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【洋画】 イベント・ホライゾン

この映画は京都では以前の弥生座、テアトル72、現在は「シネラリーベ」だったかな、場所的には新京極の眼鏡研究社の斜め北向かい側にある映画館で上映してました。この記憶は多分間違い無いと思う。新京極通りに向かって出してあった看板を見て、謎めいた宇宙船の写真に、得体の知れないタイトルと、興味を引かれたのを憶えています。
ちなみにタイトルに相当する日本語は「事象の地平線」で、ブラックホールとかが出てくる物理学の用語なんだけど、映画の内容に関係あるかといえば無関係とまでとは云わないものの、9割がた雰囲気だけの意味合いしかなかったりします。

それと、この映画のDVDは何を考えていたのか、一度だけこういうケースに入ったのがリリースされたことがあります。
DVDケース1
確かこのバージョンだけ特典ディスク付きだったのでそれが理由で買った記憶があるんですが、変わったケースなので多少は値打ちが出るかも知れないと思ってたものの、値打ちなんか大して出ませんでした。
買ってからずっと、未だにすっきり収まる置き場所を思いつかない…。

☆ ☆ ☆

7年前に深宇宙探査に向かい、海王星付近で消息を絶った、探査船「イベントホライゾン」号が突然太陽系に現われた。船は謎のSOSを発していて、「イベントホライゾン」号建造に関わった設計者ウェアー博士(サム・二ール)を含む救援隊が派遣される。救助船「ルイス&クラーク」号で「イベントホライゾン」号に接続、船内に入ってみれば、乗組員は誰も居ず、もぬけの殻だった。
「イベントホライゾン」号は重力ドライブで空間を捻じ曲げて、遠くへ瞬間移動できる機能を持っていて、遥か彼方の宇宙空間のどこかに行って戻ってきたらしい。調査中に船内に残された記録映像を観てみると、「イベントホライゾン」号の乗組員同士が殺しあう阿鼻叫喚の光景が写っていた。
クルーたちが殺しあうような一体何がこの船で起こったのか。事情が分からないまま、やがて「イベントホライゾン」号に乗り込んだ救助船「ルイス&クラーク」号のクルーたちが奇妙な幻覚を見始める。と、こんなストーリー。
そして「イベントホライゾン」号は深宇宙へ行ってきたのではなくて、次元の異なる世界、「地獄」に行って帰ってきたことが分かり始め、やがて重力ドライブ装置は地獄へ通じるゲートになってそこからやってくる邪悪なものに、ウェアー博士が意識をコントロールされ始めます。

この映画は云ってみればホラー・バージョンの「ソラリス」です。

「イベントホライゾン」号に乗り込むシーンは、まるで幽霊船に入っていくのと同じ感覚です。と云うか、お化け屋敷かな。虚空に浮かんでる宇宙船の形をしたお化け屋敷。

いろんな備品が無重力で空中に漂ってるだけの誰も居ないがらんとした巨大通路、巨大な球体の周りを3重になったリングが取り囲んで、やはり誰も居ない空間で孤独に回ってる不気味な重力ドライブ装置、壁に血や肉片がこびりついてる無人の住居区と、「イベントホライゾン」号の乗り込んでから行動範囲が広がっていくにつれて目の前に現われる光景は、一体これからここで何が起こるのかとドキドキワクワクさせてくれます。
住居区域と機関部の間を長い通路が結んでる「イベントホライゾン」号の外見はあからさまに「2001年」のディスカバリー号とそっくりなんだけれど、恐怖の舞台空間として用意され、デザインされた内部空間の細部の作りこみは、なかなかよく出来てるところもあり、一見の価値はあります。

ただ、何か不気味でぞくぞくするようなことが起こりそうな気配は伝わってくるのに、怖いかといえば、結局最後までほとんど怖く無いんですよね、この映画。
後半、「イベントホライゾン」号のなかで「地獄の門」が開いてからは、宇宙ものとは思えないグロ・シーンがあるものの、これも怖いっていう感じとは違ったし。

☆ ☆ ☆

ポール・アンダーソン監督は、なんだかその「おたく」魂で有名なんだそうですが、「おたく」の本領を発揮して、今まで接してきた様々な映画から、この場合は「恐怖」に関連する膨大な数の記号的なもの、「恐怖」のアイコンみたいなものを抜き出し、頭の中に仕舞い込んでるんじゃないかと、そんな感じがします。
そして自分が頭の中にコレクションしたその膨大な「恐怖」の記号を、ずらっと並べてみせる。その記号、アイコンが2時間分並べられたのがアンダーソン監督の映画なんじゃないかと。

しかもその連なって映画の形を成している個々の「恐怖」のアイコン、たとえば「薄暗い巨大通路」とか「得体の知れないところに通じるゲート」だとかは、その恐怖の質がどういうものなのかあまり分析もされずに、そのまま映画の中に配置されてるような感じがします。

だから雰囲気は不気味なのに、それが怖いという感情まで結びつかないような映画、なにか怖そうなものが次々と目の前に出てくることだけに終始してるような映画になる。
さらに、「恐怖」のアイコンの羅列で映画が単調になりかけると、今度はでかい音を出して脅かしにかかります。
この映画、いきなりでかい音を出して観客を飛び上がらせる、驚愕演出てんこ盛りで、最初の10分間でも3~4回は飛び上がれます。

☆ ☆ ☆

出演者は、なんというか皆、とても濃い。
主役を張るのがサム・二ールと救助船「ルイス&クラーク」号の船長、ローレンス・フィッシュバーン。

サム・二ールは「イベントホライゾン」号を乗っ取った悪魔に支配されて、まさしく期待通りに狂っていきます。顔中深い傷だらけでメロンみたいになったうえに、自分で自分の目玉を抉り出す大熱演です。
ローレンス・フィッシュバーンは強面が最大限に効果的なリーダー役がとても似合ってました。
ジェイソン・アイザックスとかショーン・パートウィーとか、他にも癖のある俳優を使っていて、キャスティングには意外なほど力が入ってます。

イベント・ホライゾンイベント・ホライゾン
(2003/06/06)
サム・ニールローレンス・フィッシュバーン

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Event Horizon Trailer


原題 Event Horizon
監督 ポール・アンダーソン
公開年 1997年


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コメント

こんにちは。あし@コメントありがとうございました。
『イベント・ホライゾン』だいぶ前に観ているのですが、殆ど忘れてしまってます(汗;)。
サム・ニールがヤバクなるところはなんとなく覚えているのですが・・・。ローレンス・フィッシュバーンも出ていたのですね!
ポール・アンダーソン監督はSF寄りの作品をよく出してますよね。しかし、同名に近い監督がいるので混乱しそうです(笑)。
それではまたお邪魔しますね♪
ガツンと応援いきます♪凸

umetramanさんへ

umetramanさん、こんにちは。コメント有難うございます。
『イベント・ホライゾン』は、やはり印象薄い映画ですかね。
でも何回も新鮮に観られて得だったりして。
本当に、ほとんど同名の監督、居ますよね。アンダーソン監督、こんな映画撮ったの?って思ったことあります。

わたしもお邪魔させてもらいます。
ガツンと応援、有難うございました。
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