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辺境の地にて丘の上に聳えるけだものの振り子を遠望する。

距離

ようやくネット復帰。と云っても実際は10日少し前にすでに復旧していたんだけど、手足の不自由さに加えて再燃した潰瘍性大腸炎に心のいくばくかを折られてしまったのか何もする気が起きずに今に至ってる。10日に消化器内科の診察予約が入っていたので、血液混じりの粘液が出るとかなんとかいろいろと現状報告をしてきた。診察前には大腸内視鏡検査やりましょうくらい言われるかと覚悟していったんだけど、血液検査の結果や報告内容からそれほどでもないと思われたのか、薬であるリアルダを再燃時の最大限用量の4錠に増やす程度で様子を見ることになった。現状は寛解時の用量である2錠服用なので薬の量は倍になる。以前症状が出まくっていた時の用量に戻ったわけで、これで治まってくれればいいけど。血液検査の炎症に関する値は前回の診察時の10月のほうが高くて、症状としてはまだ出てこなくても、この辺りが再燃の始まりだったんじゃないかと思う。それにしてもしんどいなぁ。肉体的な苦痛同等に精神的にも擦り切れていく。

カイロ

少し前からハクキンカイロが欲しくなって、今年になってから燃料となるベンジンと一緒に購入した。ところが購入したのはいいんだけど、どうやらシーズン中に品切れを起こすアイテムだったらしく、のちに直近の期日に更新されたものの注文当初の納期は2月の8日と一月先、結局ベンジンだけ先に到着して、しばらく所在なさげに部屋に佇んでいた。
気の利いたガジェットの特徴というか、手に持ってるだけでその手触りや質感が楽しそうというのが見た目からでも伝わってくる。ジッポのライターの蓋を開け閉めしてるだけで楽しいといった感覚に通じるものがある。形は角の丸みや鏡面反射する銀面がレトロフューチャーっぽく、昔の空想科学絵画に出てくる流線型の宇宙船の部品のようだ。ベンジンが燃料となるからといって、実は火をつけて使うわけじゃない。火口に仕込んである白金と気化したベンジンの化学反応を利用して熱を発生させてる。これもなんだか科学的、未来的で、こんな仕組みが100年前に考案されたっていうのがまさしくレトロフューチャーっぽい。道具として視覚的触覚的に魅力にあふれ、そして暖かいという実用性も兼ね備えてる。わたしはつるの剛士の紹介で知ったんだけど、アニメだかコミックで取り上げられて、今流行ってるんだとか。



カフカ 短編
気分が低迷してるので遅々として進まないけど、現在二冊同時読み。同じく言葉のみを使って成り立っているものなのに、読書感がまるで違ってるのが面白い。カフカもエンタテインメント的に、結構ストーリーテラーの資質があるんだけど、この質感の違いは何だろう。カフカの頭に浮かんだもやもやしたものをわかりやすいものに翻訳しないでそのまま吐き出してるって感じが独特の物語空間を作ってる。カーリイのサイコキラーの物語はサイコキラーは異常であっても物語空間は明晰であって、はみだし収まりきらない歪な空間を形作ることはない。こういう違いなんだろうか。

これ書いてたら、さらに眩暈まで始まってしまった。持病が全部稼働状態になってる。頭を動かすと周囲の世界が高速で回転しだす良性発作性頭位めまい症。寝る時にあおむけに横たわるとこれが始まるので寝るのが恐怖の対象になる。眩暈は長くても一か月ほどで自然に収まるのは経験的にわかってはいるけど、ちょっとハードモードになりすぎじゃないか。眩暈持ちということで常時病院からメリスロンはもらってるから、これでしばらく耐え忍ぶ。

imco
ハクキンカイロでガジェット趣味が刺激されて、ライターまで買ってしまった。イムコのライター。古くからあるオイルライターでオーストリアの本家は製造100年ちょっと手前でライター作りを止めてしまったんだけど、その後日本の会社が権利を買い取って復刻版を出してる。
円筒部分がオイルタンクと着火部分でその横についてる長方形のパーツにはフリント等仕込んである。このライターの駆動部分を開くとフリントを押さえてる部品がばね仕掛けでせり出してきたりして、メカニカルな感覚剥き出しのギミック感がなかなか楽しい。
ハクキンカイロは火を使わないけど化学反応を開始するために最初温度を必要とし、そのために火口に熱を加える必要がある。その用途のためにこのライターを買った。5秒ほど焙るだけなので別に100円ライターでもマッチでも構わなかったんだけど、せっかくハクキンカイロに使うのにどうも見劣りする。しかし煙草なんかもう吸わなくなって久しいし、ほかに使い道もないのにこれは衝動買いに近い。いや、非常時の道具の一つとして常備しておけるか。

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屋根の上のしらたき

明けましておめでとうございます。

年末からルーターの電源が入らなくなって、PCがネットに繋がらなくなってる。スマホからでは思うように操作できないし、早急になんとかしないと。でも正月休みて身動きがとれない。

百番目の男

「百番目の男」を読み終える。このタイトルは内容の犯罪に関するものじゃなく、ある寓話の言葉を借りて主人公カーソン・ライダー刑事の人となりを一言で現わしてるものだ。このタイトルはこの書物がまさしく犯罪との関わりにおいて描かれるライダー刑事についての物語の始まりだと、シリーズ一作目で宣言しているようでなかなかかっこいい。
で、売り物だった驚愕の真相がどうだったかというと、正直なところこの物語の何が驚愕の真相だったのかさっぱり分からないという形で読み終えてしまった。大どんでん返しがあるのかと思って、多少身構えて読んでいたんだけど、そういうこともなく、確かに真犯人は予想外な人物ではあったけど、これコンピュータ・ゲームでいったらNPCの一人をいきなり犯人に指摘するようなもので、ほとんど能動的に物語に絡んでこなかった人が犯人だと云われても、それは驚愕の真相というとはまたちょっと違うんじゃないかと思う。
で、みんなこの物語の何に対して驚愕だといっているのか調べてみたら、どうやら死体に残された文字の謎に関してのことらしい。確かにこの文字の扱いは意味とはまるで別次元の真相が用意されていて、あまりに常識はずれなものだったので確かにびっくりはするんだけど、じつはわたしは昔機材を使って似たようなことをして遊んだことがあって、ミステリの中でこんな形で使ってるという新鮮さはあっても、わたしにとってはこれもそんなに云うほど驚愕というわけでもなかった。
というわけで最後に用意された驚愕の真相というのはちょっと肩透かしで終わってしまったんだけど、だからといってつまらなかったわけでもない。むしろわたしにとって面白かったのは終盤近くに登場する犯人が撮っていたビデオ映像の件だった。ライダー刑事たちが犯人の家でビデオテープを見つけて再生してみると、これがまたグロテスクで超現実的な前衛映画のような様相で、隠微な秘密が異様な映像で暴露されていくのを息をひそめて眺めていくことになる。犯行の真の意味合いも遺体に残された文字の謎もこの前衛映像で明らかになる。もちろん小説なのでビデオの映像と云っても文字起こしの形になるわけだけど、直接そのものを見るよりもイメージ豊かに頭の中で再構築されて再生されていく。荒くノイズ交じりの画面の奥でハイコントラストな映像がグロテスクで頭のネジが外れてるようなシーンを繋いでいくのを、主人公たちと一緒になって息をつめて眺めることになるわけで、これはちょっと圧巻の体験となった。
物語は終盤は冒険小説風となって、サイコパスもの嫌いのわたしでもページを繰らせていくほどの勢いはある。登場人物たちもそれなりに魅力的で感情移入を促してくる。意外だったのは主人公の兄。この人もサイコパスの殺人鬼で、出所することも不可能な施設に監視つきで監禁されているんだけど、主人公は事件解決のヒントを教えてもらうために何度かこの兄を訪れていく。対話はまともには進行しないので、登場人物のなかでは真犯人についで感情移入しにくい人物と思われていたのが、エピローグで一変。エピローグを締めくくるエピソードでかなり歪んではいるけど主人公との兄弟愛みたいなのを垣間見せて、余韻をのこして物語を締めくくる。どうしようもなく狂ってるけど、子供っぽい遊び心もあっていい兄貴じゃないかと、物語の読後感は予想以上に良い。
次は長いのを読むなんて書いてたけど、ジャック・カーリイのものは未読のものがあと二冊手元にあり、ここはキャラクターに馴染みができたぶん、手持ちのシリーズものを続けて読んだほうがいいかなと迷ってる。


ストール
ごく最近の買い物で、GUのストール。セールに出ていたのを990円で購入だ。黒のノーカラーボアブルゾンにクリーム色のタートルセーター、くすんだローズレッドのニットグローブにチープカシオ、ツイードライクなグレーのパンツといった組み合わせに合わせるつもり。
さて買ったはいいが首に巻くつもりの、その巻き方が分からない。マフラーはミラノ巻きが好みだったけど、今度はストールをかっこよく巻く研究をしなければならなくなった。




バード南極探検隊が発見した失われた古代文明の遺構の秘匿された写真という体裁だけど、もし本当にあったのならわたしも現場で見てみたい。超巨大壁画なんて実際に目の当たりにすれば鳥肌ものだろう。