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灰の中の線と形象 / 映画「パンドラム」

線と形象1





線と形象2





線と形象3





線と形象4

2017 / 09
大津港
Fuji Natura Classica
Fuji Natura 1600


浜大津から大津京まで歩いた日、ホテル裏の遊歩道から出られた港の岸壁から。ここまで歩いたのが切っ掛けで、この後、前の記事に書いたように二駅分サンダルで歩くことになった。地図によると、関係者立ち入り禁止の柵で囲まれた大津港マリーナという区画の北西方向にあって、琵琶湖浜大津港となってる。大きさでいうとなんだかこのマリーナの付け足しのような規模の港なんだけど、こんな名前がついてるところから見るとこっちが本来的な港なのかな。
曇り空のグレー一色の空間の中に線と形象が浮かび上がってる様子を撮ろうと思ってシャッターを切ったようなことを書いたけど、これがまぁその思惑を現像した結果だ。
なんというか、水墨画的なものに色目を使ってるような、あるいは日本画っぽい印象がどこかに漂ってるような、そういうところが自分としては面白い。日本画的というなら、背景をぼかして主題を際立たせるとかまるで関心もない、平面的であることへの志向というのかな、今回に限らず自分の写真にはいつもそういう要素があるように思ってるんだけど、こういうのは、絵画が持つ立体を平面に落とし込む特質を対象化するような事柄に興味があるからなんだろうと思う。
大体いつもよく書いてることで分かるように、写真が絵画的なモチーフでイメージを作ることは毛嫌いしていて、写真なら絵画の振りなんかせずに写真でしか出来ないことをやってみようよという立ち位置なのに、構造的には結構な絵画志向というようなものが自分の中にはある気がする。絵画への構造的な志向と云っても構図とか絵画的なイメージを組み立てるための方法論のようなものはある程度のところでどうでも良いと思ってるほうで、それはそういう方向じゃなく、こういう平面に対する志向みたいな形で出てきてるように思える。
それにしても、ナチュラ1600はやっぱり良い色に出てるなぁ。曇り空の中で眠くてあまり気を引く色彩でもなかったのに、フィルムに写しこんでみるとくすんだ淡い色の特質を思う存分発揮してるというかな。白い色の出方が繊細なニュアンス一杯で気に入ってる。

☆ ☆ ☆

久しぶりに映画のお話。
最近「パンドラム」という結構拾い物の映画を見た。ジャンルはSFスリラーっていうところ。
SFスリラーといえば今現在は「エイリアン・コヴェナント」辺りだろうけど、こっちのほうはエイリアンを見に来てる人は本当にこんな話が見たいのか?なんていぶかしく思うくらい宗教的で思わせぶりな内容に終始する駄作続きなのに反して、エイリアンの種はむしろこっちのほうに植え付けられたんじゃないかと思えるくらいの、まぁB級ではあるんだけど、とても面白く見られた映画だった。
6万人のコールドスリープ状態の移民を乗せて、はるか彼方の別惑星への宇宙の長い旅に出た蒔種船エリジウムのなかで、主人公がコールドスリープから目覚めるところから物語は始まる。ところが強制的に目覚めさせられたものの、なぜか宇宙船内は大半が電気が落ちていて真っ暗なまま、他の乗員はコールドスリープ中の上官一人を残して消えうせていた。主人公はコールドスリープの副作用で記憶の大半を失ってしまってる。やがて主人公同様に睡眠から無理やり目覚めさせられた上官とともに、この宇宙船のなかで一体何が起こったのか調べるために、上官の無線によるナビゲートを元に闇が淀む巨大な宇宙船内の探検を始めるといった内容。これだけでも面白そうでしょ。
特に前半の暗い船内をたった一人でケミカルライト一本を頼りに進んでいくところの恐怖感はエイリアンが本来与えてくれたはずの感覚そのものだったと思う。こっちも途中から化け物が出てきて、まぁこの最初の恐怖感はあまり感じなくなってくるんだけど、その代わりというか、眠っていた間に宇宙船で一体何が起こったのかという謎で後半は引っ張りまわされることとなる。結末はかなり意外なものが用意されていて、実は物語の途中にところどころで微妙に齟齬を感じる部分があり、それがこのラストへの伏線になっていたんだけど、おそらく初見でこういうのに気付く人はあまりいないんじゃないかと思う。
閉塞感たっぷりの宇宙船の中での暗闇の恐怖に、謎の化け物に襲われるサバイバルアクション、そして全編を覆う謎と思い切り意外な真相。こういうのを上手くさばいて目一杯エンタテインメントの形で綺麗に着地させた小気味良い映画だった。製作は駄目なほうのポール・アンダーソンだったんだけど、ちょっと見直してしまった。








日本公開時には残念ながらヒットしなかったそうだ。まぁこのタイトルじゃよほど興味を持った人しか見に行かなかったのも当然だと思う。




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コメント

No title

灰の中の線と形象
タイトルが素敵
そのタイトル通りの線と形象
頭の固い人には想像もつかない素晴らしい写真
緩やかな線
船ときたからホッコリとびっくりと度肝を抜かれたわ^^

みゆきんさんへ

こんばんは!
今回はタイトルも写真もスタイリッシュでしょ。タイトルはグレーの中のって最初は書いてたんだけど、語呂が悪くて灰にしたらなんか凄いかっこよく見えたのでこういう形に落ち着きました。無機的な言葉を並べてみるのも結構好みの語感でした。
全体にシンプルで抽象的で、でも線や形象や色彩には、無機的なだけじゃないどこか優雅な色気があって、っていうようなものを撮りたかったんですよね。港だけど港特有の何かを撮ろうとはほとんど思ってなかったです。結局港であることは、普通に背景にあるようなものを水面で置き換えることが出来たから、シンプルに線と形象だけを組み合わせることに役立ったっていう感じです。
そういえば線の緩やかさと結構無骨な船の形象って言うのもコントラストが効いていて視覚的には面白いですよね。
それにこうやって眺めてみると船の配置バランスもこの時は凄くよかった感じ。桟橋に目一杯船が泊まってたらこんなシンプルな感じにはならなかったです。あの時船の少ない日と時間にホテル裏に迷い込まなければ撮れなかった写真というわけで、一枚の写真を撮るには凄い偶然が重なってるのを改めて思ったりします。
街中でこういう風にシンプルに形を切り出していくのも面白そうで、水面であらかじめ余計なものが整理されていない状態でそういうシンプルな写真を撮ってみるのは試しがいがあるかもしれませんね。

No title

これが真夏で青空だったら、で、デジタルだったら
全然違う風景なんだろうね~
まさに灰色の世界だからこその雰囲気。
フィルムならではの良さが凄く出てる~

「パンドラム」薄荷グリーンさんのレビュー見ると
観たくなっちゃう(笑)
レンタルであるかなぁ??

No title

そう言えば港って四角いのってないかも?
素晴らしい所に目をつけたなって思う👏

ROUGEさんへ

こんばんは!
曇り空の時とか大抵はもう写真撮りに出かける気にもならないんですよね。影は出てないし色はくすんで冴えないし、目の前を通り過ぎるものすべてにちっとも視線を引っ掛けてくるものがないっていう感じだから。でもこの時の曇り空は本当に大ヒットでした。まぁあまり夏の水辺っていう感じじゃなかったけど、ここに立った時からあぁ絶対にかっこよく撮れるって言う予感はありました。こんなこと珍しいです。結構狭い港だったから水の上にあるものにあまりバリエーションがなくて、そういうところがちょっともったいなかったかな。条件が揃っていたからもっといろんなものを撮ってみたかったけど、そうもいかなかったです。くっきり晴れてる時も全然違う表情になってるかもしれないから、そういう時も撮ってみても良いかなとも思ってます。本当にタイミングで写真は随分と違うものになるっていうのを実感します。
フィルムの効果出てますよね。こういう雰囲気で撮れるから、フィルムカメラってわくわくするんですよね。

映画はお世辞にも大作じゃないんだけど、単純に面白かったっていう感想で見終えると思います。謎めいた話とか結構好きだから、わたしは結構夢中になってみてました。レンタルはどうなのかなぁ。あまり流行らなかったそうだし、あっても棚の片隅に放置されてるとかだったら、探さないといけないかも。最近この手の映画を結構見てます。SFでなんだか妙に謎めいてるようなの。レビューするのも久しぶりだったけど、謎が仕掛けてあるとなかなか書くのが難しいです。

みゆきんさんへ

こんばんは!
港に四角い形、大きな港だったらコンテナとかありそうだけど、ここは小さい港だったし、人もいなくて休止状態だったから、荷揚げの箱とかも目につかなかったかな。直線と曲線の組み合わせっていうのが一番目にはいっていた要素だったように思います。あと円柱の類。あまりごつごつ角が立つものはなかったし、やっぱり波に揺られてぶつかったりしたら危ないとかあったのかもしれないですね。
とにかく写真撮ってると撮るものが無くなってきたり何を撮って良いのか分からなくなってきます。こんな風にここは絶対に撮らないと駄目だと思うようなところってあまり出会わないです。ひょっとしたら注意散漫で今まで見逃してるのかもしれないと思うと、ここはいい!っていうのを見分けていく観察眼とか、そういうのが本当に欲しいです。
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