陰に住むもの / 夕陽は赤く-加山雄三

陰に住む魚
2016 / 09 / VREDEBORCH FELICETTE / Fuji ACROS 100を自家現像






振るギア
2016 / 11 / Nikon AF600 / Fuji Acros 100を自家現像





sal
2016 / 04 / Minolta SR505 / Fuji Presto400を自家現像



久々のモノクロ。自分で現像をやり始めると、代金を払って現像してもらうのももったいなくなって、とは云うものの夏の間は作業が若干面倒になるところがあるから、結局夏が過ぎるまではモノクロの撮影そのものから離れていた。暗室なんか持ってないからフィルムを現像リールに巻き取る作業はダークバックという、腕を入れることが出来る黒いビニールの袋状のものの中でやることになる。これが手から出る汗、湿気でフィルムがスムーズにリールの中へと滑り込んでいかなくなる場合があって、フィルムはむき出しの状態で、作業中は腕を抜けないダークパックの中にあるから、そうなるとちょっと厄介なことになる。薬液の温度管理も、これはわたしだけの感覚なのかもしれないけれど、温めておくよりも冷やしておくほうがどうもやりにくい。

で、久々のモノクロで張り切っていたのに、使ったカメラVREDEBORCH FELICETTEははっきり云って壊れてるし、AF600も玉水で盛大に放り投げてから、結局は半壊しているような状態で、夏が過ぎてからモノクロフィルムを詰めたカメラはどうにもこうにもならないというか、久しぶりのモノクロだったのに結果は思わしくなかった。

VREDEBORCH FELICETTEは西ドイツの大衆カメラらしい。でもドイツなのに作りはひょっとしたら2000円程度のトイカメラよりも酷いかもしれない。トイカメラでさえもコマ送りくらいは普通に出来るのに、このカメラはそれさえもまともに出来ないんだから凄い。職人気質のドイツ製品というイメージを面白いほど足蹴にしてくれる。
ニコンのAF600のほうは現像したフィルムに5、6コマ何も写っていない箇所があったりして、何で?と思って後で験しに動きを見てみると、レンズは繰り出すが時々シャッターが開いてないという状態になることが分かった。完全に壊れて何も動かないとなると諦めもつくが、まともに動く中でこういうことがたびたび起こるというのは気分的には一番始末が悪い。こういう不安定さがあると結局は使えない道具にならざるを得ないのに、使いたい気持ちはいつまでも残り続けることになる。まぁ28mmレンズのコンパクトカメラは、おそらくOEMでこのAF600と同じレンズだと噂のティアラだとか、他でも持っているから不自由はしないんだけど、でもこれ結構気に入ってたんだよなぁ。


暴れん坊カメラ
暴れん坊カメラ揃い踏み!


☆ ☆ ☆

最初のと二枚目のがこの夏が終わってから撮ったものだ。最初のは三条御池で、二枚目が烏丸から河原町の間の仏光寺通や綾小路通辺りを歩いていて撮ったものの一枚。仏光寺通、綾小路通辺りはメインの通りからはちょっと離れてはいるけれど路地というほどでもなくて交通量も多く、車を避けながら写真を撮っていても集中できずあまり良くない。
最初の写真はシーフードレストランの看板だ。でもこんな撮り方をしたら客足が遠のきそう。食事に誘うキャラクターというより、魔界から出てきたモンスターのように見えるもの。二枚とも若干コントラストを落としてるんだけど、一枚薄幕を通してみているような非現実感が出てきて面白かった。基本的にはハイコントラストのモノクロのほうが好き。でもやってみて全体に闇が浸潤しているように薄暗く茫洋としているこういうのも嫌いじゃないと思った。
試してみて初めて分かる好みとかもあるんだな。自分のことなのに自分でちっとも分かっていない。
三枚目は裏寺の、以前は京極東宝だったファッションビルで、これを撮った時はセール期間中だった。この突飛な服装のイラストはセール中の飾りかと思ったけど、どうやら普段でも店のショーウィンドウを飾っているようだ。ウィンドウに写り込んでいる対面のビルの様子が淡くざらついた影絵のようで、こういういイメージは結構好きだ。
と云ってファッションビルの飾り物は良く写真に撮っているけれど、自分のファッションはどうかというと、何だかもうファッションにお金をかけるような気にならなくなって、本気でどうでもいいような感じになってる。アクセサリーの類はエスニックやキラキラもの好きだから、結構つけたりはするんだけどね。
ファッションといえば個性だとか自由だとかそういう観念と結びつきやすい。でも考えてみれば、ファッションにおいて自由な人なんかほとんど見たことがない。服装は結局どこかのあるいは何かの集団に属することを表明するサインのようなもので、それそれ自分が属したい範疇を示すものしか着ることができない。最近はあまり聞かないけど、たとえば学校なんかで服装の自由化なんていうことが話題になることがあった。で、自由化を勝ち取っても、その後の服装はどうなるかというと、その時流行の実に画一的で、結局また皆が着ている別の制服としか思えないような私服に落ち着いたりするのがほとんどだろう。ファッションと云うとなんだか自由を絵に描いたようなもののようにも思えるけれど、実際は自由とはもっともかけ離れたものなんじゃないかなと思うことがある。この写真の服装は描画のタッチも加わり、奇矯でサイケデリックでかっこいいんだけど、でもこの服装をしたからといって、やっぱりそんなに自由であるようには思えない。

写真も、誰に頼まれてやっているわけでもなく、たった一つ自分の意志を拠り所にして撮りつづけているものだから、これも自由でありたいと思う。でも自由意志で始めているにもかかわらず、撮っていると何時も幾ばくかの制度的な視線が紛れ込んでくる。隙があれば皆が良いと判断するであろうものに寄り添おうとする。そんなこと無視してシャッター切れよと思うものの、達観も出来ずになかなか難しい。



☆ ☆ ☆



夕陽は赤く-加山雄三

以前から理由もなく気に入っていた曲だった。今にして思うとコードの展開具合とか、どことなくビートルズっぽい。きっとそういうところが気に入っていたんだと思う。
レノンがこれを聴いてDon't Let Me Downを発想したという説があるらしいけど、似ているところがほとんどないしそれは違うだろう。連想で思い浮かぶとするならAnd I Love Her辺りじゃないかな。






加山雄三のベストヒット盤的なものならこの曲はどれにでも入ってると思う。その数あるCDの中でこれはアビーロード・スタジオ・マスタリングなんていうのが値打ちなんだろう。そこはかとなくビートルズと繋がっている。





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コメント

No title

アンダー気味のローファイな感じのモノクローム3枚、面白いです。
2枚目はいろいろ見所たっぷりですが、まるでその、
垂れたペンキが3枚目のヒトガタを象ったような。
で、1枚目に戻りますと、魚のキャラクター背景右側、
黒い影の中にある白いふたつの三角が、
あたかもコチラを伺い見てるイキモノの眼に見えてきて.....。
不穏です、このお店に入ったら注文の多い料理店さながら、
お客が料理されてしまいそう、僕はシーフードではないけれど(笑。

halさんへ

こんばんは!
自分の好みは黒白はっきりしたようなのだったんだけど、色々加工してる間に、こんなのもかっこいいと思ったのが今回のイメージでした。元のフィルムが思わしくなかったから、いつもならフィルム相手にこんな加工はしないというようなところまでやってみました。上手くいかなかったフィルムの賜物って云うところかも。質の良くない紙に印刷したらこんな感じになりそうです。
二枚目のは何か異様にごちゃごちゃとしたものが一杯広がっていたので撮ってみた写真です。どうも空き家になってたような記憶があります。ちょっと廃屋になりかけてる雰囲気が気を引いたってところかな。電話番号らしいものが見えてるのが、これ、このまま出してもいいのかなと思いつつ、載せてみました。こういうのとか自動車のナンバーとか消しておいたほうがいいのかなぁ。こういった不定形の壁の模様とかみる人、気分によっていろんな見え方がするから面白いですよね。あと細々としたものを個々に見ていくとこれもまた面白いかも。
あの辺りは他にはあまりこういう雰囲気の家はなかったです。車の往来が結構あってそんなに撮りたくなるようなものも見当たらなかった感じ。入ったらいけないような雰囲気の路地とかだったらそれだけで写真撮れそうだけど、あまり秘密めいた空間もなかったです。でもそういう白々とした空間でもモノクロで撮ってみるとちょっと雰囲気が違うイメージにはなりそうです。
シーフードの写真はバックの沈んだ雰囲気も凄く気に入ってます。手前のキャラクターに眼がいくけど背景になっている木の窓とかもわたしが住んでいるこの世界のものの雰囲気とはちょっとずれてるんですよね。ここ、本当は地中海風の明るい店なんだけど、まさかこんな風に写ってるとは思いもしなかったです。
眼ってどこだろうってそういう視点で見直してみました。面白いところに注目するなぁって、ちょっと感心。写真を読むという感じだと思うけど、こういう読解するように写真の正体を明確にしていくのも凄く面白いです。撮った本人も見出していない写真の側面が立ち現れていくようで、そういう点も興味深いです。
サラ・ムーンが赤ずきんを題材に写真撮ったような感じで、注文の多い料理店を題材に写真撮れそうですよね。

No title

棟方志功の世界かと思ったわ
ちょっぴり復活しました^^

みゆきんさんへ

こんばんは!
暫く音信不通になっていたし、ブログも更新されなかったりで、なにかあったんじゃないかと気になってました。
こうやってコメントを入れてもらったので、何か重大事が生じていたわけでもなさそうと、一安心しました。
棟方志功とはまた意外な人物が出てきたなぁ。版画ですよね。勢いのある表情豊かな線で掘り起こしてくって、筆で描くよりもかなり難しそう。
ひょっとして最初の魚のラインとかがそんな感じなのかな。最後の奇矯なファッションの人物イメージも線画だから版画っぽいといえば版画っぽいですね。
写真も、少なくともフィルムは光を使った一種の版画なんですよね。こういう毛色の変わったモノクロの写真はそういう写真の版画的な側面といったものがよく出てくるのかもしれないです。

No title

写真がゴッホ
絶妙な場所を見つける天才
人が見過ごす何気ない写真が凄いわ♪
12月中旬で気温は8度は最高
このまま暖かくならないかな?

みゆきんさんへ

こんばんは!
ゴッホですか。ゴッホが浮世絵に傾倒していたように、わたしも実は日本的な感覚で写真を構成できないかちょっと考えたりしてるから、影響されているものでは共通するところがあるかもしれないです。昔から写真にはまり込んでいたわけでもないので、実のところ写真そのもので影響を受けているとかあまりないんですよね。
歩いている時に落ち着かない視線を回りに振りまいてるから、きっと妙な雰囲気の通行人だと見られてるんだろうなぁって思います。回りの空間は実際は結構とりとめもなくて、そこへ何かの切っ掛けでカメラを向けたりしてるんだけど、どうってことない空間だったものがカメラのファインダーを通すことで凄い引き立ったような印象を持つことがあったりするんですよね。そういうのを切り取れるとやっぱりなかなか楽しいです。逆にこれは凄いと思ってカメラを構えてみてもカメラを通してみた光景にちっとも惹かれなかったり、本当に色々。
見るからに異様なものとか豪華な場所とかは異様に撮れて当たり前、豪華に撮れて当たり前というところがあるから、異様でも豪華でもないところを撮ってどこか際立つイメージにしてみるって云うのが腕の見せ所になるのかな。そういうのを撮っているほうが面白いし、最近イベント的なものへの関心が薄らいでいるのもそういう気分からきてるのかもしれないです。

こっちも8度くらいですよ。これで結構寒いと思うから、北国の感覚とはやっぱり違うのかもしれないですね。今くらいかもうちょっと暖かいくらいがベストかな。

ご来店ありがとうございます

モノクロ自家現像ですか。
我パターソンのタンクもダークバックと共に二男の混沌とした部屋に消え、黄変しているであろうTMAXの残りは納戸兼暗室モドキ?の隅にトイレットペパーどもの下敷きになった引き伸ばし機と一緒。
フィルムも先年冷蔵庫の片隅に眠っていた、ハイスピードンフラレッドを捨てた記憶があるだけ。
今や、写真遊びから完全に撤退し、コンデジで孫の姿を残すだけとなりました。
温度計や時計を睨みながらトライエックスの8倍増感していた頃を懐かしく思います。
我稚拙なる喫茶きまぐれをご訪問いただき、ありがとうございました。

MKさんへ

初めまして、こんばんは!
モノクロの自家現像、してるんですよね。最初はフィルムにかかる費用を出来るだけ抑えるために始めたんですけど、結局その段階まで自分でコントロールできるのが面白くなって今まで続けて来ている感じになってます。フィルムに関して関われる部分は出来るだけ関わってみようと。せっかくフィルムを使って写真撮っているのに、関われる部分を他人任せにするのはちょっともったいないって思いました。そういう意味ではカラーも自分でやってみたいんですけど、これはちょっと敷居が高すぎるかな。
それでもモノクロを自分で現像してみようと思い立ってから実際にやってみるまで一年以上のブランクがあったんですよね。現像の道具を買ったって云う報告の記事から自分で現像した写真ですという記事が出るまで一年以上間が開いてしまってます。
やってみるとそんなに難しいこともなく出来る、シビアに時間や温度管理をしなくてもまず手痛い失敗にはならないって分かってからは普通にできる作業になったんですけど、最初は自分でやると決めても失敗したら嫌だなぁとか思い出してなかなか始められませんでした。
まだフィルムは売ってますし、道具なんかが揃っているならまたフィルムで写真撮って現像してみませんか?久しぶりにやってみるとまた新鮮で面白く感じるかもしれないし。増感はわたしは2段くらいまでしかやっていないんですけど、イレギュラーな増感に関してはかなり極端な方法も色々あるようで、なかなか楽しめそうな領域だなぁという予想はあります。一度やったら後戻りできないからイレギュラーな方法はかなり勇気が必要だとは思いますけど。
一度自分がやっている手順を記事にしようと思ってるものの、これは興味のある人が限られているだろうなぁと思うとなかなか記事にすることが出来ません。

こちらこそご訪問有難うござしました。
またよろしくお願いします。
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