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【洋画】 パルプ・フィクション

観た後になってスティーブ・ブシェミも密かに出てるのを知りました。初見の時はまったく気づかなかった。
探すつもりでもう一度観てようやく発見したんだけど、別にこそこそと隠れてるわけでもなかったなぁ…。しかもただ分からないだけじゃなくて、化けた相手にもよく似てました。あのスティーブ・ブシェミに最初から気づいた人ってどれくらいいたのかな。
それと、エリック・ストルツ。こっちは堂々と顔出ししてるのにエリック・ストルツだと気づかなかった。

☆ ☆ ☆

この映画は4つの話が一つの器に詰め込まれたような体裁をしてます。

1つはパンプキン(ティム・ロス)とハニー・バニー(アマンダ・プラマー)のレストラン強盗。
レストランでコーヒーを飲みながら、いかに効率よく危険を冒さないで仕事が出来るかを話し合った結果、強盗するには今自分たちがいるレストランが一番適してると結論が出て、その場でレストランを襲うことを決定する、強盗カップルの話。

2つ目はビンセント(ジョン・トラボルタ)とジュールス(サミュエル・L・ジャクソン)のギャング・コンビ。
ボス、マーセルス(ヴィング・レームズ)の奪われたお宝を奪い返すために奔走してるうちに、タレコミ屋を誤って車内で射殺してしまい、その始末に四苦八苦する話。

3つ目はビンセントとミア(ユマ・サーマン)。
ビンセントはボスの妻ミアの相手をすることを頼まれて、食事に付き合ったりすることになる。帰宅後、ビンセントのコートのポケットから、ビンセントがたまたま持っていた純度の高い麻薬を見つけたミアはそれを大量に服用してしまい、瀕死の状態になってしまう。ボスの妻が死んでしまえば自分もただではすまないので、ミアを助けるためにビンセントが右往左往することに。

4つ目はボスのマーセルスとボクサーのブッチ(ブルース・ウィリス)。
ボスからいかさまをやるように云われてたのに、裏切って自分に大金をかけて試合に勝ってしまい、マーセルスに追われる羽目になる話。

☆ ☆ ☆

映画は4つの話の時間軸を攪拌してるような作り方で、初見の時は結構複雑な印象を持ってたんだけど、再見してみたらそれほど複雑に混ぜ合わせたような作りでもなかったです。
通常の時間の流れからいけば、ビンセントとジュールスの話が終わる頃にパンプキンとハニー・バニーの強盗の話が起きて、その後マーセルスとボクサーのブッチの話が始まるという順序なのを、最後のブッチの話をビンセントとジュールスの話のまん中に組み込むという形にしてる。強盗のシーンが映画の最初と最後に振り分けられてる以外では、出来事の順序を移動させてるのは結局のところ、ほとんどこれだけと云ってもいいくらいのものでした。

時間軸を組み替えてるので、因果関係がそのままの順序で出てこないところがあります。
たとえばビンセントの最後のエピソード。
ビンセント最後のシーンはブッチのラインの中ほどに出てきて、その結果に至る過程はブッチの話が終わってから始まるビンセントとジュールスの話の後半で出てきます。
ビンセントは安全装置もかけておかないほど銃の管理が杜撰だっていうことなんですが、このせいでジュールスとの話の後半にタレコミ屋を誤って射殺してしまいます。
ブッチの話の中で出てくるビンセントのラスト・シーンは、この管理の甘さが遠因になっているようで、でも逆順で出てくるから、後になって出てくる伏線がその対応している結末に即座に結びつき難く、観終わって暫らく後になってから「あぁ、そういうことだったのか」と発見したりします。
こういうのは何か妙な大発見をしたみたいな気分になって結構面白い。

または、冒頭のパンプキンとハニー・バニーのレストランのシーン。
このシーンはトラボルタ、サミュエル・L・ジャクソン・コンビの話では終わり近くに当って、2つの話はレストランで交差することになります。
映画の冒頭でパンプキンが強盗について話してる同じ時間に、観てる側はそんなことを知るわけがないんだけど、実はトラボルタらも、このレストランの中にいるわけです。
それで、冒頭シーンの、ハニー・バニーの大写し画面の端で、この時点ではまだ話が始まってもいないトラボルタがトイレに向かう後姿を、既に密かにちょっとだけ紛れ込ませたりしてるんですよね。
「あとで気づいて吃驚する」みたいな遊びが、映画の中に一杯ばら撒かれてそうです。

☆ ☆ ☆

自分で自分のことを「パルプ・フィクション」だと云ってるくらいだから、映画の中で展開されるこの4つの話は徹頭徹尾くだらない話です。何の主張もなければ、その話を頭に入れたとしても一切何の役にも立たない。
登場人物がめったやたらと喋りまくる映画でもあって、そのお喋り一つ一つがこれまたくだらない話題のオンパレード。
ボスの奥さんの足をマッサージしたやつをボスが4階の高さから外に放り出したのは、やりすぎなのか適切な報復なのかとか、フランスではハンバーガーの名前をそれぞれどういう風に云ってるのかとか、そんな類の話題を飽きもせずに延々と云い合ったりする。
ただ、くだらない内容の話ばかりではあるんだけど、台詞とかはうまいです。
ジュールスの友達ジミー(タランティーノ監督本人出演)がタレコミ屋の死体と血で汚れた車を持ち込まれた時に喋る「”二ガーの死体預かります”の看板」の台詞の組み立て方とか、凄く面白い。

くだらないものばかりで出来てるので、映画は何か主張を持ってるべきだとかいう見方で挑むと、まるっきり接点の持てない映画になります。
くだらない会話のくだらなさをそのまま楽しめること、鏡を使ったそれなりに凝ったカットとかが出てきたりするのを観たまま楽しめること、そういったことを理屈ぬきで楽しめることがこの映画を観る条件なのかもしれません。

☆ ☆ ☆

物語の意義みたいな話でいくと、個々の洒落たカット、シークエンスだとか、トラボルタとユマ・サーマンのツイストみたいな、俳優のちょっと尖がった仕草だとか、ぐだぐだと続く馬鹿話だとか、気のきいた音楽だとか、そんな目や耳をひきつける要素を一番に見せたいんだけど、そのままでは断片に過ぎないから、その断片を映画の形にするためにストーリーが用意されてるといったような感じでしょうか。
かっこいい断片を繋いでいくための接着剤みたいな役割の物語というか、この映画での物語の意味はそんな程度のものじゃないかと思います。
時間軸をいじったのは、物語が接着剤程度の役割しか担ってないのを目立たなくするためだったのかも。

☆ ☆ ☆

この映画、結構とぼけたお笑いに走ってるところもあります。
クリストファー・ウォーケン演じるクーンツ大尉が語る時計の話なんか、これはあの神経質な顔付きの人物が極めて真面目な雰囲気で喋る事とは到底思えない内容だったので、あまりに予想外で思わず笑ってしまいました。
ボスが奪われたものが入ってるアタッシュケースも面白かったなぁ。開けると中から明かりが灯るように輝いて、中を覗き込む人が感心するんだけど、結局中にどんなものが入ってるのか最後まで披露してくれません。
トラボルタとサミュエル・L・ジャクソンの妙な髪形は、あれも若干お笑いにはしってたのかな。サミュエル・L・ジャクソンといえば「アンブレイカブル」だとか、髪型で笑いを取ることに執念を燃やしてるように見えます。

パルプ・フィクションパルプ・フィクション
(2003/12/05)
ブルース・ウィリスジョン・トラボルタ

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Pulp Fiction Trailer


Misirlou - Dick Dale & The Del Tones

メインテーマです。

原題 Pulp Fiction
監督 クエンティン・タランティーノ
公開 1994年


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コメント

この前同監督の「レザボアドッグス」の長い会話シーンを観た時はついつい眠くなったのに、この「パルプ・フィクション」のダラダラとした会話は結構好きだったりします。不思議です。
私もブシェミ、所見で見つけられませんでした。キャストが豪華すぎて、ついつい見過ごしてしまうんですよねー・・^^;

Kさんへ

この映画の会話が面白いって云うのは、喋ってる人物のキャラクターが良かったっていうのはないでしょうか。
わたしはサミュエル・L・ジャクソンとか、画面に映ってるだけでもう既に面白くて、楽しかったです。

ブシェミ、やはり見つけられませんでしたか。でもあの出演の仕方で直ぐに見破れる人って本当にいるのかな。

配役は豪華すぎますよね。これだけの俳優に出演を承諾させるほどタランティーノって信頼されてたということなんでしょうか。
おまけに妙な役やるのにみんなノリノリみたいだったし。
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