日常の、少し手前。 + 雑誌 「KINFOLK」

理容院への階段
しんとして、微かに謎めいた場所
2015 / 10 / Nikon F3 + Nikkor Ai 135mm f2.8 / Fuji NEOPAN 400 PRESTO を自家現像





車内
斜光
2015 / 10 / Nikon FM3A + Nikkor Ai 135mm f2.8 / Fuji NEOPAN 400 PRESTO を自家現像




電車のだけはJRの奈良線だけど、他の二枚は夏の終わりにティルマンスの展覧会に行ってから、暫くの間中之島辺りに出掛けては街中や川沿いで撮ってた写真から。
大阪は京都には無い高いビルとかあって珍しい。でもやたらといろんなところに警備員がいて、何かというと写真は駄目と詰め寄られるから、嫌気が差して最近は行ってない。そんなことをいうとあの変電所は川縁の堤防から見渡せるし、大阪のビジネスビルなんかよりも変なことされたらよほど危険だと思うんだけど、京都は街中のゴミ箱を撤去したりはするけどある程度おおらかなのかな。

たとえばわたしが目覚めた時から世界はわたしの色に染まって、わたしに了解可能なものとして目の前に現れる。時折想像するんだけど、世界はわたしが目を閉じてる間も同じようにわたし色に染まって存在するんだろうか。もしそうでないなら、わたし色に染まらない世界ってどんなのだろう。目を閉じることでしか出現しないような世界。まるでシュレーディンガーの猫だけど、目を開いた瞬間に霧散してしまうようなそういう世界を垣間見てみたい。
この写真がそういう写真だとは云わないけど、そういうことを夢想する時がある。日常の少し手前から聞こえてくる何かの微かな残響音のようなものが画面からも聴こえてこないかと思いつつ、シャッターを切ってみる。


☆ ☆ ☆


このところ何しろ使用期限が迫ってるモノクロフィルムが数本手元にあるせいで、F3やFM3Aには途切れることなくモノクロフィルムを詰めて、期せずしてモノクロ三昧の撮り方となってる。
モノクロに特化した感覚になるというほど、道を究めようとする剣士のような撮り方ではないにしても、結局モノクロは光の表情を読み、粒子の平面に定着させるといったことなんだろうなぁと体感し始めるようなところがある。おそらく被写体が何であるかはそんなに重要じゃない。被写体が存在しないと光もまた表情を生むことは無いわけで、光こそが主役なら光が表情を持つためにだけ被写体の存在があると、これは必ずしも極論でもなさそうな気がする。
もっとも取り立てて意味もなさそうな被写体を写して見せられても、見せられた側はたまったものじゃないかもしれないし、それは退屈な写真であるかもしれない。でも綺麗だけど凡庸という写真があるように、退屈なのに刺激的というような写真はあるとわたしは思ってる。
まぁそうはいっても、退屈な写真を撮って、なおかつ凡庸という落とし穴も、とてつもなく巨大な穴として眼前にあるわけで、綺麗という軸をあえて外そうという写真は危険が一杯というところかな。








ランプ
ランプ
2015 / 10 / Nikon F3 + Nikkor Auto 105mm f2.8 Ai改 / Fuji NEOPAN 400 PRESTO を自家現像




☆ ☆ ☆



kinfolk1



kinfolk2


これ、アマゾンのサイトを覗いた時にわたしへのお勧めって言うような形でやたらとモニタに現れたことがあって、タイトルからは何が頭に思い浮かぶわけでもなく、最初は何の雑誌なんだろうと結構胡散臭く思ってたけど、正体はアメリカのポートランドからネイサン&ケイティ・ウィリアムスという夫婦が中心になって発信するライフスタイルの雑誌だった。小さな集まりのガイドというのがコンセプトなんだそうだ。
実のところライフスタイルがどうのこうのというのは、私のこの雑誌に対する興味の中心では必ずしもないんだけど、ではなぜそういう本を持ってるかというと、アマゾンのお勧めに根負けしたわけじゃなく、中に掲載されてる写真が結構良かったからというのがその理由だったりする。色味とか被写体としてるモチーフの扱い方とか、とにかくシックで綺麗。写真そのものは今風の癒し系の写真とでもいえそうなもので、直接的にはわたしの写真とは繋がるところはあまり無いんだけど、色の感じとかモチーフの質感の捉え方とかはちょっと真似してみたいほど感覚的な親和性がある。
似たような雑誌だと以前に「UNION」というのをピックアップしたことがある。あれはファッション雑誌なのに、今風のコーデ(コーデとか云う言い方は気味悪い)がどうだとかいった服の情報そっちのけでファッションをきっかけにした作品写真に特化した雑誌だったけど、これはライフスタイルをきっかけにして写真に特化した雑誌だと、発行した本人はおそらくそんな意図をこめてたとは思わないけど、受け取る側としてはそういう風に把握しても齟齬を感じないような作りになってると思う。

今までに出版されたものはそれなりに巻数は多いようで、ここにピックアップしたのはその7巻目。アイスクリームの特集で中でも人気がある回なんだとか。
日本語に翻訳されてるのも全巻じゃないようだけど、何冊かは出版され、今も翻訳は継続中ということらしい。










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コメント

No title

タイトルが言い当て妙というか素敵!
同じ色を見ていても脳がどう認識するかって
他人には解らないから
人それぞれ見る世界が違うのだろうと私は思うのね。
だから薄荷グリーンさんの世界は
目を閉じていても瞼を通して広がると思うし
脳が記憶するから、ずっとだと思うわ(*^_^*)

この本は買って正解だと思うわ。
こういうの、私は薄荷グリーンさんの写真からも
同じ香りを感じるもの。

そういえば冷蔵庫に大量のフィルムが眠ってるのよね(^^;
とっくに期限切れなんだけど。(要る?)
でもそういうフィルムを使って取ると
非日常的な写真が撮れそうで取ってあるのだけど。

久し振りに・・・と思うけど金欠で現像代が(ToT)
今はアナログは自家現像じゃないと高い趣味になっちゃうね。

No title

日常の一歩手前
あなたの知らない世界って感じ
写真もなんだか、本当にそんな感じ
吸い込まれちゃったよ

ROUGEさんへ

こんにちは!
最近タイトルを考えるのにエネルギー使いすぎてる感じです。これ、日常の向こうとか云ってしまうとまさしくシュルレアリスムでちょっと確固とした感じがありすぎたから、もっと曖昧な感じで言葉が無いかなと思ってつけて見ました。結構良い感じでしょ。

感覚的なことは本当に孤独な世界というか、わたしが見てるものは他人が見てるものと本当に同じかというのは確かめようが無いんですよね。
まぁ、だからといって不都合はないしそれはそれでいいのかもしれないけど、ちょっとは自分の認識を超えて周りを眺める眼を持ってみたいと思うこともあって、それは他の人の撮った写真でもある程度は感知できるのかもしれないものだけど、自分のもう一つの眼であるカメラという装置を通してやってみたい。まぁそんなことばかり考えて写真撮ってるわけでもないんだけど、今回の写真をピックアップしていてそんなことを考えていたので書いてみたっていう感じです。
自分の視覚がある程度の新鮮さを持ったものとして伝わってるなら、やっぱり楽しいです。
記事はあまり上手く云えなかったし、こんな曖昧なことを読まされるのも大変だろうなぁって思ったりもしたんだけど、せっかく書いたのでそのまま披露してみることにしました。

KINFOLK、ピントの僅かにあわないところで合わしてる感じとか、あまり開放に寄り過ぎない、かといって絞り込んでもいない設定とか、好みに合った写真が多かったです。内容はほとんど読んでないけど。

手元にまだ残してるって云うことはROUGEさんにはまだそこにあることが必要だということなんじゃないかな。たまに使ってみるのもいいかもしれないですよ。コダクロームだけはもうどこも現像してくれないからこれは記念に取っておく以外にはないけど。
使用期限が切れたフィルムがどういう状態なのか、わたしも持て余してるところがあって、一度使ってみたらその辺の事情も分かると思うんだけど、どうも使うのに踏み切れないところがあるんですよね。現像液が痛んだとかクレームでもきたらかなわないし、写りが凄くてクレームもこないと分かればちょっと分けてというかもしれないけど、さてどうなんだろう。
それにしてもやっぱりフィルムは買い置きしてたんだ。必要な時に一本だけ買うとか云う買い方はみんなあまりしてないんでしょうね。わたしの所も冷蔵庫の一角をフィルムが占領してます。いつもちょっと邪魔になってます。

費用は、高いですよね。最近同時プリントとか高すぎて頼んだことないし、いつも頼んでる店にしてみればあまり良い客でもなくなってきてます。この店、気のせいかちょっと待遇がそっけなくなってきてる。

みゆきんさんへ

こんにちは!
日常の、少し手前。タイトルとしては曖昧なのに意味深でちょっといいでしょ。
目の前に見ている世界とそっくりだけどどこか見慣れないところがある世界が後ろにぴったりと寄り添ってるといった感じ。
何かこういう言い方をすると、トワイライトゾーンだとか、ちょっとホラーっぽい感じにもなりそう。
見慣れないところが普段見ている日常とぴったりとは重ならなくて、そのかすかにぶれた感じが写真の中に紛れ込んでるとか。
そんな写真が撮れたら面白そうだなぁって思います。
でも目の前にある被写体が唯単純に目の前にあるものとして写ってるだけというのが多いんですよね。元々フィルム1本丸ごと気に入った写真ばかりということはないし、良くて4~5枚くらいというような割合なので、この割合を増やしてみたいです。

今回はどれも素敵な光を捉えていらっしゃるなあ
と思いました。^^

一枚目は切り取り方がすごく刺激的です。
でも安直ですが最後のお写真に惹かれます。^^
ランプだけどランプの光ではない?写り込みなんでしょうか。
別の光で見たランプは、光を発っしていないようにも見えます。
本来の役割を果たさないランプの表情。。
モノクロにすると簡素化されて想像力をかきたてます。^^

素敵なお写真ありがとうございました。

moonさんへ

こんばんは!
記事中には光を読むって当たり前のように書いたけど、これはやっぱりかなり難しいところがあっていつも四苦八苦してます。でもそういう感じで写真を受け取ってもらえてよかったです。
モノクロで撮ってると色が無いのがちょっと物足りないと思うこともあるんだけど、現在使用期限切れ間近のモノクロフィルムにとっぷりつかって撮ってると、サブでカラーフィルムを入れたコンパクトカメラとか持って出て撮っていても、色、特に必要ないかなぁって云う感覚になってきます。光が読めないって思いながらシャッター切った写真もモノクロというだけで光を読み取ろうとしてる写真って云う雰囲気になるから、モノクロであることに助けられてる側面もあるんだろうなぁって思います。

最初の理容院の入り口は眼に留まった瞬間写真撮る!って思った空間でした。実はこれ一度撮った後でどうも手振れしたような気になって、どうしてもきちんと撮れた状態のが欲しかったから、後日また大阪までこれ撮りに出かけてます。
古いビルの一角だったんですけど、壁の質感からもうそういう古いビルの雰囲気があって、凄い気を引く場所でした。二つ並んだちょっとだけレトロな雰囲気の、不思議な掛け方をしてるこの案内のボックスも一見しただけで味があるなぁって思いました。切り取り方は、これはほとんど迷わなかったです。これしかないって感じの縦構図と配置。何かあまり迷わないでシャッターが切れる時ってありますよね。ファインダーを覗いた時にこれだって云う完全に捕獲したような舞い上がった気分。こういう気分がやってきた時は写真撮るのが本当に楽しくなってきます。

ランプは、撮った時よりも、後になってなんかこれもいいかもと思い始めた写真でした。
ご指摘の通り明かりがついてないって云うのはちょっとへそ曲がり的なわたしの気分にはぴったりな状態でした。満ちてるものも嫌いじゃないんだけど、不在だとかそういう状態を写真にするのが割りと好きみたいです。何もないのをテーマに写してみるとか、困難さが写真撮る気分を逆に盛り上げてくれそう。
もやもやしたのは手前のガラスに映りこんだ街路樹です。ガラスの映り込みとかもかなり好き。二重三重に反射が絡んでるような状況にいられたらかなり舞い上がって写真撮ってると思います。

モノクロ、いいですよね。基本的に抽象的な雰囲気になるし、ちょっと腕が上がったような気分にもなれるのが、また良かったりして。でも飽きてきたらその時はきっとカラーもいいなぁってなると思うから、あまり求道的でもないんですけどね。

No title

2枚目の気配を感じる写真と、
3枚目の誰かの記憶のような写真が心に響きました。

この雑誌もなんだか気になります。

あぁ、小学生のような感想しか書けない自分が恥ずかしい・・・!
薄荷グリーンさんの文章を読んだ後だと、なおさら痛感します(-_-;)

ラサさんへ

こんばんは!
コメント有難うございました。
2枚目と3枚目に何か引っかかるようなものがありましたか。
三枚目のはランプともやもやを多重合成しただけ、なんていう見方をされるかなと思ってたんですけど、そうでもなかったようですね。自分とは違う見方を教えてもらうのはやっぱり楽しいです。
記憶は、写真にはよく絡んでくる要素だしそういうのを被写体の余情のようなものとしてイメージに追加したいとかいったことは写真撮る人はおそらく誰もが思い描くんだろうと思います。気配もそんな感じかな。写したものしか写ってないっていう写真も量産してるけど、そういう含みのある写真はやっぱり撮れたら楽しいですよね。

電車の中は、この時はほとんど乗客はいなかったんだけど、それでも勇気が要ります。人に向けてシャッター切ったわけじゃないから、文句は云われないと思ってはいても、何しろ予想外のことがおきても駅に止まるまでは逃げられないし。
乗客がいる状態で実は電車内で撮りたいイメージがあるんですけど、まず撮れないだろうと諦めてます。

この雑誌、喫茶店とか雑貨屋とかに置いてある時があるから、見つけたら中身を見てみるのもいいですよ。写真は本当に綺麗。この雑誌の写真で展覧会もやったことがあるようだし。唯あまり刺激的とか斬新という写真でもないから、そういうのを期待するとかなり物足りないところはあるかもしれないです。

あまり気を張らずに何でも書いてもらえたら、こちらとしては嬉しいです。
感想も難しく考え出すと、思う以上に書けなくなるし。かっこいい!とか一言で言い切れるのに、何か言葉を重ねなければなんて思うととたんに途方にくれたりします。実はわたしも感想書くのはちょっと苦手。
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