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回廊にて

回廊
2012 / 10 / Fuji Natura Classica





人工の花
2012 / 10 / Fuji Natura Classica





エスカレーター
2012 / 09 / Nikon F2 / Kodak Try-X





ガラスの中のマネキン
2012 / 10 / Fuji Natura Classica


先日中古で買った森山大道愛用のカメラであるクールピクスS9500、若干不具合が出てきたので返品、買い直しをするということになった。返品は出品業者とやり取りしないと出来ないのかなと、面倒だなぁと思いながらアマゾンの注文履歴の中にあった返品のボタンを押したら、ここが変なんだよ!というこちらの主張を書き記すことは要求するも、その真偽を確かめるでもなくそのまま返品手続きのページに進んで、あっという間に手続き完了となった。
品物の状態を見ずにこちらの主張を全面的に信用してかまわないのか?とちょっと吃驚したんだけど、まぁ面倒なことも無くすみそうなのでそのまま云われるとおりに荷造りをして、アマゾンの専用の集荷サービスがあるようなので、それを使って返送した。
必ず再現される不具合でもなかったから、受け取ってからどこがいかれてるんだと判断され、送り返されてくるかもしれないとも思ってたけど、返品を受け取ったという報告とともに返金の作業も完了したと、その確認の要請をするメールが入ってきて、流れ作業の如く返品の工程も完了することになった。
品物によってはアマゾンの返品を迅速に進めることができる条件で売ってるものがあるようで、中古で買うなら出品業者の何らかの保障の有無と、こういう返品の場合のスムーズな処理とかは安全策として考慮しておいたほうがいい。ちなみに最初どの中古を買おうかと選んでた時に、メーカーの保証書がついてると説明されてる中古も目についたけど、ユーザーのコメントに店名も購入日も記載されて無い保証書なんか使えないとあったから、これはあまり信用出来ないと思ったのもあった。
その後買い直すことにして、森山大道のカメラは数日だけど手元にあってどんなものかは感じとしては分かり、またカメラとして自分には何となく不備なところも分かって、買いなおすにしても同じものは芸が無いと、ちょっと金額を足してもう一世代後のものにすることにした。買わないという選択肢もあったけど、手元にカメラがやってくるという高揚感だけは残っていた。
冷静に考えてみると森山大道の雑誌特集の記事に刺激されて買ってしまうまでの展開は論理的に筋道たって展開してるんだけど、最終的に手にしたカメラは結局森山大道のものとは全く違うカメラとなったわけで、おまけに基本の部分では雑誌見るまでデジカメ増やす気なんてまるでなかったのを思いあわすと、目の前にあるクールピクスS9700を眺めて、まぁ自分で決めて選んで買ってはいるんだけど、なんでこんなものが今わたしの目の前にあると、妙な巡り会わせに思い至らないこともない。


☆ ☆ ☆


写真は2012年に撮ったもの。この頃は西梅田のガーデンシティに入り浸って撮ってたんだけど、その時撮った写真はなぜかこのブログにはほとんど載せてない。別にとんでもなく気に入らないものばかりだったというわけでもないんだけど、ひょっとしたらもうちょっとましな展開になるかもしれないと思ってるうちに、違う場所に気が移って、ここで撮った写真は自分では終わったもの扱いになっていたのかも知れない。
大阪に住んでると別に珍しい場所でもないのかもしれないけど、阪急やJRの駅のほんの近くにあっても、そちらのほうに行かなければそんな場所は存在しないも同然で、わたしが梅田辺りに出かけた時の行動範囲とは方向がずれていたために、この写真を撮った頃までこんな場所があるとは全然知らなかった。
自分にとって物珍しかっただけで、知ってる人には単純に綺麗に整えた散策も出来る商業地区程度のものかもしれないけど、この自分にとって物珍しいというのがやっぱり大きなポイントだったと思う。
自分が珍しいと思って撮ったものでも、自分が知らなかっただけで、一般的にはこれのどこが珍しい?という場合もあって、でもそんなことは全く気にしないことにしてる。

回廊とつけては見たけど、実際は回廊でもなんでもなかったりする。ただ柱が並んで長い廊下に幾何学的な影を落としてるようなイメージが好きで、これを撮った時にそういうイメージを重ね合わせていたというだけのこと。もうひとつ、辻邦生の小説のタイトルから拝借したところもある。辻邦生も亡くなってからは何だか話題にも上らない、読者以外には忘却の縁にいるような作家だけど、「夏の砦」とか「安土往還記」とか、小説を読む楽しみのようなものを濃厚に体験させてくれて面白かった。新潮文庫の白地に濃いグリーンでタイトルのみを記したデザインも好きだった。
二枚目のは商業地区の地下の入り口に飾ってあったもの。おそらく造花だと思う。もともと人工的なものだからどこか不自然なところがあったんだけど、いつものごとくわたしがこういうものを撮ると見るからに妖しげになるという見本みたい。別にわざとやってるわけでもないし、カメラはそこまでわたしの眼として肉化されてはいないはずなんだけど。
それにしても例えカメラが完全に肉化されたとしても、カメラが自分の眼のようになるというのは、一見究極的な形に見えるようだけど、それは本当に理想なのかなとも思う。むしろ他人の眼のようなかたちでもう一つの眼となるほうが、写真が個性のようなもので取り込まれない唯一の存在として面白がってるわたしには相応しいような気もする。
三枚目はこういうオブジェ的なものはもう少し端正に撮れないものかと思う。事物的には美しい形だと思うし、写真の中に写真的にこういう美しさを引き出すには、あまり思い入れとかは無いほうがいいような気がする。この写真に関しては若干ぶれてるので、端正に撮る以前にぶれないで撮ることを練習するのも必要だったりするんだけど。
最後のはまぁいつも撮ってるような反射だとかマネキンだとか、好きなものを集めたようなイメージかな。反射する映像は一枚ベールを被ってるようでどこか記憶の中で探り当てたような手触りがある。
この頃ここで撮った写真を眺めていて、興味を引かれてるのはあまり変わらない事物だったりもするんだけど、撮り方は、今はあまりこんな感じでは撮ってないなっていうのも多かった。そんなに云うほど昔でもないのに、それでもやっぱり変化はあり、流転していく。



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コメント

No title

「回廊」というのは好きな単語で
以前色んな作品のタイトルにした事あるわ。
私にとっては「堂々巡り」みたいな意味もあるのだけど。

でも柱が沢山あって・・・も、一歩間違えると迷いそうだから
なるほど、と思ってしまったわ。

アマゾンの返品処理、そうなんだ。
楽天だと最初は店とのやり取りだよね。
ちなみに私の場合、その店自体が潰れてダメだったのだけど
日付と店名が入ってなくても注文履歴を印刷して添付すれば
メーカー保証などは受けられるよ(笑)
私の場合も案の定無かったけど
メーカー保証は受けられたもの。
結局は古いカメラなので「もう部品が無いので修理出来ない」との事で
同シリーズの同等クラスとの交換になったけど。

ROUGEさんへ

おはようございます!
回廊ってまず単語そのものがかっこいいですよね。堂々巡りというイメージはわたしにあはまりなかったから面白い捉え方だと思いました。わたしの場合はどこかへ繋ぐ回路的なイメージとか、先にも元へも戻れる中間地点といった場所として捉えてるかも。イメージ的にはやっぱり長く続く道に延々と立ち並ぶ柱の影が落ちてるって云うところ、室内で延々と並ぶ窓からの光に置換してもかまわない光景として頭の中に入ってます。本来的には長さがあるのが重要な条件かな。この写真のはただの銀行だったかな、その建物の玄関口に過ぎなくて、廊下でも長くも無かったから、回廊のイメージを重ねるのは少々無理があったりするんだけど、本当の回廊とか意外と見当たらないというか、相当特殊な場所に行かないと撮れないような気がします。街中で見たものに個人的なイメージを投影する遊びは、でも結構有効的ではあると思ってます。
目的地があるなら探せばいつかはつくんだけど、目的地を定めるでもなくカメラ持ってうろつきまわってると、たとえば右に5m行ったところにあるものでも、左に行ってしまうとそれこそ地球一周でもしないとそこへは行けなくなってしまうわけで、ちょっとした判断が色々と見逃してしまうことに繋がってくるんですよね。もっともこの場合は見逃したことにさえ気づいてはいないから、しまった!と悔しい思いになることはないんだけど。この前もちょっと書いたけどその辺の嗅覚も写真撮る才能じゃないかなんて思うこともあります。

アマゾンの今回の返品は記事に書いたみたいにスムーズに終了しました。どうも業者によって面倒なことになる場合もあるようだけど、業者とやり取りが生じた場合、アマゾンがモニターしていていろいろと間に入ってくるみたいです。
わたしの場合はアマゾンのマーケットプレイスに出品されていた中古だったから、中古業者から買った証明は、メーカーとしては受け取ってくれない可能性もあるんじゃないかなと思いました。メーカーが想定してる正規のルートでもなさそうだし。ヨドバシのような販売店のサインがあると正規のルートで買った形になるから、これが無いのはやっぱり結構冒険なんじゃないかと思います。
そうじゃなくて、中古でも中古業者からの購入記録さえあれば保証書は有効になるのかなぁ。どうなんだろう。保証書付きと明記してあって大手の販売店の署名もあると分かってたら、手が出しやすいんだけど、わたしが見たものはそこまで書いてなかったから、選択肢から除外してました。
買いなおしたものは一ヶ月の店の保障と専門店での動作確認済みというもので、こういうのは結構安心材料になると思います。
新品買えばいいって云う話なんだけど、カメラは高いからなかなか手が出ません。おまけにフィルムカメラで何十年も前のものを中古で平気で買って使ってるから、カメラを新品で買うという発想があまり無いんですよね。そういえば本もほとんど古書で買ってるし。結局今手に入らないものを買うとなると中古しかないわけで、中古慣れしてるのかもしれないです。でも中古でも店頭展示品とかは絶対に嫌という感覚もあって、そういう区分けは色々と自分の中では出来てるみたい。
店が潰れるって云うのは結構想定外かもしれないですよね。これは何らかの保証がないととんでもなく後悔しそうです。

ああそれと、買いなおしたものは必要なシリアルナンバーが分からなくてできなかったけど最初の返品したものはニコンのサイトにユーザー登録してみたら出来ました。前のユーザーは登録しなかったのか、ひょっとしたら店頭展示品だったのか。最もできはしたけど肝心のカメラはもう手元にはないんですけどね。

No title

2枚目の写真に度肝を抜かれたわ
毎回、目の付け所が凄くて息を飲んじゃった
どんだけ~なのだ

みゆきんさんへ

こんばんは!
2枚目、結構凄いでしょ。おそらく造花だったと思うんだけど記憶はあまり確かじゃないです。何だかちょっと普段見られないような花の束が目について撮ってみたもので、凄く怪しげな雰囲気で撮れてました。暗がりだったからフラッシュ焚いたのもいい感じに人工的な雰囲気になって面白いと思います。花撮るのにフラッシュ焚く人とかあまりいないだろうなぁ。
花とかよく見ると結構この世界に属するものとは思えないような造形になってたりして、綺麗の一点張りで見るつもりにならなかったら、そういう不思議な側面が見えてきたりします。わたしはそういう側面のみで花とか見たりするので、写真にそういう傾向が出てくるのかもしれないです。
あまり花そのものを対象に写真は撮らないほうだと思うけど、怪しげの他だったら、妖艶って云うようなキーワードで花を撮ってみたいです。
多肉植物とか異様で面白い、まるでSF映画にでも出てきそうな植物だし被写体としては凄く惹かれます。
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