時計のある街角 + 今年初のラッキー、ルイジ・ギッリ写真集が手元に舞い込んできた。 + Miss You All The Time - FLABBY

2時過ぎ
2014 / 09 / FUJICOLOR C200

街中で時計を見るとよく写真に撮ってるなぁ。これはとあるブティックが店の前の道路にいつも出していた時計。この店、閉店して今はもう存在してません。



針のない時計
2014 / 10 Kodak SuperGold 400




☆ ☆ ☆



かなり好みのイタリアの写真家、ルイジ・ギッリの写真集を、先日ブックオフの洋書コーナーで発見。新刊ではとっくの昔に入手不可能になっていて、古書で手に入れるしかない写真集なんだけど、アマゾンで4万ちょっとで取引されてる本。最もアマゾンの値段はぼったくり過ぎなのが売れ残っての値段だから、実際の古書店ではだいたい1~2万くらいの値段帯で売られるような本でした。といっても店頭に出ることがほとんどなかったり、SOLD OUTだったりするから、1~2万円で買えるといっても手にできる可能性はまずないというのが本当のところ。
そういう写真集がブックオフの棚にあったのを見つけて、ギッリの本だ!と、この人の写真集は限られたものしか見たことがないからとにかく手にとってみたら、ついてる値札を見てさらに吃驚。なんと900円の値段シールが貼られてる!
1~2万からぼったくり4万強辺りで取引されてる写真集が900円。しかもイタリア語版じゃなくて、レアな英語版。
かなり綺麗な状態で、ルイジ・ギッリに関してはお気に入りの写真家なのに見ることが出来る写真集がかなり限られてる状態だったから、思わずやった!って声が出そうになりました。
絶対に他の人に取られてはならないとしっかりと抱え込んで、最近嵌ってる昔読んだミステリで手放してしまったものを100円の文庫で探すというのもそこそこに、レジに持っていって自分のものにしてしまいました。


GHIRRI1



GHIRRI2





中身は個別に纏められた写真集というのではなく、過去の写真集から代表的なものを集めた総集編的な本だけど、ギッリの写真を俯瞰するには収録点数も多くていい編集になってる本だと思います。
今価格的にも手に入れられる範囲のギッリの本といえば、MACKが復刊させたギッリの自費出版ものだった「コダクローム」と、こちらは日本の出版社から最近出された「写真講義」という本くらいかな。
日本ではこの「写真講義」という本の中に引用されてる写真と須賀敦子の文庫全集の表紙に使われてる、ジョルジョ・モランディのアトリエを撮った写真でギッリの写真を見ることが出来るけど、おそらく簡単に眼にすることができるのはそのくらいで、なにしろ日本で出版された写真集の類が一冊もないという写真家だから、ほとんど紹介されてないのと変らない状態にあります。
欧州ではかなり知名度のある写真家らしいけど、夭逝してしまった写真家なので、そういうことも日本で紹介されなかった要因になってるのかもしれません。


GHIRRI3

モダニズムやニュー・トポグラフィー、序文をエグルストンが書いてるようにニューカラー的な視点も併せ持ってるような写真を撮る人というのがわたしが「コダクローム」で最初にギッリの写真を見たときの印象でした。でもトポグラフィーやニューカラーといった概念が出てきたのは70年代くらいだったはずで、そういう意味ではそれ以前からこういう写真を撮っていたギッリは、概念的には纏められてはいなかったけど、同様のコンセプトを先取りしていた写真家だったともいえると思います。

「コダクローム」を見た時は、鏡の反射を多用したようなちょっとした仕掛けのある撮り方だとか、極めて大胆な構図とか、そういうのが面白かったけど、このアンソロジー的な写真集を眺めてみると、なんというかある撮り方を納得するまで試みたらもうその方向は完結して、違う方向に進むことを好む写真家のような印象を持ち、つまり作風の幅が広くて、この本で印象的だったのは「コダクローム」で見たようなものよりは、後半に出てくる極めて静謐で美しい写真の一群のほうでした。悪戯気がある、見た目の斬新さ勝負!的なほうじゃなく、須賀敦子の全集で使われたモランディのアトリエの写真のタイプのほう。
この本の中で須賀敦子の文庫全集では小さな形でしか見られなかったモランディのアトリエの写真が数点、大きな写真としてみることが出来ます。

イタリアっぽい、と云っても行ったことないんだけど、湿度の低い綺麗な色、でもカラフルなんだけど陽気かというとそうでもない落ち着いた色使いの中で、目の前にあるオブジェや空間のかすかに囁く声を、まるでカメラがそういう声を翻訳する機械でもあるように、カメラを通してその囁き声に耳を傾け、囁き返すようにカメラのシャッターを切ってるといった感じ。
そういう事物や空間の声を聴き会話するように写真を撮ってるから、誰が見ても問答無用に美しいもの、たとえばまぁ京都に住んでるからそういう例えで行くと龍安寺の石庭のような名所なんかを特に対象にしなくても、際立つ写真が撮れてるんじゃないかと思います。
日常的に眼にするようなありきたりのものを際立つ写真として撮る、それも写真的なギミックで非日常的にアレンジするようなことをしないで、際立った写真として成立させるって、これはもう本当に難しくて、出来るのは限られてる写真家だけだと思うんだけど、ルイジ・ギッリは確実にそういう限られた写真家の一人だったと思います。
はっきり云って自分もそういう写真が撮りたい。



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Miss You All The Time (Parole Parole) - FLABBY

イタリアの写真家の話題だったので、音楽もイタリアもの。ギッリの写真のように静謐でもないけど、イタリアン・ラウンジのバンドFLABBYの曲から。
これ、ダリダとアラン・ドロンが歌っていた超有名曲のカバーで、今風のエレクトロっぽいボッサのアレンジがお洒落です。



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わたしの知る限りギッリに関する本で日本で出版されてるのはこの本だけだと思う。
でもこの本、多数の図版、写真は入ってはいるけど写真集じゃないんですよね。
大学でギッリが行った講義の記録の本で、挿入されてる写真に関しては講義中に参考として学生に見せたものを可能な限り再録したと言う形になっていて、一応ギッリがどういう写真を撮っていたのか一部は垣間見れるんだけど、すべて小さくて、本来の写真の力のようなものはあまり再現されてはいないと思う。
でも本としては伝えなければならないことをきちんとした形で伝えようとしてる、とてもいい本だと思います。














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