【洋画】 MAY ー メイ ー

ラッキー・マッキー監督は、どうもふざけた名前で損してるような気がしないでもない、新鋭の監督。ダリオ・アルジェントやロマン・ポランスキーに影響を受けた人らしいです。
他の映画では「虫おんな」という強烈なタイトルのホラーも撮ってるようです。タイトルだけで好奇心が動き出すんですが、この「MAY」を観る限りでは視覚的な見せ場たっぷりの映画を撮る人でもなさそう。この映画一応はホラーなんですが、基本はほとんど青春映画のノリです。

主役の女性メイを演じたアンジェラ・ベティスは誰かに似てると、観てる間中思っていて、これには観終わってから思い当たりました。牧瀬里穂に似てるんですよね。
他の出演作、「ブレス・ザ・チャイルド」「ツールボックス・マーダー」とかも観てるのに、そんなに牧瀬里穂が出てると思わなかったので、この映画に関してだけの印象だったんでしょうか。

☆ ☆ ☆

斜視で弱視だったメイは子供の頃を、斜視を隠すためのアイパッチをつけて過ごすような生活だったので、周囲の子供からは奇異に見られ、内気な性格も原因となって友達に恵まれずに、両親から誕生日祝いに貰った人形スージーだけが、しかもこんなものを親が娘に与えるか?というほど不気味な人形だけが友達だった。
メイは大きくなってから動物病院に就職する。裁縫が得意で、自分の着る洋服も手作りしてるほどの裁縫の腕は動物病院の手術の際にも発揮されて、院長からも重宝されていた。
動物病院には同僚のポリー(アンナ・ファリス)もいて、レズビアンのポリーはその性癖のせいなのか、内気なメイにも仲良く接してくれていた。
そんなある日、メイは街中を歩いていて、手の綺麗な青年アダム(ジェレミー・シスト)を見て一目ぼれしてしまう。
偶然のきっかけでメイはアダムと知り合うことになる。

生まれて初めて恋人ができて、職場には仲良しの友達がいる幸せな毎日を、メイは過ごすことになった。
ところが、普段人形と話して生活するようなメイの行動は、普通に見ると行きすぎ、逸脱してるように見えるものも多くて、そういう非日常的な行為を目にするたびに、親密になった人は遠ざかっていくことになった。
アダムは別の女を作り、ポリーも別の友達を作って、次第にメイと距離を置いていく。その距離を埋めようとするメイの行動が、アダムたちにはさらにうとましいものに感じられて、メイが努力すればするほどメイとの距離は拡がっていくばかりだった。
アダムとの距離が離れていく一方なのを自覚したメイはやがて、友達になってくれないなら、自分の手で友達を作ればいいんだと決心する。

メイは理想の友達を自分で作るために、アダムからは綺麗な手を、ポリーからは綺麗な首を、ポリーの新しいレズビアン相手からは綺麗な足を貰ってくることにした。

☆ ☆ ☆

全体的には閉塞感に満ちた映画とでも云えるんでしょうか。

メイに人形を与えた両親は子供の時の誕生日のシーンに出てくるだけで、あとは最後まで出てきません。
メイの個的な領域内に入ってる要素は、メイが大人になってからはその人形だけになり、両親は消滅して、他のものは全部メイの外側にあるものとなっています。
子供の頃のシーンで両親はメイの個的領域を外側に拡張する存在でしたが、大人になってからの物語では綺麗に排除された結果、メイの領域は風通しの穴さえも開いてないような状態に変化しています。

メイの領域を閉じたものにするために両親の存在はいらない、両親が退場した理由はメイの内的な領域の物語には不必要なので描写しないと、両親に関してはこういう感じの扱いだったんだろうと思うんだけど、ある意味物凄く割り切った作り方をしてるという感じです。

メイのこういう状態を当人の視点で描いていくので、当然の事ながら映画の世界は完全に閉じた印象として観ている側に入ってきます。全く嫌になるほどの孤独に関する映画。

両親が確保してくれていた外界との通路を再び自分で手探りで捜し求めなければならない過程を描写して、そういう部分は青春映画的なんですが、不器用でそんな通路など何をしても見つけることも出来ずに、自らの閉じた領域内で妄想を紡ぎだし、しだいに壊れていく後半は青春映画の形のままでホラーに傾斜していきます。
メイの内的な領域は最後まで閉じていて、孤独なままなのは変わらず、というより一度はアダムとの間に通路が開けたように見えた分、孤独はそれ以前よりも凶悪さを増していて、そういう凶悪な孤独に苛まれてメイが狂っていく過程からは、思いのほか痛々しい印象を受けます。

☆ ☆ ☆

ホラー映画だと思って観始め、前半の意外なほどの青春映画の部分に拍子抜けして観ていたら終盤はスプラッターものに変化します。メイは関わった人を次々と殺して、理想の人形つくりのために、その人の体の中で自分が気に入ってたパーツを切り取っていきます。
メイはそうやって切り取った友達のパーツを縫い合わせて人肉人形を作り上げていくんだけれど、その人形は腕と首と足以外は布で出来た作り物。布で作った顔の造作は異様で面白かったものの、全体はボロ布を纏った人が寝てるだけみたいな造形です。
でもこの時点でメイは完全に狂ってしまっていて、全部が人肉で出来てる人形を作ろうとする考えよりも、布と人肉が同居していても全く平気という感覚の方が狂ったメイには相応しいもののようでした。

布と肉の混合物という見るからに常軌を逸した異形のものに、メイは最後にあるものを与えます。その人形の最後のパーツとしてメイが与えたものはグロテスク極まりないものなのに、ここにきて妙に切なさが残るんですよね。グロから連動していく感情としては、感じた自分でもとても意外なものでした。
この最後のパーツのシーンはちょっと上手かったかな。

☆ ☆ ☆

物語的には、友達になろうと努力してる前半と、理想の友達作りのために相手を殺しても構わないという壊れてしまった後半との間にある落差が凄くて、これをうまく乗り越せるかどうかが、脚本、演出の腕の見せ所だったんですが、この辺はちょっと荷が重すぎたのか、メイの内的な変化を丹念に追ってこの深遠ともいえる落差をスムーズに移行させるのではなく、状況でその落差を目立たなくしていく方法をとってました。
動物病院に勤めてるから死体の扱いには馴れてる、裁縫が得意だから集めた友達のパーツを苦もなく縫い合わせることが出来る、部屋中にばらばらになった人形が散らばってるなど、一旦狂ってしまえばそういう発想に進んでもおかしくないキャラクターとして、その状態に繋がっていくものを物語の前半にばら撒いてるんですよね。この辺はちょっと安易だったかなという感じでした。状況で目立たなくさせるんじゃなくて、脚本と演出の力で変化をきちんと見せて欲しかったです。

☆ ☆ ☆

痛々しさを表現してメイを演じたアンジェラ・ベティスはまさに適役という印象でした。線が細くてまるで弱弱しく見える外観なのに、そのくせ外界からは頑なにガードしてる姿勢は崩さず、他者と向かい合う部分は傷口が露出してるようなひりひりする感覚まで伝わってくる感じで好演してます。
劇中弱視用の遠視タイプの眼鏡をかけていて、見た感じ度が入ってるのが良く分かる眼鏡なのに、平気で動き回ってるのはちょっと吃驚しました。こんなの必要でもないのにかけていたら、あっという間に気分悪くなってくるはずなのに。

☆ ☆ ☆

MAY メイMAY メイ
(2004/09/24)
アンジェラ・ベティスジェレミー・シスト

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MAY Trailer


原題 MAY
監督 Edward “Lucky” McKee
公開 2002年


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コメント

No title

こんばんはv-85

ラッキー・マッキー監督・・・ドナルド・マクドナルドを彷彿とさせるような、ナイスな名前ですね!

この名前により、俄然観る気マンマンだったのですが、解説を読んですっかりおトイレが怖くなってしまいました・・・

今度、昼間にこっそり観たいと思います!(笑)

ともさんへ

こんばんはv-483

ドナルド・マクドナルド(笑
確かにその通り。ナイスな名前v-364

この映画、痛々しいけど、そんなに怖くないですよ。
昼間なんて云わずに、ぜひ真夜中に観てください。

コメント有難うございました ☆

No title

´ω`)ノ こんぬづわ

youtubeの↑の画像が妖怪人間ベムのベラみたいで
怖いです…
怖がりですけどホラー系すきなので
解撤よんで見てみたくなりました(ノ´∀`*)

ではおじゃまいたしました┏○ ペコ

もちづきさんへ

こんぬづわ(*´Д`*)

妖怪人間ベラですか(笑

これ確か友達のパーツを貰いに行く時の盛装メイクのイメージです。
わたしは牧瀬里穂に見えたのでので、メイクした牧瀬里穂=ベラの図式も成立しそうですね。

もちづきさんはどんなホラーが好きなんでしょうか。
この映画、グロいところはあるんですが怖いかといわれれば、あまり怖くないです(^_^;

コメント有難うございました ☆

No title

確かにホラーの陳列棚の最後の方に置いてありますね。「キャリー」も青春映画といえば青春映画だし・・・
が、手にとって、このジャケットだけは記憶に残っているんですが未見です。今度観てみます。以前、紹介されてた「キャビン・フィーバー」は先日観ました。最後は環境問題なんですね(笑)。「13日の金曜日」みたいなのをを想像してたんですが、想像してたのと違って面白かったです。

アジアンホラーは日本とアメリカの中間みたいな感じかも。(特に香港映画は)。どよ~んとした映像なんですが、展開は結構アメリカ風でシャキシャキしてるかも。

No title

こんばんはv-484つかさです☆

最近全く映画を見ていないので、話題について行けませんv-393

あのプロモはスタジオでレコード・テイクをそのまま流して、それに合わせてヴォーカルのみを生で歌っているようですv-342注意深く見てみると、所々ヴォーカルがダブって聴こえてきますv-418ポールは特に口パクが嫌いだったんだとかv-363

よくよく考えてみると、演奏もライヴだとしたら、ギター・ソロの部分でピアノが聞こえてくるのに、全く映像にこのパートを担当したニッキー・ホプキンスの姿が映っていないのもヘンですよねv-355

自分は1969年製のヘフナーを所有しておりますが、確かにネックを押さえていないと傾きやすいのですが、弾きにくいと言う事はないですよv-354

ポールが所有しているヘフナーには、元々ストラップ・ピンがありませんv-363
写真などで確認して頂くと分かると思うのですが、片方をネックとボディのジョイント部に挟み込み、もう片方をテール・ピースにフックで引っ掛けて使用しています。

このプロモで使用しているへフナーは、最初に手に入れた方のモデルで、ピック・アップを固定するエスカッションを修理した跡が見られますv-364
その際にストラップの位置も、変更しのではないでしょうか?

因みにこの1本目のへフナーはこの後に盗難にあって紛失しているので、公の場での登場はこのプロモが最後だったとの事ですv-266

Whitedogさんへ

この映画、「キャリー」と同工異曲です。「キャリー」を念頭に置いて観ると、もちろんリメイクじゃないのでストーリーは異なってるんですが、向いてる方向が同じような方向ということもあって、後発の映画という分だけ、中途半端な出来に見える可能性はあると思います。
映画が持ってるパワーっていうか、そういうものはこの主演の女優さんの熱演が支えてる感じがします。
「キャビン・フィーバー」面白かったですか。確かにあれ、環境問題を扱って終わる映画でしたね(^-^)

日本的な湿った映像に、意外とアメリカ風の展開というのは、わたしにとってはあまり体験したことが無いような映画世界のようです。ちょっと興味が出てきました。
アジアの映画って、言葉も、意味が分からないのはもちろんのこととしても、その音の響きも聴いたこと無い異様なものとして耳に入ってくることがあるので、それなりに馴染みのある英語圏の映画よりも、ある意味別世界感が強そうです。

コメント有難うございました ☆

つかさ☆さんへ

こんにちはv-278

わたしも相当のビートルズ好きなんですが、こういう方向からのアプローチはあまりしたことが無いので、
頂いたコメントを読んでいて面白かったです(´∀`)
写真を見てもリッケンバッカーはかっこいいとか、ポールのへフナーベースの構え方は、特に鬚面の頃のは、腰だめに機関銃でも構えてるみたいに見える時があって、あの特異な形のベースが体の一部みたいでかっこいいとか、あとはジョンの丸眼鏡とか、そういう方向で眺めるのが多いですから。

あのベースはポールが使ったせいで世界中に名前が広がったわけですが、へフナーにしてみればこういう名前の売れ方はどうなんでしょうね。演奏する側では、あれを持つと見た目からしてとにかくポールのコピーみたいになる部分があるから、使いにくい面も出てきそうにも思うんですけど。
楽器屋に行くと、リッケンバッカーとか置いてありますが、これもビートルズ色が強烈についてますよね。

ヴォーカルがダブって聴こえる!
それは口パク嫌いのポールが、口パクで済ませられるのに、それに被せて声を出してたってことですか(゚o゚)
これは、もう一度聴きに行かなくてはv-364

コメント有難うございました。 ☆

No title

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No title

こんばんは^^

私もラッキー・マッキーの名前を初めて聞いた時は”ふざけんな!”と思ったのですが、内容がそんな印象とは正反対でしたね。来年公開される「ターミネーター4」の監督マックGもどうなのよ、と思ってますが(笑)。

うーん、この映画は不思議な感覚でした。たしかにホラーとは言い切れない独特の感性がありましたね。正直こういう女に惚れられたらどうしようかと思ってしまいました(笑;)。メイは黙って立ってるだけでもインナースペースな少女でしたが、こういう役柄って難しいのでしょうね。女優さんも凄いと思います。しかし牧瀬里穂とは(笑)。たしかに似てますね。「ツールボックスマーダー」では活発な奥さん役でしたよね。印象薄かったですけど(笑;)。

最後のパーツ、何だったかな。あのパンク野郎の一部かな??リピートするには辛い映画なので我慢しときます(笑;)。
知人から他にもう1本凄いのがあると伺っていたのですが、その「虫おんな」のことだったかな。学校のイジメ問題が絡んでる内容とか・・・?。違うかも。

テンプレートが変りましたね!秋らしさがあって素敵ですね♪  あっ 既にクリスマスの空気も!(笑)

ガツンと応援いきますよー♪凸

pooさんへ

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これからもよろしくお願いしますね♪

umetramanさんへ

こんばんはヾ(@⌒ー⌒@)ノ

今度のターミネーターの監督さんの名前ってマックGって云うんですか。これまた凄い名前(笑
名前っぽい名前だと覚えてもらえないとか考えてるんでしょうかね。

この女優さん、牧瀬里穂に似てるでしょ。いまさっき「ツールボックスマーダー」ちょっと見返してたんですが、怒ったり笑ったり、「MAY」とはきっちり別人の雰囲気になってますね。こっちは牧瀬里穂だという前提で観てると、そう見えないこともないくらいかな。
華のある女優のようには見えない感じもあるから、印象が薄いのかもしれませんね。
こういう女に付き纏われたら、まず間違いなく不幸になると思います。そういう意味ではアダムの行動は正しかったんですが。

最後のパーツ、「○○○○う」です。その抉り出すシーンが映画最初のカットで出てきます。観てる側はこのシーン何事!?ってびっくりするんですけど、そのシーンだけなので意味分からないし、冒頭にあのシーンを置いておいた意味はあまり無かったと思います。
「虫おんな」、このタイトルを聞いてあれこれ想像したもののほうが、映画よりも凄いと思いますよ。何かそんな予感がします(笑

テンプレートはFC2でクリスマス用として新しく提供されたものです。実は少し前からテンプレ変えようと思ってたんですが、思わしいのが無かったんですよね。これは試してみたら、見やすい感じで表示も速かったので、季節も合ってるし、一時的に変更するテンプレートとしてはいいかもしれないと思って変えてみました。

いつも応援とコメント有難うございます ☆
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