2019/01/18
この世界の切り取り線 / 新調した眼鏡のこと / Pat Martino - I'm Confessin' (That I Love You)



2018 / 10 宇治
Canon DEMI17
Lomography Colornegative 100
去年の終わり頃に持ち歩いていたキヤノンのハーフカメラで撮っていたもの。このハーフカメラ、レンズにカビ有りで露出計が動くものと、レンズは綺麗だけど露出計が動かない2台を持っていて、何だかもうどっちつかずの苛つくような状態だったので、両方のカメラを分解したあと露出計が動くほうに綺麗なレンズを付け替えた。レンズを分解してピントが合うかなと不安だったけど特に問題なく使えるカメラになっていたようだ。このあとにフィルムを積めたのがコダックのシグネット35でこれは実はまだ最後まで撮り終えておらず、恐ろしくスローペースになっている。これを撮ったキヤノンのほうもいい加減飽きてきてシグネットに持ち替えたのに、こっちのほうもなかなか撮り終えられずに飽きてしまっている。あと9枚ほど撮ればフィルム取り出せるんだけどなぁ。今回の写真を撮っていたのは宇治駅周辺で、通っている整形外科がJRの駅前にあるものだからその行き帰りに撮っていたものがこのフィルムロールに収まっていた。グラフィカルでポップでキュートでシュール。最近念仏のように頭の中で鳴っているテーマだ。この辺りの空間に切り取り線でもあって、そこから空間を切り開いていくとその向こうに見たこともない何かでもあるんじゃないかと、まぁそんなことを考えたり考えなかったりしながら、視線を捉えたと思ったときにシャッターを切っている。あぁきっとここが空間の接合面だと思ってファインダーを覗くこともあれば、ファインダーを覗いて始めてここに断層があったと気づくこともある。もちろんまるで気づかないことのほうが圧倒的に多いんだろうし、シャッターを切ってしまうことがせっかくの切断面を縫いあわせてしまうことだってあるだろう。それにしても宇治駅周辺、JRと京阪の駅が宇治川を挟むようにして少しはなれて並んでいるこの一帯は平等院があることにはあるんだけど、実のところ他には何も無いといっても云いすぎじゃない。残念な観光地のランクでも取れば上位ランクイン間違い無しだぞ、ここ。わたしが通っている整形外科は宇治川に出てくる商店街の端っこにあって、この宇治川に出てくるポイントは平等院の参道なんかも集合しているような場所なのに、まるで商店街的な活気が無い。地元の人でさえも賑わってなくて観光客が何だか間違ったところに出てきたんじゃないかと所在なさげに歩いているだけだ。整形の隣に丸に十字の屋号も目立つ宇治茶の店があるから、雑誌にでも紹介されているのかここに向かってくる観光客はいるんだけど、店の前で記念撮影して、店に入る以外は、そそくさとみんなどこかに行ってしまう。宇治川の川縁は何とものっぺりと視線を捉える起伏も無くただ川の縁を歩いているだけといった殺風景なものでしかなく、唯一観光地っぽい雰囲気の平等院への短い参道は、どれもこれも宇治茶と茶蕎麦と茶団子の店しか並んでいない。この三つのアイテムしかないならこの参道、三軒の店があれば事足りるだろう。宇治川を越えて平等院の対岸へと足を伸ばせば山間に源氏物語記念館だったか、何だかそういう感じのものが建っていたり、宇治上神社なんかもあるにはあるけど、住宅地の中に点在しているという感じで、散策が楽しいというところまでは一歩及ばないというのが私の正直な感想だったりする。JR宇治の駅前に観光の人力車が客引きをしていて、こういうのを利用すれば平等院以外に何もなさそうなこの辺りもそれなりに楽しめるんじゃないかと思う。わたしは整形に行くだけなので目が合えば挨拶くらいは交わすけど客扱いされると面倒なので傍らを通り過ぎるだけ、様子を見ていると利用するのは興味を持って立ち止まった観光客の半分にも満たないくらいかなぁ。でもこういうところへやってきてこういうものがあるのに利用しない手は無いとは思う。その時は車夫のライブの案内を聴きながら他愛ないおしゃべりをして、ただ人力車に乗って揺られているだけの体験に見えても、あとで結構な想い出になると思う。去年からの引き続くトラブルの一環なのか、年末にキーボードの上にいろはすの桃味を盛大にぶちまけるということをやってしまった。いろはすは水を売っているはずなのに甘味料とか入れてしまってどうなのと思うところも無きにしも非ずというものだったんだけど、この時はたまたまそれを買い込んでいたというわけだ。基本水を売る商品だから甘味料も少しなんだろうと思っていたら、いろはすに濡れたキーボードが乾くにつれてキーがにちゃくちゃとくっついて動かなくなってきた。これ、糖分が結構な量で入ってそう。キーが引っ付くものだから、たとえば「i」をクリックしたりなんかすると、キーが押し込まれたまま、いいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいい、と高速で画面に並んでしまう。このキーの感触にいらついてしまい、結局年末に新しいキーボードを買うことになって、本当に余計な出費続きだった。もっともキーがくっつくキーボードはしつこく叩いているうちに引っかかりながらも何だか使えるような状態になってきたので、新しく買ってきたほうは買いはしたものの未だに取り替えていない。こうなると今のいろはすのキーボードが本気で壊れた時のために取っておこうかなんていう気にもなってきて、取り替えるタイミングを逸し気味になってしまった。

去年の暮れに転倒して壊してしまった眼鏡を新調して、出来上がったのを取りにいってきた。ボストンシェイプのサーモントブロー。
有体に云ってしまえばタイプとしてはカーネル・サンダースの眼鏡なんだけど、料理次第でクラシカルな雰囲気を持ったままエッジの効いた色気のある形へと変貌する。昔はおじさん専用の印象が強い眼鏡だったのに今やユニセックスの洒落たアイテムだ。写真では色がいまひとつ上手く出なかったんだけど、ブリッジとフレームの下半分の本来の色はシックなゴールド。店の人は借金取りみたいに見えると思われてあまり選ばれない色だといっていたけど、そんなことを店の人が云っていいの?わたしはちゃらちゃらしたのが好きなので迷わずにゴールドだった。
眉に相当する部分はこのタイプのめがねだと普通はセル素材を使ってセルとメタルのコンビ眼鏡になるところを、これはフレーム同様にチタンを使っていた。だからオーソドックスなサーモントブローを少しはずした純正のメタルフレームの眼鏡だともいえる。その辺がエッジの効いた雰囲気に繋がっているのかなぁ。形はやっぱりこういう丸っぽい柔らかい印象のものが好き。でもスクエアとかウェリントンのセルフレームも一度かけてみたい気はある。実はお店でそういうのもとっかえひっかえしてかけてみて、四角いシャープなのも意外といいじゃないかなんて思ったりもしていた。今度壊してみて始めて思ったのは、不測の事態に備えて眼鏡は予備を用意しておくほうがいいということ。とまぁもっともらしい理由もつけられるとなると、さらに今だと新しいレンズの処方箋も手元にあることだから、近いうちに今度はセルのスクエアとか買ってみようか、と物欲に火が点きはじめている。
Pat Martino - I'm Confessin' (That I Love You)
ジャズギタリスト、パット・マルティノがいろんなギタリストと競演した曲を集めたアルバム「All Sides Now]から。一緒に演奏しているギタリストはジョー・サトリアーノ他、ジャズというジャンルに拘らない人選となっている。以前ここに、このCDに入っていたマイク・スターンとコラボした曲を載せたことがあった。今回のはレス・ポールとのコラボ・チューン。つんつん尖がっている部分も混ぜ込みながら艶っぽい演奏になっていると思う。曲は古いスタンダードで、いろんなプレーヤーが演奏を残している。モンクのソロピアノなんかも、ストライドピアノでこれと雰囲気が似ていて自分としては結構好きだ。
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コメント
No title
この眼鏡なら色んな服装にも合わせやすそう。
テーラードジャケットとかには特に相性良さそうです。
3枚目の写真の影がすばらしいですね。
なかなかここまでの影ってないのですごいなあっておもいました
2019/01/18 14:07 by えにぜん URL 編集
えにぜんさんへ
眼鏡かっこいいでしょ。今までのが針金細工みたいにシンプルだったからちょっとデザイン的なものにしようと思って選びました。元々はアメリカ生まれの眼鏡らしくて、そっちのほうはどこと無く野暮ったい感じが残っていたんだけどこれは結構センス良く今風にアレンジされていると思います。もとはケンタッキーおじさんの眼鏡なのに印象はもうまるで別物。スーツ、合いますよ。シャープな印象で結構知的な印象になるかも。もちろん崩した服装もまるで問題無しで、意外とオールマイティな眼鏡だと思います。クラシカルな色気のあるものや形って本道に好き。今の時代の新しいデザインってどうも奇抜さのようなのが先にたって、こういうクラシカルなものが持つ色気みたいなのはなかなか体現できないような印象を持ってます。この眼鏡は今のシャープさとクラシカルな雰囲気が上手くブレンドされているんじゃないかな。
ここ、駐車場なんだけど、晴れの日に見ると壮観ですよ。ただ、いざ撮ろうとしてもあまりに縞模様が均一的に一杯でこの角度が一番って言うポイントがなかなか見つけられないんですよね。壮観だけど単調。で、ちょっと決めあぐねて黄色と黒の縞模様のポールをわざと異物として混入させてみました、単調さは破れるしコントラストは増えるし、混沌とした部分も多少は持ち込めたんじゃないかと思ってます。こういう場所を見つけるとわくわくしますよ。
2019/01/18 17:54 by 薄荷グリーン URL 編集
No title
四角く切り取られるのは見慣れているので
結構新鮮かも。
新しい眼鏡、いいなぁ~
私は近視は無いのだけど
疲れ目(←認めてないww)用の眼鏡
作った時は切実じゃなかったのでデザイン重視だったけど
最近は無いと本が読めないのでかけるけど重いの!
軽いのに買い換えたいなぁ~
2019/01/19 17:24 by ROUGE URL 編集
ROUGEさんへ
こういう鋭角的に交わってる壁とか結構珍しいですよね。よほど立地条件が特殊なところ以外だとまず四角く組んでいくから。形のおもしろさみたいなので撮っていた写真です。一段下の陰になっているV字型のラインもちょっとしたポイント。それと枠組みから向こうを見るっていう視点も結構好きかなぁ。撮っている時はこういうことをいちいち確認しながらというわけでもないんだけど、やっぱり好きなものにカメラを向けているというのは一貫して変らないって言う感じです。三角に風変わりに切り取った空に多少の雲でも浮かんでいるほうが良かったかな。それともそんなもの必要なかったで正解だったのかな。
眼鏡が無いと本が読めない。これを自分に認めた時はちょっとショックでした。何だか読みづらいなと思い出したのはいきなり来たような記憶があります。でも眼鏡そのものはアクセサリー的な感じでまるで抵抗がなかったから、かけだした時は結構わくわくしてました。壊してしまった眼鏡は10年近く使っていて、形がどうのこうのという関心からは随分と離れてしまった道具だったので、今回新調してみてまるで人格の一部までが新しくなったような気分になったのがかなり楽しいです。かけ始めたころのわくわく感の再来です。たまに違う形の眼鏡とか楽しいですよ。重くなくてデザイン的なものってなかなか探すのが難しそうだけど、探すことは結構夢中になれそうです。買う前にいろんなタイプを物色したから今はちょっと眼鏡にはまり気味で、セルフレームのものも一つ欲しいなぁ。普通眼鏡とか何本くらい持っているものなんだろう。
2019/01/20 02:15 by 薄荷グリーン URL 編集
No title
2枚目の写真
三角形で構成された空間を切り取った面白い構図に惹かれます。
写真って、同じ場所を撮影しても角度やズームの度合い 切り取り方などの要素によって様々に違った表情を醸し出して興味が尽きないですね。
薄荷グリーンさんと同じような体験、自分もあります。
コーヒーだったので砂糖が結構な量入っていたためにキーボードが当分の間、粘着して叩いたらそのまま戻らなくて同じような症状になって参りました。
あれは気分的にもけっこうなストレスがかかっちゃいますよね。
眼鏡 デザインがナイスですね。
色合いもシックな感じで素敵です。
自分も眼鏡は必需品ですが、掛けたときズレ落ちないように鼻の両側をホールドする部分の片側が外れてて、そのまま使ってて違和感は慣れてなくなってるんですが、やはりサブの眼鏡は必要だなぁ って実感します。
2019/01/26 17:48 by ももPAPA URL 編集
ももPAPAさんへ
同じ対象も見る人によって違う印象に見えているということですよね。そう考えると見る人の数だけたその対象は存在するということになって、これはちょっと面白い。ただそうは云っても今までに見てきたものなんかに捉われて、ありきたりな視線しか投げかけられなかったりもするわけだけど、そういう硬直しがちな視線を解すように写真を撮ってみるのは撮っている本人にも新鮮なんじゃないだろうかと思います。
キーボードの一件で意外だったのは絶対に電気系統がやられるだろうと思ったのに、キーボードそのものは壊れもせずに使えているということ。ひょっとして何か水分をこぼしてしまうようなことを想定して作られてるのかななんて思いました。キーが引っかかるのは本当にいらつきますよね。何だか引っかかり方が随分と強固になってきたようで、せっかく新しいのを買ったことだしやっぱり早々に変えてしまおうかななんて思ってます。キーボード、高価なのはタッチがいいから一度は使ってみたいものの、1万円以上とか、そんなにお金をかけられないです。
眼鏡かっこいいでしょ。以前のはシンプル極まりないメタルフレームだったから、多少装飾的なものは新鮮で良いです。セルフレームのを、今まで一度もかけたことがないから一つ欲しいなぁって思ってます。色々とそろえて気分でとっかえひっかえするのはなかなか楽しそう。壊れたのは早く修理したほうが良いですよ。目にどんな影響が出てくるか分からないし、目が悪くなると生活のかなりの部分で不自由しそうで、わたしはそういうのは絶対に避けたいです。
2019/01/27 21:20 by 薄荷グリーン URL 編集
No title
節分は旧正月ということでお許しを。
東京に行くと物の輪郭って気になりますね。空見上げて建物の境界線を撮ってたりします。その辺、自然の中の輪郭って意外と交わっていなくて木の枝なんかはうまい具合に二重の細い線のように平行にうねっていたりします。
二台もちとか分解とかカメラ何台持ってるんですか?一度コレクションを並べてアップしてください。
薄荷グリーン さんのシュールじゃない写真を一度見てみたいです。ファンサービスで罰ゲームだと割り切って街に出てみてください。
パット・マルティノの演奏っていろんな意味で軽快だったりしますね。どこかに一枚か二枚、持ってた記憶があるのですがどこ行っちゃったかな。パソコンのキーボード、この間ビールこぼして買い換えました。800円くらいの最安値のやつ。
2019/02/01 09:25 by sukunahikona URL 編集
sukunahikonaさんへ
こちらこそ今年もよろしくお願いします。
自然の中の曲線は確かに凄い豊かというか、ランダム性に満ちていて面白いですよね。絵描いてる人だと木の枝なんかの秩序だって無いようにみえて、それなりの纏まりを持っている曲線の集合を描くのに、そういうことにかなり自覚的になるんじゃないかと思います。輪郭が本当にあるのかどうかっていうところも、絵を描く人だと結構敏感になるかな。わたしはどちらかというと線分で世界は構成されていると感じるほうだから、輪郭線はいつも視線を捉える要素になってます。逆に東京を色面で捉えるというような見方をしてみるのも面白いかも。
カメラはクラシックカメラの、こういう大衆的なものは二束三文で売ってる事が多いです。このうちの一台はジャンクで500円くらいだったし、もう一つのほうもオークションで2000円くらいで入手したんじゃないかと思います。ジャンクボックスに置いてあったのを100円で買ってちゃんと使えてるカメラもあるし、何十万もするデジカメとは大違い。何だか骨董市でお宝でも見つける気分で買うのが面白いし、そんな風にして買っていると結構手元にカメラが集まってきます。本当はそんなに使えはしなし、使ってみても似たりよったりという場合のほうが多いんだけど、伝説的なカメラなんていうのもクラシックカメラには多いから、何かコレクションに走ったりしますね。といってもライカなんかは高すぎてコレクションの対象外、あくまでも大衆的なカメラが中心になってます。大阪梅田の駅前第二ビルにレンタルボックスの店があって、ここにカメラを専門に出しているボックスがいくつかあります。以前はここで保障無しの安いけど怪しい状態のカメラを結構買ってました。
景観をそのまま鷲掴みにするような写真でしょ。それも広角で。そういうのも撮ってみたいんだけど、どう撮っていいのか良く分からないんですよね。漫然と目の前に広がる空間がそのまま写真になっているだけという結果になってしまって。でも最近「アイアムアヒーロー」っていうマンガを読んでいて、広い空間のダイナミックな描き方がかっこいいなぁと思ったことがあったので、そのうちこういう感じで広角を使って街中を撮っているかもしれないです。といっても持っている広角は28mm程度だからあまりダイナミックな絵にはならないかもしれないかな。
パット・マルティノ、レス・ポールなんていうロックギタリスト御用達のようなギターを使ったりして、発想も枠にとらわれない軽やかな感じがします。見た目が哲学者みたいでかっこいい。
キーボードは何故か今もそれなりに動いて使えてます。意外と壊れないものだなって云う印象。まぁ交換用のを買ってるからそのうち交換すると思うけど。一番やすいやつのキータッチとかどうですか。わたしはノートパソコンについているようなキーボードの指の感触、反応が耐えられない。
2019/02/02 18:42 by 薄荷グリーン URL 編集