【洋画】 ハイテンション

登場人物全員、と云っても、話が始まって程なく追われる2人の女と追う殺人鬼の男の、3人に絞られるんですが、全員オーラが無いというか、はっきり云ってホラー映画的な見栄えが今一つ良くなかったです。
痩せすぎの女と一応主役のショートカットの女の2人組みでは絶叫女王を担えるような資質も色気も足りず、殺人鬼のおじさんのほうも、実は俳優としては名の通った人(フィリップ・ナオン)なんですが、わたしには武器を持ってるただの小太りのおじさんにしか見えない時がありました。
心底薄気味悪いという感じがしない。殺人鬼なのに、小太りの丸っこいシルエットからは柔和な感じさえ滲み出してました。

☆ ☆ ☆

ストーリーは物凄くシンプルです。
女子大生のマリー(セシル・ドゥ・フランス)が週末を友達のアレックス(マイウェン・ル・ベスコ)と過ごすために人里はなれたアレックスの実家に泊まりに行った夜、なぜか正体不明の殺人鬼がアレックスの家に入ってきてアレックスの家族を惨殺、アレックスは生きたままトラックで連れ去られる。マリーは隠れていて幸にも存在を知られなかったのでアレックスが運び込まれたトラックに密かに忍び込み、途中のガソリンスタンドで助けを呼ぼうとするが、殺人鬼に気づかれて追われる羽目になる。
あとはラスト直前までとにかく全編にわたって殺人鬼との追いかけ合いが続きます。

そして最後にどんでん返し。それまで画面で観てきたこと、進入した謎の殺人鬼の男に追いかけられるという話とは全く違う話が姿を現してきます。
ところがこの映画、ラストで明かされる真相とそれまで語られてきた物語との間に全然整合性がとられてないんですよね。それも吃驚するくらいに。
つじつまの合わないことを、それがどうしたとでも云わんばかりに、そのまま放置して、物語全体にわたってありえない矛盾が山盛りになってしまってる。

こんなに大胆に矛盾を放置してる映画ってちょっと珍しいです。

こうなる事を予想したうえで逃げ口上として最初から用意しておいたのかどうか知らないけど、プロローグに免罪符のようなシーンが一つ入って本編に繋がっていくことになります。

その免罪符みたいなシーンとは、この時点では誰か分からない人物が「録音して…」と呟くカット。
このシーンを初めに入れることで直後から始まる物語が客観視点の物語じゃなく、誰かの主観視点の物語だと宣言してることになります。この一言を入れておくとその後の物語に矛盾が生じても、話してる人がそう思って話してるだけと言い逃れが出来るわけです。
もっともそうは言い張っても、主観視点の物語のはずが、本編全域にわたって客観視点の映像として撮ってしまってるために、これはこれで回収できないおかしな場面が結構出てくることになるんですが。

これだけ話が破綻してると、真相がわかっても「何、それ」くらいの感想しか出てきません。

この映画、ラストのひっくり返しが売りなんだろうけど、皮肉なことにラストのひっくり返しさえなければいい線いってたかもしれない。
前半、家に侵入してきた殺人鬼がアレックスの家族を一人づつ惨殺していく間、家の中を逃げ隠れするマリーの緊張感のある展開はそれなりに良く出来ていて、この部分はタイトル通りまさしくハイテンションです。
小細工を弄して仕掛けも何もかも全部がグダグダになってしまうような映画にするよりも、普通に殺人鬼がヒロインを追いかけるだけの映画にしていた方がずっとましだったんじゃないか、というのが正直な感想です。

☆ ☆ ☆

ちょっと面白かったのは、マリーがガソリンスタンドのトイレに逃げ込んで隠れている所へ、殺人鬼男がトイレの扉を一つづつ開けて近づいていくシーン。
この絶体絶命のシーンの解決方法は、結構大胆で感心しました。

スプラッター映画では見せ場となるゴア・シーンはこの映画の場合は意外に少なかったんだけど、血糊の質感が妙にリアルだったり、ガラスの破片でアキレス腱を切ってしまうような物凄く嫌な感じというのは結構ありました。
特殊メイクがうまく使われていて、単純な人体破壊よりも生理的な嫌悪感を呼び起こすような使い方が印象に残ります。

☆ ☆ ☆

DVDのジャケットが何気なくネタばれしてます。何気ないけど結構大胆に。

☆ ☆ ☆


ハイテンション アンレイテッド・エディションハイテンション アンレイテッド・エディション
(2007/01/12)
セシル・ドゥ・フランスマイウェン

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アマゾンのレビューでもネタバレさせてるのがあるので、要注意!



Haute Tension - trailer


原題 Haute Tension
監督 アレクサンドル・アジャ
公開 2003年


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コメント

こんばんは。
「ハイテンション」思ってたところを同じく見事に突っ込んでられたので安心しました(笑)。あれは無いですよね。私はこれを頭のよくなる映画に分類しました。ラストのネタばらしからこれまでの展開はなんだったんだ?ということを頭をフル回転して考えてしまうからです。答えは出ないのですがね(笑;)。あの手のオチはインパクトがあって好きですが、大事なところを豪快にすっぽかしているので残念でした。
その後の米国で撮られた「ヒルズハブアイズ」はストレートな出来で良かったと思うので、これから期待したいと思います。

ガツンと応援いきますよ♪

umetramanさんへ

umetramanさん、こんにちは。
umetramanさんもやはりそう思われましたか(笑
頭のよくなる映画への分類というのも面白いです。確かにこの映画を納得する形で頭に収めようとしたら、頭良くなるかもしれませんね。

この映画もストレートな部分はよく出来てるので、アジャ監督はホラー・ジャンルへの親和性はあるのかも、とは思いました。

ガツンと応援、有難うございます。
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