムを装填できなくなるので要注意です。ちなみに巻き取りノブに色々と表記があるのは装填したフィルムの種類などのメモ代わりに使うもので、該当する表記にポイントをあわせておくと中に入れたフィルムがどういったものか忘れないでいられるって云う意味合いのものです。

5、撮影の手順は未露光のコマをセットした後、上部のファインダーを開き、絞りとシャッタースピードをセットしてシャッターチャージレバーを押し下げ、ファインダー越しに構図とピントを決めてシャッターボタンを押すという一連の動作で一枚写真が撮れて完結ということになります。

6、シャッターのチャージ、絞り、シャッタースピードの設定はすべて二つあるうちの下側のテイクレンズの周囲に纏められた機構で行えるようになってます。
向かって右上部に突き出ているのがシャッター・チャージのレバー。これを下に押し下げることでシャッターが切れるようになります。シャッターをきった後はこのレバーは、元の位置に戻るので、次にシャッターを切る時はまた押し下げることになります。
一番外側のリングがシャッタースピード設定のリング、これを回転させ目的のスピードと指標をあわせることでシャッタースピードを設定します。絞りは一番外側のリング下側に重なるようにしてついているレバーを動かし、レンズ鏡胴下側に刻み込んである絞りの各数値にあわせることで設定。絞りは数値間のどこでも設定することが可能です。
右下についてる赤いマークがついたレバーはタイマーで、通常の撮影では使いません。

7、シャッタースピードと露出を計測するための機構はピジョンフレックスには装備されてないので、その値を勘で設定しないなら撮影には単体の露出計が必要となります。


☆ ☆ ☆


ピジョンフレックスという二眼レフがどういう素性のものであるのか、ちょっと調べてみました。
二眼レフの代表的なカメラというとドイツのローライフレックスになるんですけど、このピジョンフレックスはそんな高級カメラと肩を並べるようなものではなく、シンプルで簡単に作れるカメラということで50年代前半の頃、戦後の安定してきた国内事情やアメリカへの輸出を狙って大量にメーカーが現れ、大量に市場に出回った国内産の普及型二眼レフの中の一台でした。

販売していたのは「エンドー写真用品」という店。ピジョンというのはこの店が展開していた自社ブランドのブランドネームだったらしいです。
でも実際にピジョンフレックスを作っていたのはエンドー写真用品じゃなく、いまでいうところのOEMという形になっていたカメラで、八州精機という信州諏訪にあった電気時計メーカーが製造していました。
ピジョンフレックスをOEMとしてエンドー写真用品に提供して程なく、売れ行きが良かったのか、カメラ製作でいけると判断したのか良く分からないけど、八州精機は同年にピジョンフレックスの銘板を変えただけの機種「ヤシマフレックス」という二眼レフを自社から発売することになります。さらにヤシマフレックス発売の4ヵ月後くらいに、おそらくヤシマのカメラという意味なんだろうと思うけど、ヤシカというブランドを立ち上げて、シャッタースピードなどに変更を加えたヤシカフレックスを世に出し、のちには会社名もヤシカと変更することになります。
ピジョンフレックスというのは云ってみるならヤシマ零号機とでもいえるようなカメラで、こんな風に云ってみるとなんだか某アニメにでも出てきそうな雰囲気が出てきますね。

エンドー写真用品店がその後どうなったかは知らないけど、この後のヤシカはカメラ、写真機材製造販売会社として順調に発展して、わたしのイメージとしては大衆的なカメラを提供していたメーカーという印象があるんですが、トリローザの製作元でヤシカのレンズを供給していた同じく諏訪にあった富岡光学を子会社化し、さらにヤシカの持っていた技術やその富岡光学のレンズ製作の技術等が評価されて、カール・ツァイスと提携、のちには途絶えていたドイツのコンタックス・ブランドを、日本でツァイスと共同で復活させるまでにも成長していきます。
しかし順調に大きくなっていったヤシカもオイルショック後に業績が低迷し、いろいろと再建策を取られたけれども最終的には京セラに吸収合併されてしまいます。その後京セラではコンタックスとヤシカの両ブランドでカメラ事業を展開、のちに国内の普及機は京セラ・ブランドで、ヤシカは海外で知名度があったために海外向けのブランドとして展開する形となりました。
ちなみにピジョンフレックスでわたしが使ってみたかったトリローザを作った富岡光学はヤシカとともに京セラに吸収されて、京セラオプテックという名前で今もまだ活動してます。

ヤシマ零号機であるピジョンフレックスは後に京セラのコンタックスへと繋がる最初の一歩でもあって、この二眼レフがなければ、京セラのカメラ事業撤退のために残念ながら今はまた休眠状態になってしまってるコンタックスですが、その日本で復活したコンタックスもひょっとしたらありえないことになってたかもしれないんですね。
こういう来歴をめぐっての話なんかを辿ってるとまさに波乱万丈というか栄枯盛衰を目の当たりにして長編物語でも読んでるような気分になってきます。

ピジョンフレックスで始まったヤシカのカメラをめぐる波乱万丈の物語同様に、当のカメラのほうも50年ほど前に諏訪の何処かにあった工場で作られこの世に登場した時には、まさか50数年後にわたしの部屋にやってきて奈良や大阪港の写真なんか撮らされることになるとは思わなかっただろうし、その前によくもまぁ半世紀の時間を越えてここまでやってこれたものだと、その間にこのカメラがどこでどんな人に連れられてどういうものを見てきたのかちょっと垣間見せてほしいなぁとか、こういう古い機材を前にするとその古さにまつわることで色々と内に秘めてる物語を想像して、これも古い機材を持つ面白さなんじゃないかなと思ったりします。

☆ ☆ ☆

こんな二眼レフを持って、何度か写真を撮りに行ってみました。

まず、これは去年の夏に買ってすでに持ってたヤシカフレックスも同様だったんだけど、ピジョンフレックスのファインダーは、もう絶望的になってくるくらいに見づらく暗いファインダーでした。のちの二眼レフはフレネルレンズを使ったりしてそれなりに明るいものになっていきます。でもこの頃の二眼レフはファインダーといっても単純にすりガラスが嵌ってるだけだから、まるで屋外の日光が降り注ぐ明るい壁に幻灯機でも使って写してるような薄くぼんやりとしたイメージが見えるだけ。下手をしたらすりガラスに反射する自分の顔のほうが良く見えるくらいで、自分のいる位置が木陰で被写体が日光に照らされてるというような状態でのみ中心部分だけがが少しははっきり見えるという状態でした。

おまけに上のほうでも書いてるようにこの二眼レフはどうもピントがあってるのかどうか分からない感じになってました。二眼レフでのピントはそのままではファインダー上では分かりづらいので、ファインダーのすりガラスを拡大できるピントルーペがファインダーのカバーの内側から引き出せ、それで拡大できるようになっています。
わたしの買ったピジョンフレックスの合焦のしにくさはこのピント・ルーペの焦点が、どうやら顔を近づけてファインダーを覗きこむという普通の使い方ではすりガラス表面に合ってくれないと云うのが原因のようで、視度補正用のルーペにでも交換してあるんじゃないかと思わせるような見え方になってました。
最初に試し撮りしてた時は見えないファインダーとかろうじて見える部分でのピントの合わせ難さで辟易してしまい、その後思いついて、すでに持っていたヤシカフレックスのピントルーペと交換してしまいました。結局は両方ともヤシカのカメラということだったからか、ルーペのレンズはほぼ同じ大きさで、簡単に交換終了。結果ピジョンフレックスのピントはかなり合わせやすくはなりましたけど、ヤシカフレックスのほうはピジョンフレックスから取り出した視度補正レンズを入れても仕方ないので取り外したままになってます。
でもこれではヤシカフレックスのほうが使えなくなってしまうので、どこかで大きさの合うルーペでも探してきてレンズを取り出して入れてみようかななんて思ってます。上手くいかない可能性のほうが高そうだけど。


博物館
PigeonFlex / Tomioka Tri-Lausar 80mm f/3.5 : FUJI ACROS 100

なんとも収まりかえったような配置になった写真。馴れない新しいカメラを構えて、四苦八苦してるわたし自身の硬直振りまで垣間見えるような、我ながら動きの乏しい絵になってます。
場所は奈良国立博物館でその施設のうちの一つであるなら仏像館。春の終わり頃から奈良公園の辺りに入り浸っていて、色々写真を撮ってたんですが、そうした日々のうち試し撮りをするためにこのピジョンフレックスを持っていった日もあって、この写真はそういう時に写した一枚でした。
博物館は奈良に入り浸っていた時には展示物を見る目的ではなくて地下のレストランで食事を取るのに利用した程度でした。ちなみに最初のほうに載せたピジョンフレックスの写真はこのレストランのテーブルで撮影してます。他は博物館には定番のミュージアムショップでちょっとした奈良グッズを買うのに立ち寄った程度。買ったのはミニチュアの埴輪と博物館限定の大仏コスプレのキューピー!
食事といえば奈良公園の周辺って意外と食事する場所がないんですね。鹿せんべいはそこらじゅうで売ってるのに。

これはどうしてもこのなら仏像館の建物と寛ぐ鹿の姿を撮ってみたいと思ってシャッターをきったわけでもなくて、自分の立ってる木陰からだとファインダーでそれなりに何が映ってるかが分かるくらいには見えたので撮ってみた一枚でした。
とにかくこれだけ見づらいファインダーだと、この被写体を撮ろうと思っても暗いせいでほとんど見えなくて断念してしまうことが多く、ピジョンフレックスの試し撮りでは、これが撮りたかったからというよりも撮影できるほどファインダーで見ることができたから撮ってみたという場合が多かったです。
モノクロで撮ってみると、写りはコントラストでメリハリがつくというよりもどちらかというと諧調性で見せるような絵作りになりそうな感じかな。

ロビー
PigeonFlex / Tomioka Tri-Lausar 80mm f/3.5 : REALA ACE 100

奈良県文化会館のロビーで撮影したもの。入り口を入ってすぐ目の前に柱を囲んでこういう灯りなのか、柱が4本ほど立ってるところがありました。灯りの柱は2本をフレームに入るようにして写したんですけど、背景に紛れて後ろ側の柱は良く分からないですね。
これは、差し込む光や、金属や乳白色のガラスの質感がよく出てると思った写真でした。50数年前のレンズとしては上出来という感じ。

春日大社参道
PigeonFlex / Tomioka Tri-Lausar 80mm f/3.5 : REALA ACE 100

春日大社にいたる参道です。境内の森の中を縫うように走る参道の脇には巨大な灯篭が列を成して建てられています。それぞれが一般の人から奉納されたもので、近くによって見ると奉納した人や会社の名前が読めたりするんですけど、長い時間が積み重なってるから、なんだかいつの時代の人なんだろうとか、もうこの世界には存在しない会社じゃないのかなとか、色々と想像できるところがあって面白いです。
この時代のカメラっておそらくカラーフィルムを使うことはほとんど想定されてなかったはずで、そういうカメラでカラーフィルムを使った場合どうなるか興味がありました。
かなり破綻した出来になるのを期待したんだけど、撮ってみた結果は意外とまともというか、色のりも想像以上に良くてちょっと吃驚。もっと淡い色で出るかと思ったのが、意外とコクがあるのり方をしてました。
ただ逆光にはかなり弱い印象です。この辺はコーティングが発達した今のレンズとは大違い。この写真はそれほど目立ってはいないけど、日が射してるところはちょっとハレーションっぽい感じになってます。

安治川沿い
PigeonFlex / Tomioka Tri-Lausar 80mm f/3.5 : REALA ACE 100

大阪中之島から大阪港に向けて歩いた時に撮った安治川沿いの風景。ブロガー、kuroさんから一つ前の記事のコメントで中之島の終端に赤レンガの倉庫群があると教えてもらったので、その後赤レンガ倉庫を目指して中之島から歩いていこうとした時に撮った写真です。
この日は歩いても歩いても大阪港につけずに断念。大阪市中央卸売市場周辺を歩き回って写真を撮っただけで帰宅しました。帰ってから調べてみたら赤レンガ倉庫までは結構距離があるんですね。歩いても歩いても到着しなかったはず。それで結局大阪港の赤レンガ倉庫へは後日地下鉄中央線で直接いってみることにしました。
でも安治川流域のこの辺りは大阪港へ繋がっていくのが予想されるような雰囲気があって、岸壁そのものには近づけないところが多かったけど、岸壁にみるオブジェ的なものもわたしの生活空間ではまず見ないようなものがいっぱいあったから歩き回っていて結構面白かったです。間違ってきたところだったけど、また写真撮りに来てみたいと思わせるところでした。

この日の写真は露出の読み違いなのか、シャッターが正確に動いてないのか、かなりアンダー気味になって出来は良くなかったです。だからこれはフォトショップで明るさを上げてます。
さらにこれに限らずこの日に撮ったものには周辺減光が顕著で、ほとんど中心部分がぼんやりとしか見えないファインダーだとかと考え合わせると、ひょっとしてこの時代の二眼レフってフレームの周辺は最初から捨ててトリミング前提のカメラだったんじゃないかなと思ったりします。

築港赤レンガ倉庫 1
PigeonFlex / Tomioka Tri-Lausar 80mm f/3.5 : REALA ACE 100

中之島周辺で写真を撮った後日、3本目になるフィルムを入れたピジョンフレックスをつれて、地下鉄中央線で直接大阪港に行って撮った赤レンガ倉庫。
中之島周辺で撮った写真が露出不足になってたので、この日は2段程度の露出オーバーの設定で撮ったものが多かったです。大阪港は6月の半ば以降、他のカメラを使って何度か写真を撮りに行って、今も撮影に行ってる場所なので、倉庫も他に色々と撮ってるんですが、それはまた別の機会にということで、ピジョンフレックスを試し撮りに持っていった日に撮った赤レンガ倉庫はこんな感じに写せました。
この倉庫群、2棟が並列してるような形で建っていて、今はもう使われていないので近くに寄れないようにその2棟の倉庫群を取り囲んで柵が設けてあります。これはその柵の隙間にピジョンフレックスを突っ込んで撮ってみたもの。階段の様子がちょっと目を引いてそこに向けて撮りました。倉庫は横に長く連なってる形だからスクエア・フォーマットではその長さを収めるのは難しそうでした。

天保山大観覧車1
PigeonFlex / Tomioka Tri-Lausar 80mm f/3.5 : REALA ACE 100

海遊館の側に広がる天保山ハーバービレッジにある大観覧車です。被写体としては凄くオーソドックスなものであっても、これだけ巨大なものとなるとやっぱり撮らずにはいられないです。撮り尽くされてるタイプの被写体でも、どんな角度で撮れるか試してみようと他にもいろいろ撮ったものもあって、これもまた別の機会にということで。
規模としては高さ112.5mと世界最大を誇る観覧車だそうで、お客さんが1,000万人を突破した2008年からはその記念にすべてがシースルーになった特別のキャビンが二台新設されたそうです。そういえば写真撮りに行ってる時に見上げてると、床も何もかも透明の物が混ざってるのがみえました。この写真にも一つ写ってます。怖そうって思ったけど、乗るとしたらあれしかないかなと思うところもあったりして。でもシースルーのキャビンに乗りたくても、やってくる順番によっては乗れないと思うので、そのあたりは運になるのかな。あるいは特別に指定すれば乗れるようになってるのか、どうなんでしょうね。

天保山公園のブランコ
PigeonFlex / Tomioka Tri-Lausar 80mm f/3.5 : REALA ACE 100

天保山っていうけど、どこが山?というくらい平坦なところです。でも実際に山であって標高は4.5mだとか。ちなみに日本一低い山なんだそうです。冗談っぽく天保山登山道という案内板が建っていて、何のことはない4.5mの頂上に向かう短い階段のことだったりします。
そういう山の周辺に作られた公園の一角にこういう遊具が設置されてる場所がありました。
ブランコの周囲だけに光が当たってできる影といったものを狙って撮ったんですけど、意外と広範囲に陽射しが落ちていたり、ブランコ本体を全部画面に納めてしまうとそっちが主役のように見えるので一部フレーム外にはみ出させたものの、そうすると影のほうが写って欲しい位置よりも左にずれたりと、今ひとつ思い通りにはならなかった写真。
色は綺麗に出てます。本当は50年以上前の色が出ることを期待していたのに、モダンな色の出方でそういう意味ではちょっと期待はずれ。

天保山公園に隣接するパン屋
PigeonFlex / Tomioka Tri-Lausar 80mm f/3.5 : REALA ACE 100

天保山に隣接してあったケーキ屋。まだ準備中なのか休業だったのか、店内は薄暗く、人の気配の薄い薄暗さと店内を覆うようにしてガラスに映っていた公園の木々の色が綺麗だったので撮ってみた写真です。本当のところもうちょっと寄って撮りたかったんだけど、薄暗い店内から店の人に見られるかもと思うと、なかなか近寄れなかったです。二眼レフはファインダーを覗いてからシャッターきるまでに儀式があって時間がかかるから、撮影しようとするとしばらくその場に立ってないといけないんですよね。
これも落ち着いた色の出方が綺麗。トリローザは質感の表現が良いという印象のレンズで、その印象は色のほうにも当てはまる感じというか、色についても繊細でニュアンスのある出方をする場合があるようです。

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最初のモノクロとカラー・フィルムを一本ずつ撮った段階で思ったのは、二眼レフは中判フィルムのブローニーで6×6の正方形写真を撮れるのが特徴だけど、ブローニーで正方形写真を撮れるのなら、わたしの場合はすでにハッセルブラッドを持ってるわけで、正直なところスクエア・フォーマットはハッセルで事足りるかなということでした。
でも三本目のカラー・フィルムを入れて大阪港で写真を撮り終えた後、ムツミで頼んだ現像から上がってきたのを見てみると、これがトリローザの威力なのか思いのほかニュアンスに富んで綺麗に撮れてるという感想で、眺めてるとなんだか楽しくなってくるところがありました。ファインダーの見えにくさは相変わらずで、自分の顔しか写ってないピントグラスを目にして、さてどうしようかと思案にくれて、炎天下の道の真ん中で立ち往生といった状態に陥ることも変わってないんだけど、最初は硬直してたところも幾分緩和されてきたのか、少しは寄って撮れるようにもなってきたし、大阪港の写真の仕上がりを見たら、使いにくさにもかかわらずまたこのカメラを持って出たくなってきてます。

なによりも二眼レフというクラシカルで、道具的な手触り感で満ちているカメラを使ってるのは単純に楽しいです。


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試し撮りのものだけというのも何なんで、3月くらいに京都の旧府庁に行って撮っていた写真を何枚か載せてみます。小学校の写真を撮っていた頃に古い建物はないかと思って小学校の後に撮りに行った場所です。大丸ヴィラの割りと近く、平安女学院の聖アグネス教会の角を烏丸通から左に折れてまっすぐに歩いていくと簡単にたどり着けます。小牧源太郎の展覧会をやっていた中信美術館のすぐ近くでもあって、この美術館のことを書いた頃にこの辺りにはよく写真を撮りにやってきてました。

旧府庁は中では今でも仕事に使ってる部屋もあるようだけど、古い京都の建物として内部は一般に公開されています。創建時のまま現存してる官公庁の建物としては最古のもので、国の重油文化財にもなってる建物なんだそうです。
建物は二階建てで、上から見ると「ロ」の字型に回廊が繋がった構造になっており、その回廊に囲まれた中庭には枝垂桜が植えられていたりします。

回廊から中庭に出る一階部分、柱が並んでるところがまるでキリコの絵画にでも出てきそうな外観になっていたり、窓から差し込む柔らかい日差しが綺麗な建物でした。

初めて写真撮りに行った時は、旧府庁とはいえ仕事でたまに廊下を歩いてる人もいたりして、そんな人に混ざってカメラぶら下げて突っ立てるのってかなり場違いというか、本当に入っても大丈夫だったのかなと思うところもあったんですが、咎めるでもなく前をちょっと失礼っていう感じで通り過ぎる人ばかりだったので、まず大丈夫なんだろうと勝手に判断してました。


京都旧府庁1
Nikon FM3A / Ai Nikkor 28mm f/2.8S : Kodak Portra400
一階の回廊の中庭に出るキリコ風柱列と回廊内部の光景。光が差し込む柱列部分と回廊の薄暗がりが同じ場所に上手く収まるかと思って撮ったんですけど、それなりに一枚の写真の同居してくれました。

京都 旧府庁2
Nikon FM3A / Ai Nikkor 28mm f/2.8S : Kodak Portra400
回廊の中庭に向けて開いてる窓に、おそらく職員の人が飾った植物の鉢。

京都旧府庁3
Nikon FM3A / Ai Nikkor 28mm f/2.8S : Kodak Portra400
これは二階から一階へ降りていく階段のところにあった窓とそこからの光の様子です。結構光の表情が豊かな建物でした。

京都 旧府庁4
Nikon FM3A / Ai Nikkor 28mm f/2.8S : Kodak Portra400
壁の隅に棲みついた暗がり。

京都旧府庁5
Nikon FM3A / Ai Nikkor 28mm f/2.8S : Kodak Portra400
正面からの眺め。なんだかこの時は建物全体を収める気なんか全くなかったようで、こんな写真ばかり撮ってました。


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Billie Holiday: You Don't Know What Love Is


もとはミュージカル映画「KEEP 'EM FLYING」というのに使われた曲だそうです。アボット、コステロが主演のミュージカル映画だそうで、そうなると映画はコメディだと思うんですけど、この曲を一体どんなシチュエーションで使ったんだろうという結構な疑問が出てくるくらい、憂愁の曲調が特徴的なバラードになってます。
演奏ではエリック・ドルフィがフルートで幻想的に奏でたものがおそらくベスト。でもここはボーカル版ということでビリー・ホリディのものをピックアップです。
ビリー・ホリディ最晩年のアルバムに納められていて、曲自体もビリー・ホリディ愛唱の曲だったとか。
わたしはビリー・ホリディの歌い方って、なんだかニチャニチャしてるというか粘液質的な感じがしてあまり好きじゃなかったんですけど、単語の一つ一つにウェイトを置いて訥々と歌われる歌い方がこの曲に妙にフィットしたように聞こえたのか、好きでもないビリー・ホリディの声だったのに、途中からなんだか泣けてきたことがありました。それ以来ボーカル版はこのビリー・ホリディのものがお気に入りになってます。







レディ・イン・サテン+4レディ・イン・サテン+4
(2000/11/22)
ビリー・ホリデイ

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