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知覚の地図Ⅷ 夜が耳欹てるしじまの音

斜光





夜の木





孤立光
Nikon Coolpix S9700

日焼け予防も兼ねているのか小池都知事のものはサイズ大きすぎだと思うけど、おそらくその都知事の様子や政府支給マスクが後押しする形となって、気がつjけば布マスクの存在感が際立ってきた。サージカルマスクが手に入らないからもうこれしか選択肢がないし仕方なくつけているという状態から、買えないマスクなんてどうでもいい、布マスクで十分、こっちのほうがいろいろ遊べて楽しいなんて云う風に、なんだか知らない間に意識変化を起こしてきているようだ。布マスクが使い捨てマスクの不本意な代替手段じゃなくて、それ独自の選択としての存在感を持ち始めている。
わたしもその風潮に図らずも乗ってしまったような形で、後追いでニューヨークでも布マスクが無料配布されたなんて云うニュースを見るにつけ、いまだに到着しない政府支給マスクの、いつものごとくスピード感を欠いた役人仕様に苛立ちながら自分でも作ってみたくなった。いろいろと調べてみると意外に簡単にできそうなのも気分の後押しになっている。
でも工作意欲を刺激されたからと云ってマスクが好きなわけじゃない。海外の人もつけ始めて日本のマスク文化が広まっていってるなんて云う人を見かけたけれど、装着した存在を別次元へと押し上げる仮面のようなものならいざしらず、顔をひたすら隠すだけのこんなもの、これから犯罪を犯そうとしている者が大っぴらに人相を隠せると大歓迎するくらいで文化でも何でもないだろう。こういうものをつけなくても出歩ける世界がまたやってきてほしい。
まぁそれはともかくとして、マスクを自分で作るにはまずはミシンがいるだろうということになって、2万程度で名の通ったミシンメーカーのものという基準で探してみると、ブラザーの初心者用のミシンに条件に合うものが見つかった。慣れればほかのものも作りたいという野望も抱く一方で、隅々まで使い倒せるかどうかの自信はない。でもおもちゃのようなものも嫌という選択肢にかなってそうなミシンだった。ちなみにLDKで2万円以下のミシンのランキングでは一位を取っていた機種でもある。
ところが、これだ、これに決めたと意気揚々と注文しようとしたら、これがまた予想外の大きな壁にぶつかってしまうことになった。知らなかったんだけど、今ミシンってマスク並みにものすごい品不足になってる。重いうえに送料だってかさむから転売屋が暗躍しているとも思えないし、本気の品不足なのか?リアルショップでは注文しようにも在庫切れ、入荷未定の表示ばかりだ。
ネットだと楽天とヤフーショッピング、両方に店を出しているミシンショップでこの機種の注文を受け付けているのを見つけ、しかも即日発送で値段もそれなりに安かったのでここで注文することにした。ところが注文する段になって、ここでまた結構大きなハードルに突き当たることになる。注文受付開始時間にカートに入れようとしたんだけど、多少注文内容の確認をしてカートに入れるボタンをクリックしただけなのに、受付開始からほんの十数秒でもう売り切れの表示しか出てこない。この店の注文は休日を除くほぼ毎日同じ時間に開始となっていて、その日しくじっても翌日に同じチャンスが用意されてる。ひょっとしたら一日一台くらいしか扱ってないんじゃないかと思いつつ、毎日用意されてるそのチャンスを渡り歩いて数日間、注文完了までの時間を短縮する工夫を重ねてようやく最後までこぎつけることができた。最終的に注文できた経過時間は開始から2秒だった。ミシンはなんとか注文できたけど、ミシンでこの有様だから当然マスク用のガーゼもどこにも見当たらず、ついでにミシン糸なんかも入手困難となって手芸屋の商品リストはまるで絨毯爆撃でも受けたかのように一面焦土と化している。まぁ生地のほうはガーゼに拘らなければわりと何とかなりそうではあるけど。
手芸店での品不足はマスクを作って寄付するというのも流行っているらしくそういうのも一因になっているとか。こういうのを多分に自己満足的な善意の押し付け、善意なら非難される筋合いはないという錦の御旗を掲げ、勝手な了解のもとにわがもの顔で練り歩く、質の悪いもののようにしか見えないのはわたしがおかしいからなのか?
ほかにもマスクからの衝撃波が広がるようにいろんなものが手に入らなくなってる。今本気で困っているのは薬用のハンドソープが完全に店頭から消え去ってしまったこと。なにしろわたしの難病では毎日座薬を使うので消毒要素のあるハンドソープはもう本当に欠かせないものになっているのに、これがどこにも見当たらない。かろうじて本体なしの詰め替え用の薬用ハンドソープを見つけてとりあえず買ってみたものの、これを入れるための汎用のポンプ式ボトルがこれまた店頭から消えてしまってる。買った詰め替え用は泡のハンドソープじゃなかったので入れ物が見つからなければドレッシングのボトルにでも詰めて使おうかなんてことも考えてる。
そういえば、ブックオフのショーケースから中古のプレイステーションも、PS4まで全世代の機種が見事に消えていた。わたしは巣籠期間中の現在、ゲーム三昧とミステリまみれの生活になっているけど、プレイステーションは2と3を所持し、3のほうで初代と3のソフトを遊ぶという形で初代から3までカバーして、店頭からPSが全部消えてしまってもそれほど不自由はしていない。現行機種の4にはいまだに手を伸ばしていない。プレイステーション4は現行の機種ということもあって中古でもソフトが高すぎて手が出ないんだなぁ。FF7のリメイクとか遊んでみたいのがリリースされてるから興味はあるんだけど。
なんだかなにもかもが、誰かが何か一言でも云ったり、あるいは転売屋の悪意ある行為ひとつで大群衆が移動、殺到するという構図が出来上がりつつあるようで、こんなことが重層的に発生し続ければそのうち社会そのものが崩壊してしまうだろう。



Grant Green Trio live

グラント・グリーンにこんな演奏動画が残っていたなんてちっとも知らなかった。ケニー・バレルとバーニー・ケッセルの三人でのセッションの短い動画しか見たことがなかったし、噂ではグリーンの演奏の様子を伺い知れるものはほとんど現存していないということだったから、こういうのが残っているというのはちょっとした驚きだった。音源だけで聴いているとどちらかというと泥臭い、ひょっとしたらコード弾けないんじゃないかとも思わせかねないシングルノートのヘタウマギタリスト寄りの印象だったんだけど、こういうのを見ると手癖で弾いているようないつものファンキーなフレーズの演奏を見せながらも、意外なほどストイックでクールと、印象はずいぶんと違って見えてくる。闇の中から浮かび上がってくるようなイメージのトーンがしっくりと馴染んでいる。


何度目かのブロッサム・ディアリーの「Now At Last」名曲なのにカヴァーしている人がほとんどいない不幸な曲。


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