2013/10/23
【写真】さらに燃える世界 Velviaによるクロスプロセス +【音楽】痙攣ボーカル再来 Pere Ubu Navvy

暫く美術館にも行ってないけど、涼しくなってきたということもあってこういう場所に行くにはいい季節になってきました。
ということで来月は実はちょっと前から楽しみにしていた展覧会があります。
誰の展覧会かというと、国立国際美術館で開かれる工藤哲巳の回顧展。アヴァンギャルド全盛の60年代、反芸術の旗手だった人で、美術の本では見たことがあったんだけど作品の実物はほとんど見たことがなく、特にグロテスクで異様なオブジェ作品は写真じゃなくて物質的な質感、量感を伴った形で見てみたいと思っていたものでした。これは来月の2日から。またこの回顧展は東京と青森へ来年巡回する予定らしいです。
もう一つは来年になるんだけど、2月に同じく国立国際美術館で開催予定のアンドレアス・グルスキー展。ドイツの現代写真の作家で、ヴォルフガング・ティルマンスを初めとしてドイツ現代写真の世界ってかなり興味があるから、これは絶対に逃さないでおこうと思ってます。ちなみに東京では先行で開催されて、今はすでに終了してる模様。開催地は大阪の中ノ島ですけど、もし興味を引かれたら、行ってみてはいかがでしょうか。
工藤哲巳回顧展
アンドレアス・グルスキー展
☆ ☆ ☆
この前記事にしたクロスプロセスの赤かぶりしたフィルムの別のコマをいくつか載せてみます。ちなみにクロスプロセスについてもう一度ごく簡単に書いておくとポジフィルムをネガフィルムの方法で現像するというイレギュラーな現像方法のこと。
さらに今回は音楽のほうが先にあって写真を選んだ感じになってます。
音楽はこれもまた前回の記事で話題にしたペル・ウブの別の曲。前回のペル・ウブよりは、実験的というか、ペル・ウブの本領発揮という感じの曲です。前回の記事で取り上げた後でついでに他にどんなのが上がってるんだろうと探して見つけたこの曲を聴いていて、視覚的にはメンバーの写真が数枚と、「DUB HOUSING」のジャケット写真しか出てこないけど、こっちにしたほうが良かったかなぁと、そんなことを思ってました。そうこうしてるうちにこういう曲はクロスプロセスの写真と合いそうな気がしてきて、クロスプロセスのほうもまだブログに出してないのがあったし、それではこの曲とクロスプロセスの写真の組み合わせで記事にしてみようと思い至ったわけです。記事の体裁はいつも通りだけど、今回はいつになく音楽との親和性は強くなってるはず。
冒頭の写真が一番音楽的なんじゃないかなと思います。花壇の写真だったんだけど具体的な花の属性ってほとんど飛んでしまって、なにやら妖しくも抽象的な絵柄に近くなってるのが、後になって妙に気に入った写真。
最初見た時は全然花の写真じゃなくなってる!と、失敗写真の内に入れてました。でも花を撮ってそう見えなかったにしても、それならば結果として花の写真じゃないと思えば、なにやら火山の噴火口から飛び散る火花のようにも見えるし、あるいは何に見えるとか無理にそんな具象の何かを持ってこなくても、これはこれで何か成立してるものがありそうな気がします。


工場っぽい素材を被写体にしても、インダストリアル・ミュージックのような感じっていうのにはなかなかならないというか、殺伐とした雰囲気で神経をささくれ立たせるような写真というようなのはどうすれば実現できるのか。ノイジーな写真でも、聴覚ほどは直接入り込んできて神経に直に絡みつくような感じにはならずに、さらにまた殺伐としてるといえば、たとえば血みどろの不快な映像のようなものであっても同様に、衝撃的ではあったとしても、対象と自分との間に何がしかの距離があるスタティックな客観性はどこかで保持されてるような気がします。何よりも映像は瞼を閉じればシャットダウンできるし。
結局のところ音楽が一番近いところまで感覚に肉薄するメディア?
それはともかく、これ、手前のドラム缶に写りこんでる光景が、意外と絵になるかも。3連積み重ねで若干差異を含んで並んでる、ここだけ切り取って写真にしても面白かったんじゃないかと思います。
反射するものとか映りこんでるものとか撮るのは好き。でもすぐに自分も映り込んだりするから、セルフ・ポートレート風に積極的に映り込みを活用する写真家もいるようだけど、ちょっと悩みどころだったりします。自分の映り込みを避けようとして、こういう写真の全部といっていいほどちょっと斜めから狙ったものになるんですよね。

これは工場の煙突の別バージョン。この世界の光景とは思えない。
ロシアのカメラLC-Aのロシア的に不安定な露出計大活躍っていう所だけど、これクロスしなかったらどんな写りになってたんだろう。
フィルムは何をするにしろ不可逆な物質なので、たえず確かめられないもう一つの何かっていうものが付き纏って、想像をたくましくさせるところがあります。
全部真っ赤の結果で帰ってきたのを見た時はなんだかなぁっていう気分もあったけど、個別に見てみると意外と面白い効果になってるものもあって、やっぱり昔の、インディーズっぽい作りでサイケデリックな実験映画の一齣なんていう雰囲気は、他のフィルムでクロスプロセスをやった時よりは濃厚に出てきてるように思います。赤という色が強烈なのかなぁ。血の色で恐怖や不安を煽り立て、無意識に危険なサインとして刷り込まれてる色。世界が染まる色としては一番非常識な色かもしれないです。
この前は出来は面白かったけど、もうこのフィルムでクロスプロセスはしないだろうって書いたものの、もう一度くらいはやってみてもいいかなとちょっと宗旨替えしてしまいそうな気分になってます。
ちなみに撮っていたのは伏見の三須閘門から宇治川にかけての河川敷でした。この宇治川は八幡で淀川と合流した後大川の分岐点である毛馬閘門地区まで続いていきます。
LOMO LC-A +MINITAR1 F2.8 / 32mm
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Pere Ubu - Navvy
デビッド・トーマスの引きつりボーカル全開!この前のデビューアルバムとこの曲が入った「DUB HOUSING」というアルバムはレコードを持っていて、昔聴いてた時は平気で裏声にひっくり返る変なボーカルだなぁと思うほうが強かったけど、本当に久しぶりに聴いてみると、なかなかスリリングな不安定さで突っ走っていて昔聴いていた時よりもかっこよく聴こえました。
曲全体も荒削りの生々しい音でポスト・パンク的、ガレージ・バンド的な雰囲気が横溢していて、ドラムがドコドコ叩き出しながら煽ってるけど、これは絶対に高揚感じゃない、どちらかと言うと気が滅入ってくるようなダウナー感覚のほうが強いと思わせるところが、このバンドの特質なんでしょう。
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今日濡れた歩道で滑って転倒してしまい、左手で受けたのが影響して、左腕の骨にひびが入ってしまいました。
去年に続いて骨のトラブルに見舞われてしまって、片手でタイプ出来ないこともないけど苦痛なのでブログを暫くお休みします。
3週間くらいで治るという話だったので、それまでに復帰できると思いますけど、その時はまたよろしくお願いします。コメント返せそうにないので、また暫くコメント欄を閉じておきます。
ある程度治るまでカメラが構えられない!これがちょっときつい。