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爪先立った僧正のテーブルが走る。地面に貼られた奇遇のタイルをテーブルだけが知るある秘密の順番で踏みながらいびつな旋律を奏でていく。音楽はとぐろを巻き粘土のようになって耳をふさいでいく。

哲学の道 廃墟看板
哲学の道の南端少し降りたところにあった喫茶若王子の廃墟の案内看板。この看板から通行禁止になった石段を下りていくさきに木立を通して廃墟になった喫茶店が垣間見えていた。廃墟の常としてまるで永遠に止まってしまった時間の墓標のようだった。撮影は手元に残したデータによると2012年となっている。もうそんなになるんだと思って調べてみると現在はこの案内ワゴンも含めて喫茶若王子の廃墟は全部解体されて更地になってるらしい。この辺りはのら猫のたまり場みたいなところで今でもそれは変わらないだろうけど、この写真を撮ったころにいたのら猫は全員もうこの世界にはいないだろうなぁ。若王子も含めて諸行無常だ。

病院の帰りに久しぶりにブックオフに寄り道してきた。この寄り道の大した距離でもない余分な道のりが歩けなくなってる状態だと結構きつくて、最近はほとんど行ってなかった。久々に行ってみたブックオフはなんだか精彩を欠いていて、100円文庫の棚が100~200円文庫の棚になって今まで100円で売っていたような結構な数の本が倍額の値上がりになっていたし、数か月ぶりに行ってみたのにたいして代わり映えのない品ぞろえ、売れてない本はまるで売れてないまま棚を占領していた。このなんだか停滞してるような雰囲気はどうしたんだろう。ゲームのほうがよく売れてるのかな。そういえばゼルダの最新作の中古が棚に並んでいたけど、まだまだ高くて買う気になれないものの、あまり値下がりはしなさそうだ。もっとも前作を途中で放棄してるからまずそっちをクリアしないといけないんだけど、オープンワールドのゲームとして評価が最高値に上がってるのは理解できる出来なんだけど、アクションが高度に洗練されていてついていけない。ついていけないけどやってみると無類に面白いというジレンマに陥ってる。
ゲームは思いつきで買える値段でもなく寄り道としては置いておくとして、この時は代わり映えのしない本棚から数冊選んで購入して帰る。
購入した本はダンテの「神曲煉獄編」岩波文庫版「紫禁城の黄昏」冒険小説の代表作「鷲は舞い降りた」の完全版、「クーデターの技術」の四冊。「神曲」は地獄編を持ってただけなのでこれは100円で入手できて素直によかった。「紫禁城」は「ラストエンペラー」でピーター・オトゥールが演じていた人物の著作。買って帰ってから「ラストエンペラー」好きなのに今まで手を出さなかった理由を思い出した。これ左翼出版社の岩波が左翼に都合の悪い部分を削除して出した屑本だった。「きけわだつみの声」同様に岩波はこういう言論を冒涜するようなことをわりと平気でやる出版社だった。近年はボルヘスの本を出したり、ブルトンのシュルレアリスム宣言を現在の時点でほぼ最強の状態で文庫にしたりしていたから油断していた。「鷲」は昔読んでるはずだけどまた読みたくなって。「クーデター」はわりとこういうきな臭いテーマが好きなんだけどまぁ大したことは書いてないだろうなぁ。クーデター史みたいなのでも纏めてあればそれでいいか。今回は紫禁城の完全版を探そうと思った以外大した収穫でもなかった。
今読んでるのは西澤保彦の「神のロジック、人間のマジック」今はタイトルを変更してるようだけど、こっちのタイトルのほうが好きだ。芥川の短編やカフカの短編、アンナ・カヴァンの「氷」など読み散らかす乱読の中、何か月か前に「少女たちの羅針盤」を読み終えてる。少女たちが劇団「羅針盤」を旗揚げしていく過去編とそのうちの一人が新人女優として映画作成に参加する様子の現代編が交互に描かれ、現代編ではこの女優が羅針盤にかかわって過去に殺人を犯していて、それを撮影現場で告発しようとする者がいることを仄めかされる。いったいこの女優が羅針盤の誰なのか、告発しようとしてるのは撮影スタッフの誰なのか、殺人とはいったい何が起こったのか、そういったことを謎のコアとして物語が進んでいく。ミステリとしては小ぶりな作品だったけど事件が終盤手前にならないと明らかにならないという考えてみれば結構大胆な構成で、女優の正体など明かされてみれば真相は予想外に意外性にとんでる。ただわたしはミステリというよりは少女たちが旗揚げした劇団羅針盤の栄光と挫折といった青春小説的な部分に感情移入しながら読んでいた。一粒で二度おいしいなんて言う評価もできるかもしれない。ただ劇団が見舞われるいじめとかの話は読んでいてつらい。人が理不尽で卑劣な暴力にさらされるこういう話は正直あまり読みたくない。








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