眩暈椅子再び

ぐるぐる2





木の島





通路街灯





ぐるぐる3



2016 / 11 / 棚倉
Howay Anny-35
フジ 業務用400


以前のぐるぐるの記事で書いた、棚倉で電車を降りて写真を撮ろうというきっかけになったもの、棚倉で停車した電車から二重の窓越しに見えていた得体の知れないものは三枚目の地下通路への入り口にあった葡萄の房状に連なった巨大な球体のオブジェだった。しかしわたしがその奇妙なオブジェの写真を撮ろうと思って初めて棚倉で降りた時、この地下通路に隣接する駅の部分で大規模な改修工事が始まっていて、その余波なのかどうかは知らないけれど、謎の球体の房は撤去された後だった。
今までこの駅を通るたびに眼に留まっていたのに、いざ写真を撮る気になって訪れてみると跡形もなくなっている。まだ凶のおみくじを引く以前のことではあったけれど、今から思うとその前哨戦が既に始まっているかのようだった。どうして撮りに来たタイミングで撤去するかなぁと、自分の運の悪さを嘆いてみたものの、ないものは確認できないし、しばらくはあの球体は何だったんだろうとわたしの中で謎として残っていた。停車した電車の窓からみた地下通路へ向かう一角は謎の球体を除いても、車窓から見ると何の施設なのかいまひとつよく分からない空間に見えていたから、実際に下りてみてあぁここは地下の通路へ降りていく場所だったんだと、これは納得して疑問解消となったんだけどね。
後になって、この地下通路に並ぶ場違いな街灯に、まるで巨人のネックレスでもかけるようにつけられていた謎の球体の房は、去年の木津川アートの作品の一つだったと知ることになる。木津川アートで検索してみたらネット上に写真が出ていた。正体を知ってみれば枯れ尾花の典型というか、車窓と地下通路の窓の二重の隔壁の向こうに、薄暗い通路の照明のなかで浮かび上がっていた謎の巨人のネックレスの纏っていたものは綺麗に霧散してしまった。
でも写真には撮ってみたかったなぁ。
ちなみにこの地下通路、夜に通ると人の気配で上にあるシャンデリアが自動的に輝きだすそうで、この体裁といい、通路を抜けたところでであった眩暈椅子といい、やっぱりどこかおおっぴらに異界へ通じているような気配があって、唯の辺鄙な田舎町とは思えないところがある。のどかに眠りこけているような雰囲気の下で何か隠し持っているんじゃないか。

こういう毛色の変わったものを撮って、その出来上がった写真を眺めてみると、事物にすべてを還元していくような方法は好きではあっても、対象が特異であればちょっとその特異性に寄りかかりすぎているようにみえるところもある。そう見え出すと写真はあまり面白く見えなくなってくる。
写っているものはぐるぐる眩暈椅子ではあるけれど、写そうとしていたものはぐるぐる眩暈椅子じゃない。写真を撮っていてそういう部分はいつも多々あるんだけど、こういう直結しない部分が出てくるほうが面白い。特異な対象を前にするなら余計にそんなことを思ったりする。









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コメント

No title

電柱の並びが木立に交差する郊外風景、
ぐるぐるの椅子で遊ぶ近所の子供、
とても長閑な風物ですけど、
地下通路のお写真挟むことによって、
カラフルなベンチ、だけども不在感、
みたいな感覚が強調されてるような。
しかし、通路の写りは面白いですね。
暗部がドンと落ちているぶん、
写り込みやハイライトが騙し絵的、
重層的な虚空間みたいに思われます。
確かに異界への通路なのかも。
我々の属する世界と瓜二つ、
しかしそこには人が存在しない、といったような。

さて、Anny35存じませんでしたので検索しました。
非常に耐久消費財的な金属外装の写ルンです、ですやん(笑。
絞り込み側に4段あるってことは、より自由度がありますね。
とはいえ、暗い環境ではキビシイ奴、ですね(笑。

そしてシグネット35、ネガ上がってきました♪
なかなか佳い写りしてますよ!
遠景は絞らなパッとせん気がするんですけど、
2〜3m前後のスナップ的間合いでは、開放気味でも、
ビックリするような写りのコマがあります。
薄荷さんはもうフィルム通されました?
シグネット、ちょっと侮れない奴かも!(^∇^

halさんへ

こんばんは!
京都の南の郊外へいくと、住宅エリアの並びから一歩はみ出すともう見渡す限りの耕作地が広がってるなんて云う極端なコントラストで成り立っている場所が多いです。このコントラストで写真とっても面白いかなとと思ってみたりしてます。郊外とか辺境とかわりと好きなイメージかも。
ここ、本当にただののどかな田舎町と妙なものが混在してる不思議な感触があるんですよね。まぁ駅周辺のこういうオブジェを離れると写真を撮るつもりでいる意欲ははぐらかされることも多いんだけど、この椅子と通路は一見の価値があるかと思います。
人が入るとやっぱりちょっと雰囲気が和らぎますね。椅子だけだと本当に眩暈を誘発しそうな怪しい何かが出まくっていたけど。そういう意味では今回の写真でこの通路は怪しさは結構残しているんじゃないかと思います。
通路の光具合は複雑で結構いいでしょ。ほとんど人が通らなかったから、ここであれやこれや好き放題に写真撮ってました。本気で人のいないそっくりな世界に紛れ込んだような雰囲気でしたよ。
窓から入る光の作るパターンだとか、要素が多すぎてどう撮るか途方にくれるところもあったけど、全体の空間の雰囲気ということでこういうのに落ち着いたって云うところです。絶対に異界に通じているなぁ、ここ。
それにしてもこんな誰もいないような駅でただの通路をよくこんなデザインにしたものだと、こういうのが好きな人が駅関係にいるのかなぁ。

アニー35は子供用の本格的カメラみたいなコンセプトのトイカメラです。写ルンですの同類だと思うし、使ってみるとなかなか面白いのでたまに無性に使いたくなってくるんですよね。二台持っていて、一台はアニー35デラックスという巻き上げも本格的なカメラだったんだけど、完全に壊れてしまって、今は手元にはノブで巻き上げるタイプのが一台っきり。予備にもう一台欲しくてヤフオクを眺めてるんだけど、何だかすぐに壊れそうなのばかりが出品されてます。
シグネット35はまだ放置状態なんですよね。今は気分的には使い慣れてるのをとっかえひっかえして使ってる感じ。そういう気分が変われば使うことになると思います。これ、レンズ評判いいから、昔から欲しかったカメラの一つでした。人気もあるし状態のいいのに出会うのはそれなりに運が必要そうなカメラですよね。スナップ気味の撮影に威力を発揮するならまさしく用途にあったカメラになりそう。
コダックはフィルムの販促もかねていたから、いい写りのカメラを出してると思います。
それとこのカメラ、コダックのフィルムケースの蓋がレンズキャップの代用になるんですよね。わずかに大きい感じがするので、内側の縁に一部モルトを貼ってキャップ代わりにつけてます。この辺り偶然じゃなくて想定して作っていたのかも。

No title

まぁ~素敵
遊び心満載のベンチ?
そこだけでもアートね
日常に溶け込んだような写真にも遊び心満載
最高です^^

みゆきんさんへ

こんばんは!
どうもバスか何かの停留所といった感じの場所なんですよね。と云ってもわたしが写真とって歩き回っている間にバスがやってきたということはなかったんだけど。
この子供たち夢中でゲームやっていたみたい。このベンチが普段から日常としてあるせいなのかあまり特殊なものに腰掛けているって云う感じではなかったです。君たち異界のすぐそばにいるんだよと教えてあげたくなるくらい普通の扱いで座ってました。考えてみればこの椅子や地下道があまりに日常的に馴染みになってしまって驚けないのはすごくもったいないです。変質している日常なんかを掬い取るには写真は結構有効な方法かなと思っています。
それにしてもこのベンチ、凄いですよね。遊び心だけで出来ているみたい。田舎の駅でよくこんなのを設置できたと思います。作った側ももっと見に来てくれる人が多い場所のほうが作り甲斐があっただろうに。
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