2013/08/06
七月の半ば頃、若干湿度が落ちて過ごしやすい日が数日続いた時、今年の夏はいきなりの強烈な暑さで始まった体験があったせいで、あの暑さを過ぎるとこんな風に意外とすごしやすい夏になるんじゃないかと期待したものの、結局数日で湿度の高さは元通りの酷暑が戻ってきて、期待はむなしく虚空に霧散することとなりました。
云っても仕方がないこととはいえ、ことあるごとに「暑い」という言葉が口から漏れ出し、少し外を歩けばこの言葉が頭の中を埋め尽くしてしまうような状態。
夏の高くなった青空の下、コントラストのきつい影が落ちる、人通りが途絶えた街には、どこかで異界への扉が口を開けていそうで、そういう気配に満ちた場所を探してカメラ片手に歩き回ったりしてるんですけど、暑さのせいで気力が途切れるほうが早く、どうも思惑通りに行かない日を重ねています。
それと、夏の空って青く突き抜けるような空間にもくもくと雲が浮かぶ様相をイメージするんですけど、実際は大抵午後から、天気予報の言い方だと湿った空気で大気が不安定になって午後からは雷を伴うにわか雨が降るといった感じになるんだろうけど、陰鬱な雲が空を覆ってしまう日が多く、結局今年の夏も今のところ夏の空の写真を思うように撮れずにいたりします。イメージとしての夏は入道雲が生える青一色の空なんだけど、実際は結構うっとうしい空模様になる日も多いといった印象ですね。
そういえばこのところ何年も、ごくわずかの機会以外には映画館に足を運んだことがなく、そういう時間に当てていたものをカメラ持って街歩きをすることに費やしていたんですが、今年の夏の映画はちょっと視たいものがあって、久しぶりに映画館に足を運ぶことになりそうです。映画のことも書いていたブログなのに、映画館に行くのって去年のリドリー・スコット監督の「プロメテウス」以来のことになるんじゃないかなぁ。今は写真のことしか書かなくなったけど、一応映画のブログでもあるので、こういう状況になったことはわれながら信じがたいというほかないです。
以前のように小説なんかも面白そうと思うと買ったりするんですけど、読まないままに積んでおくほうが多くなってきてるし、ひょっとしたらもう自分は「物語」を必要としていないんじゃないかって思うこともあったりします。「物語」を必要としなくなったことにどんな意味合いがあるのかは自分でもよく分からないですけど、ちょっと考えてみるのも意味があるかもしれないかな。
それはともかく今年の夏に劇場で見ようと思ったのは「サイレントヒル」の続編と「スタートレック」の続編。両方とも前作を見ていて気に入った映画でした。「スタートレック」のほうはレナード・ニモイなどが出ていた元のTVシリーズは見ていたことはあったけど、それほどのめりこんだ訳でもなく、宇宙空間の冒険の話なのに予算の都合だろうけど宇宙空間はほとんど出てこなくて宇宙船内で話が進んでいくどことなく室内劇のような印象がこちらの期待に全然そぐわなかった物語でした。だから生粋のトレッキーというわけでもなかったんだけど、基本的に宇宙空間を巨大な宇宙船が飛びまわってるような映画が好きなので、しかも意外とそういうストレートな宇宙映画って最近はあまり見ないような気がするし、映画版のスタートレックは室内劇に終始するようなものでもないから結構好みに近い映画になってる可能性が高くて、まるで昔からのトレッキーであったかのごとく胸を高鳴らせています。
「サイレントヒル」のほうはゲームのほうの第一作からのファン。といっても追っかけていたのは「4」まででゲームのプラットフォームを変えたり、第一作のリメイクなんていうのを始めた頃から、ほとんど追いかけなくなってます。なんだか聞くところによるとゲームのほうはもうアメリカ人の手に渡って開発に日本人は関わっていないということらしいので、新作が出ても大したことないんだろうなぁって云う印象のほうが強いです。
映画は「スタートレック」のほうは8月の下旬頃からの公開でもうちょっと先のことになるようだけど、「サイレントヒル」のほうはすでにロードショーが始まってそれなりに日にちが過ぎていて、こちらのほうはこれを書いている時点で見ることが出来ました。
見た印象は、一言期待はずれ。好きなゲームの映画化だから贔屓目に見たいけどやっぱり期待はずれ。
一応鉄錆と金網の世界の地獄巡りをまた体験してるんだとわくわくしながら見られるし、サイレントヒルに踏み込むまでの謎めいた進み具合はそんなに酷くはないものの、それ以降のシナリオがいけない。なんだかどうもご都合主義で成立してるようで、その場その場はなんとなく納得してみていけるんだけど、あとで思い返してみると意識に引っかかってくるところも数少なく薄い印象でとどまるような映画でした。しかもその場で思いついたことを繋いで物語にしてるような立体感のない映画に、起伏がないからこその演出なのか、大きな音で驚かせてくるところが随所にあります。わたしは大きな音で驚かすホラー映画の演出って、いちいち気分がはぐらかされるのであまり好きじゃないです。
せっかく異様な異界に舞台を移しても、とにかく適当な設定で節目節目の危機を回避していくものだから、あれよあれよという間に勝手に話が解決して目の前を流れ去って行く感じ。これからいったいどうなっていくんだろうとはらはらすることもなく、憎悪の主アレッサとへザーがどうしてあの形で一体化したのかなんていうことの説明もないまま、あの形で合体したんだからそういうものなんだろうと気分だけで突っ走り、その後おそらく観客の頭の中に「?」マークを大量に発生させた状態で、主人公のへザーなんかそっちのけにしてモンスター同士のバトルが始まり、気がつけばそれが映画のクライマックスだったらしく、バトルが終わると程なく映画そのものもエンディングを迎えることになってました。
またサイレントヒルでこれこそが特徴というような薄気味の悪さもモンスター方面ではどちらかと言うとヘルレイザー的でサイレントヒルっぽさとは若干ずれてるようなところもあり、この淡白で気分的なシナリオとも相まって基本的にゲームに対する愛情がない人が作ったんじゃないかなぁという思いが強いです。
どうやらアメリカでも不入りで噂ではこれ以降の続編の企画は打ち切りになったそうだけど、そんな噂も納得できるくらいもうちょっと何とかならなかったのかなという思いだけが残る映画でした。原作のゲームはどこかフランシス・ベーコンの幻視にも回路が開いているような幻覚的でいい素材なので、これで終わらせるのはちょっともったいないです。
一作目はクリストフ・ガンズ監督で監督自身がこのゲームのファンだったということもあって、それなりによく出来ていたから、この映画もガンズ監督でもう一度作って欲しいなぁ。霧に沈むサイレントヒルと、そこを侵食してくる瘴気に満ちた鉄錆と金網の世界を気が滅入るほどに思う存分堪能させて欲しい。
まぁそれでも廃墟的なイメージを引きずった異様なイメージが横溢する世界なので、そういうのが大好きな者としては、良かったところも一応書いておくと、異界の病院で登場するナースのシーン、ゲームでもサイレントヒルの病院はまたあそこに入るのかと躊躇わせるくらい気味の悪さで突出していた場所だったけど、そういうひときわ不気味な病院のシーンに出てくるナース型のモンスターはこの映画でも結構よく出来てました。音に反応して攻撃してくるモンスターなんですけど、凶器を振り下ろす時の「あんあん」云ってる声が妙に可愛らしかったりしてちょっと異様なイメージに仕上がってます。音がしなくなると様々なポーズでその場で固まってしまう演出は演じてる人には過酷だっただろうなぁと。のけぞって静止してるナースでピクピク動いてる人がいました。
一つ後で知って吃驚したのがマルコム・マクダウェルが出ていたこと。映画の途中では気がつきませんでした。
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ということで、久しぶりに映画のことでちょっとだけお茶を濁してはみたものの、夏真っ盛り、酷暑真っ盛りの中であまり言葉を連ねる気にもならなくて、予告、というほど大層なものでもなかったけど今回は猫写真の一部披露へと展開することとなります。前回まで続けていた大川のお話は桜ノ宮から北側のことはどうも書きあぐねるというか、気が滅入ってくるところがあって、写真だけ載せるような形になるかも。
猫に関してはこの前も書いたように、一切飼ったことがないということもあって、面と向かっても何をしたら良いのかまるで見当もつきません。どう撫でると猫が喜ぶのか、撫で方さえも知らない。飼ってる人だとそれなりにあしらえるんだろうけど、わたしの場合は何をして良いのか分からずにただその場でカメラ持ったまま固まるだけ。猫に逃げられないように近づく算段も出来ないです。
だから、猫がいて出会い頭で逃げなかった場合はカメラを構えるんですけど、気分に余裕がないものだから、いい表情を狙おうなんていうこともなく、ただ猫が写ってるというだけの写真になりがちだったりします。
でも、飼ってる猫の写真のように生活の中で見せる仕草や表情を寄って撮れないことへの開き直りというわけでもないんだけど、最近は野良猫の写真の場合は特に寄って撮る必要もないんじゃないかなんていうことも考えます。むしろ環境の中にいる猫っていうイメージのほうが野良猫には似つかわしいんじゃないかって。被写体の猫とその猫がいる環境の関係性で成立させた写真のほうが面白いと思うんですけど、どうかなぁ。
暑中見舞いの猫2枚。下のほうは暑中見舞いの写真を撮った時、別に撮った写真です。さらに近づいていくとさすがにこちらの気配に気づいて一度顔を上げてこちらを見たんですけど、見ただけでそのまままた居眠り状態に突入してました。
上のほうはまた別の日。毛繕いしてる途中で、妙な表情をしたときに撮ったものです。
帝国ホテルにいた黒猫の写真を撮った後、暫くしたらもう一匹現れて横に並びました。仲良しなのか?
構図は階段が強調される縦構図のほうが良かったかな。
祇園の某所にいる無茶がつくほど人懐っこい猫。結構有名というか知ってる人が多い猫です。
逃げるどころかちょっとしゃがんだだけでこちら向けて一直線に近づいてきたのであわてて撮った一枚です。どれだけ人懐っこいかと言うと、座っていたらこの猫、全然遠慮なしにひざの上に乗ってきます。
皆が皆いい人ばかりじゃないんだし、もうちょっと警戒心があったほうが良いんじゃないかと思うくらいです。
これ、東福寺の鴨川にかかる橋のかなり高いところから撮ったんだけど、見事にこちらの気配を嗅ぎ取られてしまいました。こんなに離れてるから気づかれないだろうと思っていたのに、カメラ構えたらきっちりこちらを向いてる状態に。
哲学の道の若王子側の終点辺りにいる野良猫。いつも数匹の野良猫がいて近所の人なのか世話してる人がいます。基本的に人が途絶えることのない道なので、しかもちやほやする観光客がほとんどだったりするから、まるで人を下僕だとでも思ってるんじゃないかというくらい、人の存在なんかまるで気にしていない風の野良猫ばかり。いるときを狙っていかないと出会えないなんていう感じじゃなく、いつ行ってもここの野良猫には出会えるんじゃないかな。
ちなみにこの猫、カメラを向けてるこちらには見向きもせずにどこを見つめてるかと言うと、餌を与えてる人のほうだったりします。
難波の飲食店の裏通りで、子供連れの猫。同じく通りすがりの人がちょっと相手になってました。
CONTAX TVS2
CANON AUTOBOY FXL
OLYMPUS μ ZOOM
LOMO LC-A
NIKON F100
NIKON AF600
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The Main Attraction - Everyday
VIDEO アヴァランチーズのサンプリング音源だけで作った奇跡的な出来の曲「Since I Left You」でボーカルパートとしてサンプリングされていた元曲。アヴァランチーズのほうを聴いていて本当にこのボーカルもサンプリングなのかと、そのあまりの馴染みのよさに疑っていたけど、サンプリング元を紹介したサイトを見てみると本当に元ネタがありました。
おそらく現在ではアヴァランチーズの曲の元ネタの一つという扱いでしか話題に上らないバンド。
でも聴いてみると60年代のちょっとソフトなロックという雰囲気一杯の曲で、女性ボーカルも凄い綺麗でかっこいい声だし、曲調も凝っていてこれもかっこいい。そんな洒落た曲なのになぜかほとんど知られないままに終わったようで、曲の出来から行くとちょっと信じられないくらい不遇の扱いを受けてるって云う感じがします。
ちなみにこれがアヴァランチーズのサンプリング音源だけで出来てる「Since I Left You」
The Main Attractionの曲は若干ピッチを上げた形でこの中のボーカルパートとして使われています。
The Main Attractionのほうは2011年ころにCDが出た様子なんだけど、跡形もなく消えてしまってるという感じ。レコードのほうも出てきたとしてもマニアックな掘り出し物扱いじゃないかな。
でも試しにアマゾンで検索してみたら、ここにリンクは貼れなかったけど、この曲が入ってるアルバム「And Now the Main Attraction」がダウンロードという形で販売されてました。
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ちょっと体調を崩してるので、夏休みをかねて、ブログを暫くお休みします。
今回はコメント欄も閉じておきます。