伏見稲荷大社にて 8 四つ辻から頂上に向かうもう一つの登攀路 + Savoy Truffle - The Beatles

眼力社へ向かう道
稲荷山 2013/10

何だかいかにもっていう風な逆光の写真。逆光は勝利というけれど、確かにドラマチックだったり柔らかい雰囲気演出ができたりと、見栄えはよくなるんだけど、どうもいささか類型的になりがち。というか、逆光時のこういう雰囲気って云うのを頭において狙ったりするから類型的になるのを前提で撮ってるようなところが、どこかにあります。
写真にはそういう上手い写真に見える撮り方とか記号めいたものが色々とあって、その様々な撮り方や記号めいたものは意外とその振幅の幅が狭いという印象です。電気楽器の調節つまみの目盛りの数は決まっていて、その目盛りを逸脱したところまでつまみを回せない、その目盛りを越えた音は絶対に出せないっていう感じに似てるというか。この目盛りを越えてるように見せるのが腕の見せ所なのかもとも思わないでもないけど、その辺はどうなんだろう?
逆光を使って今までに見たこともない写真とか、まぁ大した数の写真を見たわけでもないけど、わたしの場合はあまり目の前に現れてこない。タルコフスキーがポラロイドで撮った写真を集めた写真集を持ってるんだけど、これがまた8割がた逆光で撮った写真で、雰囲気があって綺麗と思う反面、それがこの作家の映像感覚の基盤にあるんだろうとはいえ、何もここまで均一的に逆光でべったりと塗りつぶさなくてもと思ったことがありました。
とそんなことを考えていても、逆光の写真がドラマチックな類型になるにしても、実際にそういう光の現場に居合わすとやっぱりシャッターを切ってみたくなるもので、手元にはどこかで見たような逆光写真が数多く溜まっていくこととなってます。

これは稲荷山の中間中継地点である四つ辻から前回書いた方向とは逆に、時計回りで登り始めたところで撮った写真。

伏見稲荷大社の稲荷山登攀の話はまだ最後まで書いてなかったので、久しぶりに書いてみます。お稲荷さん自体は前の稲荷山の記事に書いたように、春に眩暈を起こしてから秋の初めの今に至るまで結局足が遠のいたままとなってます。最後に稲荷山に登ったのはいつのことだったかな。
眩暈が治まるころには梅雨に入ろうかという季節になっていて、本当に治まったのかどうか、一応今は眩暈はしてないけど、数分後に横になった時にまた世界がジェットコースターのように荒れ狂って回転しだすんじゃないかという不安を前にして過ごす日々の中で雨の日々に突入、そのまま天候不順の夏に移行して、天気が良くても真夏にあの山を登る気にもなれなかっただろうから、雨がちの夏はさらにわたしを稲荷山から遠ざけることとなりました。
こんな感じで今のところ足が遠のいて、さらに写真撮るにはちょっと見慣れたところが多くなりすぎてはいるんだけど、過ごしやすい気候になってきたら、山上の眼力社にはまた灯明をあげに行きたいと思ってます。

ということで今回は登攀路の中間地点である四つ辻から、前回の記事とは反対回りになるルート、眼力社を経由するルートで頂上を目指して歩いた時に撮った写真。

四つ辻から時計回りの方向に参道を選んで歩いていくと、それまでの登り階段が嘘だったように平坦な道が続きます。歩いた感じというか周りの雰囲気だと若干湿地帯的な空気感があるような場所。それで、そのうちまた上り坂になるんだろうと思って歩いてるとそれほど距離を歩かないうちに御神蹟が見えてきます。

頂上までに目の前に現れる御神蹟は時計回りのルートではまず大杉社に始まって、眼力社、御膳谷奉拝所、薬力社、長者社(御劔社)と続きます。
それほど四つ辻から離れてるでもない大杉社が見えてきたら、次の眼力社は感覚的にはほんの数件先というような位置にあり、さらに御膳谷奉拝所は眼力社の前を通り過ぎたら到着してるといったくらいに、ほとんど隣接した位置にあります。
ここまでは稲荷山は上のほうに来ると意外と楽だと一息つきながら平坦な道を歩く感じで、その後少し上り坂を挟んで薬力社、さらに、また登りの参道が始まったのかと思わせる鳥居の石段を少し登って長者社へ到着。でもリズム良く様々な社が目の前に現れるのはここまでで、ここから先、頂上までは薄暗い森の中に敷かれた、一応鳥居も建ってるんだけど、まばらで、おそらく倒壊してしまった鳥居の土台跡が放置されたままのような参道の石段を延々と登ることとなります。
結果的に云うとじつはこの森の中の参道はそれほど距離があるものでもないんだけど、延々と上り坂が続くし、区切りとなるような御神蹟の社も現れてこないので、全貌が分からないで歩いてるとまず間違いなくいつまで登り続けるんだって言う気分になると思います。



眼力社
眼力社 2014/01





眼力社2
眼力社 2014/01




ちょっとこの時期に撮った写真を見直してたら、この一連の社のなかで、まるで写真撮ってないところとやたらと写真撮ってるところが混在してるのに気づきました。全然均一じゃない。四つ辻から歩いて初めて出会う大杉社なんて、眼力社に行くのに必ず前を通ってるにもかかわらず、一枚も写真撮ってないし、同様に薬力社もまるで写真撮ってません。後で見渡してみるとなんだか自分と関係ありそうな場所っていうのを無意識に選んで写真撮ってたような感じがしてます。

眼力社が稲荷山で一番お気に入りの場所。
物事の先を見通す眼力と眼病平癒に関わる御神蹟で、生きることの目的の大半を視覚を巡るものに求める以上、目の病気から遠ざかれることは大歓迎だし、物事の先を見通す力もあったほうがいいなんていうものじゃなく、とても大切なもの。
稲荷山では特に人気がある場所で、株や相場をやってる人が良くお参りに来るらしいけど、眼力は写真撮るのにもあって困ることはなさそうなので、ちょっとおすそ分けして欲しいなぁと、稲荷山を登った時は眼力社で灯明をあげることにしています。
手水場の狐がユニーク。こんな姿で現れる狐は稲荷山ではこの眼力社だけです。

眼力社の前には御神蹟の世話をしてる家系の人が居を構えていて、そこが眼力さんへの供物やお土産の販売所にもなってるんだけど、その販売所の前に設置してある床机で一服していた時、やってきた参拝の人と世話してる家の人が話をしてるのが聞こえてきたことがありました。
聞いてみると、やってきた人は、願いがかなったので、これからもよろしくしてもらおうと思ってお参りにきましたっていうようなことを話してました。こういう場所で実際に願い事がかなったといって、御礼に来てるような人を見たのは初めてだったので、床机に座りながら耳をダンボにして聞いてたんだけど、何だか灯明をあげる勢いがそれから幾分増したような気がします。



異界 御膳谷奉拝所
御膳谷奉拝所 2014/02




眼力社を過ぎると感覚的にはほぼ隣の家という感じで隣接してる御膳谷奉拝所にやってきます。おそらくここが稲荷山で一番異界っぽい雰囲気のところじゃないかなぁ。広いエリアに、合間に狭い通路を設けつつ広がるおびただしい数のお塚の集積。パワースポットの真っ只中にいると皮膚で感じることが出来るような場所です。

御膳谷奉拝所には昔、御饗殿、御竈殿という建物があって、ここで三ヶ峰の神様へ供物を捧げていたんだとか。
他の御神蹟がお守りする民家と組み合わさっていたのとちょっと違って、ここは麓の稲荷大社にあった奉拝所的な規模の建物があって、神主さんの装束を着た人が出入りしていたり、明らかに伏見稲荷大社の管轄の下にあるというのが分かるような雰囲気の場所でもあります。
夥しい数のお塚を背景に供物を並べて収めた建物もあるし、「膳」って云う言葉からも、本当のところはどういう場所なのかいまひとつ理解できないものの、わたしは勝手に稲荷山の神様が集うレストランのようなところと想像してます。



かいり道の道標
薬力社前 2013/10

薬力社そのものはまるで写真撮らなかったのに、妙な道標があったので思わず撮ってみたもの。
粟津潔や寺山修司の昔から、手相人相、判子の捺印にこういう方向指示の手形とか、呪物的な印象を持って眺める癖がついてしまって、ある種異界へ導くサインのようなものなんだけど、この写真はあまりそういう異界っぽい感じには撮れませんでした。
かいり道というのが思ってるところには連れて行ってくれなさそうな印象があるかも。




御劔社
御劔社 2014/03

ここもよく分からない、元は秦氏を祭る長者社という社があったところに御劔社が建てられてこの形になったということで、御神蹟は劔石と説明されていたり、雷石とされていたり、社の背後にあった巨石のことだと思うけど、一体どちらなんだろう。
祭られてるのは加茂玉依姫で下鴨神社の祭神でもあるらしいです。
一通り説明してるものに目を通した程度だと、長い時間の中で言い伝えられてきたことが幾重にも折り重なって複雑な場所を作ってるような印象が強いです。
謡曲に三条小鍛冶宗近が小狐丸という刀を鍛えたところとしてこの御神蹟が出てくるらしくて、その言い伝えがあるから刃物業者の信仰を集めてるそうです。
長者なんていう名前がついてるからその関連で何かあるのかなと思って調べてみても、特にそれらしいことも見出すことが出来ませんでした。刀を鍛えた話があるから御劔さんと呼ばれてるけど、特に何かに関する御利益があるというわけでもなく、総合的なパワースポットということなんだろうなぁと思います。
こうなると、薬力社とか眼力社は本当に分かりやすいです。

長者社の狛狐
長者社の狛狐 2013/10

御劔社から一の峰の方向に出ようとするところで出会う狐さん。鋭い目つきでこちらを睨んでいてひときわ印象深いです。
この眼光に見送られて、この後頂上までの山登りになるんですが、この森の中の参道はあまりめぼしい写真が撮れなかったので、写真はパス!
今回は一の峰の手前、登りの参道が終わる直前くらいに撮った写真、逆光がどうのこうのって云う始まり方だったので、あまり逆光ぽくないけど逆光の写真で締めくくりです。


山中の鳥居参道
稲荷山一の峰付近 2013/10


☆ ☆ ☆



わたしは狛猫
裏参道の猫 2014/03

裏参道にいた猫。狛狐のかたわらでじっとすまして座っていた猫で、こちらがかなり接近してもまるで無視して前を向いたまま微動だにしない猫でした。
きっと頭の中で「わたしは狛猫、わたしは狛猫」と繰っていたんだろうと思うけど、あまりにもこちらを気にしなさすぎなので、となりで「ねぇ、ちょっとこっち向いて」とか色々ごちゃごちゃと小声で囁いてたら、そのうち気になってきたのか視線を少しこちらに向けた時があったので、その時すかさずにシャッターを切りました。



稲荷山、かいり道、長者社の狛狐がナチュラ・クラシカ。
眼力社の2枚がペンタックスSP
稲荷山一の峰付近でティアラを使い、
残りをニコンのF3で撮ってます。


☆ ☆ ☆



Savoy Truffle - The Beatles


他のモスバーガーでもそうなのかは知らないけど、四条河原町のモスバーガーではいつもビートルズをエンドレスでかけまくっていて、最近立ち寄った時にそういえばこの曲、かっこよかったなとハンバーガーを食べながら漫然と思い出していました。
68年のホワイトアルバムに入っていた曲。わたしは後期ビートルズだとサージェントペッパーズもいいんだけど、この辺りの音が一番好き。時期的にはまるで離れていないのに、終期のアビーロードとか香水の残り香みたいで、実はそんなに言うほど琴線に触れることもなかった感じ。
これ、今聴いても全然古びた感じがしないどころか、聴きなれてるようなロック、ポップミュージックに混ぜ込んだ尖がった部分が40年以上もたってるのにまだエッジ鋭くきらめいてる感じがします。
お菓子をテーマにこんないかしたフレーズを編み出したジョージ・ハリソン、当時はビートルズの曲と単純にひとまとめ、大抵ポールが作ったんだろうと思って納得してたんだけど、好きな曲の中にはジョージが作った曲も結構含まれてました。
結構腕の良いソングメーカーだったのに、解散後の活動でマイ・スウィート・ロードの盗作騒ぎなんかがあったのは本当に惜しい。
それとポールのベースがやっぱりかっこいい。うねり、ドライブするベースラインは本当に独自のもので、わたしがビートルズの曲が好きな理由のかなりの部分はこのベースのかっこよさにあるんじゃないかと思ってます。







ザ・ビートルズザ・ビートルズ
(2014/06/25)
ザ・ビートルズ

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せっかくジャケット写真を持ってきてるのに、真っ白だ。







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