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知覚の地図Ⅹ 世界が終る時、聞こえてくる金切り声

壁上のラインダンス





途上





塔





レール01






ランプとヘレンケラー

ムシムシして本当にこれからの数か月の季節は苦手。夏服の解放感は好きだし、どちらかというと裸族に属するようなタイプの性癖の持ち主なんだけど、とにかく汗っかきで、それが体力を消耗して気力がそがれ続ける。その体力消耗戦がすでに始まってる。
一日出歩くと色の濃いシャツなんかを着ているとたすき掛けしたバッグのストラップの下になった辺りが汗で色が変わってる。乾いてくると塩気が白い跡として残っていたりする。特に今年はマスクなんかしてるから余計にきつい。コロナのせいで、いつもの夏なら冷房がきいてる駅の待合室も、窓を開けて換気してる。

撮り終えて放置していたモノクロフィルム二本を先日現像に出してくる。久しぶりに訪れたフォトハウスKはコロナ自粛の後でも何食わぬ顔で店を開いていて一安心。小さい店内に大して売るほどのものも置いてなく、表のコンパクトなショーウィンドウには古いフィルムカメラがいくつか並べてあるにしても、客だからあまり言いたくもないけど相場よりも高い値付けで回転率がどうのこうのというほどに売れてるようにも見えない。客がいるとすれば店内でデジカメからプリントしてるらしい客がちらほら見えるだけ、昔の「ムツミ」という店名から名前を変えつつ今も続けている古い写真屋さんだから現像を頼みに来る馴染みの人は昔からいるにしても、いったい何で売り上げを確保してるんだろうと他人事ながら謎の店だったりする。自粛の後もそんなことなどなかったかのようにまるで平気な顔で店を開いている様子を見ると、ここは何が起きようとも絶対に潰れないんじゃないかとさえ思えてくる。
現像を頼んだうちの一本は不覚にも途中でカメラを落として裏蓋が開いてしまった云うなら事故フィルム、もう一本はその後カメラが壊れていないか確かめるために落としたカメラにさらにフィルムを詰め込んで写してみたものだった。カメラは電池の残量を示すビープ音が鳴らなくなってしまったのが目に見えておかしくなった部分だったけど、それ以外は落とした後もまるで変りなく操作できていた。現像の結果は意外と被害は軽微で、蓋が開いてしまったほうも37枚撮りのうち30枚は救出でき、その後のカメラの調子を見るために撮ったほうはまるで問題なく37枚全部破綻もなく撮れていた。事故フィルムのほうはふたを閉めてから再度残りを撮る前に念のために数コマを空送りしてるから、その分を差し引くと光が入った影響は思ったどにはなかったといえるのかもしれない。現像する前は10枚も無事ならいいほうだと思ってた。
使ったカメラはオリンパスの昔のフィルムコンパクトカメラ、XA2だ。石鹸箱のように小さく、しかも頑丈で、ゾーンフォーカスだからピントのことなどほとんど考えることなく撮れるお手軽カメラ。しかも見た目は昔のカメラとは思えないほどモダンで今でも十分に通じるデザインだと思う。昔のモダンというと今見るとどこか懐かしい未来、レトロフューチャーっぽい印象になりがちなところなんだけど、そういうところもほとんどない結構すごいデザインのカメラだったと思う。掌に包み込んで歩いているとなんだか凄腕の道具を隠し持ってるようで、感覚は新鮮な何かへと変貌するように高揚してくる。
軽快なカメラを持って出歩いていると、風で木の葉が揺らいだとか、窓に反射する光がまぶしいとか、あるいは食べかけのパスタに刺したフォークだとか、炎天下で屹立する所在無げな街路灯とか、なんでもいいけどそういう日常で普通に目にした、まるで際立たないものを片っ端から撮っていくような撮り方も容易になる。構図がどうしたとかあれこれ思考か割り込んでくる前に直感の管轄内でシャッターを切れる可能性を秘めている。こういうカメラは一見決定的瞬間に強そうだけど、実は決定的でない瞬間にも気兼ねなくシャッターを切れるというほうが愛でるべき特徴なんじゃないかと思う。決定的瞬間なんて云うものに比べるまでもなく、世界は決定的でない瞬間に満ち溢れている。世界の真実は実はそういう決定的でない瞬間のうちに潜んでいるはずだ。
思考は過激に先鋭的に直感へと縒り合されて、出来上がる写真はただのどうってことのない写真、こういうのがひねくれていて面白いし、いつもそういうのを狙っていたい。病気でうろつきまわれなかったので停止していたこういう部分への働きかけが頭の中でまた始動し始めてるならいいんだけど、と自分では思っている。



ギタリスト、ジョン・スコフィールドのバンドのライブ。最初の曲の出だしのこの不思議な雰囲気。これは何だろう。どういえばいいのかミステリアスというのか、どこか見知らぬ聞いたこともない異国の音楽がかすめすぎていくような気配。この音楽のミステリアスな気配と、二曲目のドラムとの掛け合い、そしてそこからドラムソロへと雪崩れ込んでいく白熱振りがお気に入りだ。
二曲目のドラムとギターの絡み合いはどちらかが一瞬でも気を抜けば一気に崩壊しそうなテンションを維持していて耳を掴み離さないし、ドラムソロは他の楽器がとにかくドラムをドライブさせることに全精力を傾けているようなところがいい。ほかの楽器が奏でる曲をドラムが煽っていくんじゃなくてその逆っていう感じかな。もう手に汗握るハイテンションな音空間になっていて感覚のどこかが覚醒していく思いだ。
それにしてもジョン・スコフィールドは一応ジャズのギタリストなんだけど、テレキャスターを使うとか、もう独自路線を走ってる感じが使う楽器からも漂ってくる。こういうギタリストでテレキャスターを使ってるのは最近ではそれなりにいるようだけど、わたしは他にはビル・フリゼールくらいしか知らない。そしてまたフリゼールもカントリーに傾斜するとか不思議なジャズギタリストでもある。なんだかみんな持ってるストラトじゃなくテレキャスターっていうのが絶妙の外し具合だ。
ハゲのおじさんでここまでかっこいいのも見事。はっきり言って髪の毛があるほうが似合わないんじゃないかとも思わせる。ハゲっていうんじゃなくて剃っていたんだけど、「麒麟がくる」の本木雅弘もかっこよかったなぁ。髪の毛がないのがあんなに似合ってかっこいいなんて云う俳優はそうはいないし、モックンは将来万が一ハゲたにしても、もうまるでそのことで気にかける必要はないということが、今から確約されてると思う。




アタック25の司会も回答者も俺がアフレコしたら全問正解余裕でした。








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コメント

No title

今回の写真が、その現像したやつ?
相変わらずタイトルが良いなぁ~

まさに今の世界だよ(^^;

私は汗かきじゃないのだけど
その分、熱が体内に籠って
過去、何度も熱中症になっているから
(一度は入院までしたし)
出来るだけ暑い所には行かないようにしています。

あとマスクに冷えピタも併用するといいかも。
昔、バイク乗ってた時
夏場ヘルメットの中でおでこに貼ってた(^^;

No title

最初の写真にど感動よ
それを撮ろうと思った人って芸術家よ
タワーの写真は911を思いだしたし
3枚目は何故か311を・・・
色々と当時の事を思い出しジワーっと心が熱くなったもの
最後の写真は古き良き時代の昭和を
素敵♪

ROUGEさんへ

こんばんは!
そうです。わたしにとっても久しぶりだった自分の撮った写真。いつも撮ってるような写真から、どんな風に撮ってたか忘れてしまったに違いないような迷いの写真までいろいろとそろってました。今回載せてる線路の写真と建設途上の橋脚の写真はいろいろと角度を変えて執拗に撮ってたりして、ざっと見渡してみるとフィルム二本にしては被写体が少ないような印象だったけど。角度や切り取り位置を変えたレールの写真ばかり並べて、似たようなのが連なってるのを一つ記事にしてみても面白いかなぁ。
タイトルはこのところ結構力がはいってます。もう内容の写真そっちのけで言葉の面白さだけで考えてみたり。世界があとほんの少しで崩れ去り、終わってしまう時って、自分がその時実際にその場にいるとは思えないんだけど、きっと阿鼻叫喚の瞬間なんだろうなぁって。そのときどんな音や声が世界中に響き渡ってるんだろうと、なんかそんなことが頭をよぎってました。今の世の中も以前のものとは確実に変わってしまう変化だったので、ある意味平穏だった時代の終わりでしたよね。そういう意味では世界の小さな死に立ち会ってはいたんでしょう。
汗があまり出ないっていうのはほとんど体験したことがないんだけど、それも相当危険みたいですね。そういえば私は熱中症ってまるでかかったことがないし、うまく熱を発散してるってことなのかなぁ。カメラ持って炎天下を歩き回るには意外と適した体質なのかも。といっても汗っかきの不快感も半端じゃないので、同じく暑いところには極力出ないのがわたしにも正解だと思います。なんか真夏に平然とした顔で歩いてる人がいるけど、そういうのはちょっと信じがたいです。
マスクを冷やすアイディアは参考になりますね。結局今のところ人がいない場所ではマスク外すという対応しか思いつかなくて、それでやり過ごしてるんだけど、何とかこれからの数か月乗り切らないと。
やばそうなインフルエンザまでもまたまた中国から広まりそうだし、もうマスクなしで歩ける日々とか戻ってこないのかな。

みゆきんさんへ

こんばんは!
最初のはわれながらかっこいい出来だと、というかこんな風に撮れてるとは思わなかったので自分でも新鮮でした。ただ目の前に現れた光のラインを撮ってみただけなのに、リズミカルで幾何学的存在感があって、しかも壁の角っこの影なんかも雰囲気があって写真として妙に目を引くものになってると思います。撮ってみなければわからないってところが写真にはいっぱいあるのを再認した感じかな。とりあえずシャッターを切っておくのは鉄則かも。
いろいろと工事現場だとか資材置き場だとか、そういうところが好きだから雰囲気も災害時のイメージと結びつくんでしょうね。撮った人間の思惑を外れて、個々人の記憶とシンクロしていくというのは創作物としては理想的だと思うし、そういう含みの多い写真を撮れたらいいなぁと思います。写っているものしか写ってないといのも好きなんだけど、これが写真だ!みたいに限定的に考えてしまうのもつまらないし。
最後のは時期的にはちょっと前で大津に通っていた時に撮ったもので、後ろの人物、誰かわかります?
この女性、ヘレン・ケラーです。手前のランプはその所縁の品物らしく、時代的な存在感がありました。後この写真、テーブルの角と壁の作る影のラインも結構好きだったりします。絵画的に撮れると見栄えしそうと思って撮った写真でした。

No title

こんばんわ♪

8月生まれでもあるのか、ひと昔前までは夏が来るのが楽しみでしたが、次第に暑さが身に堪えるようになってきました。
今年は6月の段階で既に30度オーバーの日の連続で、本格的な夏が来るまで持ちこたえられるのかといささか心配しています。

ハプニングのあったカメラ それほどフィルムにも本体にも影響がなくてよかったですね。
モノトーンな色合いと柔らかな光加減が何ともいい感じで惹かれます。

ジャズ・フージョン系のギタリストでテレキャスを弾く人といえばマイク・スターンとか思い浮かべるんですが、このジョン・スコフィールド、1曲目などブルーステイストなフレーズも随所でカッコよくキメてて惹き込まれました。

2曲目はドラムを盛り上げながらのギターとドラム ベース キーボードの息をもつかせぬようなインプロヴィゼーション そこから一気にエンディングへと持って行き 最後 エンディングもバシっとカッコよく決めてて素晴らしい演奏でした。この若いドラマー 気になります。

ももPAPAさんへ

こんにちは!
生まれ月に体調が良いっていうのは確かなようで、わたしも生まれ月の5月が一番体に馴染んでる気がします。でもまぁ夏の季節はそんなことお構いなしに体に堪えるハードさがありますよね。5月みたいにのほほんとしてる季節が一番なじんでるわたしにとってはこれはもう体力でカバーできる範囲を超え始めると本当にきつくなってきます。わたしも気分としての夏はすごい好きなんだけど、気分に体がついてきてくれないです。この前えらくカラッとした晴天の日があって、この日は気温はそれなりに高かったけど気分が凄くよかったです。やっぱり元凶は湿度、この一点だろうと思います。

モノトーンは最近ちょっと面白くて、再びカメラを持ち出してからはモノクロフィルムばかり詰めてます。期限の切れたモノクロフィルムが冷蔵庫に残ってるというのもあるし。モノクロは結構期限切れでも全然問題なく使えます。コントラストがきいたものよりもちょっと明るめのトーンが最近は好みで、柔らかい光をとらえてきれいでしょ。カメラは頑丈なカメラでよかったです。こういう事態まで考慮して作ってるのかもしれないと思うと、外に持ち出して酷使するカメラの使用形態をもきちんと計算に入れてたということでしょう。オリンパスが全体的に頑丈かというと、デジイチのEP-5は膝よりも低いベッドの淵からカーペットの床に落としただけで動かなくなったし、実はこれでオリンパスが嫌いになったところもあるんだけど、昔のカメラはあらゆる意味で別格なんですよね。
テレキャスター使いのギタリストもそれなりにいそうですね。わたしはいまだにジャズのギターっていうとセミアコのイメージが強いから、こういうソリッドギターでロック並みに攻めてくるようなジャズギタリストもなかなか新鮮で面白いです。おまけにこのライブの動画、スコフィールドっぽいうねうねフレーズも聞きやすい感じでいいです。
かっこいいんですよね。禿頭のじいさんがかっこいいって結構な異常事態ですよ。どんなにテクニックがさえわたっていてもかっこよくなければ値打ちもかなり下がってしまうから、もちろん演奏内容込みでこのかっこいいっていうのはかなり重要なファクターじゃないかと思ってます。
この手のジャズが好みでなかったとしてもこのドラムは熱狂するんじゃないかなぁ。とにかく目を見張るっていうほかない演奏で知らない間にくぎ付けになってました。何気にベースも地味に煽ってきてかっこいい。おまけにスラップ奏法じゃないのも点数高いです。わたしはあの奏法のベースってテクニックの見せびらかしが目について、でもそのわりに画一的な印象が強くてあまり好きじゃないです。。

こんにちは!

 お元気ですか?
今回のモノクロ写真、
ものすごくパワーを感じますね。
金切声が確かに聞こえました。
あくまで素人の直観的な感想ですが、、、、v-22

直感馬券師さんへ

こんばんは!
元気です!と返事したいところなんだけど、いささか低調気味。このところ歯茎に小さなできものが出来て、今日雨の中歯科口腔センターで切ってきました。今口の中に縫った傷が出来上がってます。意外と痛くないんだけど鬱陶しい。明日また雨の中消毒に来てくださいと言われていてそれも憂鬱です。大体雨の湿度がもう体調の低下にもろ拍車をかける要因になって、この季節大嫌い。
写真、気に入ってもらえましたか。モノクロはそれだけでもなんだか意味ありげで大した写真のように見えてくるんですよね。写真を撮った時の意図も倍増されて写真の上に現れてきそう。意外と言葉にできそうな内容だと写真自体の力はあまりない感じで、なんだかよく判らないというほうがパワーのある写真になりそうな気もします。だから得体のしれない写真を撮りたいと、その得体のしれない何かが見ている人の感覚をかき回すような写真を撮ってみたいと思うんだけど、なかなか難しいです。そういう私の思いが金切り声になって写真に乗っかってるんだったら面白いんだけどなぁ。

鍵コメさんへ

こんばんは!
お気遣いありがとうございます。
京都でもかなり降ってますよ。今日はJRが早朝の大雨のために大幅のダイヤの乱れを起こしていて、1時間ほどホームにいたんだけど結局乗るのを諦めました。鴨川は遊歩道の上にかなりの木や枝やごみが積みあがっていて、ここまで増水してたんだと分かるような感じになっていたし。
わたしが住んでるところは近くに山も川もないからそういう被害は受けないんだけど、何しろ古い家だからこれだけ雨に降られるとかなりやばいところも出てきます。とにかく身に危険を感じるほどの降り様っていうのはこっちでも十分に体感できるから、実際に大被害が出てる九州は本当に大変だろうと思います。
毎年のことなんだけど、この季節本当にスムーズにやり過ごせないかと思いますね。
そちらも気をつけてお過ごしくださいね。
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