【洋画】 生きてこそ

「アンデスの聖餐」を題材にした映画です。

1972年に起こったウルグアイ空軍機571便のアンデス山脈墜落事故で、搭乗していた南米ウルグアイの学生ラグビーチームら45名が遭難、72日後に16人が生還する。墜落から生き残った乗客は捜索隊にも見放されたまま、極寒のアンデス山中で死亡した乗客の人肉を食べて生き延びたという実話を元にしています。

はっきり云って映画は完全にテーマ負けしてます。というよりもあまりにも重いテーマに、結局そのことには深く触れることが出来ずに判断停止みたいになってしまってるというか。
描写もそういう部分は物凄くあっさりとやり過ごしてる。もっとも人肉食いのシーンを微細に描写されても、スプラッター映画じゃないわけだからあまり意味も無いとはいえ、修羅場はあっただろうと、物凄い葛藤もあったに違いないと思うのに、そういうことにはほとんど言及しないで纏めてしまってます。

実際にはどうだったのか分りませんが、少なくとも映画の中では人を食うくらいなら死を選ぶという人が出て来ません。拒絶してた人も結局は食べることになる。それも実に淡々と。
生き延びるためには他に選択肢が無かったという考え方しか映画には出てこなくて、その考えは間違いの無いものとして生き残ったもの全員に行き渡っていきます。

結局これって態の良い「いいわけ」です。生き延びるためだったし、どんなことをやったとしてもしょうがない、文句言うなよ、みたいな自己肯定のメッセージしか届いてこない。「生き延びるためには人を食う以外に選択肢が無かった」という考えを元に起こした行動が本当に正当だったのか、映画ではその行動を相対化できるようなものが提示されません。

果てしない自己肯定の言いわけを聞かされて心動かされるわけもなく、だから映画の感動、カタルシスは捜索隊にも見放されて自力で脱出口を探す困難な試みと最後にそれが成功して救援隊を呼べたということにほとんど集中してました。

☆ ☆ ☆

ちなみにこの遭難からの生還者は人肉を食べたことに対して、ローマ法王から赦しを与えられましたが、宗教上はそういう許しを得て何も問題なしとなっても、当事者の心の中には拭いきれずに淀んで残るものもあるだろうし、そういう心の底に淀むものがローマ法王の許しですべて解消しているなら、こんな映画を作る必要さえなかったでしょう。
だから映画にするなら描くべきものは他に一杯あったはずで、この映画はこの題材だからこそ描かなければならなかったことをほとんど素通りしてしまってるとしか思えませんでした。

☆ ☆ ☆

映画は墜落時の様子から始まって、遭難者の中から選ばれた選抜隊がシェルターとなった墜落機体の場所を離れて、ほとんど装備も無いままに極寒の山脈を横断して救援隊を呼べる町へ辿り着くまでを時系列に沿って、表現的な小細工もなしに追いかけていきます。
全体に俳優の印象が弱いです。イーサン・ホークが一応目立つ位置にいる俳優だったんですが、それでも印象が薄い。他はジョン・マルコビッチくらいで大半があまり馴染みの無い役者でした。

☆ ☆ ☆

「生きてこそ」って云うタイトルが、すごいあからさまな感じで、なんか嫌。


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生きてこそ エンドクレジット

トレーラーを探してみたものの「alive」なんていう検索語だと余計なものが山ほど引っかかって、探しきれない…。ということで、一つだけ見つけた、これはエンドクレジットの部分、BGMで「アベマリア」が聴けます。

原題 Alive
監督 フランク・マーシャル
公開 1993年

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コメント

私、キリスト教主義の高校にいたため(本人は全くキリスト教徒ではないのですが^^;)、この事件について聞いたことがあります。なので少し興味はあったのですが・・・、テーマ負けしているのですね、残念。
キリスト教的な解釈だとこの人肉を食べるという行為は、キリストがパンとワインを取って「これは私の肉と血だ」と言って弟子たちに食べさせた行為と関連性がある、と言われているらしいです。(違ってたらすいません;;)だからこそローマ法王の赦しをもらえたのかもしれませんね。
ですけど、もう少し人間の泥臭さというのが欲しいところですね~。

わたしは宗教的教義となればさっぱりなので、パンとワインの話は全然思い浮かびもしませんでした。
凄く関係ありそうな感じがしますね。
テーマ負けしてるって云うのはわたし個人がそう思っただけのことですので、興味があればぜひ鑑賞してみてください。
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