【洋画】 ビロウ

製作、脚本のダーレン・アロノフスキーは「π」を観た時に、アートっぽい作りで観客を煙に巻いてるような、どうも山師的なイメージを持ってしまって、未だに印象があまりよくないです。
監督、脚本のデヴィッド・トゥーヒーは、ここで記事にした「リディック」の監督です。この人はそれなりのアクション映画を小気味よく作れる監督っていうイメージでしょうか。

これ、潜水艦が舞台の映画です。でも潜水艦映画と云っても、敵軍の駆逐艦とか潜水艦が相手のアクション映画じゃなくて、相手は艦にとりついた亡霊というホラー映画仕立て。
幽霊船がモチーフの映画はそれなりにあると思うけど、潜水艦が舞台になってるのに、敵の描写よりも乗組員が亡霊相手に翻弄されることに終始する映画って物凄く珍しいんじゃないかと思います。それとも単純にわたしが知らないだけかな?
たとえ「閉ざされた環境でのホラーもの」っていうよく有るパターンを頭においての思いつきだったにしても、ホラーものと潜水艦なんて、なかなか簡単に結びつくものじゃないです。

☆ ☆ ☆

第二次大戦中、米国潜水艦タイガー・シャーク号は撃沈された英国病院船の生存者3名を救出する任務を与えられて、生存者が漂流している現場に向かい、その3人を救出する。
生存者を艦内に運び込んで見ると、そのうちの1人クレア・ページ(オリヴィア・ウィリアムズ)は女性だった。潜水艦の乗組員の中には女が艦内に入ってくると不吉だと信じてるものも多かった。

女が一人混じるという余計な緊張を持ち込んだまま航行を続けて、やがて敵艦に遭遇。
海中でやり過ごそうとしたけれど、乗組員が息を潜めてる最中に艦内で突然ベニー・グッドマンのレコードが大音響で鳴り響いた。その音で気づかれてドイツ軍と戦闘になり、ダメージを受けつつもその場は逃走に成功するが、レコードをかけたのが誰なのかは結局分からなかった。
このレコードをきっかけに、潜水艦内では不気味な囁き声を聞いたり、亡霊のようなものを目撃するものが出始めることになる。
女を乗せたからこんなことが起こり始めたとか、艦に何かがとりついてるという不安感が広がる中で、乗組員の疲労度も高まっていく一方だった。

女を乗せてしまったために、本当に何か邪悪なものが潜水艦にとりついてしまったのか、それとも内部に敵が侵入して破壊工作をやってるのか。
オデル少尉(マシュー・デイヴィス)は艦内の異常を追ううちに、前艦長ウィンターズの死因に疑問を持ち始め、一連の不可解な出来事はこの前艦長の出来事に関係してるのではないかと思い始める。
いっぽうクレアも艦長代理のブライス大尉(ブルース・グリーンウッド)の部屋で航海日誌を読み、前艦長の死に不可解な印象を受けることになり、この艦には何か隠された秘密があると気づき始めた。

艦のなかで生じてる不可解な出来事の原因を探し、艦に隠された秘密を探ってるうちに、潜水艦は舵が全く取れなくなるような原因不明の暴走を始め、そんな状態の中、空気が汚染されはじめた艦内で高濃度の水素による爆発が生じて、ほとんどの乗組員が死亡する大惨事が起きる。

☆ ☆ ☆

まるで岩肌のような不思議な質感の海面と、そのうえにかぶさるようにPBYカタリナ飛行艇が画面下からゆっくりと出てくるオープニングのシーンが異様で、不気味な映画の導入部分としてはかなり良い感じ。スローモーションでプロペラがゆっくり回るのとシンクロするように流れる、プロペラ音をモチーフにしたようなBGMも画面の異様さを倍化させる感じでよく合ってます。
まず観客の注意を引くような目的の出だしなら大成功というところでしょうか。

映画は前半で気味の悪い雰囲気作りに勤しみ、中間部分で乗組員が心霊現象や戦闘で追い詰められて疲弊していく恐怖、終盤でお約束の如く乱心した艦長による破局と、手順を守って、ある意味端正な映画作りをやってるように見えました。

ところが、冒頭からの「何かが始まりそう」みたいな不気味な雰囲気の場面は、期待も入ってるからそれなりにのめり込んで観てられるんだけど、中間部分になると、逆にあまり怖くなくなってしまうんですよね。と云うかどこが怖いのかいまひとつよく分からなくなる。
基本的に洋画で見せようとする幽霊そのものとかは大抵あまり怖くないということもあって、この映画も例外じゃなかったです。
白いメイクをした顔が何かの反射に映り込んだり、一瞬視界を横切ったりするのが繰り返されるだけ。
むしろ頭上にいる敵艦をやり過ごしたり、巨大フック攻撃で船体がずたずたに引き裂かれていくようなシーンのほうが怖いです。
潜水艦そのものが持ってる恐怖の方が高いのに、わざわざそれほど怖くない心霊ものをくっつけて、そちらを中心にしたために、恐怖の輪郭がぼけてしまってるという感じでしょうか。
この映画もまた大音響吃驚演出を使ってるので、怖さよりも吃驚するほうだったら予想以上に堪能できるかもしれません。

幽霊はこういう出方をするんだけど、霊の正体は最後まで明かされないので、霊の顔がはっきりと出てきても、何か得体の知れないものに取り付かれてるという感じは最後まで維持してたような感じでした。
これ、霊の正体に関してはミステリー仕立てになっていて、潜水艦ものであって、ホラーでもあって、その上ミステリーまで揃えてるとなれば、結構豪華な映画だったのかな。

☆ ☆ ☆

心霊ものという要素が付け加わったために、潜水艦ものとしてどこか邪道みたいな印象がついてるように思えるけど、潜水艦ものとしてはそんなに酷い出来じゃなかったです。

機雷攻撃を受けた時の、不発というかまだ爆発してない機雷が1個、艦の甲板を水中だからゆっくりと転がっていくシーン。
艦の内側でその音を聞いてる乗組員の緊張とか凄くよく伝わってくるし、ゆっくりと転がっていく機雷というイメージも恐怖感があってよかったです。

☆ ☆ ☆

キャスティングは有名俳優を使わずに、全体的に地味でした。
スナッチで一人スポットライトが当ってるように見えたと書いたジェイソン・フレミングが乗組員の役で出てます。この人やはりかっこいい。主役級で出てた俳優よりも目立ってます。

☆ ☆ ☆

ビロウビロウ
(2003/09/25)
マシュー・デイヴィスブルース・グリーンウッド

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Below Trailer


原題 Below
監督 デヴィッド・トゥーヒー
航海 2002年


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コメント

こんばんはv-85
偶然ですかね~、今、新聞を見ていたら、やるのですよ!
本日1:50から、静岡第一テレビで「ビロウ」を・・・
「あ~、薄荷グリーンさんだ~v-266」って思って、とりあえずコメントしちゃいました!

いつも、ありがとうございますv-254

ともさんへ

ともさん、こんばんは。
コメント有難う御座います。
「ビロウ」放送って、本当に凄い偶然v-237
報告入れてくれて、ありがとう。何か不思議な感じがして面白いです。
後40分ほどで始まりますね。

こんにちは。
「ビロウ」は一時話題になってたのを覚えています。たしか、映画館で観るべき映画!とかいう評判だったような・・・。
私はビデオで観たのですが、初めは心霊現象と思わせた人間による犯罪?陰謀?だと思っていたのですが、意外や稲川純二ストライクな展開になっていくので、そのまんまじゃんとガックリきた思い出があります(笑)。
薄荷グリーン様も書かれている潜水艦の攻防における恐怖感が一番だったと思います。不発弾が船体を転がっていくのを船員が固唾を飲むところで、本来のテーマが何だったか忘れてしまいました(笑)。
それとあの巨大フックで引っ掻き回すところですが、あれは本当にあった戦術なのでしょうか。あまりにインパクトがあって「ビロウ」といえば巨大フックのイメージになっています。
潜水艦のマジメな攻防戦だけでは過去に散々出尽くしてしまっているので、潜水艦ホラーというジャンルにしてしまったのでしょうね。当たらなかったですけど(笑;)。
もし、あまり知られていない戦術があるのなら、これらを描くだけでも評価できそうな気がしますね。
映画館で観ろと言われていたのは音響が凄かったからかな・・・(勘違いかもしれません汗;

ガツンと応援♪凸

umetramanさんへ

umetramanさん、こんばんは。

やはりガックリでしたか(笑。
わたしは途中から、一体何を見せたいんだろうみたいな疑問の方が恐怖よりも頭の中を占領してました。
記事には書かなかったんですが、心霊現象の一番の見せ場扱いだった鏡のシーンも、日本人が観たらおそらくコントと受け取る人のほうが多かったんじゃないかと思います。
巨大フックはわたしも実在したかどうかちょっと怪しいなというほうに近いです。攻撃は強烈でしたけど、視認もできない状態であんなに上手くいくのかなと思いました。
本当にあって、実際にあんなダメージを与えるようなものだったら、凄いんですけどね。
あまり知られてない戦術を使った潜水艦映画って観てみたい気がします。面白そう。

これは今までにないものを作ろうって云う心意気は買うんですけど、ちょっと結果が伴わなかったって云う感じでしょうかね。

ガツンと応援、いつも有難う御座います。
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